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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

《弦楽アンサンブルetc.》の饗宴を聴く

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《東京工業大学官弦楽団出身者による弦楽等アンサンブル演奏会》

    〜第二回弦楽の饗宴〜

【主催代表挨拶】

 本日は「第二回弦楽の饗宴」にご来場いただき、誠にありがとうございます。今回こ のような形で演奏会を開催できますことを大変嬉しく思います。

 本演奏会は、東京科学大学管弦楽団(旧: 東京工業大学管弦楽団)の卒団生およ び現役生による弦楽アンサンブルコンサートです。今回は、2017年から2022年に入 学した団員30名が参加し、さまざまな形式の室内楽アンサンブルをお届けいたしま す。大学オーケストラで活動を共にしてきた同期から、これまでほとんど関わりのなか った世代の離れた団員同士まで、幅広いメンバーが交友を深めつつ音楽を作ってき ました。それぞれの個性が響き合う演奏を、どうぞご堪能ください。

 最後になりますが、本演奏会の開催にあたり、演奏会に参加いただいた先輩・同期・ 後輩の皆様、企画や運営に携わってくれた同期に、心より感謝申し上げます。そして 何より、本日足をお運びくださった皆様に、深く御礼申し上げます。

「弦楽の饗宴」は今後も継続して開催する予定ですので、引き続き皆様のご支援ご 愛顧を賜れますと幸いです。本日の演奏会を、最後までどうぞお楽しみください。(文責 大崎崇博)

 

【日時】2024.12.7.(土)14:00〜

【会場】横浜ひまわりの郷ホール(上大岡)

【出演】東工大管弦楽団員、団員のOB.OG 及び 関係者

【曲目】

①メンデレスゾーン『弦楽四重奏曲 第2番』より第1楽章

<出演>1Vn・大崎崇博、2Vn・岡村賢知、Va・河野稜平、Vc・堀川裕太郎

 この曲は、メンデルスゾーンが18歳のときに作曲した作品である。第2番と名付けられているが、1~6番の弦楽四重奏曲の中で 最初に作曲されている。

 曲はゆったりとしたアダージョで静かに始まり、まるで心の奥に問いかけるかのよう な旋律が奏でられる。その後、徐々に緊張感が高まり、情熱的で活力に満ちたアレグ ロ・ヴィヴァーチェに移行する。ここでは、第一ヴァイオリンが他のパートと絡み合いな がら活発に展開し、メンデルスゾーンの熱い情熱が響き渡る。調性が絶え間なく変化 するため、聴き手は期待と不安の間を揺れ動き、音楽の流れに引き込まれていく。こう したドラマチックな音楽展開には、メンデルスゾーンがベートーヴェンに敬意を払いなが らも自分のスタイルを確立しようとする姿勢をが表われており、作品に一層の深みを与えて いる。

 今回は、2019年入学代の弦楽器トップ4人による演奏をお届けする。これまで多くの 苦楽を共にしてきたメンバーによる息の合った演奏を、どうぞお楽しみいただきたい。(文責 大崎崇博)

 

②ピアノ三重奏曲 第1番より第1楽章/J.ブラームス

<出演>Vn・浦井歌蓮、Vc・柴田峻、Pf・藤代悠希

ピアノ三重奏曲第1番は、1854年ブラームスが21歳の時に作曲され、その後1889年、ブラームス56歳の時に改訂されました。

 冒頭、ピアノによって奏でられる第1主題の旋律には純粋な優しさが感じられ、そこ に加わる情感豊かなチェロの対旋律にはきっと心の琴線に触れる美しさがあります。

 そして、満を持してヴァイオリンが加わった時、ブラームスらしい充実した濃密な響きが 完成し、音楽は広がりを増していきます。今回演奏する改訂版は、ソナタ形式としての 古典的な形式美と若き青春の日々の初々しい感情という相反するような二つを、円熟 した筆致で見事に共存させています。

 この素晴らしい楽曲を、まさにブラームスが作曲したくらいの歳頃に、とこオケで出会 った素晴らしい仲間と弾けることをとても嬉しく思います。我々の演奏で少しでも、お 聴きくださるみなさまの心に明るい温かい光が燈りますように。(文責 藤白悠希 )

 

