HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

チェンバー・フィルハーモニック東京定期演奏会

 表記のオーケストラの第28回演奏会が、東京よみうり大手町ホールで開催されたので、聴きに行きました。この演奏会は、コロナ対策として、会場の座席の約半数のみに観客を入れ、オケ編成もいつもよりは規模を縮小して、その他通常の対策も万全を期していると聞いたので、出掛けたのです。

 このオーケストラは中規模編成で知名度は高いとは言えませんが、そのH.P.による案内文は以下の通りです。

【ABOUT US】

チェンバー・フィルハーモニック東京[TCP]は、次代を担う音楽大学出身者/音楽愛好家による室内管弦楽団として2006年に創立されました。世界一数多くのオーケストラを擁すると云われる東京において、NYスタイルの新しいクラシカル・ミュージックを提案します。発足当初より三鷹市芸術文化センターを拠点に年間2回の演奏会のほか、オペラを含めた様々な公演を定期的に行っています。個性的なニューヨーク・スタイルをモットーに、古楽器や時代奏法を採り入れたHIP(historically informed performance)、特定の作曲家に焦点を当てるフィーチャー演奏会、ロマン派や近現代のレパートリーを含めた幅広いプログラミングに定評があります。これまでに水谷晃(東京交響楽団コンサートマスター)、赤松林太郎、三浦友理枝といった同世代の一流音楽家たちとも共演を重ね、好評を博してきました。「チェンバー(室内)」を冠する楽団名の如く楽団員間での室内楽活動も非常に活発です。2012年1月には超満員の紀尾井ホールにおいて第10回記念演奏会を成功させました。作曲者の指定に基づき合計4台のハープや古楽器のオフィクレイド等を用いた意欲的な内容でありました。当団は2016年をもちまして創立10周年を迎えました。これからも益々の変貌を遂げるチェンバー・フィルハーモニック東京に、どうかご期待ください。 

 会場は、読売新聞本社ビル内にありました。座席は500人規模の中規模ホールです。

 

【日時】2020.12.6(日).14:00~

【会場】よみうり大手町ホール

【演奏】チェンバー・フィルハーモニック(コンサートマスター:平山慎一郎)

【指揮】木村康人

【管弦編成】二管編成、弦楽五部7型縮小

【演奏曲目】

①W.A.モーツァルト:交響曲第26番変ホ長調 K.184(161a)

②F.J.ハイドン:交響曲第26番ニ短調《ラメンタチオーネ》

③ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92

 

【演奏の模様】

演奏会場の「よみうり大手町ホール」は、はじめてです。読売新聞本社ビル内にあり500人規模の中ホールです。


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読売新聞本社


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よみうり大手町ホール

 観客席は、数ヶ月前の音楽会の様に、市松模様にチケットを販売したらしいのですが、その内の約1/3は空席で、従ってかなり空いている感がありました。

 弦が25名、管が12名それにティンパニー1名の約40名の小規模オケでした。

①モーツァルトの番号付き交響曲全41曲の内では、単独では余り演奏されない曲なので、アーノンクール指揮の録音を前もって聴いておきました。三楽章構成ですが、8~9分程度の短い曲です。

Ⅰ.Molto presto

 配布されたプログラムノートによると、”本日の演奏会では、テンパニーのパートを即興的に補って-云々---” とあり確かにティンパニーの響き、それにホルンの響きが遠く心地よく聞こました。低弦の響きもよい。若く見える指揮者は手振り身振りりをかなり大きくとって、気持ち良さそうに指揮していました。

Ⅱ.Andante

  弦のアンサンブルは、Vnではコンマスの音が卓越していて、これは最後の曲まで同じでしたが、アンサンブルとしての平均化した音の融合が感じられなかった。

ティンパニーを入れた効果はあったと思います。リズミカルなティンパニーに合わせてコンマスの弾くソロ的なパッセージから弦全体が統一されていく風な傾向有り、ただところどころテンポが僅かに遅れる楽器群がありました。

Ⅲ.Allegro

 10分弱で終了したのですが、余りに短い曲なので1楽章の終了かと思った人が多かったのでしょうか、全然拍手が湧きませんでした。指揮者が振り向いて頭を下げてから初めて拍手が起きました。

②前もって、「Kammerorchester Basel(Giovanni Antonini)」の演奏を録音で聴いておきました。管楽器は古いタイプの素朴な木管や金管の音で、弦楽器は見た目は現代の楽器と変わらない様子ですが、調節や細かい点は異なっているのでしょう。演奏者はチェロを除き、皆立って指揮者の近くを取り巻いて演奏しているので、管楽器も弦に負けず結構大きな音を立てて調和しています。

 今日のチェンバーオーケストラは、皆さん普通に座ってマスクは(入場時、退場時も)せず演奏していました。楽器配置は、左右に1Vn、2Vn、中央付近にVc、Vaは珍しくないですが、Baを管楽器の後ろ中央に3名並べていたのが目に付きました。管楽器はホルン以外はピリオド楽器でない様に見えましたがどうだったのでしょう(ティンパニーは小さいタイプです)。

 ハイドンのこの曲は、管楽器奏者のほとんどが退席しHr.Fg.が一名残り後は弦のみの編成で演奏されました。

Ⅰ.allegro assai con spirito

 冒頭から大時代的なリズムとアンサンブルが鳴り出しました。 Fg.の演奏するメロディが「かえるのうたがきこえてくるよ」に少しだけ似ていません?。(ついでに『蛙の合唱』は原典が歌詞も曲もドイツ起源らしいですね。バッハ、チャイコフスキー、スメタナの楽曲にも似た旋律があるらしい)ある曲を聴いて、その中のメロディが別の曲の一部と似ていると、楽しいというか何か発見した気がして少し嬉しい気になります。

Ⅱ.Adagio

パッフェルベルのカノンを連想する様な古風なゆったりしたメロディが、単調と思われる流れで続きます?若干退屈。

Ⅲ.Menuet Trio

Ⅰ.でもⅡ.でも同じなのですが、高音弦の音が目立ち、普通だったら、低音弦のずっしとアンサンブル全体を引き締める重石の感じの音が聞こえません。これは、楽器の特製から来るものか、演奏からくるのか分かりません。 ①の時と同じことですが、主力の1Vnのアンサンブルが溶け合った団塊に聴こえません、コンマスの音が優先して聞こえます、しかも少し金属的な音で。1Vnの活躍が大きい楽章なのでやや目立った感じがしました。

 指揮者は、両手を軽やかに振って、表情豊かに演奏していました。

 

③ベト七はこれまで何回も聴いているのですが、小規模のチェンバーオーケストラで聴くのは初めてです。

 冒頭のオーボエの音がいい、これはピリオッド楽器でなく普通のオーボエでしょうか?

 各楽章共にFtが大活躍ですね。女性フルーティストでしたがいい音を安定的に出していましたよ。Ftも多分現代楽器でしょう。 

 曲全体を聴いた後味としては、とてもチェンバーとは思えない程の大音響を出し、かなり力み過ぎていたかなといった感じもするのですが、皆さん兎に角一生懸命、力一杯弾き、吹き、叩いていたので、これはこれで音楽の持ち味の一つですから良い側面だと思いました。私は演奏者でないので実感は分からないのですが、あれだけ力の限り演奏したら後味はスッキリするでしょうね。指揮者も渾身を込めてタクト(なしで)を振っていました。