HUKKATS hyoro Roc

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新国立劇場オペラ/ベルディ『アイーダ』第五日目鑑賞

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【演目】ベルディ『アイーダ』

【主催】新国立劇場(NNTT)

【会場】NNTTオペラパレス

【公演日程】2023.4.5~2023.4.21.
Ⅰ.2023年4月5日  (水)18:00

Ⅱ2023年4月8日  (土)14:00

Ⅲ.2023年4月11日(火)14:00
Ⅳ.2023年4月13日(木)14:00

Ⅴ.2023年4月16日(日)14:00

Ⅵ.2023年4月19日(水)18:00

Ⅶ.2023年4月21日(金)14:00

【鑑賞日時】第五日目 2023.4.16.(日)14:00~

【主催者言】

巨匠ゼッフィレッリによる壮大な歴史絵巻!
古代エジプトの愛の悲劇
新国立劇場開場25周年を記念し、祝祭的大作『アイーダ』を上演します。1998年に開場記念公演として制作されたゼッフィレッリの豪華絢爛な演出には、新国立劇場ならではのダイナミックな舞台転換が盛り込まれます。歌手、合唱、バレエ、助演が織りなす"凱旋の場"は音と視覚の大スペクタクル。オペラファンならずとも、一度は観てみたい舞台です。
『アイーダ』はヴェルディ後期の大作で、スエズ運河開通を記念し建設されたカイロ歌劇場で初演されました。1ヵ月後のスカラ座公演ではアンコールが 40回も続く成功を収め、その後も世界の歌劇場で高い人気を誇っています。
物語は、古代エジプトの戦士ラダメスと、敵国エチオピアの王女アイーダの一途な愛を描きます。ラダメスのアリア「清きアイーダ」や、アイーダの「勝ちて帰れ」、「凱旋行進曲」と輝かしい名曲が続き、後半では恋人たちの愛、父娘の想い、誇り、嫉妬など心理的葛藤が描かれます。最終場のアイーダとラダメスの二重唱「運命の岩がとざされた」では、二人の愛が昇華する清らかな音楽が響きます。
タイトルロールには名ソプラノのセレーナ・ファルノッキア、ラダメスには世界最高峰のテノール、ロベルト・アロニカが出演。アムネリスにはベルリン・ドイツ・オペラを中心に欧米の歌劇場で躍進中のアイリーン・ロバーツと、望みうる最高のキャストが揃います。指揮には特にヴェルディを得意とする名匠カルロ・リッツィが待望の再登場です。

 

【上演時間】約3時間50分
(第1幕45分 休憩25分 第2幕45分 休憩25分 第3幕35分 休憩20分 第4幕35分)

【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ

【振 付】石井清子

【再演演出】粟國 淳

【舞台監督】斉藤美穂

【照 明】奥畑康夫

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【指 揮】カルロ・リッツィ

〈Profile〉

  世界有数のオペラ指揮者。生地ミラノ音楽院に学び、ミラノ・スカラ座の音楽スタッフとして経験を積む。1982年に指揮者としてのキャリアをスタートし、オペラとコンサート双方で世界中の一流劇場やフェスティバルで活躍。声楽の知識と演劇的センス、そして世界の劇場で磨かれた協働のスキルにより、オペラの達人として高い評価を獲得している。オペラのレパートリーはイタリア・オペラを中心にワーグナー、リヒャルト・シュトラウス、マルティヌー、ヤナーチェクまで100以上に及ぶ。92~2001年及び04~08年にはウェールズ・ナショナル・オペラ音楽監督を務め、その芸術的水準と国際的知名度を劇的に向上させた。15年から同桂冠指揮者。19年よりオペラ・ラーラ音楽監督。ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、英国ロイヤルオペラとは特に深い関係を築いており、パリ・オペラ座、テアトロ・レアル、ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバル、オランダ国立オペラ、シカゴ・リリック・オペラ、チューリヒ歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、モネ劇場などでも活躍。最近のオペラ公演では、カナディアン・オペラ・カンパニー『トゥーランドット』、フィレンツェ歌劇場『仮面舞踏会』『椿姫』、ソフィア王妃芸術宮殿『チェネレントラ』、ウェールズ・ナショナル・オペラ『蝶々夫人』、メトロポリタン歌劇場『トスカ』『ラ・ボエーム』、バイエルン州立歌劇場『トスカ』などを指揮。22/23シーズンはメトロポリタン歌劇場『メデア』(シーズン開幕公演)、『トスカ』『ドン・カルロ』、パリ・オペラ座『イル・トロヴァトーレ』を指揮したほか、バイエルン州立歌劇場『マノン・レスコー』、パリ・オペラ座『ロメオとジュリエット』に登場予定。新国立劇場では18年『ファルスタッフ』を指揮している。

