HUKKATS hyoro Roc

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オーケストラ・アンサンブル金沢 第39回東京定期公演

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【日時】2023.3.22.(水)18:30~

【会場】サントリーホール

【管弦楽】オーケストラ・アンサンブル金沢(O.E.K.)

【指揮】広上淳一

【独奏】米元響子(Vn.)

<Profile>

1984年6月25日生まれ、東京都出身のヴァイオリン奏者。3歳よりヴァイオリンを始める。1997年の伊でのパガニーニ国際コンクールで史上最年少となる13歳で入賞。以来、日本音楽コンクール、モスクワのパガニーニ国際コンクールでも優勝。2003年に仏・パリへ移ってジェラール・プーレに、翌年より蘭・マーストリヒト音楽院と伊・キジアーナ音楽院でボリス・ベルキンに師事。2008年に出光音楽賞を受賞。著名指揮者や国内外の主要オーケストラと数多く共演。室内楽の分野でも欧州や日本を中心に活躍。また、マーストリヒト音楽院では後進の指導に尽力。2019年にデビュー20周年記念リサイタルを浜離宮朝日ホールにて開催。

【曲目】

①シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 D. 485

(曲について)

 交響曲第5番は第4番と同じ年、1816年9月に作曲され、10月3日に完成されたと自筆譜に記されている。前作とは趣を全く異なる交響曲であるが、モーツァルトなどの古典派の作曲家の作風を思わせるような心地よい旋律と優美な雰囲気が醸し出される作品で、シューベルトの初期の交響曲の中では最も人気が高い作品である。

 第4番と同様、オットー・ハトヴィッヒが指揮する私設オーケストラで演奏するために作曲されたと考えられているが、初演の日付は明らかではない。また公開の演奏会での初演の詳細についても一切不明である。

 なお第5番は、第4番よりも楽器の編成が少なくなっており、クラリネット、トランペット、トロンボーンが省かれ、ティンパニも欠くという小規模な編成の交響曲である。

 

②モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K. 218

(曲について)

 ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K. 218 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1775年に作曲した4番目のヴァイオリン協奏曲。また、モーツァルトが19歳の時に作曲された曲である。第1楽章の主題の性格から『軍隊』の愛称で呼ばれることもある。
  他の5曲と同様に作曲の動機などは不明であるが、第2番と同様におそらくはザルツブルクの宮廷ヴァイオリニストであったアントニオ・ブルネッティ(英語版)のために作られたと言われている

 

③ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op. 36

(曲について)

 1801年から本格的な作曲が開始されている。1802年3月には完成されたと考えられ、1803年4月5日、ウィーン近郊アン・デア・ウィーン劇場にて、ピアノ協奏曲第3番、オラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』とともに初演された。

 この作品が作曲されたのはベートーヴェンの持病である難聴が特に悪化した時期であり、10月には「ハイリゲンシュタットの遺書」も書かれているが、作品内に苦悩の跡はほぼ見られない。形式的には未だにフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの枠組みの中にあるが、作曲技法としては第1番よりも更に進歩しており、第1楽章序奏の規模が拡大し重要性が増していること、動機労作がより緻密になり、ソナタ形式楽章におけるコーダが第二展開部としての様相を呈し始めていることなどが指摘される。楽器法の面でも、木管楽器(特にクラリネット)の活用や、チェロとコントラバスを分割して扱う手法が顕著になっていることが注目される。

初演では「奇を衒いすぎている」と評された。

 

【演奏の模様】

①シューベルト:交響曲第5番

全四楽章構成。

第1楽章 Allegro 2分の2拍子

第2楽章 Andante con moto 8分の6拍子

第3楽章 Menuetto. Allegro molto 4分の3拍子

第4楽章 Allegro vivace 4分の2拍子


 会場に20分位前に着いたら、ステージで誰か二人の男性が、マイクで話しています。観客(まだ半分くらいしか入っていない)の笑い声も上がっているおり、二人の内一人は若者に見えるのですが、もう一人は、ブリンナー頭で、小太り低い背なので、二人で演奏の前座漫才でもやっているのかな?等と一瞬思いました。傍にいた係員に訊いたら、指揮者の広上さんと管弦楽団のマネージャが、予定には無かったプレトークをしているとのことでした。世界野球で日本が優勝したこと、我慢がどうのこうの?とか、今日の選曲理由とか、独奏者の米元さんがどこどこの教授をやっているとか、余りはっきり聞こえないので、断片的にしか分かりませんでした。広上さんは、話し好きなのですね。全演奏が済んだ後も話していました。

 最初の①のシューベルトの曲は、全四楽章構成です。
第1楽章 Allegro 2分の2拍子
第2楽章 Andante con moto 8分の6拍子
第3楽章 Menuetto. Allegro molto 4分の3拍子
第4楽章 Allegro vivace 4分の2拍子

