HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

J.F.F.音楽會at Muza Symphony Hall

””

 

【日時】20.8.20.(日)13:15~

【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール大ホール

【管弦楽】ジャパンフレンドシップ・フィルハーモニック(Japan Freindship Filharmonic)

(管弦楽団について,主催者)

〈オケ紹介〉
 1992年に設立された30年の歴書をもつアマチュアオーケストラ。当初は横浜国立大学、神奈川大学、日本大学農獣医学部(現生物資源科学部)他の管弦楽部員を中心に、湘南台市民シアター、鎌倉芸術館などで活動していた。
 現在はより幅広い多くのメンバーにより構成され、1997年よりサントリーホール、東京文化会館、東京芸術劇場、ミューザ川崎シンフォニーホールを中心に公演を行っている。
当オーケストラが主催する演奏会は「音樂會」と総称し、音楽監督として髙橋敦氏が総指揮をとっている。その高い音楽性とドラマ性には多くの賞賛が多く寄せられている。
また当団は、2003年10月に放送されたNHKのプロジェクトX/第127回「第九への果てなき道のイメージ映像、2005年3月には映画、テレビドラマ、アニメなどの音楽を手掛ける作曲家の 森英治氏のアニメーションレコーディングにも参加した。直近では、2017年10月に放映されたテレビ朝日帯ドラマ劇場「トットちゃん!」にて帝都交響楽団として撮影、レコーディングにも参加している。

 

【指揮】髙橋 敦

〈Profile〉

 1961年、バイオリン奏者の父、声楽家の母の間に生まれる。少年時代はキャプテンとして活躍しながら野球に没頭するが、高校1年生の時、モーリス・ジャンドロンに魅せられチェロを習い始める。チェロ奏者の叔父・髙橋忠男の手ほどきを受けた後、馬場省一、堀江泰、千本博愛に師事し、1985年、北西ドイツ音楽アカデミー(デトモルト)に留学。カリーヌ・ゲオルギアン、ダヴィット・ゲリンガス、ヴォルフガング・ベトヒャー各氏に師事する。1988年にはドイツ・シュレスビッヒ・ホルスタイン国際音楽祭オーケストラに合格し、セルジュ・チェリビダッケ、レナード・バーンスタイン指揮のもとヨーロッパ演奏旅行に参加する。その間、両巨匠に多大な影響を受け、チェリビダッケとの交流を機に指揮を始める。1990年、第1回パシフィックミュージックフェスティバルに参加。その頃より国内ソロリサイタル、台湾の室内楽リサイタルなど、チェロ奏者として室内楽、オーケストラで活動する。また、FMラジオ番組のパーソナリティ、さだまさしのコンサートツアーにチェロ参加、TBS系ドラマ「砂の器」のオーケストラ演奏シーンでは指揮者、フルート奏者山形由美ほか様々な音楽家のCDレコーディングディレクターや指揮者を担うなど多方面でも活動。また、2006年〜2020年まで大手損害保険会社オーケストラ音楽顧問兼指揮者を務める。2017年10月に放映されたテレビ朝日帯ドラマ劇場「トットちゃん!」では、帝都交響楽団常任指揮者・田之上晋一役として自らも登場する傍ら、劇中音楽オーケストラ監修を担当した。最近では「STAND BY ME ドラえもん」「るろうに剣心 最終章2部作」などの映画音楽、NHK大河ドラマ「青天を衝け」の劇中音楽に指揮者として参加。
1992年に自ら主宰したアマチュアオーケストラ/ジャパンフレンドシップフィルハーモニックは、2022年に30周年を迎え、サントリーホールにて記念公演を行った。現在も音楽監督兼指揮者として精力的に活動中。


【曲目】


①ブラームス:交響曲第3番 


②シベリウス:交響曲第7番

(曲について)

シベリウスの交響曲第7番作品105は、1924年に完成された。作曲開始は、交響曲第6番とほぼ同じ頃(1910年代)とされており、1915年初演の第5番から第7番はほぼ同時期に構想されたといわれる。1924年3月25日、ストックホルムの楽友協会コンサートで、作曲者自身の指揮で初演された。

