第四幕まで終わりました。アイーダ役シーリは目立った瑕疵もなく、前半の好調さを後半でも維持し、安定したソプラノの魅力を遺憾なく発揮して幕となりました。さすが、スカラ座で好評を博したアイーダを、その後多くの歌劇場で磨きをかけた歌声で、今日の公演を歌い通したシーリの底力・実力には、感激したの言葉しかありません。この東洋の島国で、彼女を含め第一日目から、好調を維持した他の歌手の素晴らしいアイーダを、大指揮者ムーティのもとで聴けたことは、大ラッキーと言って良いでしょう。ムーティの動きは、若い時の様な颯爽としたものはないかも知れませんが、その円熟した手腕で、言葉は悪いですが、俄か仕立てのオーケストラをこれだけ纏めて、多くの結果を引き出した手腕は、賞賛に値します。全演奏が終って、楽団員が舞台から去った後も、多くの観客が残って舞台下に集まり、スタンディングオーベーションと歓声・拍手が、鳴り止まず、いつまでもムーティ・カーテンコールが続いた様子は、第一日目より観客が如何に熱狂していたかの証しでした。音楽家も一つの人気稼業、観客人気が、音楽家の意識・実力を高め、更なる高みに到達していい演奏をみせ、互いに良い共生関係を築くことは、将に大事なことだと痛感しました。