 楽器編成は、二管(Hr.2,Fg.2,Ob.2,Fl.1)編成、弦楽五部8型(8-6-4-4-3)。シューベルトの意向に沿った簡素な構成です。
 曲の構成も複雑でなくシンプルなもの。第1楽章始めにOb.とFl.の響きに連られ、Vn.アンサンブルが鳴るのです。軽快なテーマが提示され、短い経過の後、第2主題が弦により奏でられました。低音弦楽アンサンブルもしっかり、なかんずくCb.が効いている。展開部もシューベルトの交響曲らしくシンプル。Fl.が一人で活躍していました。この楽章を聴くとモーツァルト風な響きを感じ、これはシューベルトの初期の作品で、当然ながらモーツァルトの影響が大きいことを示しています。
 次楽章は、ロンド形式(A-B-A-B-A-コーダ)。Vnが主題提示し、Fl.とOb.それにHrn.が加わって、弦楽アンサンと合いの手をやり取り、何回も転調を繰り返していました。
 第3楽章はスケルツォ風のメヌエット。モーツァルトの交響曲第40番第3楽章との類似が指摘されています。Fg.の活躍が、印象的。
 終楽章は、ソナタ形式。軽快で華やかな主題の調べが展開、終楽章らしいてんかいでした。
 金沢チェンバーオケの最初の曲の演奏は、小編成の割りには、アンサンブルがしっかり聞こえ「山椒は小粒でピリリと辛い」の感がしました。
①の演奏が終わると、開演に間に合わなかった多くの人々が入場してきました。それも何十人単位で。きょうは、開演が通常より、30分早い6:30だったためでしょう。会社勤めの人達が急いでやって来たといった様子。

次の演奏の為、幾つかの楽器変更がありました。Fg.(2) とFl(1)が退場。

②モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番

第1楽章 アレグロ

第2楽章 アンダンテ・カンタービレ イ長調、4分の3拍子。

第3楽章 ロンドー:アンダンテ・グラツィオーソ - アレグロ・マ・ノン・トロッポ

 米本さんは、ベージュのドレスを着て登場、米元さんの生演奏は初めて聴きます。

 冒頭米元さんは軽快な高音旋律でスタート、ソロVn.とオケの響きが嚙み合って アンサンブルの流れも良い。音楽性もテクニカルな側面も良いのですが、やや神経質な細い繊細さが気になりました。特に重音演奏の低音の調べが線が太くない感じ。オケ規模が小さいので、ソリストの音は消えて聞こえないという事はありませんでしたが、相当弱めの音がほとんどで、チェンバーオケの規模がぴったりの音を出していました。カデンツア部になるとそのことがはっきりします。カデンツアはその繊細とも言える特に高音の調べが綺麗でした。米元さんが採用したカデンッアはいろいろあるうちのどの版?

 次楽章は2属調のロマンツィ、オケ先行でスタート、オケの調と同じ斉奏メロディを米元さんは奏で、纏まりがいい感じの演奏です。導入部はアンダンテで、その後主題をアレグロでテンポを上げて演奏しました。Hrn.の調べにも合の手を入れるVn.、この楽章でも短いカデンツァを演奏、かなり高音部で繊細な音を出していました。華奢な感じを受けた。

 終楽章は結構長い演奏で、米元さんは、様々な技術を駆使して弾いていました。重音演奏がこれまでより多く、しかも明快な和声というより何かゴツゴツと言った感じの重音演奏の箇所もあり、またもうスピードで駆け抜けるカデンツァもありました。

 演奏後大きな拍手を受け、米元さんはソロアンコールを弾きました。曲名は最後に記しました。このアンコールも技量の様々な模範演奏を聴くが如き様々な弾き方(たとえばハーモニックスレヴェルの高音での重音、速いpizzicatoを弓で叩く様に、同時に左手で弦をはじいて現出させたり等々)を駆使して弾きました。

 こうし演奏を聴くと、米元さんの技術完成度の高さを将に見せつけられた感がしますが、と同時にやや脆弱な側面(華奢、迫力あるエネルギッシュさ不足etc.)も同時に感じたのでした。

 

③ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op. 36

全四楽章構成です。

第1楽章 Adagio molto ニ長調 - Allegro con brio ニ長調 

第2楽章 Larghetto イ長調

第3楽章 Scherzo

第4楽章 Allegro molto ニ長調

演奏の前に《20分の休憩》があり、その間に楽器構成の変更がなされました。Timp.が補充、Fl.(2) Cl.(2) Trmp.(2) と補充されました。弦楽五部(8-6-4-4-3)

 演奏開始直前には、最上階とP席の一部に空席が残っているもののその他のエーリアは八割方の入りになっていました。

 この曲の演奏では、Timp.が、旋律アンサンブルを牽引し、二楽章を除いて、曲全般に渡ってリズムを刻んでいました。

 又第二楽章の調べは、若干陰影があっても、とても綺麗な旋律です。配布されたプログラムノートによれば、ベルリオーズが ❝いくらか憂鬱な響きがあっても、ほとんど曇らされることのない純粋無垢な幸福の描写❞だと評したそうです。そういわれればそうかも知れないし、そうでないかも知れない。だってこの曲の作曲時には既にベートーヴェンの難聴は重症化の方向に向かっていたそうですから。少なくとも幸福感まではどうかな耳を完全に忘れることが出来たのでしょうか 又三楽章で使われた記号「 Scherzo」は交響曲では初めてだったそうです。

 確かにこの二番のシンフォニーは余り有名にはなっていませんが、じっくり聞いてみると仲々、ベートーヴェンの熱が籠った素晴らしい(若干構成上他の有名交響曲の後塵を拝するかも知れない)シンフォニーだと再認識させられました。


又今日のOEKの演奏は、既に記した様に ❝小さな巨人❞の風格さえ備わりつつある印象深い演奏でした。なお、終演後広上さんは何か喋った後すぐにオーケストラ・アンコールを指揮し出しました。

 

《アンコール曲》

②の曲後の米元さんソロアンコール

パガニーニ:24の奇想曲より第24番(ヴァイオリン・アンコール)

 

③の曲後のオーケストラアンコール

レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3集よりイタリアーナ