〇東京都交響楽団第1023回定期演奏会
【日時】2025年7月4日(金) 19:00〜
【会場】サントリーホール大ホール
【管弦楽】東京都交響楽団
【指揮】カリーナ・カネラキス
〈Profile〉
ジュリアード音楽院で出会った両親のもと、ニューヨークで生まれ育った。なお、父のマーティンはニューヨークのクイーンズ・カレッジ・オーケストラル・ソサエティ、クイーンズボロー・オーケストラ、およびウェストチェスター交響楽団の音楽監督を務めた指揮者であり、母のシェリルはピアニストである。
『セサミストリート』におけるイツァーク・パールマンの演奏に惹かれ、3歳からヴァイオリンを始める。指揮者になろうという意志は12歳ごろから抱いており、のちにチェリストとなった弟ニコラス(2017年に、ベートーヴェンの『ピアノとヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲』で指揮者としての姉と初めて共演した)とともに指揮のクラスに出席して、ユース・オーケストラを指揮していたが、ヴァイオリンの練習のために一旦中断した。その後、フィラデルフィアのカーティス音楽院でヴァイオリンをアイダ・カヴァフィアンに師事し、在学中からソロ・室内楽活動を行ない、2004年に卒業した。
2005年から2年間、カラヤン・アカデミーの学生としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でヴァイオリンを演奏したが、カネラキスが第一ヴァイオリン奏者の一人として参加したシェーンベルク作曲『浄夜』の室内楽コンサートを聴いたサイモン・ラトルは、指揮の道に進むようカネラキスに勧めた。その後、ヴァイオリンの演奏を続けながら、ニューヨークのジュリアード音楽院の指揮科に入学し、アラン・ギルバートから「ヴァイオリンを離れる時間を心配することはない」と諭された。なお、ジュリアード音楽院ではファビオ・ルイージにも学んでおり[10]、ルイージがメトロポリタン歌劇場で行なった『ニーベルングの指環』ツィクルスのリハーサルを見学している。また、パシフィック・ミュージック・フェスティバル (PMF) 2012のコンダクティング・アカデミーや、タングルウッド音楽祭に参加した。
2013年にはプロの指揮者として正式にデビューし、同年12月にはヤープ・ヴァン・ズヴェーデンが音楽監督を務めていたダラス交響楽団のアシスタント・コンダクターに就任した。なお、2014年10月には、肩を痛めて急遽降板したズヴェーデンに代わって、リハーサルなしでショスタコーヴィチの交響曲第8番を指揮しており、このコンサートは新聞にて「今年のハイライト」に選ばれた。2015年には、オーストリアのグラーツでニコラウス・アーノンクールの代役としてヨーロッパ室内管弦楽団を指揮してヨーロッパデビューを果たし、2016年にはショルティ財団が主催するサー・ゲオルク・ショルティ・コンダクティング・アワードを受賞した(フランクフルトのショルティ国際指揮者コンクールとは別のアワード)。また、2017年にはイギリスのプロムスに指揮者としてデビューした(ちなみにカネラキスは2008年に、ベルナルト・ハイティンクが指揮するシカゴ交響楽団のヴァイオリン奏者として初めてプロムスに参加しており、マーラーの交響曲第6番を演奏している)。さらに2018年には、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、ウィーン交響楽団にデビューするとともに、ノーベル賞の授賞式にてロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した。2019年には、BBC交響楽団・BBCシンガーズを指揮して、女性指揮者として初めてプロムスのオープニングを飾ったり、批評家たちからザ・イマージング・タレント賞を受賞したりしている。
2019年より、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者と、ベルリン放送交響楽団の首席客演指揮者を務めている。また、2020年2月にはフィラデルフィア管弦楽団にデビューし[28]、同年9月からはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者に就任する。
ヴァイオリニストとしてはシカゴ交響楽団で演奏したり、ベルゲン交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務めたり、オーケストラのソリストとして活動したりしている。ブーレーズ、ラトル、ハイティンクらの指揮のもとで演奏しているほか、ヴァイオリン演奏と指揮を兼ねる「弾き振り」も行っている。なお、使用楽器は、個人パトロンから特別貸与された、1782年のマンテガッツァ製ヴァイオリンである。
【独奏】アリス=紗良・オット(Pf.)