【合 唱】新国立劇場合唱団

【合唱指揮】三澤洋史

【バレエ】東京シティ・バレエ団

【児童バレエ】ティアラこうとう・ジュニアバレエ

 

【キャスト】


〇アイーダ:セレーナ・ファルノッキア

〈Profile〉

(Serena FARNOCCHIA Soprano)はイタリア・ピエトラサンタ生まれ。1995年フィラデルフィアのルチアーノ・パヴァロッティ国際声楽コンクールで優勝後、ミラノ・スカラ座『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナでデビュー。モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラ、『コジ・ファン・トゥッテ』フィオルディリージ、『フィガロの結婚』伯爵夫人などから、『マリア・ストゥアルダ』タイトルロール、『ノルマ』アダルジーザ、『アンナ・ボレーナ』タイトルロールなどのベルカント・オペラ、ヴェルディでは『ルイザ・ミラー』タイトルロール、『シモン・ボッカネグラ』アメーリア、『ファルスタッフ』アリーチェ、『オテロ』デズデーモナ、『ドン・カルロ』エリザベッタ、プッチーニの『マノン・レスコー』タイトルロール、『蝶々夫人』タイトルロール、『ラ・ボエーム』ミミ、『トゥーランドット』リュー、さらに『カルメン』ミカエラ、『ホフマン物語』アントニアといったフランス・オペラをレパートリーとする。これまでにミラノ・スカラ座、ローマ歌劇場、バイエルン州立歌劇場、チューリヒ歌劇場、フェニーチェ歌劇場、ザクセン州立歌劇場、トリノ王立歌劇場など世界の主要歌劇場に出演を重ねる。フェニーチェ歌劇場、フィレンツェ歌劇場公演やサントリーホールのホール・オペラなどで来日も多い。新国立劇場では2007年『ファルスタッフ』アリーチェ、09年「ニューイヤーオペラパレスガラ」、14年『ドン・カルロ』エリザベッタ、17年『オテロ』デズデーモナに出演している。

〇ラダメス:ロベルト・アロニカ

〈Profile〉

(Roberto ARONICA Tenor)は、イタリア・チヴィタベッキア生まれ。ベルゴンツィのもとで声楽を学ぶ。サンチャゴ・ムニシパル劇場『リゴレット』でデビュー後、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、英国ロイヤルオペラ、シカゴ・リリック・オペラ、バルセロナ・リセウ大劇場、フィレンツェ歌劇場、ローマ歌劇場、ウィーン国立歌劇場、サンフランシスコ・オペラ、ロサンゼルス・オペラなど世界中の主要歌劇場の重要な役に出演。主なレパートリーに、『運命の力』ドン・アルヴァーロ、『イル・トロヴァトーレ』マンリーコ、『アイーダ』ラダメス、『ドン・カルロ』タイトルロール、『オテロ』タイトルロール、『カルメン』ドン・ホセ、『トスカ』カヴァラドッシ、『マノン・レスコー』デ・グリュー、『カヴァレリア・ルスティカーナ』トゥリッドゥ、『サムソンとデリラ』サムソン、『アドリアーナ・ルクヴルール』マウリツィオなどがある。最近の出演に、フィレンツェ歌劇場『運命の力』ドン・アルヴァーロ、ヴェローナ野外音楽祭『アイーダ』ラダメス、ボローニャ歌劇場『トスカ』カヴァラドッシ、オペラ・オーストラリア『ローエングリン』タイトルロール、『カルメン』ドン・ホセ、ボローニャ歌劇場『トスカ』カヴァラドッシ、『オテロ』タイトルロールなど。新国立劇場初登場。

