HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

ジョナサン・ノット東響/最後の第九を聴く(サントリーホール)

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【日時】2025.12.29.(月)14:00〜

【会場】サントリーホール

【管弦楽】東京交響楽団

【指揮】ジョナサン・ノット

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  〈Profile〉

1962年、イングランド中部のウェスト・ミッドランズ州ソリフルの生まれ。当初ケンブリッジ大学で音楽学を専攻したのち、マンチェスター(ロイヤル・ノーザン音楽大学)で声楽とフルートを学ぶ。後に指揮に転向し、ロンドンに学ぶ。フランクフルト歌劇場などでカペルマイスター、2000年から2016年までバンベルク交響楽団の首席指揮者を務める[2] 。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など欧州の主要オーケストラに客演している。幅広いレパートリーを持ち、現代音楽にも強みを発揮する。

バンベルク交響楽団とはたびたび来日しており、2009年にはブラームス・チクルスを展開した。また、NHK交響楽団ともたびたび共演した。

2014年9月、東京交響楽団第3代音楽監督に就任。2017年1月、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督に就任。

日本のオーケストラの関係としては異例の長さといえる12年に及び東京交響楽団(東響)を牽引して来たジョナサン・ノットは、2026年3月の任期満了で退任する。

 

【出演】


ソプラノ:盛田麻央

 


メゾソプラノ:杉山由紀

 


テノール:村上公太

 


バスバリトン:河野鉄平

 

【合唱】東響コーラス

【合唱指揮】三澤洋史

 

 【曲目】
ベートーヴェン『交響曲 第9番 二短調 op.125〈合唱付〉』

 

【演奏の模様】

 今回のノット・東響の演奏会は、大分以前にチケットを買っていたのですが、それが第九の演奏であることも含め、すっかり失念していました。今朝、遅い朝食を食べ始めた時、家の上さんが、壁掛けカレンダーを見ながら「今日、月曜日よね。カレンダーに小さい字で何か書いてない?」とマオスのです。近づいて見てみると、ジョナサン・ノット/サントリーと書いてあるではないですか。コリャいけない!すっかり忘れてしもうた。それにしても、ノットさんの何の演奏だったっけ?急いでチケットファイルを取り出して見てみたら、これまた「第九」でした。第九は、先日のN響と都響でお終まいとの頭でいたので、何でまた第九を買ったんだっかな?思い出せない誰かさんでした。何れにせよサントリーに急ぎ出かけないと、14時開演に間に合わなくなってしまう。休憩無しだから、遅刻したら会場に入れなくなってしまいます。一番速いルートの電車に乗って駆けつけたのでした。

 開演時間10分位前に駆け込んだら、大ホールは、9割方埋まっている様にみえました。今日は、P席にも観客が入っていたので、合唱団とソリストは、ステージ上だなと思って、壇上に置いてある楽器群と椅子を見ると、かなり小編成が予想されました。時間となり合唱団と、楽団員が登場、今日の合唱は、「東響コーラス」、自分としては、ミューザ川崎の会員にはなっていても、「東響」の会員ではないので、この合唱団については、余り良く知らないのですが、新国立劇場合唱団の様なプロ集団ではないものの、東響がオーディションで選んだ歌い手のみから成る東響またすべての公演を暗譜で歌うそうです。

 今回の楽器編成は、二管編成で、弦楽五部がかなり変則的な小〜中編成でした。弦楽五部(7-8-6-6-4)の対向配置で、しかも低音弦のCb.は一番左手(下手)奥、その右隣にVc、その前面に1Vn.指揮台の右手(上手)に2Vn. その奥から中央寄りにVa.の余り見ない配置です。演奏を聴き終わった後で気が付いたのですが、この配置(及び楽器編成)は、ノット監督の考え抜いた配置だったのでしょう。

 ジョナサンノットの指揮は、小編成にもかかわらず、管弦楽の響きのバランスがとても良く保たれていて、この傾向は第1~第4楽章間で変わり有りませんでした。具体的に言いますと、高音弦と低音弦の響きがアンバランス無く融合し、コントラバスは管弦楽の音の低い底辺をしっかり支えていて、また1Vn.アンサンブルは、小人数にしては、他弦に負けてはおらず、丁度いい具合の響きをしていました。

 また木管のFl.、Ob.、Cl.、Fg.は、派手に輝く光は発せず、決して目立った存在の場面は有りませんでしたが、自分の持ち場の活躍すべき処どころでは、地味ながらしっかりとその場を守っていました。

