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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

バレエ『スーパースター・ガラ2022』(続き)AプロⅡ部

 

【日時】2022.11.26.(土)13:30~

【会場】東京文化会館大ホール

【出演】

 

【演目】スーパースター・ガラ 2022

《A プログラムⅡ部(後半)》

⑨「シェヘラザード」
振付:ミハイル・フォーキン 音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ダリア・パブレンコ、ダニーラ・コルスンツェフ

 

⑩「Limbaé」
振付:エレナ・マルティン 音楽:アラ・マルキアン
エレナ・マルティン

 

⑪「病める薔薇」
振付:ローラン・プティ 音楽:グスタフ・マーラー
エレオノラ・アバニャート、マチュー・ガニオ

 

⑫「Ambar」<日本初演>
振付:ウェイン・マクレガー 音楽:ニルス・フラーム
ナタリア・オシポワ、エドワード・ワトソン

 

⑬「Digital Love」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
スヴェトラーナ・ザハロワ、パトリック・ド・バナ

 

⑭「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

 

⑮「The Picture of…」 <新バージョン>
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ヘンリー・パーセル
マニュエル・ ルグリ

【上演時間】 2時間40分

第1部(前半)  65 分
休憩        20 分
第2部(後半)  75分

※当初予定しておりました『ウルフ・ワークス』は、出演者の希望により『Ambar』に変更させていただきます。 皆様のご理解を賜りますようお願い申し上げます

 

【上演の模様】

後半最初の演技は

⑨リムスキーコルサコフ『シェヘラザード』です。オケ演奏で聴き慣れたメロディーが流れる中、舞台はアラビアンナイト伝説の王のハーレム、愛妾ソベイーダと金の奴隷の禁断の愛の踊りです。ソベイーダをダリア・パヴレンコ、奴隷をダニーラ・コルスンツェフが踊りました。前者は水色の緩いパンツで後者は光加減によっては金色に見える黒いパンツをはき、如何にもアラビアン風の飾り立てで登場。二人はパ・ド・ドゥを踊るのでした。

続いて次の演目は

⑩「Limbaé」

エレナ・マルティンのソロダンスでした。この演目は彼女の自作自演とのこと。ダークブルーの絹衣を纏い、大きい肩掛けを広げたり振り回したりして、如何にもスペイン出身らしい身のこなしで(フラメンコの基礎もあるらしい)、ギーターとヴァイオリンの調べに情熱を秘めた踊りを披露しました。

⑪『病める薔薇』は、エレオノーラ・アバニャートとマチュー・ガニオが、マーラーのアダージェントのメロディに乗って踊りました。プログラムノートによれば、❝死ぬほどの恋心を薔薇によせる青年はその情熱が故に薔薇を枯らしてしまう❞という恋心を如何に表現するかが、この演目を初めて踊るガニオに注目が集まります。 

ものすごい跳躍力ですね。オリンピックの幅跳び選手か?高跳び選手か?

床に伏せ縮じ込まるのはアダージェントの少年か?薔薇は何の象徴だったっけ?アダージェントの調べに乗って美少年に好意を抱く作曲家は確か、ビスコンティの映画「ヴェニスに死す」で描かれ、最後は(疫病で?)死んでしまうのでしたね。中々意味深長な演目。英国のブレイクの詩を仏訳した仏詩人、アラゴンが振付師ローラン・プティに振付を推奨して出来た踊りと謂われます。参考まで原詩を引用しておきます。

The Sick Rose
O Rose thou art sick.
The invisible worm.
That flies in the night
In the howling storm:

Has found out thy bed
Of crimson joy:
And his dark secret love
Does thy life destroy.

by William Blake in "Songs of Innocence and of Experience"

 

 

⑫『Ambar』を踊るのは、ナタリア・オシボアとエドワード・ワトソンの組です。当初の予定では、『ウルフ・ワークス』だったのですが、本人たちの希望により変更になったものです。Amberとはバレエ用語で、❝「下に」という意味。両手を下げて肘を軽く曲げ、だ円形にする。指先は腿の前に置いたポジション。❞の意味です。

 舞台のライトが付くと、黒っぽい古式の水着様の衣装を身に付けた男女が、抱き合っています。ポスト・クラシック音楽の鬼才と謂われるニルス・フラームのピアノ曲に乗って踊る二人、オシボアが跳躍してふわっと柔らかに降りるのをワトソンがソフトとに受け止めます。どこにでもありそうな恋人同士の風景ですがエネルギーが籠っていました。


⑬『Digital Love』

演技の前の冒頭に、低音の轟音が響き、又何の音でしょう?奇妙な音が立てられました。

続いてヘンデルのオペラ『Rinaldo』第二幕4場から<Lascia ch'io pianga>の調べが流れる中、ベージュの薄白衣を纏ったザハロワが、パトリック・ド・バナの支えで、比較的ゆっくりの動きですが変化は速い踊りを披露、体をくねらせたり湾曲させたり、かなり色っぽい美しさが漂うパ・ド・ドゥでした。

 

⑭ミンクス『ドン・キホーテ』

これも古典的な名作のバレエです。見ていて面白い、楽しい、美しい。今回のガラ上演は割りとモダン・ダンスが多かったのですが、古典の代表的な演目を演じて観客から一番の喝采を受けていたのは、英国ロイヤルバレエのマリアネラ・ヌニエェスとワデ・ムンタギロフのパ・ド・ドゥでした。多くの観客にとってこれまで見たことのあるなじみ深い演目であることも大きかったと思います。海賊のアリと娘メドゥーラのグラン・パ・ド・ドゥした。二人とも完璧な見事な踊りでした。

 

⑮『The Picture of ・・・』

Last but not least, This is played by Manuel Legris famous choreographer.

これを演じたルグリはミラノ・スカラ座バレエ団の芸術監督です。自らも多くの演目を踊って来た世界的ダンサーで、数々の名ダンサーの演目に振付もして来た実績は揺るぎのない一大記念碑的存在です。上記⑬『Degital love 』もザハロワに振付し、本演目はもともと、バナに振付したものでした。今回出場の多くのダンサーたちに振り付けて来たと言えるでしょう。謂わばスーパースター達の先生的存在です。今回の「ガラ芸術監督」役のバナの招へいに応じて出場した模様。

これですべての演目が終了しました。ほぼ満員の会場からは割れんばかりの大拍手、バレエ人気の凄さを実感しました。

 

 自分としてはバレエを観るようになってから日は浅いのですが、当初はバレエで演じられるクラシック音楽と踊りの場面の関係を中心に見て来ました。でも見れば見る程、一人一人の踊りと群舞に魅了されるようになって来て、最近ではその物語の無言劇としての面白さに惹かれる様にもなっています。どちらかというとモダンダンスより古典的物語性のあるバレエが分かりやすい点もあり、そちらを中心に見ていくつもりです。