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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

新国立劇場オペラストゥディオ2026春公演『ウィンザーの陽気な女房達』初日鑑賞

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【日時】2026.2.20.(金)18:00〜

【会場】NNTT中劇場

【演目】ウィンザーの陽気な女房たち

【原作】シエイクスピア

【台本】ヘルマン・ザロモン・モーゼンタール

【楽曲】オットー・ニコライ作曲・歌劇『ウィンザーの陽気な女房達』

【管弦楽】東京シティフィルハーモニック管弦楽団

【指揮】森内 剛

【演目について】

『ウィンザーの陽気な女房たち』(ウィンザーのようきなにょうぼうたち、The Merry Wives of Windsor)は、ウイリアム・シェイクスピア作の喜劇です。出版は1602年、書かれたのは1597年より前だと考えられている。

 太っちょ騎士フォルスタッフが主人公で、フォルスタッフは既に『ヘンリー四世第1部』と『ヘンリー四世第2部』に登場している。

タイトルに含まれている「ウィンザー」はイングランド、バークシャーにあるウィンザー城への言及である。

シェイクスピアの時代から遡る事200年程前のヘンリー4世の治世頃を扱っている筈であるが、一切辻褄合わせなどはせずに同時代のエリザベス朝イングランドの中流階級の生活を描いており、シェイクスピアとしては唯一の当時の「現代劇」であった。

ヴェルディファルスタッフ』(1893年)、オットー・ニコライウィンザーの陽気な女房たち』(1849年)など、たびたびオペラ化されている。

 

【演出・演技指導』 カロリーネ・グルーバー

【装置デザイン原案】 ロイ・シュパーン/マラ

【衣裳】キラ・ファスベン

【照明】鈴木武人

【音響】工藤尚輝

【衣裳コーディネーター】 加藤寿子

【舞台監督】大澤 裕

【総出演(上演3日間)】

第26期(3年次):後藤真菜美 谷 菜々子 中尾奎五 渡邊美沙季

第27期(2年次):有吉琴美 小野田佳祐 島袋萌香 牧羽裕子 矢澤遼

第28期(1年次):上田駆 齋藤菜々子 長倉 駿 吉原未来

 

【鑑賞日(初日)キャスト】 

◯サー・ジョン・ファルスタッフ(Sir John Falstaff   ):町英和(贊助〉(MACHI Hidekazu)

◯フルート氏(Herr Fluth):上田 駆(第 期 )

◯ライヒ氏(Herr Reich):中尾奎五(第 期 )

〇フェントン(Fenton): 矢澤遼(第 期 )

〇シュペールリヒ(Junker Spärlich):長倉 駿(第 期 )

〇 カーユス博士(カジュー)(Dr.Cajus):松浦宗梧(賛助)

〇フルート夫人(Frau Fluth):有吉琴美(第 期 )

〇ライヒ夫人(Frau Reich):後藤真菜美

〇アンナ・ライヒ(Jungfer Anna Reich):渡邊美沙季

〇市民・清掃員(Ein Bürger/Putzfrau):吉原未来

 

【賛助出演】

町英和(第6期修了、バリトン)

駒田敏章(第11期修了、バリトン)

山田大智(第12期修了、バスバリトン)

菅野敦(第15期修了、テノール)

荏原孝弥(第19期修了、テノール)

大久保惇史(第23期修了、バリトン)

松浦宗梧(第25期修了、バリトン)

合唱:小野寺礼奈 角木タミエ 小出桃可 大宮みゆ 江波戸惇加 菅家璃音 戸田志帆

長嶋穂乃香 平本眞也 藤原元大 森口純樹 島敬祐 豊田琢真 切田光星 大竹豊 松田和輝

(協力:武蔵野音楽大学)

 

【粗筋】

《第1部》

 フルート夫人とライヒ夫人は、評判の悪い騎士、サー・ジョン・ ファルスタッフから同じ内容の手紙を受け取ります。その手紙の中で、彼は2人に愛を誓います。夫人たちは憤慨し、この無礼な手紙の差出人に仕返しをしようと決心します。彼女たちは彼が主に金目当てであることを知りません。

