
【日程】
2024年10月4日(金)19:00~
2024年10月5日(土)13:00~
2024年10月5日(土)18:00~
2024年10月6日(日)15:00~
【会場】東京文化会館大ホール
【鑑賞日】2024.10.6.(日)15:00~
【管弦楽】パシフィックフィルハーモニア東京
【指揮】渡邊一正
【出演】
⚪スヴェトラーナ・ザハロワ

〈Profile〉
ソビエト連邦のウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現ウクライナ)ルーツクに生まれる。キエフのキエフ国立バレエ学校(ウクライナ語版)で学んだのち、サンクトペテルブルクのワガノワ・バレエ・アカデミーの卒業クラス(8年生クラス)に異例の飛び級で編入。1996年にマリインスキー・バレエ入団。2003年にボリショイ・バレエ団に移籍し、2022年3月同団のプリンシパルになる。
プリマバレリーナとして舞台に立つ傍ら後進の育成にも取り組み、2015年からは自らの名を冠した子供たちのための舞踊祭「スヴェトラーナ」をモスクワで始めている。
⚪ドロテ・ジルベール

〈Profile〉
名実ともにパリ・オペラ座に君臨する美しき女王。フランス・トゥールーズ出身のバレエダンサー。2007年以来、パリ・オペラ座のエトワールをつとめた。7歳でバレエを始める。地元のコンセルヴァトワールで学んだ後、1995年にオペラ座付属バレエ学校に入学。当時縫製業を営んでいた両親は、娘を寄宿舎に入れることを嫌い、工場を畳んで一家を挙げてパリに移住することに躊躇しなかった。ジルベールは後年、バレエ学校での授業は難しかったと述懐しているが、入学2年目には発表会で重要な役を踊るようになり、翌年の発表会では『火の鳥』のタイトルロールを担った。
⚪ミリアム・ウルド=ブラム

〈Profile〉
パリ・オペラ座バレエ団のダンサーとして活躍
パリ・オペラ座のダンサーが引退するときに上演する「アデュー公演」に出演
アデュー公演では、本人が希望するキャリアの集大成と言える演目が数日に渡って上演される
アデュー公演の最終日は、紙吹雪と「ブラボー」の嵐で何度もカーテンコールが行われる
引退後もゲストとして、オペラ座に戻ってきて踊るダンサーは多い
⚪オクサーナ・スコーリク

〈Profile〉
ウクライナのハリコフ出身のプロのバレエダンサーであり、マリインスキー・バレエ団のプリンシパルダンサーである。彼女はロシアのペルミ舞踊学校を卒業後、2007年にマリインスキー・バレエ団に入団した。彼女はデビッド・キンセラのドキュメンタリー『A Beautiful Tragedy』の主題となり、 RTドキュメンタリーの 『Ballet, Sweat and Tears 』で紹介された。
⚪上野水香

〈Profile〉
12月23日鎌倉生まれ。
5歳よりバレエを始め、1993年、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞した後、モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに留学首席で卒業。
1995年牧阿佐美バレエ団入団。
1997年『くるみ割り人形』の金平糖の役で主役デビューを果たす。
以後、『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』などの古典作品のほか、ローラン・プティの作品を数多く踊った。
2004年からは東京バレエ団。
⚪リース・クラーク

〈Profile〉
スコットランド出身のバレエダンサー。ロイヤル・バレエ・スクールを経て2013年にロイヤル・バレエに入団し、2022年、プリンシパルに昇格した。ノーブルな役柄からドラマティックな役どころまで幅広く活躍。
⚪ウラジーミル・シクリャローフ

〈Profile〉
ロシアのバレエダンサーである。2003年にワガノワ・バレエ学校を卒業後、マリインスキー・バレエに入団した。入団後昇進を重ね、2008年にファースト・ソリスト、2011年にプリンシパルに昇進した。ダンスール・ノーブルにふさわしい容姿と優れた舞踊技巧、そして幅広い芸域を兼ね備えたダンサーで、マリインスキー・バレエのみならず世界各地で活躍している。妻は同じくマリインスキー・バレエに所属するバレエダンサーのマリア・シリンキナ。
⚪アレハンドロ・ヴィレルス