〇アムネリス:アイリーン・ロバーツ

〈Profile〉

 (Irene ROBERTS Mezo soprano)は、
アメリカのメゾソプラノ。パシフィック大学、クリーヴランド音楽院で学び、パームビーチ・オペラのヤングアーティスト・プログラムを修了。ベルリン・ドイツ・オペラ専属歌手として、『カルメン』タイトルロール、『ファウストの劫罰』マルグリート、『ホフマン物語』ニクラウス、『ナブッコ』フェネーナ、『ドン・キショット』ドゥルシネなど多くの公演に出演。近年オランダ国立オペラに『ホフマン物語』ニクラウスで、フェニーチェ歌劇場に『アイーダ』アムネリスで、マチェラータ音楽祭に『カルメン』タイトルロールで、クラーゲンフルト歌劇場に『タンホイザー』ヴェーヌスでデビューした。サンフランシスコ・オペラ『カルメン』タイトルロール、パームビーチ・オペラ『ドン・ジョヴァンニ』ツェルリーナ、『蝶々夫人』スズキ、『フィガロの結婚』ケルビーノ、アトランタ・オペラ『セビリアの理髪師』ロジーナなどにも出演している。21/22シーズンはベルリン・ドイツ・オペラ『カルメン』タイトルロール、『蝶々夫人』スズキなどのほか、サンフランシスコ・オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』ドラベッラに出演。『令嬢ジュリー』(ブスマンズ作曲)タイトルロールではロレーヌ歌劇場、ディジョン歌劇場へデビューした。今シーズンはベルリン・ドイツ・オペラ『トリスタンとイゾルデ』ブランゲーネ、『ナブッコ』フェネーナ、『ドン・キショット』ドゥルシネなどのほか、リヨン歌劇場『タンホイザー』ヴェーヌスに出演している。新国立劇場初登場。

【アモナズロ】須藤慎吾(バリトン)

〈Profile〉

(SUDO Shingo)
国立音楽大学卒業、同大学院修了。第42回日伊声楽コンコルソ1位、オルヴィエート国際オペラコンクール2位(イタリア)などを受賞。99年渡伊、各地の劇場にて『椿姫』ジェルモン、『リゴレット』タイトルロール、『オテロ』イアーゴ、『ラ・ボエーム』マルチェッロ、『トスカ』スカルピア、『カルメン』エスカミーリョなどに出演。06年帰国し藤原歌劇団に入団。同団で『愛の妙薬』ベルコーレ、『フィガロの結婚』アルマヴィーヴァ伯爵などに出演。新国立劇場では19年『椿姫』ジェルモンで大成功を収めたほか、『椿姫』ドゥフォール男爵、『アンドレア・シェニエ』フーキエ・タンヴィル、『蝶々夫人』シャープレス、『ルチア』エンリーコ、高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演『蝶々夫人』シャープレス、高校生のためのオペラ鑑賞教室『トスカ』スカルピア、高校生のためのオペラ鑑賞教室『カルメン』及び同演目びわ湖ホール公演でエスカミーリョに出演。国立音楽大学非常勤講師、藤原歌劇団団員。

 

【ランフィス】妻屋秀和(バス)

〈Profile〉

 (TSUMAYA Hidekazu)
東京藝術大学卒業、同大学大学院オペラ科修了。1994~2001年ライプツィヒ歌劇場、02年~11年ワイマールのドイツ国民劇場専属歌手。これまでにベルリン・ドイツ・オペラ、ベルリン州立歌劇場、ライン・ドイツ・オペラ、スコティッシュ・オペラなどに出演。欧州、日本でモーツァルト、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニ、ワーグナー、R.シュトラウス等のオペラの主要な役を80役以上演じており、新国立劇場では『ラ・ボエーム』コッリーネ、『ドン・ジョヴァンニ』騎士長、『セビリアの理髪師』ドン・バジリオ、『アイーダ』ランフィス、『ナブッコ』ベルの祭司長、『夜叉ヶ池』鉱蔵、『リゴレット』スパラフチーレ、『ヴォツェック』医者、『アラベッラ』ヴァルトナー伯爵、『ドン・カルロ』宗教裁判長、『マノン・レスコー』ジェロント、『ばらの騎士』警部、『ラインの黄金』ファフナー、ファーゾルト、『魔笛』ザラストロ、『ルチア』ライモンド、『タンホイザー』領主ヘルマン、『トゥーランドット』ティムールなど出演多数。20/21シーズン『夏の夜の夢』クインス、『フィガロの結婚』バルトロ、『イオランタ』ルネ、『ドン・カルロ』フィリッポ二世、『カルメン』スニガに出演。21/22シーズンは『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ハンス・フォルツ、『さまよえるオランダ人』ダーラント、『ばらの騎士』オックス男爵、『ペレアスとメリザンド』アルケルに出演。22/23シーズンは『タンホイザー』領主ヘルマン、『リゴレット』スパラフチーレにも出演予定。令和3年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。二期会会員。

 

【エジプト国王】伊藤貴之(バス) 

