~海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて世界とつなぐ~
【主催者言】
輝く世界の星たちがひとつにつながる―バレエ・アステラスへようこそ。
世界のバレエ団で活躍する注目の日本人ダンサーを迎えてお贈りするガラ公演「バレエ・アステラス」は、彼らを母国日本とつなぐプラットフォームとして2009年より開催、さらに今後は海外バレエ団やバレエ学校との交流も時々にまじえ「バレエ往来の交差点=クロスロード」の役割を担う魅力ある公演をめざします。
人気の古典作品から日本初演の現代作品まで、多彩なプログラムをお楽しみに!
*「アステラス」とはラテン語とギリシャ語の造語で「星たち」の意。今、世界の星たちが一つにつながる公演として輝きを増しています。
【公演期間】
2023年8月5日(土)~8月6日(日)
【上演時間】
両日約2時間45分(休憩1回を含む)
【鑑賞日時】2023.8.5.(土)14:00~
【会場】NNTTオペラパレス
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】デヴィッド・ガルフォース
【照明プラン】喜多村 貴(劇光社)
【バレエ・アステラス委員 (五十音順)】
安達悦子(東京シティ・バレエ団理事長/芸術監督)
岡本佳津子(井上バレエ団代表理事)
小倉佐知子(新国立劇場バレエ研修所長)
小山久美(スターダンサーズ・バレエ団代表/総監督)
小林紀子(小林紀子バレエ・シアター芸術監督)
法村牧緒(法村友井バレエ団団長)
堀内 充(大阪芸術大学教授)
三谷恭三(牧阿佐美バレヱ団総監督)
◆ゲスト出演
〇ジェシカ・シュアン ※ (オランダ国立バレエ プリンシパル)
〇吉山シャール ルイ (チューリヒ・バレエ プリンシパル)
※出演を予定しておりました石原古都(カナダ国立バレエ)は体調不良のため降板いたしました。『眠れる森の美女』第3幕よりパ・ド・ドゥは、石原古都に代わってジェシカ・シュアン(オランダ国立バレエ)が出演いたします。
【演目】
〈前半〉
①『シンフォニエッタ』
振付:牧 阿佐美
音楽:シャルル・グノー
出演:新国立バレエ研修所第19期・20期生、予科生
作品ゲスト
京當侑一籠(牧阿佐美バレヱ団)
②『サタネレラ』よりパ・ド・ドゥ
出演:後藤絢美(2023.07.04・バレエ・シアター・スタジオカンパニー)
三宅琢美(2023.07.04・バレエ・シアター・スタジオカンパニー)
③『Love Fear Loss』よりLossのパ・ド・ドゥ 【日本初演】
振付:リカルド・アマランテ
音楽:エディット・ピアフ
ピアノ演奏:中野翔太
出演:五十嵐愛梨(アトランタ・バレエ)
セルジオ・マセロ( 々 )
④『ドン・キホーテ』第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:カルロス・アコスタ
音楽:レオン・ミンクス
出演:栗原ゆう(英国バーミンガム・ロイヤルバレエ)
マイルス・ギリバー( 々 )
⑤『コッペリア』よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオ・ドリーブ
出演:ジェシカ・シュアン ※(オランダ国立バレエ プリンシパル)
山田 翔 (オランダ国立バレエ ソリスト)
※当初予定の石原古都(カナダ国立バレエ)は体調不良で降板。
⑥※『アルルの女』よりラストソロ(ファランドール)
振付:ロラン・プティ
音楽:ジョルジュ・ビゼー
出演:吉山シャール ルイ(カナダ国立バレエ プリンシパル)
※当初『In Our Wishes』を上演だったものが、石原古都(カナダ国立バレエ)の不調により、上演不可となったため、男性ダンサー、吉山シャール ルイ単独で踊れる演目に変更。
≪20分の休憩≫
〈後半〉
⑦『Largo』より(日本初演)
振付:マッテオ・レヴァッジ
音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
チェロ演奏:上村文乃
出演:ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー
⑧『La fille mal gardée』よりパ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・オリヴィエリ
音楽:ルートヴィヒ・ヘルテル
出演:ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー
