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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

ピーターライト版バレエ『コッペリア』鑑賞


【主宰団体】スターダンサーズ・バレエ団

《来歴》

    1965年、太刀川瑠璃子により創立。当時のスターダンサーを集めた公演をプロデュースしたことがきっかけで誕生したことから命名された。1981年、指揮者渡邉暁雄を理事長に迎え、日本のバレエ団初の財団化を果たす。アントニー・チューダーやクルト・ヨース振付による日本初演作品を含む意欲的な公演活動に対し、1977年第5回ニムラ舞踊賞、1989年第20回舞踊批評家協会賞、及び1992年第23回舞踊批評家協会賞を受賞。

 サー・ピーター・ライト演出・振付の優れた古典作品、ジョージ・バランシン、ジェローム・ロビンス等の世界的名作や、現代バレエ界の鬼才ウィリアム・フォーサイスの作品を上演するほか、近年は鈴木稔をはじめとする日本人振付家によるオリジナル作品の創造にも力を注いでいる。豊富なレパートリーは150を超え、日本のバレエ界発展の一翼を担っている。

現在、理事長斉藤邦彦、代表・総監督小山久美、以下団員は総勢50名にのぼり、1996年には英国よりサー・ピーター・ライトを芸術顧問に迎えた。また、日本各地の学校を巡回する文化庁委託公演やワークショップのほか、2003年より国連UNHCR協会を通じて難民教育支援のためのチャリティ公演を行うなど、社会活動にも意欲的に取り組んでいる。

 海外公演は、2010年の上海万博招聘ほか数回に及ぶ中国公演のほか、1993年韓国、2002年ドイツ・ハイルブロン市立劇場招聘による全15回公演、また2006年5月にはドイツ連邦文化財団の招聘によりベルリン、ハンブルグほか4都市でドイツ文化センターとの共同作品「tokyo-tools」を上演し、いずれも好評を博している。

2025年9月、創立60周年を迎える。

 

【主催者言】

 謎の少女コッペリアをめぐって繰り広げられる、コミカルな恋の物語。                異国情緒漂う民族舞踊や2幕で主役スワニルダが魅せる踊りの数々、そして盛大なフィナーレまで見どころたっぷりの本作。コミカルでチャーミングな登場人物たちの掛け合いには、誰もがクスッとほほえんでしまいます。ピーター・ライト版ならではの、まるで絵本から飛び出てきたかのような色彩豊かな舞台美術に、ほろっと心温まるラストシーンも見逃せません。楽しくてキュートでちょっと切ない、でも最後には必ず笑顔になれるおとぎ話を、ぜひ劇場でお楽しみください。

 

【日時】2025.5.11.(日)14:00〜

【会場】テアトロ・ジーリオ・ショウワ

【演目】ピーター・ライト版『コッペリア』

                 全三幕

【管弦楽】テアトロ・ジーリオ・ショウワ管弦楽団

【指揮】松本宗利音

【音楽】レオ・ドリーブ

【振付】マリウス・プティパ、エンリコ・チェケッテイ、ピーター・ライト

【演出】ピーター・ライト

【舞台美術・衣装】ピーター・ファーマー

【照明】ジョン・ホール

【振付指導】デニス・ボナー

【舞台監督】森岡肇、伴美代子

【キャスト】

スワニルダ:冨岡玲美(11 日)
フランツ: 池田武志(11 日)
コッペリウス博士 鴻巣明史

 

《第 1 幕》
スワニルダの友人: 秋山和沙 阿部裕恵 石山沙央理 勝木萌香 早乙女愛毬
 馬場彩(11 日) 前田望友紀 山内優奈(11 日)
村長 :福原大介
宿屋の主人: 友杉洋之
コッペリア(人形):塩谷綾菜(11 日)
ジプシー :中川郁
マズルカ/チャルダッシュ :榎本文 角屋みづき 久野直哉 宮司知英
岩崎醇花 岩本悠里 小川紗季 髙橋麗(11 日) 髙橋茉由(11 日)  三澤由華 山相澤仁那 小杉瑠々 愛澤佑樹 石川聖人 石川龍之介  加地暢文
関口智則(11 日) 仲田直樹 西澤優希 渡辺大地
ほか 花売り、 農民

 