〈Profile〉
類まれな才能と演技で魅了する、情熱的なダンサー
名門キューバ国立バレエ学校でバレエを習得、2002年、ハバナで開催された国際バレエコンクールで金賞と特別賞を受賞。2004年にはヴァルナ国際コンクールで銀メダル、ハバナ・バレエ学校国際コンクールでも金メダルに輝く。
2009年までキューバ国立バレエ団のプリンシパル・ダンサーとして舞台に立つ。
2009年から2014年まで、バルセロナ・バレエ団とボストン・バレエ団のメンバーとして観客を魅了した。
2014年、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団にプリンシパル・ダンサーとして入団。2017年、バイエルン国立バレエ団のプリンシパル・ダンサーとして移籍。
2018年にはベルリン国立バレエ団のプリンシパル・ダンサーとしてキャリアをさらに充実させた。
⚪バクティヤール・アダムザン

〈Profile〉
バクティヤール・アダムザンは(アスタナ国立オペラ・バレエ劇場 プリンシパル)
ニジンスキーの再来! 満を持しての日本初登場!
高いジャンプ、目の醒めるような回転などで呼び声高い注目株
アルマトイ地方サリョゼケ市生まれ。アルマトイ振付学校卒業後、2011~13年、アスタナ・オペラ・バレエ劇場のソリスト。13年国立アカデミック・オペラ・バレエ劇場のソリスト。15年よりアスタナ歌劇場のプリンシパル・ダンサーに昇格。
世界三大コンクールのひとつ、モスクワ国際バレエコンクールで17年に金賞に輝いたほか、アスタナ、ニューヨーク、イスタンブールの国際バレエ・コンテストでグランプリを受賞。
世界各国のバレエ団にゲスト出演するほか、ロベルト・ボッレのガラ公演で絶賛されるなど、欧米では大成功を収めている。
⚪パトリック・ド・バナ

〈Profile〉
パトリック・ド・バナ(フリーランス・ダンサー 振付家 本公演芸術監督)は、
巨匠たちの薫陶を受け、独自の世界を生み出す唯一無二の存在。ハンブルク生まれ。ハンブルク・バレエ学校に学び、1987年、ベジャール・バレエ・ローザンヌ入団。『ニーベルングの指環』ヴォータン役などを初演。92年、ナチョ・ドゥアト率いるスペイン国立ダンス・カンパニーに移籍し、プリンシパル・ダンサーとしてドゥアト、キリアン、ナハリン、フォーサイスなどの作品を踊る。2003年自身のカンパニー、ナファス・ダンス・カンパニー結成。ダンサー、振付家として数々の作品を発表。作品としては、ザハロワに振り付けた『Digital Love』、ルグリに振り付けた『The Picture of…』など多数。今回のガラの芸術監督を務める。
【上演時間】第1部:45分 休憩:20分第2部:55分 合計2時間(予定)
【上演演目】(当初発表=販売冊子)
①『瀕死の白鳥』 (振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス)
スヴェトラーナ・ザハロワ
②『Rain before it Falls』 (振付:パトリック・ド・バナ 音楽:レスピーギ)
スヴェトラーナ・ザハロワ&パトリック・ド・バナ
③『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ)
オクサーナ・スコーリク&ウラジーミル・シクリャローフ
④『ロミオとジュリエット 』第1幕より バルコニーのパ・ド・ドゥ (振付:レオニード・ラヴロフスキー 音楽:プロコフィエフ)
オクサーナ・スコーリク&ウラジーミル・シクリャローフ
⑤『眠りの森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ 音楽:チャイコフスキー)
ドロテ・ジルベール&リース・クラーク
⑥『海賊』 よりアダージョ(振付:マニュエル・ルグリ マリウス・プティパに基づく ⾳楽:レオ・ドリーブ)
ドロテ・ジルベール&リース・クラーク
⑦『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ (振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー 音楽:アドルフ・アダン)
ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザン
⑧『薔薇の精』(振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カール・マリア・フオン・ウエーバー)
ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザン
⑨『サイレント・クライ』(振付:パトリック・ド・バナ 音楽:J.S.バッハ)
パトリック・ド・バナ
⑩『ドン・キホーテ』 第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス)
上野水香&アレハンドロ・ヴィレルス
【上演の模様】
文化会館には、開場時間(14:30)少し前につきましたが、入場ゲート前には既に多くの人が並んでいました。チケット改札を通ってホワイエに入ると、ここにもかなり多数の観客がいます。しかしいつものバレエ大会の様な華やいだ雰囲気はなく、何か普段のコンサートの時の様子。