〈Profile〉
ドイツ語圏を中心とする地域でのピアノコンクール優勝経験を持つ。オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム大学でカール=ハインツ・ケマリンクに師事。
父親がドイツ人、母親が日本人。日本語・ドイツ語・英語を流暢に話せる。日本語はミュンヘンの日本人学校で身につけた。
2008年にはドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだ。
2017年5月23日放送の『セブンルール』(関西テレビ)では以下の「ルール」が紹介された。
本番前は指を温めるためにルービックキューブを揃える。
ステージの上では裸足。
家でクラシックは聴かない(番組の取材時には自室でサザンオールスターズを聴いていた)。
買い物はインターネットで。ウイスキーはストレート。待ち時間は極力作らない。練習するより経験する。
2019年2月15日、多発性硬化症と診断されていたことを自身の公式サイトとSNSアカウントで公表した。 2022年現在では、活動を再開させている
【曲目】
①ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
(曲について)
ラヴェルは、1928年に行った自作を指揮してのアメリカ合衆国演奏旅行が大歓迎で迎えられたことから、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジアを回る大規模な2度目の演奏旅行を計画し、これに向けて自身がソリストを務めることを前提としたピアノ協奏曲の作曲にとりかかった。ラヴェルの友人ギュスターヴ・サマズイユによれば、ラヴェルには1906年に着手したものの未完で終わってしまったバスク風のピアノ協奏曲『サスピアク=バット』(“Zazpiak Bat”)があり、この主題の一部がピアノ協奏曲に転用されたとされる。
作曲は1929年に着手されたが、同年冬からは『左手のためのピアノ協奏曲』との同時進行となり、『左手のためのピアノ協奏曲』完成からさらに丸1年を経過した1931年にようやく完成した。
完成当初、ラヴェルは自身のピアノ兼指揮で初演することを望んでいたが、自分の力量を見極めて(体調不良で医者から静養を薦められたこともあった)、信頼するピアニスト、マルグリット・ロンに独奏を任せた。2か月近いリハーサルの末、1932年1月14日、パリのサル・プレイエルにおいて、ロンの独奏とラヴェル自身が指揮するラムルー管弦楽団によって行われた初演は大成功をおさめ、作品は初演ピアニストのロンに献呈された。ただし、初演の時の実際の指揮者は、ペドロ・デ・フレイタス・ブランコであったという説もある。初録音のレコードはフレイタス・ブランコが指揮し、ラヴェルはレコーディング・ディレクター的な立場だったにも拘らず、マーケティング面を考慮してラヴェルが指揮したことにされたという。
当初予定されていた演奏旅行はラヴェルの健康状態の悪化により、ウィーン、プラハ、ロンドン、ワルシャワ、ベルリン、アムステルダムなど、ヨーロッパの20の都市を回るものに縮小されたが、ピアノ協奏曲は各地で好評をもって迎えられ、多くの会場において、鳴り止まぬ拍手に応えて第3楽章がアンコール演奏されたことも。
②マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
(曲について)
グスタフ・マーラーが作曲した最初の交響曲。
マーラーの交響曲のなかでは、演奏時間が比較的短いこと、声楽を伴わないこと、曲想が若々しく親しみやすいことなどから、演奏機会や録音がもっとも多い。
1884年から1888年にかけて作曲され、マーラー自身は当初からその書簡などに記しているように交響曲として構想、作曲していたが、初演時には「交響詩」として発表され、交響曲として演奏されるようになったのは1896年の改訂による。「巨人」という副題が知られるが、これは1893年「交響詩」の上演に際して付けられたものの、後にマーラー自身により削除されている。この標題は、マーラーの愛読書であったジャン・パウルの小説『巨人』(Titan)に由来する。この曲の作曲中に歌曲集『さすらう若者の歌』(1885年完成)が生み出されており、同歌曲集の第2曲と第4曲の旋律が交響曲の主題に直接用いられているなど、両者は精神的にも音楽的にも密接な関係がある。演奏時間約55分、繰り返しを含む)。
【演奏の模様】
①ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
〇楽器編成:独奏ピアノ ピッコロ1 フルート1 オーボエ1 コーラングレ1 E♭クラリネット1 B♭クラリネット(A管持ち替え)1 ファゴット2 ホルン2 トランペット(C管)1、トロンボーン1 ティンパニ2 打楽器2名(大太鼓、小太鼓、シンバル、タムタム、トライアングル、ウッドブロック、鞭)ハープ1 二管編成弦五部10型(10-8-6-6-4)
