久し振りでワーグナーのオペラを聴きました。それがものすごく聴きごたえ見ごたえがある上演だったのです。
(1)先ずタイトルロールのステファン・グールドのテノールは、前評判通り素晴らしいものでした。
(2)愛欲の女神役エグレ・シドラウスカイテのソプラノがこれまた素晴らしい。グールドに歌い負けていません。安定感のある清烈な歌声を、張り上げていました。
(3)エリザベト役ザビーナ・ツヴィクラの歌声もすんなりと腑に落ちました。またヴォルフラム役は、急遽代役として、デイヴィッド・スタウトが歌いましたが、これまた渋い歌と演技で魅力を発揮、こうしてみると、外人部隊はすべてつわ者揃い、よくもドイツ以外のあちこちからこの強力メンバーを集められたものと感心しました。大野総監督に脱帽です。
(4)合唱団が、男声も女声も幾ばくの不一致もなく、揃った歌声で舞台を盛り上げ、特にアカペラが場面表現に多くの寄与をしていました。
(5)日本人歌手も大健闘、妻屋方伯がいつも以上の歌い、で貫禄を示し、歌合戦参加のヴァルター役鈴木さん、ハインリッヒ役今尾さんは、真っ直ぐな愛の解釈を堂々と歌い上げていました。ラインマル役の後藤さんは、不実な愛の解釈に腹を立てて、剣をぬいてタンホイザーに迫り怒り心頭の歌は、勢いがあってよかった。牧童の澄んだ歌声も良し。
(6)それから何と言っても、このオペラに組み込まれている、ワーグナー節の数々の調べ、これを今日のオーケストラ東響は、アレホ・ペレスの指揮一下、忠実に表現出来ていたと思います。
(7)ハンス=ペーター・レーマン演出は、舞台装置も簡素ながら、簡潔・直裁、曲と歌を良く引き立てていました。かなり長い序曲演奏下のダンサーの踊りは、その他の場面も含め雰囲気を効果的に盛り上げていました。
【日時】2022.1.28(土)15:00~
【会場】NNTTオペラパレス
【演目】リヒャルト・ワーグナー『タンホーザー』
全3幕<ドイツ語上演/日本語字幕付き>
上演時間4時間5分(1幕75分/休憩25分/2幕65分/休憩25分/3幕55分)
(公演期間:1/28~2/11全四日間)
【管弦楽】東京交響楽団
【指揮】アレホ・ペレス
【合唱】新国立合唱団
【合唱指揮】三澤洋史
【演 出】ハンス=ペーター・レーマン
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【照 明】立田雄士
【振 付】メメット・バルカン
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】髙橋尚史
【バレエ】東京シティ・バレエ団
(NNTT H.P.より)
尚、詳細は<続報>で記します