 Timp.は先に鑑賞したN響や都響の第九の時の様な音量に関した満足感がやや足りないことは無く、今回は相当力を入れた強打が多かったにもかかわらず、他の楽器のアンサンブルの強さに対し、叩き過ぎの感じも全く無く、Timp.が管弦楽の進行に活力を加えることに成功していたと思いました。これ等の結果は、これまでの他の第九で感じていたVn.アンサンブルの目立ちすぎや、低音弦の力強さをもっと如実に聴かせるために、楽器配置と規模を考え抜かれた配置に適宣移動させたノット監督の戦術の勝利だと思います。

 器楽小編成であっても、合唱の大音量に互して決して聞き劣り無く、迫力を出すべき場面では、十二分に力強い強奏で相い対していました。

 また合唱の「東響コーラス」はプロではないと書かれてはありましたが、オーディションを通過した声楽家の集団でしょうし、しかも合唱指揮で有名な三澤氏の練習をこなしてきた集団ですから、期待が持てそうです。実際聴いてみると、立ち上がりこそ整合性に今一つの感じを受けたものの、その後に歌われた素晴らしい歌声は、今回の様な構成の管弦楽の調べと、十二分に整合性が取れるもので、感激的なものでした。またソリストの第一声を張り上げたバスバリトンの河野さんは、これまで二期会オペラやNNTTオペラで何回も聴いているので、少し不安定なところも出るかなと危惧していましたが、そんなことは全く無く、堂々としたソロの声を会場一杯に響かせ快調そのものでした。正直これには驚きでした。他のソリスト、盛田さん、村上さん、杉山さんが河野さんも含めた四者揃ったオペラは、これまで一度も聴いたことは有りませんが、各人一人一人がオペラや演奏会やら何らかの歌の場面で歌ったのを聴いたことがある歌手です。それぞれ大きな実力を有した歌手達なので、今回のソロの歌声、重唱の歌声は、前回の都響のソリストに比しても、何の遜色もない立派な出来栄えだったと思いました。

 もうあと何か月かの残り少ない任期のノット氏の指揮・采配振りを見ると、相変わらずリズムに乗った体の動きと、長年に渡って築き上げられた楽団員との信頼関係がひしひしと伝わって来るものがあり、東響は万全の動きで、指揮者の要請に応えているのが見て取れました。

 また今回はノット監督の一連の曲の終わりと、次のパッセッジの初めの間(ま)の取り方が、名人芸と言って良い程絶妙なものを感じました。N響の時の第3楽章の様な間延びした飽きを感じさせることは全く無く、しかも一呼吸置いてタイミング良く次に繋ぐ技は、一人指揮者の技量だけでなく、10数年にも及ぶ指揮者とオーケストラのアウンの一致が有ってこそ可能なのかと感心した次第です。

 当然の如く、演奏が終了すると会場は轟音の如き拍手と歓声にみまわれ、パート毎にその奮闘を讃え、合唱指揮者も壇上に上がり挨拶、何回も退・登を繰返したノット氏には花束贈呈も有りました。そして再び指揮台に登った指揮者はアンコール演奏を始めたのです。その直前に合唱団の一部が舞台を降り、観客席の通路を伝わって中央通路等に十数人が縦列を成し、残りの壇上の合唱員とペンライトを灯しながら一緒にオーケストラに合わせて歌い始めました。

《アンコール曲》

  『蛍の光(AULD LANG SYNE)』

心無しかやや涙ぐむ観客の姿も見られた様な気がしました。

 ジョナサン・ノット氏は12年という長期間、東京交響楽団の指揮監督を立派に勤め、少し振り返えっただけでも、何回もの演奏会形式の素晴らしいオペラ上演に成功し、またフェスタ・サマー・ミューザを毎年毎年成功させて、ミューザ川崎に集参した多くの観客を魅了しました。その他その功績は数え切れないでしょう。今後どうされるかは明らかでないですが、日本のクラシック音楽会に大きな足跡を残し、その発展に多大な寄与をしたことは、日本国のクラシックファン他音楽関係者は、決して忘れることは無いでしょう。

 今後のより一層のご活躍を祈念いたします。

 

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(コンマス、指揮者、合唱指揮者、男声ソリスト

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 (花束贈呈を受ける指揮者)

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声楽ソリスト四者、ノット氏

 

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  (繰り返されたソロカーテンコール)