 ライヒ氏は、娘のアンナを裕福な貴族のシュペールリヒと結婚させたいと考えていますが、妻は裕福なフランス人のカーユス博士(カジュー)を好んでおり、アンナ本人はフェントンを愛しています。フェントンはライヒ氏に結婚の承諾を求めますが、ライヒ氏はそれを拒否します。

 フルート夫人はファルスタッフに密会を約束。嫉妬深い夫(フルート氏)にも教訓を与えてやろうと、ライヒ夫人は、 フルート夫人が愛人を迎えていることをフルート氏に知らせるメッセージを送ります。

 ファルスタッフはフルート夫人との逢瀬を楽しもうとしていましたが、フルート氏が町の人々をつれて迫ってきます。 夫人たちはファルスタッフを洗濯かごに隠し、清掃員に彼を運び去るよう依頼します。フルート氏は無駄な捜索により恥をかき、市民の前で妻に謝罪しなければならなくなります。

 ファルスタッフが失敗に終わった逢瀬に腹を立てているところへ、フルート夫人から再び手紙が届きます。夫がまもなく狩りに出かけるため、もう一度逢瀬の約束をしたいという内容でした。

 狩猟仲間たちの集まりにファルスタッフは加わり、酒を楽しみます。そこへバッハと名乗る男(実際は仮面をしたフルート氏)がファルスタッフを訪ねます。バッハはファルスタッフに、フルート夫人、つまり自分の妻を誘惑するよう頼みます。自分もフルート夫人に近づきたいが、先にファルスタッフが口説き、それに応じる女性であれば、別の男性の誘いにも応じるだろう、と彼はファルスタッフを説得。ファルスタッフは納得し、すでにフルート夫人と約束をしていることを誇らしげに打ち明けるのでした。

 

《第2部》

 シュペールリヒとカーユス博士(カジュー)は、それぞれ誰にも邪魔されずアンナに会うことを望んでいますが、フェントンがロマンチックな愛の告白を口ずさみながら彼らに先んじて登場します。

 ファルスタッフによるフルート夫人を口説く2度目の試みは、再び彼女の夫によって阻止されることになります。 なぜならフルート氏はバッハになりすまし、2度目の逢瀬を提案した張本人。もちろんこの逢瀬を知っており、今度は確実に妻の愛人を捕まえようと意気込んでいます。しかし夫人たちは、ファルスタッフをフルート氏が嫌っているブレントフォードの老いたゴシップ好きの女に変装させ、ファルスタッフは再び逃亡に成功します。

 夫人たちは、夫たちにこれまでの計略を告白し、新たな計画を立て始めます。ファルスタッフは、真夜中の祝宴に、狩人ハーンとして登場し、そこで、仮面の集団によって、人前で罰せられることになるのです。ライヒ夫妻は、この機会を利用して、娘のアンナを、それぞれ好みの候補者と結婚させることを考えます。

 狩人ハーンに扮したファルスタッフは、フルート夫人とライヒ夫人に出会い、喜びますが、アンナと妖精たちによって邪魔されます。ファルスタッフと夫人たちは身を隠しますが、変装したライヒ氏と妖精たちにファルスタッフは発見されてしまうのです...

