
【日時】2025年12月27日(土)14:00〜
【会場】サントリーホール
【管弦楽】東京都交響楽団
【指揮】サッシャ・ゲッツェル
〈Profile〉
2022年9月よりフランス国立ロワール管弦楽団の音楽監督、同年夏より、カナダ・ナショナル・ユース・オーケストラ管弦楽団の音楽監督に就任。ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者も務める。2008年より11シーズン首席指揮者兼芸術監督を務めたボルサン・イスタンブール・フィルハーモニー管弦楽団をザルツブルク音楽祭、BBCプロムス、ウィーン楽友協会へと導いた。これまでに、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、ブルターニュ交響楽団首席客演指揮者、クオピオ交響楽団首席指揮者を務めた他、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立管弦楽団、国内ではNHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団などと共演。
2014年には、ウィーン国立歌劇場で《フィガロの結婚》で鮮烈なデビューを飾り、《こうもり》、《魔笛》、《ばらの騎士》などでの再訪に繋がった。
【出演】

・ソプラノ :森谷真理
・ メゾ・ソプラノ :小林由佳
・テノール :チャールズ・キム
・バリトン :加耒 徹
【合唱】新国立劇場合唱団
【合唱指揮】冨平恭平
【曲目】ベートーヴェン/交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱つき」
【演奏の模様】
今日のサントリーホールも先日のNHKホール同様、多くの観客で一杯でした。前日仕事納めで休みに入った人も多かったのでしょう。子供連れ、家族連れも多く見かけました。自分にとっても今年最後の第九になります。
声楽は第4楽章のみ使用される。
ソプラノ独唱、アルト独唱、テノール独唱、バリトン独唱
四部合唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)
◯曲の構成:全四楽章構成
一般的な交響曲の「アレグロソナタ - 緩徐楽章 - 舞曲 - 終楽章」という構成と比べ、第2楽章と第3楽章が入れ替わり、第2楽章に舞曲由来のスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章が来ている。このような楽章順は初期のハイドンなどには見られたが、次第に第2楽章が緩徐楽章、第3楽章がメヌエット(舞曲)という構成が固定化していた。ベートーヴェンによって再び取り上げられた形となり、以後この形式も定着し、後の作曲家はこの形式でも交響曲を作るようになった。
また、第3楽章と第4楽章が共に変奏曲に基づく楽曲であり、交響曲のみならず他のジャンルの絶対音楽を含めても、2つの楽章が続けて変奏曲であることは極めて異例。
・第1楽章 Allegro ma non troppo, un poco maestoso ニ短調 4分の2拍子
・第2楽章 Molto vivace ニ短調 4分の3拍子 - Presto ニ長調 2分の2拍子 - Molto vivace - Presto
・第3楽章 Adagio molto e cantabile 変ロ長調 4分の4拍子 - Andante moderato ニ長調 4分の3拍子 - Tempo I 変ロ長調 4分の4拍子 - Andante moderato ト長調 4分の3拍子 - Tempo I 変ホ長調 4分の4拍子 - Stesso tempo 変ロ長調 8分の12拍子
・第4楽章 Presto / Recitativo ニ短調 4分の3拍子 Allegro ma non troppo ニ短調 4分の2拍子 Vivace ニ短調 4分の3拍子 Adagio cantabile 変ロ長調 4分の4拍子 Allegro assai ニ長調 4分の4拍子
管弦楽が前の3つの楽章を回想するのをレチタティーヴォが否定して、歓喜の歌が提示されついで声楽が導入されて、大合唱に至るという構成。