③S.プロコフィエフ『ヴァイオリン二重奏ソナタ』より第2・4楽章

<出演>1st Vn・中山恵太、2nd Vn・萩原雅文

 セルゲイ・プロコフィエフの「ヴァイオリン二重奏ソナタ ニ長調 作品56」は、プロコフ イエフ生涯で唯一のヴァイオリンデュオの作品です。プロコフィエフはロシア革命後、し ばらくソ連を離れてアメリカやフランスを拠点に活動していました。この作品は、その時 期の1932年、サント=トロペ(南仏)での休暇中に、パリの室内楽団体「トリトン」の創 立記念コンサートのために作曲されました。このソナタは、彼の前衛的な音楽のスタイ ルから、その後にソ連への帰国を考えるにあたり、新古典主義を経て比較的平易なス タイルへ移行する時期の重要な作品とされています。

この作品は、バロック時代の教会ソナタの形式に倣い、緩-急-緩急の4つの楽章から 構成されています。本演奏会では、第2楽章と第4楽章を演奏します。

第2楽章 アレグロ (Allegro) 激しくエネルギッシュなリズムが特徴の第2楽章は、激しい和音から始まり、強い緊迫 感の中で不況和音や鋭い旋律が互いに追いかけ合うように展開します。スケルツォ 的な性格を持つ序盤に続くトリオ部分ではやや穏やかさが見られますが、楽章全体を 通して激しい雰囲気が続きます。 第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ (Allegro con brio)

第4楽章は、軽快な曲調の中に民俗音楽的な要素が強く感じられる作品です。ヴァ イオリンが交互に、片方はメロディーを奏でながら、もう一方は創造的な伴奏をしなが ら、緩急を付けつつ音楽は活発な雰囲気で展開していきます。最後の数小節では、そ のエネルギッシュな動きが頂点に達し、力強く締めくくります。(文責 中山恵太)

 

④ハイドン『弦楽四重奏曲 作品20-1』より第1楽章

<出演>1st Vn・五味政城、2nd Vn・伊藤光一、Va・藤巻花野子、Vc・堀川裕太郎 ハイドンは18世紀にオーストリアで活躍した作曲家で、古典派音楽を確立し交響曲の父と呼ばれる。本日の演奏会の中で一番時代の古い作曲家の作品で、最も基本 的な曲と言えるだろう。作品20は1772年に作曲された全6曲からなる弦楽四重奏曲 集で、「太陽四重奏曲」のニックネームで知られる。モーツァルトの弦楽四重奏曲集「ハイドンセット」の元となった作品でもある。作品20はハイドンの弦楽四重奏曲の中 でも古い作品であり、これ以前の弦楽四重奏曲(作品9と作品17)と比較して、1stVn 以外のパートに旋律があることが特徴である。ハイドンの功績の1つに、4つのパート が対等に対話するスタイルの弦楽四重奏曲を確立したことが挙げられるが、太陽四 重奏曲集はまさにその過渡期の作品と言えよう。本日演奏する第1曲第1楽章は、全 体としてハキハキした明るい曲であるが、途中おばけがふらふらしているハロウィンの ような雰囲気の箇所(←出演者の感想です)があるので探しつつお聴き頂きたい。(文責  藤巻花野子)

 

⑤Rシューマン『ピアノ五重奏曲』より第1楽章

<出演>1st Vn・大崎崇博、2nd Vn・門倉元基、Va・萩原雅文、Vc・柴田峻、Pf・藤代悠希

ピアノ五重奏曲は、1842年にライプツィヒで作曲され、今日ではシューマンの代表的 な室内楽曲として知られています。妻クララに献呈されたこの楽曲の明るさや華やか さは、充実した新婚生活を送る2人の幸せが表れているように感じられます。  シューマンは、モーツァルトやベートーヴェンといった古典派の系譜を受け継ぎつ つ、彼自身の音楽を追求していった作曲家でした。例えば、この楽曲のソナタ形式と いう曲の構成は古典派の音楽のスタンダードな構成ですが、この楽曲の弦楽四重奏 にピアノを加えた編成はシューマンが初めて採用した編成でした。こうしたシューマン の過去の音楽と徹底的に向き合い更なる高みを目指していく姿勢は、弟子のブラー ムス へと引き継がれ、後世のロマン派の音楽にも大きな影響を与えました。 シューマンと同時代の作曲家であるリストは、このピアノ五重奏曲を聴いてライプツィ ヒ的”(音楽的にアカデミックで勤勉すぎる)と批判したと言われています。これは、リスト が音楽を文学的、絵画的、観念的な表現と結びつけた総合芸術とすることを目指し、 シューマンとは目指すものが違っていたからでしょう。リストの音楽もまたワーグナーへ と引き継がれ、数々の素晴らしい楽劇が生まれました。