販売冊子の購入を終わり、ホワイエから上演会場方向へ進んだ時、壁(柱?)を見たら、次の張り紙が貼ってありました。

そして、入場してすぐに貰った紙一枚のプログラムを見たら、確かにかなり違うことが書いてありました。
[当日配布の演目・演者] ●は管弦楽演奏
()はバレエ演技
❶チャイコフスキー:『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ
(1)『臺薇の精』振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザン
(2)『リベルタンゴ』振付:高岸直樹
音楽:アストル・ピアソラ
上野水香&アレハンドロ・ヴィレルス
❷マスネ『タイスの瞑想曲』
(3)『海賊』よりアダージョ 振付:マニュエル・ルグリ マリウス・プティパに基づく
音楽:レオ・ドリーブ
ドロテ・ジルベール&リース・クラーク
(4)『サイレント・クライ』 振付:パトリック・ド・バナ
音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
パトリック・ド・バナ
ハーブ:瀬川真未
(5)『瀕死の白鳥』振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス
スヴェトラーナ・ザハロワ
《休憩》
(6)『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ 振付:マリウス・プティバ
音楽:レオン・ミンクス
上野水香&アレハンドロ・ヴィレルス
❸ビゼー『アルルの女』よりファランドール
(7)「眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ 振付:マリウス・プティバ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
ドロテ・ジルベール&リース・クラーク
(8)『アラベスク』振付:パトリック・ド・バナ 音楽:クロード・ドビュッシー
パトリック・ド・バナ
ハープ:瀬川真未
(9)『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ベロー
音楽:アドルフ・アダン
ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザン
(10)『Rain before it Falls』 振付:パトリック・ド・パナ
音楽:オットリーノ・レスピーギ
スヴェトラーフ・ザハロワ&パトリック・ド・バナ
(11) フィナーレ
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以上の当初予定出場者の欠場の影響で、新たなプログラムでは、当初予定の『海賊』よりのグラン・パ・ド・ドゥと『ロミオとジュリエット』より、バルコニーのパ・ド・ドゥが無くなり、代わりに上記
(2)『リベルタンゴ』振付:高岸直樹 音楽:アストル・ピアソラ 上野水香&アレハンドロ・ヴィレルス
と
(8)『アラベスク』振付:パトリック・ド・バナ 音楽:クロード・ドビュッシー パトリック・ド・バナ ハープ:瀬川真未
が 加えられまし時間的に短くなる分、オーケストラの演奏で賄うという変更だと思います。
主直言って、マリンスキーバレエ団の男女二人のプリンシパルが欠場したことは、観る方にとってもかなりの痛手だったと思います。
また上記(3)リース・クラークは来日出来なくなったワディム・ムンタギロフの代役でしたし、上記出演取り止めとなったオクサーナ・スコーリクとウラジーミル・シクリャローフも誰かの代役だった気がします。次々と変更のメールが入り何がなんだか分からなくなってしまいそう。こんなに混乱するのはコロナ禍の最中だったら有り得ることでしょうが、それが無い今現在では、NBS事務局の代役手配交渉の甘さによると謗られても仕方ないのでは?
以下に一昨年の参加者を再掲しましたが、その時は海外からのスーパースターは計12名、それに対し今回は計8名、2/3に減りました。英国ロイヤ・ルバレエ団からの参加者も少なく、パリ・バレエ団関係の参加者数も少なく、空いた時間を、オーケストラ演奏と バナの追加演技及び上野水香さんの追加演技で補った感じ。
今回は東京バレエ団の上野水香さんが、代役として大役を担い、二演目も踊ったことが目立ちました。世界のスーパースターの仲間入りでしょうか?彼女の実績になった事は間違いありません。
(2022年のスーパースターガラの参加者)