開演直前に合唱団が登壇、所謂P席に着座しました。女声43人、男声35人 都合78人の陣容です。次いでオケ団員が登場しました。
〇二管編成弦楽五部16型(16-14-12-10-8)
コンマスは山本氏、各パート共新陳代謝が進んでいるのでしょうか?若い顔ぶれが増えた様な気がしました。Ob.首席は記憶にある顔、何とN響の首席の客演でした。
ソリスト四人は3楽章が始まる前に、P席の合唱団の前列に入りました。
第1楽章冒頭、管の音を伴う弦楽アンサンブルのチャラ、チャラ、という微かな息吹きが、かなり大きな呼吸を吐き出すと、ダダーンダダーンとTimp.が打ち鳴らされ、すぐに全楽全奏の強音が鳴らされるのでした。Vn.アンサンブルが張り切っているのが分かります。何回か変奏を交えてテーマが繰り返され、低音弦(Cb. Vc. Va.)とTimp.は、少し抑え気味なのか張り切るVn.アンサンを支える役目に徹している感じ。Ob.ソロもいつもN響で聴く、冴え冴え感が無い明らかに遠慮深い発音でした。続く強奏部分でも出張るらない木管、Timp.の抑制的弱奏がVn.アンサンブルの力強い演奏にバインダーの様に溶け込み、まーいいオケの響きなので、第1楽章のこうした方向性はサッシャ・ゲッツェルが都響を牽引する方針なのかと思っていました。只、低音弦の存在感がいま一つ曖昧模糊である感は否めない様な気がしました。
第2楽章はスケルツォ章、弦楽の短いパッセッジとTimp.が掛け合い、Vn.アンサンの速いキザミ奏が次第にクレッシンドしていき、二回目の繰り返し時にTimp.が二回打ち鳴らされましたが、ここは先ず先ず、しかしその後のTimp.の合いの手は、馬力が出ない車の感が有り、前章の弦楽アンサンとの融和的溶解と言うより、Timp.の脆弱性を見せつけられました。要するに力強い立ち位置では無かったという事です。
第3楽章の緩徐章では、12/20のN響の時の様な間延びした弛緩は無く、ゲッツェルは都響の凛とした佇まいを保ったまま長い楽章の繰り返しを時として、タクトをゆっくりと大回りさせる仕草で指揮・牽引していました。しかしどういう訳か、前楽章でもそう思ったのですが、Vn.アンサンブルの張り切りに対し、低音弦に勢いが感じられず、前楽章でも感じた存在感の薄さ、はっきり申して、Cb.のボンボンという管弦楽をしっかりと下支えする低音の響き、Vc. Va.のVn.に対するアンサンブルの強さのバランスが片肺運転の様。これは自分の席のせいかな?と一瞬疑ったのですが、自席は、一階中央奥ですから、席位置の為、左の高音弦と右の低音弦からの調べの音波に強弱が出ることは決してそれは無いと確信に到達しました。やはり総じて低音弦に元気が無かったと思えてなりません。
その他、この楽章で特筆すべき点は、Cl.の活躍、地味ながら好演したFg.の活躍、それにN響の吉村さんのOb.奏にいつもの冴えが感じられなかった事等でした。
第4楽章に関しては、一言に留めたいと思います。ソリストは健闘するも、先のN響のソリストの歌い振りには及ばず、合唱団はN響の時も今回も「新国立劇場合唱団」と書いて有りましたが、多くの団員を抱えているのでしょうから、前回と今回の合唱構成員が同じ歌手とは思えませんでした。と言いますのも、合唱の迫力はオーケストラの大爆奏にも負けないくらいの迫力はいずれも同様にあったのですが、そのコーラスとしての透明性、融合性、美しさはN響の時の方が、優っていたのです。これはN響の時100名、今回80人台と言う人数の違いでは説明できない要素が何かあったに違いありません。
以上最後少し雑駁な記録になりましたが、今年の第九演奏会は、これで聞き納めと致します。

(演奏を終えてソリスト退場、合唱団を讃える指揮者)

(ソリスト四者)

(挨拶する指揮者)
《追記》
最後に上記した「今年の第九演奏会は、これで聞き納めと致します。」は誤りでした。12/29(月)にジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の第九のチケットがあることを失念していました。当日の午前中まで忘れていて、気が付いて急遽聴きに行きました。その記録は、後日記します。