ベートーヴェン亡き後、音楽家たちが新しい音楽を探し求めていた時代。シューマン が生んだこのピアノ五重奏曲は、冒頭の第1主題の堂々としたtuttiの響きや、その後 の第2主題の弦楽器同士の美しい旋律の掛け合い、展開部の不穏に動き回るピアノ などが特徴的で、魅力に溢れています。社会人の先輩から未だ現役の後輩まで幅広 い代のみんなで室内楽ができるこの貴重な機会を大切に、お客様にもシューマンの 良さを感じていただけるように頑張ります. (文責  藤代悠希)

 

⑥ベートーヴェン作曲、S.Engano編曲『6つのヴィオラのための<エグモント>序曲』

<出演>1st Va・入江期款、2nd Va·获原整文、3rd Va·内平かほる、4thVa・藤巻花野子、 5th Va・吉見里奈、6th Va・河野綾子

 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した「エグモント序曲」 (Op.84)は、 1810年に完成した劇音楽「エグモント」の序曲として書かれました。この作品は、ドイ ツの詩人ゲーテの戯曲「エグモント」に基づき、17世紀のスペイン支配下のオランダ で自由を求めて戦ったエグモント伯の英雄的な姿を描いています。序曲は、重厚で 緊張感のある序章から始まり、エグモント伯が直面する困難や戦い、そして自由への 情熱が、音楽の中で力強く表現されています。終盤には勝利と解放を象徴する華や かなクライマックスが訪れ、聴衆に高揚感をもたらします。エグモント序曲は、ベートー ヴェンの英雄的なスタイルがよく表れた名曲であり、自由や人間の尊厳といったテー マが情熱的に描かれていることから、今日でも多くの人々に愛されています。本演奏会では、ヴィオク6本のために編曲されたものを演奏します。オーケストラとは 一味違う音色に耳を傾けて、お楽しみください。(文責 内平かほる)

 

 ⑦モーツァルト『フルート四重奏曲 第3番』

<出演>Fl・松崎健一郎、Vn・岸本紀剤、Va・藤代悠希、Ve・佐原広樹

この曲は2つの楽章から構成される。第1楽章は、フルートの生き生きとしたメロディ 一で始まる。全体の調性はハ長調で明快な曲調だが、フルートの1オクターブ跳躍や

ヴァイオリンのトリルなど、技巧的な要素が随所に見られる。フルートがほとんどの主旋 律を担う中、時折、弦楽器のみのアンサンブルも奏でられ、本公演の主役である弦楽 の美しさも十分に堪能できる。

第2楽章は、Andantinoのややゆったりとしたテーマから始まる変奏曲形式である。 第1変奏は3連符によるおどけた雰囲気で進み、第2変奏はヴァイオリンが、第3変奏 ではチェロが主旋律を担当する。特に第3変奏では、それまで伴奏に徴していたチェ 口が低音の魅力とともに雄大なメロディーを歌う。第4変奏は短調に転じ、軽快さを残 しつつも物憂げな表情で歩むような印象を与える。弦楽器の主音Cが響いた後に始 まる第5変奏は、テーマのテンポをゆったりとさせた音楽で、モーツァルトらしい美しい 響きが豊かに広がる。最後の第6変奏ではAllegroとなり、それまでとは一変して速いテンポで展開する。第1変奏で登場した3連符が再び現れ、あっという間に曲が終わ る。(文貴 松崎健一郎)

 

⑧ブラームス『クラリネット五重奏曲』より第4楽章

<出演>1st Vn・鈴木美波、2ndVn・門倉瑞乃、Va・吉見里奈、Vc・伊藤酸、C1・井上ひかり

 ドイツの作曲家、ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)の晩年の 作品である。ブラームスは57歳で引退を決意し、遺書まで用意したが、翌年クラリネッ ト奏者リヒャルト・ミュールフェルトの演奏に心を打たれ、クラリネットのための名曲4曲 を書き上げた。本作もその一つである。

