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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

アラン・ギルバート『東京都交響楽団』演奏会を聴く(配信)

表記のコンサートは、配信チケットを購入していました。それが大当たり、今日は随分と熱く記録的熱波だそうで、一方コロナ感染は最大状態、家でビールを飲みながら夕食を食べつつ配信映像を楽しみました。ライヴだけでなくアーカイブ配信もあるそうなので、時間が取れれば何回でも聴くことが出来るのが強みです。音声が生演奏に比し若干迫力に欠ける弱みはありますが、雰囲気は十分味わえます。その分楽できますね。

【出演】東京都交響楽団 
【指揮】アラン・ギルバート( 首席客演指揮者)
【曲目】①プロコフィエフ『古典交響曲 ニ長調 作品25』 〔約15分〕
Prokofiev: Symphony No. 1 in D major, Op. 25, "Classical"
第1楽章 アレグロ
第2楽章 ラルゲット
第3楽章 ガヴォット:ノン・トロッポ・アレグロ
第4楽章 フィナーレ:モルト・ヴィヴァーチェ

 

②ビゼー『組曲「アルルの女」』から 〔約20分〕
パストラール(第2組曲)
メヌエット(第1組曲)
カリヨン(第1組曲)
アダージェット(第1組曲)
ファランドール(第2組曲)


――休憩〔20分〕――


③ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45 〔34分〕

第1楽章 ノン・アレグロ


第2楽章 アンダンテ・コン・モート  テンポ・ディ・ヴァルス

第3楽章 レント・アッサイ―アレグロ・ヴィヴァーチェ

 

【交響的舞曲の概要】

第1楽章 Non allegro
 ハ短調。形式はほぼ三部形式に従っているが、ソナタ形式の要素も併せ持っている。曲の始まりは、弦楽器が弱音で刻む上で、木管楽器によって主題が断片的に奏され、全奏で決然とした響きになる。ザクザクした行進曲調のリズムの上を木管楽器によって主題の全容が呈示され、弦楽器やピアノを加えつつ変奏され発展していく。中間部では嬰ハ短調に転じ、オーボエとクラリネットが出す動機に続いてアルト・サクソフォーンが哀愁を帯びた旋律を歌う。この旋律は次第にロマンティックな色調を帯び、再びピアノなどが加えられながら表情豊かに扱われたのち、バスクラリネットによって暗雲が演出されて徐々に加速し、最初の主題が回帰する。しかし、これは単純な反復ではなく、展開部のような扱いも見られる。ハ長調に転調したコーダでは交響曲第1番第1楽章の主題が回想され、静かに曲を閉じる。

第2楽章:Andante con moto (Tempo di valse) 
 ト短調、三部形式。この楽章はチャイコフスキーやアレンスキーの好んだワルツ楽章となっているが、華やかさよりも一抹の不安や哀愁が色濃く出ている。曲は不安な雰囲気を帯びたファンファーレから始まる。続いてワルツのテンポが刻まれるも、それはファンファーレによって中断を余儀なくされる。その後、独奏ヴァイオリンが導入の楽句を弾いて主題に入る。主部のワルツの主題も、暗く幻想的な雰囲気を持っており、それに絡む対旋律が不安な気分を高めていく。その後、冒頭のファンファーレが再び登場し、新しいワルツの旋律を導き出すも、いずれも不安な気分は湛えられたままである。最後はテンポを上げたコーダによって閉じられる。


第3楽章 Lento assai - Allegro vivace
 三部形式だが、ソナタ形式の痕跡も認められる。導入部はロ短調に始まり、主部でニ長調に転じる。この楽章はスケルツォ的な性格を帯びており、調性やリズムも絶え間なく変化していく。また、「怒りの日」の主題が随所に強烈に打ち出される。

短い導入部では、下降する動機と不気味な鐘がこの楽章の内容を暗示する。自由な三部形式による主部に入ると、ファゴットが主題の断片を出し、それにフルートと鐘の響きが応える。オーケストラ全体でニ長調のスケルツォ風の主題(ソナタ形式における第一主題)が提示されて変奏風に取り扱われ、ピッコロとシロフォンで呈示されるホ短調の新たな旋律(ソナタ形式における第二主題)がそれに絡み合う。結尾部で一度頂点を形成した後に中間部では減速し、憂鬱なワルツ的旋律(『死の島』の引用)が歌われる。オーボエによって第一主題への回帰が呈示されると徐々に楽器が増え、それに絡むような形で「怒りの日」の旋律が姿を現して曲は幻想的な雰囲気を帯びていき、全奏とタムタムの一撃によって再び頂点が形成される。怒りの日と融合した第一主題がごく短く提示され、結尾部の強烈なカタストロフと打楽器による経過句を経て低弦楽器による第二主題(ニ短調)が再現される。コーダ直前で『徹夜禱』第9曲のアレルヤの旋律(スコアに"Alliluya"の表記が見られる)の引用が見られ、神への祈りを暗示する。コーダでは第一部の結尾部がニ長調で再現され、アレルヤの音楽を繰り返して熱狂的に曲を締めくくる