⑨『SOON』(日本初演)
振付:メディ・ワレルスキー
音楽:ベンジャミン・クレメンタイン
出演:刈谷円香(ネザーランド・ダンス・シアター1)
パクストン・リケッツ( 同上 )
⑩『シンデレラ』よりパ・ド・ドゥ
振付:メディ・ワレルスキー
音楽:ベンジャミン・クレメンタイン
出演:水谷美喜(英国バーミンガム・ロイヤルバレエ)
ロックラン・モナハン( 同上 )
⑪『眠れる森の美女』第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:ジェシカ・シュアン(オランダ国立バレエ プリンシパル)
吉山シャール ルイ(チュリヒバレエ プリンシパル)
⑫『No Man's Land』よりファイナル・パ・ド・ドゥ
振付:リアム・スカーレット
音楽:フランツ・リスト
ピアノ演奏:中野翔太
出演:吉田合々香(クイーンズランド・バレエ)
ジョール・ウォールナー( 同上 )
⑬『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラリ / ジュール・ペロー/マリウス・プティパ
音楽:アドルフ・アダン
出演:木村優里(新国立バレエ団 プリンシパル)
中家正博( 同上 ファーストソリスト )
<フィナーレ>
『エフゲニ・オネーギン』よりポロネーズ
振付・台本:ジョン・クランコ
音楽:チャイコフスキー(クルト=ハインツ・シュトルツェ編曲)
出演:出演者全員
【感想】そもそもこのバレエ上演会は毎年行われていることは知っていましたが、初心者のものかと誤解していて一度も見たことが有りませんでした。それがNNTTのオペラを観に行った時配布される音楽会チラシの中に今年のこのバレエの上演を予定するチラシが混じっていて、見ると新国立劇場バレエ団からの参加者は「木村優里&中家正博」と 書いてあったのです。「木村優里」さんの名前は、昨年でしたか?バレエ『コッペリア』を観に行こうと思っていたら、木村さんが急遽降板になってしまったのです。
『コッペリア』のチラシをみて、いかにも「機械人形」的雰囲気を漂わせているバレリーナだと思っていたので残念でした。その時は代役の人が無事に演じたので何も問題なかったのですが、降板の理由が確か「怪我」か何か身体的都合だったと思うので可哀そうだなと思ったものでした。その後数か月が経ってどうしたかな?と思っていた矢先、さきのチラシを目にしたのでした。そこで「アステラス」の踊りを一度見てもいいかなと考えたのです。結果的には木村さん達は、トリを演じ、『ジゼル』の寂しさ、悲しさ、王子に再開出来たうれしさ等の複雑な心境をうまく中村さんとのパ・ド・ドゥで表現で来ていたし、コッペリアのチラシを見た時とは全く異なる表情といで立ち、所作をしていたことには少し驚きました。気品まで感じられる「ジゼル姫」の舞いでした。今度NNTTで若し「ジゼル」を上演するとしたら見に行くことにします。
木村さんと中家さん
それから今回は世界のバレエ団で活躍中の人達の踊りですから、どれ一つとっても型が出来ていて見ごたえのあるダンサーの踊りのセットばかりでしたが、少し考えさせられたのは、通常高くジャンプし大きな跳躍で速く舞台を回るマネージュや何回転ものフェッティを見ると聴衆は大きな拍手をします。それを見て感動するからでしょう。しかし今回の色々な演目のパ・ド・ドゥを見て思ったことは、(その演目の特性も関係しますが)男女ダンサーが、ゆったりと遅い動作で優雅に舞いを演じるのもバレエの別な側面で味わい深いものだなということです。音楽で言えば、超絶技巧を使った猛烈な演奏の魅力に対し、少しも難しいテクニックはないけれど、味わい深い音楽性に溢れた表現の魅力、それと同じ様なことが踊りにもあるのではなかろうか?という事です。こうした世界で活躍する日本人ダンサーが故国に一堂に会してその演技を見せ合うことは非常に有意義なことだと思います。音楽演奏でも世界の楽団の一員となって活躍している演奏者は多くいると思うのですが、(ソロ演奏で相当名が知れたり、首席奏者を何年も務めたりした演奏家の来日公演は有りますが)、今回のバレエ「アステラス」の様な、故国日本に一堂に会して演奏するコンサートは、これまで行われたことが果たしてあるのでしょうか?寡聞にして知りません。海外有名楽団の来日公演は勿論有意義なことですが、今回のバレエの「アステラス」的存在の海外音楽演奏者達のコンサートが、若し開かれれば、是非聴きに行ってみようと思います。
カーテンコールの演技者達