《第 2 幕 》
人形 東洋 元吉日菜多
スペイン 渡部もえ
スコットランド 若宮嘉紀
兵士 伊藤璃空 柏葉大歩


《第 3幕 》
領主 大野大輔
領主夫人 天木真那美
護衛兵 愛澤佑樹
村長 福原大介

 

〈鐘の儀式〉
時の父 宮司知英
時の踊り  阿部裕恵(11 日) 石山沙央理(11 日) 岩崎醇花
榎本文 小川紗季 勝木萌香 角屋みづき 髙橋麗 髙橋茉由
馬場彩 前田望友紀 山内優奈  
暁 秋山和沙(11 日)
祈り 中川郁(11 日)
仕事 岩本悠里 鈴木就子 髙橋麗 山内優奈 相澤仁那 小杉瑠々 元吉日菜多
婚約 三澤由華(11 日)
 加地暢文(11 日)
戦い 飛永嘉尉(11 日)
石川聖人 石川龍之介 井上興紀(11 日) 小澤倖造(11 日) 柏葉大歩
関口智則 仲田直樹 西澤優希
平和 スワニルダ/フランツ
ほか 貴族 農民

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【スタッフ】
音楽:レオ・ドリーブ
振付:マリウス・プティパ、エンリコ・チェケッティ、ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
舞台美術・衣裳:ピーター・ファーマー
照明:ジョン・ホール
振付指導:デニス・ボナー
指揮:松本 宗利音
管弦楽:テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ
舞台監督:森岡 肇、伴 美代子

 

 

【粗筋】

《第1幕》
場所はポーランドの農村。

人形作り職人のコッペリウスは陰気で気難しく、村人から変人扱いされていた。彼の家の二階のベランダでは、コッペリウスが作ったからくり人形の少女、コッペリアが座って本を読んでいる。しかし、村人はコッペリアが人形であることを知らない。

コッペリウスの向かいに住むスワニルダは明るく無邪気な人気者の少女。村の青年フランツとは恋人同士である。しかし最近フランツは、かわいらしいコッペリアが気になる様子。それに気づいたスワニルダはやきもちを焼き、これがきっかけで二人は喧嘩してしまう。ある時コッペリウスは町に出かけようとするが、家の前に鍵を落としていく。それに気づいたスワニルダと友人たちは、好奇心からコッペリウスの家に侵入する。

 

《第2幕》
コッペリウスの家。

薄暗い室内にはさまざまな人形たちが所狭しと並べられている。スワニルダと友人たちは室内を探索し、コッペリアもまた人形だったと気づく。折悪しく戻ってきたコッペリウスに怒鳴られて友人たちは逃げ去ってゆくが、スワニルダのみコッペリウスに気がつかれることなく室内に身を隠す。そこへ知らずにフランツも、コッペリア会いたさのために梯子伝いに窓から忍び込んできて、フランツもコッペリウスに見つかる。

コッペリウスは当然怒るが、一計を案じてフランツに眠り薬を混ぜたワインを飲ませ、酔っ払った彼から命を抜いて自信作の人形、コッペリアに吹き込もうとする。その一部始終を見ていたスワニルダは、コッペリアになりすまして、コッペリウスを散々からかい悪戯の限りをつくす。この大騒ぎにフランツも目を覚まし、コッペリアの正体を悟ってスワニルダと仲直りする。

 

《第3幕》
村の祭りの日。

仲直りしたフランツとスワニルダは、めでたく結婚の日を迎え、賑やかな祝宴が始まる。そこへ人形を壊されてカンカンに怒ったコッペリウスが怒鳴り込んでくるが、二人の謝罪と村長のとりなしによって彼も機嫌を直して、二人を祝福する。

祝宴も本番となり「時」「曙」「祈り」「仕事」「結婚」「戦い」「平和」と踊りが続き、最後は登場人物全員によるギャロップによるフィナーレを迎える。

 バーミンガム・ロイヤル・バレエ団が上演したピーター・ライト版に基づく今回の上演では、最後にコッペリアが本当に人間になり、踊るのでした。

一方、ローラン・プティ演出版のように、最後祝宴の賑わいをよそに一人呆然と立ちつくすコッペリウスの足許に、ばらばらに壊れたコッペリアだけが残されて、そのまま幕が下りる演出もある。

 