<Profile>

(ITO Takayuki)
名古屋芸術大学卒業、同大学院修了。13~14年渡伊。第48回日伊声楽コンコルソ第2位、第6回G.ゼッカ国際声楽コンクール第2位。第41回イタリア声楽コンコルソ金賞受賞。平成24年度愛知県芸術文化選奨文化新人賞受賞。愛知県芸術劇場『ランメルモールのルチア』ライモンドをはじめ、『ドン・ジョヴァンニ』『リゴレット』『トゥーランドット』など多数のオペラに出演。13年藤原歌劇団にデビューし、『ラ・ボエーム』コッリーネ、『ランスへの旅』シドニー卿、『ノルマ』オロヴェーゾなどに出演。新国立劇場では『サロメ』兵士2、『オテロ』モンターノ、『カルメン』スニガ、『ウェルテル』大法官、『ルチア』ライモンドに出演している。22/23シーズンは『ホフマン物語』ルーテル/クレスペルにも出演予定。藤原歌劇団団員。

 

【伝令】村上敏明(テノール)

<Profile>

 (MURAKAMI Toshiaki)
国立音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第17期生修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてボローニャに留学。第9回マダムバタフライ世界コンクール優勝など受賞多数。04年には第40回日伊声楽コンコルソ第1位、第35回イタリア声楽コンコルソ・シエナ大賞と国内2大タイトルを獲得。02年にオルヴィエートのマンチネッリ劇場『リゴレット』マントヴァ公爵でヨーロッパデビュー。イタリア各地で『蝶々夫人』ピンカートン、『イル・トロヴァトーレ』マンリーコ、『ナブッコ』イズマエーレ、『トスカ』カヴァラドッシなどに出演。10年にはスポレートのDue Mondi音楽祭より招待され、ヘンツェ作曲『午後の曳航』の舞台上演世界初演で主役のノボル役を演じ絶賛された。藤原歌劇団では『椿姫』アルフレード、『ラ・ボエーム』ロドルフォ、『ルチア』エドガルド、『仮面舞踏会』リッカルド、『リゴレット』マントヴァ公爵などに出演。新国立劇場では『黒船-夜明け』領事、『修禅寺物語』源左金吾頼家、『ドン・カルロ』レルマ伯爵/王室の布告者、『オテロ』ロデリーゴ、『紫苑物語』藤内、『ジャンニ・スキッキ』リヌッチョ、『トゥーランドット』ポン、『ワルキューレ』ジークムント(第1幕)、『カルメン』ドン・ホセ、高校生のためのオペラ鑑賞教室『蝶々夫人』ピンカートン、同『椿姫』アルフレード、同『愛の妙薬』ネモリーノ、同『トスカ』カヴァラドッシなどに出演している。藤原歌劇団団員。

【巫女】十合翔子

 


【粗筋】
《第1幕》
古代エジプト。エジプト軍の若い将軍ラダメスは、王女アムネリスに仕える奴隷アイーダを敵国エチオピアの王女と知らず、密かに愛し合っている。ラダメスは神託によってエチオピア征伐軍総司令官に任命される。人々は「勝ちて帰れ」と若者を激励するが、アイーダはラダメスへの愛と、祖国エチオピアへの想いの間で苦しむ。 


《第2幕》
ラダメスを愛しているアムネリスはアイーダと彼の関係を疑い、アイーダにラダメスは戦死したと嘘を言う。アイーダの動揺を見て、嫉妬に燃えるアムネリス。エジプト軍の勝利を祝う式典が行われ、群衆がラダメス率いるエジプト軍の凱旋を迎える。戦利品に続く捕虜の中に、アイーダの父であり、エチオピア国王の身分を隠したアモナズロがいる。エジプト王は、戦勝の報奨としてラダメスにアムネリスとの結婚を命じる。


《第3幕》
夜のナイル河畔に、アイーダがラダメスとの密会のためにやってくると、父アモナズロが現れて祖国のためにラダメスから軍事機密を聞き出すよう密命を下す。アイーダに情報を流したラダメスは謀反人として捕らえられ、投獄される。


《第4幕》
アムネリスは自分を愛せば命を救おうとラダメスに迫るが、彼は応じようとせず、やがて裁判で死刑を宣告される。地下牢で独り死を待つラダメスの前に牢に忍びこんでいたアイーダが現われ、二人は永遠の愛を誓いながら死を待つ。地上ではアムネリスが死者の冥福を祈り続ける。

 

 

【上演の模様】

歌の重点箇所を振り返ってみますと、

①第一幕ラダメスのアリア「清きアイーダ」

この歌をロベルト・アロニカは、立ち上がりのせいなのかどうか、それ程伸びのある声ではなかったのですが、アイーダの清純な(先進国エジプトと比べたらエチオピアは田舎の小国)素朴な田舎娘(と言っても、れっきとした王女ですが)を誉めるたたえる恋の歌を❝天使の様な清らかなアイーダ、麗しい姿形よ❞と歌い、先ず先ずの出来だったと思います。

