【日時】2023.7.23.(日)15:00〜
【会場】渋谷・オーチャードホール
【原作】シェイクスピア『オセロ』
【台本】アッリーゴ・ボーイト
【演目】ヴェルディ作曲歌劇『オテロ』
全4幕(演奏会形式)
【上演時間】一幕+二幕(65分)休憩(20分)三幕+四幕(68分)
【開演、終演】15:00 ~17:40
【管弦楽】東京フュイルハーモニー交響楽団
【指揮】チョン・ミョンフン
【出演】
⚪クレゴリー・クンデ(オテロ、将軍)テノール
⚪小林厚子(デズデーモナ、その妻)ソプラノ
⚪ダリボール・イェニス(イアーゴ、旗手)バリトン
⚪中島郁子(エミーリア、その妻)メゾ・ソプラノ
⚪フランチェスコ・マルシーリア(カッシオ、若い貴族)テノール
⚪村上敏明(ロドリーゴ、ヴェネツィアの紳士)テノール
⚪青山貴(モンターノ、オテロの前任者)バリトン
⚪タン・ジュンボ(伝令)バス
【合唱】新国立劇場合唱団
【合唱指揮】富平恭平
【上演速報】
①タイトル・ロール役クンデの驚異的安定性、歌唱力、表現力、持続力、演技力に脱帽。評判通りの「オテロ力」!!
②イアーゴ役イェニス、実力発揮。(彼はこれまで日本でも、新国立劇場オペラで、デグリュー役やフィガロ役で実績あり。)
③小林さんの成長ぶりに驚く.!!
小林厚子さんは、2021年のワーグナー『ワレキューレ』(NNTTオペラ)で、ジークリンデを歌ったのを聴きましたが、その真っ直ぐな声質にはその時より益々磨きがかかり、金属性は無い柔らかさが出てきて、堅さが減殺され、高音の清らかさ表現では、日本人歌手の中では超一流では無かろうかと思われました。
④イアーゴの妻でデズデーモナの側使いエミーリア役中島さんは、歌う場面こそ少なかったのですが、長年の経験からなのか演技も含め、存在感がありました。同様に村上さんや青山さんも同じ様にいぶし銀の味わいを発揮していました。
⑤また東フィルは、日本のオーケストラの中では、恐らくオペラ演奏の経験はトップクラスの回数をこなして慣れていると思われ、チョン・ミョンフンも肩をこらない楽々というか自然体の指揮で歌手に寄り添った演奏をしていたと思います。それでいて、オケの主張すべきところはしっかりと発音して、場面を主導することも忘れなかった仲々いい演奏でした。
演奏会形式オペラでも、いい演奏、歌唱をすれば、総合オペラに引けを取らない観衆を感動させることが出来るという例に、今回の上演が加わったと言えるでしょう。
≪捕捉≫合唱団は、最近出番の多い新国立劇場合唱団で総勢四五十人、女声と男声半々位だったでしょうか。場面場面に応じた歌い方を心得ています。特にアカぺラで歌う箇所が良かったなーと思いました。