〇全三楽章構成
典型的な緩ー急ー緩楽章から成る。
第1楽章 Allegramente(明るく楽し気に)2/2拍子ト長調
第2楽章 Adagio assai3/4拍子ホ長調
第3楽章 Presto 2/2 拍子ト長調
〇第1楽章 Allegramente
ソナタ形式。ピシャリという鞭の音でインパクト強く始まり、何回かの上行下降クリッサンドを繰返した。ピアノが奏でる複調のアルペッジョに乗ってピッコロがバスク風の第1主題を奏でる。ややテンポを落とし(Meno vivo)、ピアノがロ短調の第2主題を奏でるが、この主題についてはスペイン風であるとも、ブルース風であるともされている。提示部ではさらに3つの主題が現れ、その後、展開部、再現部と進むが、型通りのソナタ形式ではない。特に再現部末尾において、ピアノのカデンツァに先立ちハープ・木管楽器によるカデンツァが挿入されている点は独創的である。途中で仄かな感傷的部分を挟みながらも、終始リズミカルでユーモラスなイメージが続き、ブルーノートの使用やトロンボーンのグリッサンド、トランペットのフラッタータンギングなどにジャズの影響がうかがえる。最後の旋律など様々な時に良く聴く身近なメロディですね。
この楽章の前半では、大抵のピアニストは、上行、下降するクリッサンドを弾き、かなり目立つのですが、今回の演奏では、そうした演奏は目だつものでは有りませんでした。
〇第2楽章 Adagio assai
叙情的なサラバンド風の楽章。ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』や、サティの『ジムノペディ』に通じる擬古的な美しさをたたえていて、モーツァルトのクラリネット五重奏曲に感化されたとも言われます。冒頭のピアノ独奏は、全108小節の3分の1弱にあたる33小節、時間にして2分以上もあり、ピアノ協奏曲としては異例の長さです。旋律は3/4拍子ですが、楽章の終止まで常に続けられる伴奏は6/8拍子のように書かれており、一種のポリリズムを形成しています。長い独奏による主題提示の後に、弦の繊細な和声にのってフルート、オーボエ、クラリネットが途切れること無く旋律を奏で、ファゴットやホルンも出て来て盛り上がった後、イングリッシュホルンのソロが最初の主題を再現するのでした。ここではピアノがアラベスク風の装飾的な音符によってイングリッシュホルンと対話し、短2度や長7度の不協和音を奏でる弦が音楽を一層感傷的なものにしていました。イングリッシュホルンのソロが終わった後、木管楽器が旋律を受け継ぎ、ピアノのトリルで儚げに終わる。簡かつ精緻な筆致による美しい音色は、ラヴェルの作品の中でも際立っているものでしょう。
〇第3楽章 Presto
ドラムロールに乗ってトランペットを中心とする金管楽器が特徴的なリズムを刻み、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』やサティの『パラード』に通じる、サーカスやパレードのような雰囲気のメロディが開始されます。第2楽章と打って変わった諧謔さと活力にあふれた動的な楽章です。ピアノはトッカータ風で、只の半音階を左右のオクターヴにずらしたりなど、独特の使い方も見せ、冒頭のリズムのほか、甲高い変ホ調クラリネットによる第1の主題、平行和音による第2の主題、6/8拍子の行進曲風の第3の主題が登場し展開されました。変則的なソナタ形式と見なすこともできます。前2つの楽章に比べると短いですが、「管弦楽の魔術師」ラヴェルらしい巧みなオーケストレーションにより各楽器が躍動し、楽章冒頭のリズムによって華やかに曲が締め括られました。
確かに第一楽章の記号表示の通り、全体としても明るくて愉快な曲に思えます。
アリスさんの演奏は、総じてゆっくりとした(時間をかけた)女性的な柔らかな演奏でした。正直言って、第一楽章や第三楽章前半などでは、最近聴いた他の女性ピアニストと比して(勿論曲は違うのですが)少しか弱な感じがしました。もう少し強い打鍵で、大きな音を立てた方が聴き映えするかなと思いました。しかし第三楽章の後半になると、前半の脱兎の如き疾走では、果たしてゴールまで到達出来るかしら?力が残っているのかな?と懸念したのですが、それは全くの杞憂でした。手の平下に指を伸ばし、指を立て気味にして、強く鍵盤を叩くように弾いた結果、繰り出される音は、かなり強く大きくなり、その勢いで一気にゴールを駆け抜けたのでした。弾き終わった最後の打鍵の後、一丁あがりと言わんばかりに右手を鍵盤から大きく上にあげました。この箇所の演奏を聴いて、なるほど、このピアニストは、こうした弾き方も出来る人なんだと分かり、それ以前の物足りなさはかなり解消しました。また彼女の真骨頂を発揮したのは、第二楽章でした。ゆったりとした平常心から繰り出される調べは、聴く者の心にも届くと思われ、殊に、Ob.との掛け合い重奏は、この演奏最大の聴きどころだったと思われ程、秀越なものでした。