【上演の模様】

 上演開始前に主催者からのプレトークが有り、「コッペリア」はチャイコフスキーの白鳥の湖の少し前、フランスのネオ・ドリーブによって作曲されバレエが出ことこと。これを初演したバレエ団は英国「バーミンガムロイヤルバレエ団」で、「バーミンガムロイヤルバレエ団から衣装や装置などの荷物が船便で、送られて来たこと。コロナの時は途中まで来て結局来日出来ず戻った事、2021年のスエズ動乱の時は運河が通れず、遠回りした事、振り付けだけではなく装置、小道具、衣装など全てイギリスで使用されているそのままの『Coppelia』をお借りしていること等が説明されました。

   バレエといえば、『白鳥の湖』他のチャイコフスキー物が一番、と言っても過言ではありません。その物語(台本ストーリー)が、魅力的であることは勿論のこと、そこで使われるチャイコフスキー作曲の音楽の素晴らしさが光り輝いています。その後様々な分野で飛びっきり優れた作品を多く生み出したチャイコフスキーの先駆けとなったのが、バレエ音楽であり、それらが生み出されたのは、ひとえに、彼独自の天才性による発明だと思って来ました。処が、バレエの歴史の詳細を知るに連れて、もとを質せば、イタリアで王侯貴族の宮廷舞踊としてルネサンス期に始まり、フランスで発展し、ロシアで成熟したという事と、チャイコフスキーは、フランス人マリウス・プティパ(仏: Marius Petipa、1818年3月11日 - 1910年7月14日、バレエダンサー・振付家。1847年にロシアに渡り、1869年から1903年にかけて帝室劇場(現在のマリインスキー・バレエ)の首席バレエマスター(振付指導兼責任者)を務めた。)による影響を大きく受けたと言うより、フランスバレエのエッセンスを腹一杯吸い込み、新たにロシア化したバレエ音楽を創り出したのです。しかもそのフランスバレエの音楽作りの第一線で活躍していたのが、今回の『コッペリア』のレオ・ドリーブ(1836〜1891)なのです。こうしたドリーブ↔プティパ↔チャイコフスキーの関連性から、チャイコのバレエ音楽は、ドリーブの音楽の影響を受けたという間接的なもの以上のものがあったと言わざるを得ません(注1.)。これは、あの大天才モーツァルトでさえ、イタリア音楽やバッハの音楽を積極的に学んで吸収し、その天分に磨きをかけたのに少し似ています。

(注1.)AIの回答では、" ドリーブとチャイコフスキーは、いずれもバレエ音楽の巨匠であり、その音楽はバレエ界に大きな影響を与えました。しかし、両者の接点は、音楽的なスタイルや作曲手法の違いから、あまり直接的なものではありません。チャイコフスキーは、ドリーブのバレエ「シルヴィア」に強い影響を受けたと述べており、もし「シルヴィア」の音楽を知っていれば「白鳥の湖」を書かなかったかもしれないと語っています。つまり、チャイコフスキーがドリーブの作品を高く評価し、その影響を意識していたことは事実ですが、両者の音楽が直接的に接点を持つわけではありません。   "

と出ました。

    今回の上演のピットには、『テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ』。こちらは、音大生から成るアマチュアオケではなく、卒業生からなる本格オケとのこと。確かにその腕前は、各パートとも、ミスは殆どなく、指揮者(松本宗利音)の指揮・牽引に良く応えて、いい演奏をしていたと思います。第一幕からドリーブのいつか何処かで聞いたことのあるメロディが流れ、初心者でも、あーあ、このバレエのこの場面の旋律だったのか!と得心がいくでしょう。こうした聞き慣れた曲が彼方此方で聞かれるばかりでなく、その他の場面でも、軽快な舞曲や民族調の調べなど、耳あたりの良いものが、スムーズに流れ出るので、音楽を聴くだけでも楽しめるバレエです。勿論その一番の見せ所は、ソロ、パ・ド・ドゥ、群舞などのダンスなのですが、それに関してもかなりのハイ・レベルの演技で、美しい場面も多々あり、子供連れの観客も多く、家族で十分満足出来ている様子が窺えました。

 自分の感想としても概ね満足のいくものでした。ソロやパ・ド・ドゥもいいけれども、コールドバレエもいいですね。演じたダンサーの動きにもう少しきびきびしたものと、踊る手足の型に大きな振りが有れば、さらに良かった気もしましたが。

 

【フォトギャラリー(配布資料より)】

                     以 上。