 弦楽四重奏にクラリネットを加えた五重奏で有名なものに、モーツァルトのクラリネッ ト五重奏曲がある。モーツァルトは主にクラリネットをソロ、弦楽を伴奏として扱ったの に対し、ブラームスの五重奏ではクラリネットと弦楽が対等に対話し、時に溶け合う響 さが魅力的である。

本作品は4楽章からなり、昨年は第1楽章を演奏したが、本日は終楽章をお届けす る。しっとりと哀愁を帯びた主題がヴァイオリンによって歌われ、クラリネットがそれに応 えるように溶け込んでいく。続く第1変奏では、旋律がチェロに引き継がれ、クラリネッ ト、ヴァイオリン、ヴィオラが繊細に絡み合う。第2変奏で弦楽器の中音域のシンコペー ションによって熱を帯びた音楽が、続く第3変奏では、16分音符の分散和音とビッツィ カートが軽快な表情を見せる。第4変奏では、2ndヴァイオリンとヴィオラの緻密な掛け 合いの上で、クラリネットと1stヴァイオリンが情緒あふれる対話を続ける。終楽章はこ こまで2拍子で進んできたが、第5変奏で3/8拍子に変わり、1楽章の優美な雰囲気を 思い出させる。最後は、第1楽章の主題が回帰し、静かに幕を閉じる。昨年の「饗宴」 から一年を経て、再び共演できる喜びを感じながら。(文貴 井上ひかり)

 

⑨弦楽六重奏曲より第1楽章/A.ドヴォルザーク

<出演>1st Vn·萩原雅文、2nd Vn·五味政城、1st Va・入江剛毅、2nd Va・石塚友樹、 1st Vc・伊藤酿、2nd Vc・堀川裕太郎、

 弦楽六重奏曲Op.48は、ドヴォルザークが苦悩を乗り越えて幸せを手にした1878 年に作曲された作品である。1873年に結婚し、1875年には交響曲が認められ国家 奨学金を得るなど、公私ともに幸福に包まれていたが、1875年から77年にかけて愛 する3人の子供を次々と失い、築いてきた幸せは突如として奪われた。それでも彼は 悲しみを音楽に昇華させ、作曲を続けた結果、ブラームスに見出され「スラヴ舞曲集」 が大成功を収める。そして、その直後に作曲されたこの六重奏曲は、娘オッティーリェ の誕生がもたらした新たな希望とともに、前向きに作られた音楽である。 第1楽章は、1stヴァイオリンが奏でる温かくゆったりとした主題から始まり、幸せな旋律が八分音符の穏やかな刻みとともに広がっていく。リズムが加速すると、再び現れ る主題がその美しさを際立たせる。展開部では、調性が長調から短調に転調し、緊 張感のある対話が繰り広げられる。温かい主題が鋭く激しい音楽に変容する様は、ド ヴォルザークの経験した惨状が反映されているのだろうか。同じリズムを楽器感で受 け渡しながら劇的に膨らんでいった後に、アンサンブルは不穏に静まり返る。静寂の に始まる再現部では、pで主題が奏でられ、アンサンブルに安らぎが広がり、ドヴォルザークが幸せだった頃を思い出すかのようにコーダへと進む。弦楽器6台の和音が 力強く主題を響かせ、言い切らずに終わる最終小節は、名残惜しさを感じさせる儚い 締めくくりとなっている。(文貴 伊藤瞳)

 

⑩P.I.チャイコフスキー 『弦楽セレナード ハ長調 Op.48』より 第1楽章

〈出演〉1 Vn・岸本紀裕、1Vn・大崎崇博、1Vn・山本征太朗、1Vn・山本悠史、 2 Vn・岡村賢知、2Vn・藤江麗香、2 Vn・浦井歌蓮、Va・吉見里奈、 Va・内平かほる、Va・杉山奈緒、Vc・佐原広樹、Vc・真下絵梨花、Cb・望月郁男,