 

【上演の模様】

上記【演目について】にある様に、今回のシェイクスピア劇は、ヴェルディのオペラ『ファルスタッフ』と双子の様な関係で、元を正せば同根のオペラです。ヴェルディのオペラはあちこちで度々上演されることがあり、NNTTのオペラパレスでの上演も見たことが有ります。しかし今回の『ウィンザーの陽気な女房達』のフルオペラの実演は今回が初めてでした。この両者は題材は同じでも勿論かなりの違いが有ります。

ヴェルディの《ファルスタッフとニコライのウィンザーの陽気な女房達は、ともにシェイクスピア原作の喜劇であっても、音楽的スタイルと作風が明確に異なります。ヴェルディは人生の円熟味と心理描写を追求した最後の傑作(1893年)であり、ニコライはドイツ・ロマン派風の親しみやすい旋律とジングシュピール風(1849年)の歌劇である点が大きな違いです。細部の主な違いは以下の通りです。

〇作曲家とスタイル

ヴェルディ: イタリアの巨匠が80歳直前に作曲。台本はボーイト。人間味溢れるファルスタッフの心理、機知に富んだ音楽、アンサンブルが魅力の喜劇。

ニコライ: ドイツ・ロマン派の作曲家。序曲が有名。ヴェルディより前にこの物語をドイツ風の陽気な歌劇として完成させた。

〇作風:

ヴェルディ: 形式的なアリアが少なく、会話のような劇的な音楽構成。

ニコライ: 伝統的なアリアや重唱、合唱がはっきりしており、親しみやすいメロディが多い。

〇物語の重点:

ヴェルディ: 原作に加え『ヘンリー四世』の要素も取り入れ、ファルスタッフを人間的に魅力的に描く。

ニコライ: ファルスタッフを喜劇的なキャラクターとして陽気に描く傾向が強い。 

ニコライ版は「陽気」でロマンチック、ヴェルディ版は「人生の滑稽さ」を巧みな音楽で描いた傑作と言えます。

 以上の観点からの細部相違も重要ですが、それ以上に観客としては、歌われる言語が何かが最重要であると思います。当然ヴェルディはイタリア語上演、一方ドイツ人のニコライは、ドイツ語上演です。ともあれ、粗筋の多くは両者に共通している点も多く、初めて観てもどちらかをある程度知っていれば十分楽しめるオペラだと言うことが出来るでしょう。

 

 今回の中劇場は、これまで何回か足を運んで聞いた事が有ります。勿論オペラパレスの様な本格オペラ劇場ではない分、舞台演技として迫力は少なく感じるかも知れません。今回出演した26、27、28期の研修生の個別の歌唱についてコメントするのは控えたいと思いますが、皆さんNNTTで研修中とは言え、既に過去のオペラ演奏で、研修、コンクール、演奏会を国内海外で経験している人も多いでしょうし、総じて、かなりの歌唱のレヴェルに達している人もいると言えると思います。勿論研修所既卒業の賛助出演者は、研修生より一日の長を感じる本物感の強い歌い振りでしたが、その差は大きくないケースが殆どでした。

 今回一部、二部通して聴いていて、総じて感じたことは、やはり歌と言うものは、通常の管弦楽の楽器とかなり異なるケースが多く、人間の喉、体が楽器ですので、立ち上がりからまだ本調子が出ないケースが散見されました。しかし歌っている内に次第に本調子が出て、見違える様な声を出す人も多く見られました。従って2部の特に若物の役(夫人たちの娘や恋人役)の研修生の活躍に目を見張るものがありました。もう一点特筆すべきは、多くの研修生がドイツ語の発音が立派なもので、その言い回しアクセントは歌唱に於いても、台詞に於いても如何にもドイツ語らしい発音だった、人によってはドイツ人?と勘違いする程だったのには感心しました。(ヴェルディのイタリア語オペラだったらそうはいかないかも知れません)やはり日本のドイツ語教育の水準は高いものがある、研修所に於いても当然語学教育には力を入れられていることと思いました。

 その他歌手の服装や舞台の設営に関しても、色彩感覚がカラフルで、随所に考え抜かれていたことにも感心しました。

 今回出演された歌手の卵(失礼、十分歌手と呼べる人もいましたが)の研修生は今後NNTTオペラパレスや二期会オペラ、藤原歌劇団或いは、海外のオペラハウスで歌う機会がある人も多いと思います。皆さんの今後の活躍を期待し、どこかで又オペラを聴くことが出来ることを楽しみにしております。

 

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