初演時は『交響的幻想曲』と名付けられていたが、単一楽章というかなり変則的な形式を採用していたためであり、単一楽章中に、通常の交響曲のようなソナタ形式の部分、緩徐楽章、スケルツォなどを織り込んだ作品であり、構想の段階では3楽章形式をとる予定であった。交響曲として番号が与えられたのは翌年の出版時である。


③ニールセン:交響曲第4番「不滅」

(曲について)

4つの楽章の要素が移行していくという構成になっており、しばしば4楽章や2楽章の曲と誤解されるが、単一楽章の作品であり、2群のティンパニによる競演を特徴とし、ニールセンが手がけた交響曲の中でも特に劇的な作品と目されている。

 4つの楽章の要素が移行していくという構成になっており、しばしば4楽章や2楽章の曲と誤解されるが、単一楽章の作品であり、2群のティンパニによる競演を特徴とし、ニールセンが手がけた交響曲の中でも特に劇的な作品と目されている。


④久石譲:「風の谷のナウシカ」より

 

【演奏の模様】

 今回誘われた知人の話では、このオーケストラは、プロ集団ではないですが、かなりの高いレベルの演奏をするらしく、ここ数年、有料演奏でもミューザが多くの観客で埋まる程の人気であると言います。確かに演奏予定曲目を見ても、ブラームスの他に北欧の作曲家の交響曲を複数並べる意欲的なプログラムを組んでおり、これは、一聴に値すると思い聴きに行きました。

①ブラームス:交響曲第3番

楽器編成二管(Hrn.4,Trmb.3,)編成弦楽五部14型(14-14-14-10-6)左翼にVn.群、右翼にVc.とCb.群、中間にVa.群の配置、Timp.は二つ置いてありますが演奏は一つだけ。 

 この曲はいつ聴いてもロマンティシズムの郷愁を思い起こさせるブラームスの特徴的側面の一つを発揮した曲です。第一楽章こそややインパクトに欠けメリハリがもう少し欲しいと思いましたが全体的に各楽器共音は安定していていい音色、特にVn.アンサンブルはその後もずっと出色のいい調べを響かせていました。低音弦(Va.Cb.)にやや精彩が欠けるところが有りました。男性Fl.トップは先ずまずいい音を鳴らしていましたが少し金属音が気になるかな?女性Hrn.トップは経験が深いと見えて(その楽器の光沢を見れば分かります)、安定した流石と言える演奏でした。Timp.はかなりの年配の演奏者でしたが、力強くその実力はニールセンの演奏で特に発揮されることに。

ここで《20分間の休憩》です。休憩時間中に、若干の楽器と演奏者の入れ替えがあった模様。(見た処Timp.奏者は女性でした)


②シベリウス:交響曲第7番

近年シベリウスの曲は結構聴きに行っていますが、この7番は今回が初めてでした。①のブラームスの演奏を聴いて、このオーケストラは、確かにしっかりした実力を、慣れ親しんでいると見られる指揮者と一体となって発揮しているのを聴いて、次のシベリウスもきっと期待出来るなと休憩時間中に思っていました。この曲は実はまだ聴いていなかった曲なのです。演奏時間は20分程の比較的短い「交響曲」でしたが、途中GP(ゲネラル・パウゼ)の様な演奏休止がありました。でも指揮者は明確にタクトを降ろさずすぐ演奏を続けたのです。シベリウスは当初三楽章構成にする筈だったものが、結局単一楽章の交響曲となってしまったようなのです。きっと彼方此方切り縮めたり補填したりして完成したのでしょう。所々にその痕跡を何となく感じました。