何回か入退場を繰り返したピアニストは、会場からの大きな拍手を受けて、良く会場に透る日本語で、「今回の来日では、三回の演奏機会があります。最後にもう一曲弾きます。ライヴ演奏でしか聞くことの出来ない音があって、」と、流暢に語って聴衆を湧かせ、アンコール演奏をしました。「特に、音が消える時や音を出し始めた時の微かな音が良いと思ったので、それに相応しいエストニアの曲を弾きます」と言って、弾き始めました。
《アンコール曲》アルヴォ・ペルト『アリーナのために』
非常に静かでゆっくりした曲で、我々日常せかせかと忙しく生きている者が忘れかけている様なメロディで、ホールに綺麗に響いていました。心が洗われる感じでした。
②マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
〇楽器編成
木管 | 金管 | 打 | 弦 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Fl. | 4 (2、3、4はピッコロ持ち替えあり) | Hr. | 7 | Timp. | 2 | Vn.1 | 1 |
Ob. | 4 (3はイングリッシュホルン持ち替えあり) | Trp. | 4(5は任意 ホルンの補強) | 他 | バスドラム1、シンバル、トライアングル、タムタム1 | Vn.2 | 1 |
Cl. | 4(B♭、A、C管) (3はバスクラリネットと小クラリネット、4は小クラリネット持ち替えあり。) | Trb. | 3(4は任意 ホルンの補強) | Va. | 1 | ||
Fg. | 3 (3はコントラファゴット持ち替えあり) | Tub. | 1(バスチューバ) | Vc. | 1 | ||
他 | 他 | Cb. | 1 | ||||
その他 | ハープ |
四管編成弦楽五部16型
〇全四楽章構成
第1楽章Langsam, Schleppend, wie ein Naturlaut - Im Anfang sehr gemächlich
第2楽章Kräftig bewegt, doch nicht zu schnell
第3楽章Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
第4楽章Stürmisch bewegt
この曲は、先月下旬に、N響の演奏を聴いたばかりです。それ以前にも、機会があるごとに適宣聴いてきました。今回の、カネラキス・都響の演奏は、それらと比しても、また純に聞こえてくる演奏音のみで判断しても、最初の楽章は、緊張感の少ない、少し弛緩し過ぎの感がある演奏でした。
第1楽章冒頭、Vn.アンサンブルの微弱奏の上に、Picc.Fl.Ob.etc.木管が微音を二、三回立て、再度Ob.が微音を繰り返すと、バンダでTrmp.が遠音を鳴らしCl.等は静かにキツツキの鳴き声を模して音を立てました。Hrn.群がゆっくりと静かに斉奏音を立て、バンダでTrmp.が遠音を鳴らすと、オケの音立ても次第に明確になり、テンポも急速化するのですが、今回の指揮によれば、その辺の牽引力、引っ張り具合が少し不足していた様に思えるし、Vc.アンサンブルに入る処も緩んでいたし、オケの盛り上がりの勢いも今一つの感がありました。
バンダの3名のTrmp.奏者は、終盤席にもどりましたが、良くやったと思います。
第1楽章の最後のオケのテーマ奏の盛り上がり、就中、Timp.の強打に呼応して、弦楽奏が、急速化何回かそれを繰り返して、章を締めくくる場面は、迫力も十分、まずまずの出来だったと思いました。
第2楽章からは、指揮者も都響も大分こなれてきた感じで、冒頭、木管とCb.の弓奏に低音弦が掛け合うテーマソングを何回か繰り返すリズミカルなパッセッジでは、Hrn.の合いの手も的確に入り、続くVc.の入りも良かったと思いました。その後の流麗なVn.アンサンブルの流れは、本来の都響Vn.部門の美音を取り戻していたし、最終的なオケ全体の強奏化も、各パートの連携もかなりスムーズに推移、カネラスキと都響の呼吸がピッタリ合って来た様です。
第3楽章、微弱なCb.奏と続くFg.奏に依るテーマの素朴な調べが繰り返され、そこに明確なOb.のリズムを取ったテーマ変奏が入りました。今回の都響のOb.奏者もいい仕事をしていました。(少し後のコンマスのソロも、いい音を立てていました。)同旋律の日本の歌では、キーン・コーン・カーンと鐘の歌詞だったかな?それ似の旋律が流れました。でもマーラーでは、キツツキか何かの鳥の声を模しているのでしょう?終盤同じテーマ奏をCl.で繰り返し、続く木管と金管がジャズ風に囃し立て、最後までOb.は、大活躍でした。
前楽章終了後、一呼吸置いてアタッカー的に入った第4楽章、シンバルが鳴り響き、Timp.が轟き、弦楽の激しいトレモロ奏の大喧騒の渦と化したホールでは、良くなって来たカネラキス・都響の最終楽章の盛り上がりを、ほぼ満員の観客が、尻上がりに固唾を飲んで見(聴き)守っているかの様子に見えたのは、気のせいだったでしょうか?その勢いを保ったまま最後のフィナーレを迎えました。