 

 

【演奏の模様】

<指揮者トークの一部>

演奏数十分前にトークがありましたが、時間に遅れてしまいました。トーク開始の時間が6:20からだったのですが、パソコンの配信画面を開いたら始まっていました。マエストロが通訳を通して話していた事の後半は次の点です。

・アダージェント:ミッシュエル・ターソンがアンコールに弾いた、最も天国に近い曲。

・ラフマニノフ:最後の交響曲といっていい。ノン・アレグロの意味を感じて貰いたい

・サキソフォン、ビゼーと共通。演奏は住谷美帆さん。

・最後の曲はオケとピアノ版を聴き較べられる。

 

①プロコフィエフ『古典交響曲 ニ長調 作品25』

 ファゴットのスタート演奏がコミカルに次第に盛り上がり、また収まります。ファゴットン音が小さく聞こえる。

高音弦、フルートが静かに終了し、弦が力強い4/6拍子のリズミカルな調子を保って、消え入る様に終了。

終楽章では、弦の速いトレモロ旋律にフルートやピチカート、さらにはピッコロが割り込み最後までペースを保ち、ティンパニーの合図で繰り返します。結構長い章でした。

 といった風に、ピアノ協奏曲等から受ける現代的なプロコフィエフの響きのイメージとは違い、古典派の基本を学んだ伝統意識から生み出されている曲だという感じを受けました。将に古典的、認識を改めなければなりません。

②ビゼー『組曲アルルの女』から

パストラール(第2組曲)
メヌエット(第1組曲)
カリヨン(第1組曲)
アダージェット(第1組曲)
ファランドール(第2組曲)


パストラール(第2組曲)が面白い。オケは優雅な旋律を奏で、その後フルートで繰り返されるとピッコロも登場。

 またこの曲でもサキソフォンが使われますが、①も②も原楽譜に記載があるのでしょうか?

カリヨン(第1組曲)ではホルンの旋律に合わせてオケが続きホルンはペースメーカーとなっています。フルートのソロに近い演奏、ここでもサキソフォン。 滔々と流れる弦楽アンサンブルに、オーボエも奮い立ちますが、基本はホルンの背景音。

それまでの各曲も耳あたりが良くてつい拍子を合わせたくなりますが、何と言ってもやはり最後のファランドールが圧勝ですね。厚みがあって和声法も良く旋律も変化がある、あのアルルの古代羅馬劇場跡で踊るアルルの女性の姿が目に浮かぶ様です。

 

③ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45 〔約34分〕               第1楽章 ノン・アレグロ
第2楽章 アンダンテ・コン・モート(テンポ・ディ・ヴァルス         第3楽章 レント・アッサイ―アレグロ・ヴィヴァーチェ

 先日の二台のピアノDUO演奏と比べると当然ながら、今回の音楽は分厚く、細部構造を持ち、変化に富んでいる曲となっていました。最初の様々な管楽器間で移ろう主題を、ピアノでは右側小川さんが、高音域の旋律として右手演奏していました。昨日の面影を残しています。最初はこのピアノ曲をラフマニノフは作り、その後それに交響曲的肉付けしたのでしょうから。第一楽章からサキソフォンを採用しているのも珍しいし、コンマスのソロ演奏も綺麗だし、弱音器を付けたトランペットなどの金管のくぐもった音も渋いし、フルートは各章通じて大活躍、先実のピアノ曲とは似ていて非なり、別物と言っても良い程でした。結論的には管弦楽の懐の深さを思い知らされました。ピアノ曲はピアノ曲としての鑑賞観点が異なっていると思いました。若しこれがバレエ音楽だったら、バレエの踊りの練習時の伴奏としてピアノ曲は使われるのでしょうけれど、バレエでもオペラでもないですから、ピアノも管弦も互いに意識しなくて互いの道を歩んできたのでしょうし、今後もそれでいいと思います。