 

②凱旋の場(第二幕第二場)

 この戦争に勝利した凱旋将軍たちの行進の場面はこのオペラのみならず、多くのオペラの中でも群を抜いた古代絵画の勝利の場面を復元したかのような錯覚に陥る豪華で華々しい音楽と合唱の大舞台パノラマと言って良いでしょう。見た目ばかりでなくこれまた超、人口に膾炙した凱旋行進曲の音はオケピットばかりでなく、舞台上のバンダトランペッター五、六人が横に整列し吹き鳴らしてファンファーレを響かせていたし、舞台上には一体何人いるのでしょう?衣装も飾りつけも豪勢な群衆やら神官やら貴族たちあらゆるエジプト人達が戦勝ムードを一杯に盛り上げる大合唱の響きを轟かせていました。これぞゼッフィレッリ藝術の真骨頂です。

のんびりまったり やんごとなき みやびなまいにち-第2幕 第2場

生きた馬まで走らせていた。

のんびりまったり やんごとなき みやびなまいにち-第2幕 第2場

戦勝品の宝を一杯積んだ車や兵士の行進、僧侶の行進が次々と舞台を横切り、エチオピアの人質・奴隷まで引き立てれられて来ます。

この楽章のフィナーレでは、同じ旋律上に自分の立場からそれぞれの想いの歌詞を歌う多重唱で、複雑な心境を歌いこの凱旋、戦勝祝いの場面をさらに盛り上げていました。

 

これ等の光景を見ていたアイーダが第三幕の始めで歌うのです。

③アリア「おお、我が故郷」

もう帰ることはないだろうと。

この幕まで彼方此方でアイーダ役のセレーナ・ファルノッキーアは歌っていましたが、矢張り突き抜けて目立った声質と声量を持つソプラノでは有りませんが、それでも切々とせつない胸の内を歌うアイーダに同情する人は多いと思います。この辺りはアリア終了の後、すぐにオケの音やら声が鳴り出しすので(拍手しようにも)拍手するタイミングが取れませんでした。(アムネリスの時も同様な箇所有り)

この二人のソプラノTwo Topは幕が進むにつれ声も滑らかに喉から迸り始め、いい歌唱をしていて何回かは大きな拍手が上がっていました。

 

④第四幕第一場

アムネリスの説得〜ラダメスの死刑(第四幕第一場)

アイリーン・ロバーツは幕が進むに連れ、歌声も一幕よりは見違える様に耳に響いて聞こえる様になり、以下に自分がラダメスを愛しているか、秘密漏洩の反逆罪を救えるのは自分きりいないと必死に歌い説得するのですが、対する戦勝将軍ラダメスはここでも余り感情は込めずどちらかというと淡々と歌っていた感がします。要するに醒めている。エジプトの全てに嫌気がさしていたのでは?自分が勝利を呼び寄せたのに、女奴隷(アイーダ)一人位褒美として与えて貰いたい、恋を認めてもらいたい、結婚を許して貰いたいという気持ちは強かったでしょう。東洋であれば、正妻の他に側室という制度があったので、うまく収まったかも知れない等と考えながら聴いていました。

⑤アイーダとラダメスの二重唱「さらばこの世よ、涙の谷よ」

これは最後の最後、悲劇で終わる場面の哀悼歌、この世の別れの歌に聞えました。ヴェルディの時代にも喜劇より悲劇の方が受けが良かったのでしょうね。ギリシャ悲劇以来の伝統が受け継がれているのかも知れません。ここは何故かロメオとジュリエットを連想しながら聴いていました。

 尚、日本人歌手は出番がそう多くは無いですが、妻屋さんは相変わらぬ低い声で場面を弾き締めていたし、少し出番が多かった須藤さんはこれまで、『イルトロバトーレ』の(ルーナ伯爵)や『ランメルロールのルチア』の(エンリーコ)役、『トスカ』の(スカルピア)役、『ホフマン物語』の(シュレミール)役等で聴いたことがありますが何れでも、重要な脇役をしっかりとしたバリトンでこれまた場面を光らせていて、今回も捕虜になって来て娘のアイーダと一緒に歌う場面、ラダメスをアイーダと共に説得する場面などでしっかりとした歌唱を披露していました。

 全体的に(歌ばかりでなく総合的に判断すると)今回のアイーダは、この劇場での長年のノウハウの積み重ねが物をいう良い例の一つとして、今後も歌い継がれていくオペラだと思いました。