さて、変更の問題はそれ位にして肝心の舞台演技の方ですが、
印象に強く残った踊りには二つありました。
(3)『海賊』よりアダージョ :ドロテ・ジルベール&リース・クラーク 及び
(9)『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザン でした。
(3)のドロテ・ジルベールとリース・クラークは、共に白い着衣(女性はやや薄紫がかった白)で登場、滑らかなステップで舞台上を離・接近しながら舞いました。クラークはやや小柄な(に見える)ジルベールを軽々とリフトして、そのままの状態でジルベールは優雅にポーズを取り、ゆっくりと降りた後も滑る如き動きで、クラークの手を取りさらに離れ、決して激しさやスピードとは縁遠い、ゆったりとした踊りを見せて呉れました。その手、腕、頭、足、脚の一挙一動に将に極上の上品さを漂わせたのです。バレエの極意を体得したエトワール中のエトワールの動きの一つ一つが、絵になる素晴らしい踊りでした。

短い踊りでしたが、会場から大きな拍手と歓声が飛びました。
(9 )『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド=ブラム&バクティヤール・アダムザンの舞踊で、自分として、一番感激したことは、ウルド=ブラムの動きと表情が醸し出す雰囲気に、涙が流れるのでは?と思える様ほどの、悲しさ寂しさが伝わって来たことです。この演目の全幕を最後に観てから久しい(2年は経ちます)ので、各幕の詳細は虚覚えの処もありましたが、確かジゼルには、お忍びで村に現れジゼルと恋仲になる貴族の子息がいて、その身分をジゼルにバラした村の男もいて、子息には許嫁けがいることもジゼルが知ることとなり、ある日彼女が村に居る子息に会いに来た時子息が、許婚者の手に接吻して挨拶すれのを見たジゼルが、気がふれてしまい、(もともと弱い体だったそうですから、多分心臓麻痺で)死んでしまったという悲劇です。そして踊りの場面は、死んだ後の墓場の場面(第二幕)で、死に切れない若い魂(ウイリーと称していたと思います)の一人としてジゼルが、墓場まで会いに来た恋人と踊るパ・ド・ドゥなのです。
ウルド=ブラムの踊りは、単独の時でも、アダムザンと二人での時の(特にリフトされてから降りる際の)踊りでも、フワ〜と恰も重量が無いか感じられない程の浮遊感を出していました。しかもその動きは、指先から、身のこなしまで、この世のものではない何か憂いを帯びたものだったのです。恋人が、ウイリー達に魂を奪われ死にそうになっても、自分の世界に呼び込まず、静かに近寄って息を吹き替えらせ、人間界に戻してやり、自分は、ウイリーに戻るその寂しそうな後ろ姿は、余程場数を踏んだエトワールでないと、表現出来ないでしょう。又その踊を弾き出したアダムザン(カザフスタン)の会場からも自分としても最大限の大きな拍手をおくりました。
これらの演目は、たまたまパリ・バレエ団員に依るものでしたが、その他にも、やはりザハロワに依る『瀕死の白鳥』など、これ以上の表現が出来るバレリーナはいないだろうと思われる程の特上のものでしたが、前回のガラ大会でも十二分に堪能したので、今回はやや感動は、減殺したのかも知れません。
その他、コンテンポラリー・ダンスは見ていて、その技術の高さは、何となく分かっても、一体何を表現したいのかさっぱり分からないので、いつも感動しません。踊り手は、表現者なのですから、こうしたことを表現しょうとして踊る、ということを事前に観客に理解させる努力をしていかないと、限界が有る様に思ってしまう。例えば事前にネットで(或いはプログラムで)内容の概要を説明する方法、それから当日であれば字幕設備で表現する方法とか、工夫すれば、色んな方法があると思うのです。
でも、これだけの限られた数の演目を鑑賞しただけでも、世界標準はどういうものか、少しは理解出来た気がしました。
付け加えれば個人的には、バレエ音楽の素晴らしさに纏まって触れられる機会でもあり、今回もハープ、コンマスのソロ、チェロ主席のソロ、弦楽アンサンブル、管楽器、打楽器の醍醐味など、管弦楽団の演奏会とは、少し違った雰囲気で聴ける楽しみも有ります。今後ともいい機会があればまた観に(聴きに)行こうと思っています。