全体として、非常に聴いていて心地良いアンサンブルが響いて来ました。中盤から後半にかけてのうねる様なVn.アンサンブルその後のTrmb.のファンファーレや管楽器とVn.アンサンブルとの掛け合いが印象的でした。Fl.(奏者は女性に代わっていました)も合の手を入れVn.アンサンブルが強奏となるとTimp.(女性奏者)がダンダンと大きくバチを振るのも恰好良くVn.はユニゾーンで音を鎮めるのでした。シベリウスに時間的余裕があったなら、このとても耳触りのいい曲に肉厚を付けて、本格的な三楽章交響曲にして貰えば、他の交響曲を凌駕する作品が出来たかも知れない等取りとめない妄想をしながら聴いていました。演奏は、①ブラームスの時より脂がのって来た感じです。

③ニールセン:交響曲第4番「不滅」

ニールセンの曲も近年演奏機会が増えて来て何回か聴きに行っていますが、正直言いって非常に長い曲が多く、しかもアンサンブルをガンガン鳴らす箇所も多くそれが姦しさを感じる事もあり、まだその良さが良く分からないというか未消化状態です。将に今日の4番の交響曲も同じような印象を受けました。最初から集中して聞こうと思っていたのですが、その冗長な表現と余り澄んだアンサンブルでなく不協的な響きさえ感じる箇所もあり、途中少し注意散漫であくびまで出てしまいました(これは恐らく暑さのための寝不足が原因かも知れませんが)。別に髙橋・J.F.Fオーケストラの演奏のせいでなく、曲の持つ特性から生ずることだと思います。演奏は①ブラームス②シベリウス③ニールセンと尻上がりに調子に乗って来た感がし、分厚い全楽器強奏音もホールに満ち満ちていたし、低音弦の響き(特にPizzicato奏)もしっかりしていたし、さらに特筆すべきは、二台のティンパニー(男性&女性奏者)に依るソロ演奏とも言える程の掛け合い演奏は、これまで見たことも無い迫力で随分長い時間やり取りされました。兎に角恰好良かった!!

 

 最後の曲は④久石譲:「風の谷のナウシカ」よりオーケストラ編曲版の演奏です。

最初から舞台最上段の左翼にグランドピアノが置いてありいつもの使わないピアノの位置と異なるなと思っていたら、この曲の演奏にピアノが使われました。ピアノ演奏は、清田愛未さん。編曲も手掛けた様です。

演奏開始前に城内の照明は全部消され漆黒の闇、とすると、パイプオルガンの位置に映像が映され、ナウシカのナレーションが子供の声で流されました。そしてライトが点くと演奏開始です。最初はTrmp.の音でスタート、かなりの強さでPf.が叩かれ、タンブリンと大太鼓が鳴るとオーケストラも強奏全奏。Vn.アンサンブルとPf.がやり取りし、Hrn.の調べも有り、タンブリンが効いています。続くTrmb.とTrmp.のファンファーレを聞くと随分勇壮なナウシカだなと少し以外に思いました。Pf.のカデンツアやソロ演奏の箇所も有り、仲々変化に富んだ編曲の感が有りました。

 演奏が終わると8~9割方埋った会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こり、演奏者の多分家族連れや関係者が多いのか、「・・・・ちゃん!!」という叫び声も飛び交っていました。


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指揮者の高橋さんは、各パートの首席から起立させて楽器群ごとに労をねぎらい、最後は、最上段の年配者Timp.奏者の所に駆け上がり、握手をしていました。多分親子ほどの年の差があるでしょう。また指揮者は、❝これまでコロナ前には会場の1階席と、2階席、3階席、等ブロックごとに、大きな声で歓声を上げることをやっていたのがコロナ禍の時期は出来なくて残念だったけれど、今日はそれを再開出来るので、皆さん大声で唱和ください❞とユーモラスに語りかけると会場はさらに盛り上がり、大会場はこれまで聴いた事のない様な大歓声に満たされたのでした。仲々人気のある楽しそうな指揮者で、楽団員からもきっと信頼されているのでしょう。それが楽団技術向上の大きな要因の一つかも知れません。兎に角大いに楽しめる演奏会でした。