 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーは、帝政ロシア時代の1840年、日本がアメリカ のペリーやロシアのプチャーチン等の来航で開国を迫られた時期に生まれた。モスク ワから700 kmほど東にあるヴォトキンスク市が故郷で、4歳頃に母親からピアノを習 い始めた後、ヴァリチコアから音楽のレッスンを受けた。8歳でピアノ教師のフィリポフ につき学び始めたのは、父の仕事の関係でペテルブルグに引っ越した時だった。 1862年、新設のペテルブルグ音楽院に入学、65年に卒業。翌年、創設されたばかり のモスクワ音楽院教師となる。弦楽セレナーデは40歳の時に親友でモスクワ音楽院 教授であったチェロ奏者・コンスタンチンの為に書かれた。妹のアレクサンドラの婚家 であるウクライナのカーメンカにあるダヴィドフ家で9月から10月にかけて作曲し、同 年10月18日、ロシア音楽協会ペテルブルグ支部の演奏会で初演となった。チャイコフ スキーはロシア作曲家の中で「西欧派」とされ、弦楽セレナーデは特に愛着を感じて いるモーツァルトのセレナーデを意識した古典的な作品となっている。今回演奏する 第1楽章は、チャイコフスキー自身が「モーツァルトへのオマージュ、模倣」と語っている が、ロシア風の美しいメロディも感じさせる。

(文責 真下絵梨花)

 

【演奏の模様】

 今回の演奏会は、知り合いから教えて貰い、割りと近いホールだし天気も良いので、聴きに行くことに。音楽大学の演奏会は、毎年あるのですが、他のコンサートを聴きに行く予定と重なることが多くて、今年は聴けませんでした。今回は丁度他の予定は無かったのです。音大でない大学の演奏会はコロナ以前は年に数回聴きに行っていましたが、今年はその機会が有りませんでした。

 今回の出演者は、各曲目の解説にある様に、東工大の在学オケ団員や卒業生、関係者等でした。謂わば技術系を本業とする人達の集団です。しかもオーケストラ演奏でなく、数人の異なるメンバーにより、様々な室内楽を演奏するスタイルは、国内では見掛けたことがありません。ベルリンフィルなどは、ファミリーコンサートで、半日以上掛けてやることもありますが。(ベルリンフィル・デジタルコンサートホールで、聴くことが出来ます。)

 

 今回の演奏を聴いた感想としては、全体的に玉石混淆と言うか、かなり磨き抜かれた腕の演奏者もいれば、将に磨きつつある進行中の奏者もいて、聞く方としては粒ぞろいのプロ演奏を聴く時とは一味違う、いろいろと気が付かせて呉れる演奏会でした。総じて皆さん、集中して懸命に演奏する熱心さを見ると、きっと学業や業務でも同じ又はそれ以上の熱心さを見せているのだろうなと推測されます。又演奏が終わって挨拶する時、殆どのグループで奏者達が嬉しそうな満足そうな表情を浮かべていたのを見ると、聞く方としてもにっこりとしたくなります。

 字数の都合で、印象深い演奏についてのみ記しますと、②のブラームス『ピアノ三重奏曲』の演奏が三人のアンサンブルのバランスも音色の良く、特にVc.の柴田さんの演奏が心に滲みる調べを発していました。見た目の年齢から推測すると、在学生でなく、かなり演奏経験の有るOBでしょう、きっと。

 ③のプロコ『Vn.二重奏ソナタ』は珍しい初めて聴く曲でした。最初の第2楽章では、1Vn.の高音と2Vn.の低音の絡み合いが面白いし、特に1Vn.がPizzicatoを1発入れてから旋律奏するや、2Vn.がそれに同様に応える掛け合いも面白かった。

 第4楽章ではリズミカルな両者の掛け合いが絡み合い。特に高音領域での1Vn.と中音域での2Vn.の二重奏は印象的でした。出来れば両奏者とも、さらに溌剌としたところがあれば尚良いと思いました。

 それから⑦のモーツァルト『フルート四重奏』のFl.奏者、松崎さんも全楽章かなりいい演奏をしていたと思います。(勿論Vn.Va.Vc.の三者の合いの手も適宣に入っていました)

 最後の弦楽セレナーデは、演奏会で有終の美を飾ったり、アンコール曲で弾かれる場合が、結構ある曲です。プログラムを見た時、大いに期待したのですが、聴いてみるとやや期待外れでした。でも演奏が終わって皆さんのホットした顔を見ると、これが音楽演奏の醍醐味の一つなのだと痛感させられます。皆さん、恐らくプロの演奏家になられる人は少ないでしょうから、これからも音楽演奏の楽しみを通して、様々なことを会得されれば、人生一味ランクUP出来る事間違い無しだと思います。有意義な演奏会でした。

 随分楽しませて貰いました。有難う御座いました。

 尚、今回配布されたプログラム、特にそのプログラムノートには感心しました。皆さん署名入りの立派な文章を書かれていたのは大変素晴らしいことです。