【日時】2022.7.28.(木)10:30~
【会場】東京文化会館大ホール
【管弦楽】東京都交響楽団
【指揮】秋山和慶
<紹介>
マエストロ秋山和慶(あきやま かずよし、1941年1月2日 - )は2021年1月2日に80歳の誕生日を迎えました。今年81歳。年齢に逆行するかのように活動の幅を拡げ、東京交響楽団、ヴァンクーヴァー交響楽団、九州交響楽団という3つのオケの桂冠指揮者、広島交響楽団の終身名誉指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団の芸術監督・首席指揮者、日本センチュリー交響楽団のミュージックアドバイザーを兼務し、同時に後進の指導も行う、現役バリバリの活躍振りです。
秋山氏の凄いところは、演奏の難しい膨大な楽器編成による作品でも、難なく演奏できてしまうところです。複雑な楽譜であっても、その理解が深いことに加え、指揮法も完璧。言葉の通じない外国のオーケストラでも、指揮棒の動きだけですべてを伝えることができた、というエピソードがあるほどの物凄いテクニックの持ち主です。
そのテクニックは恩師斉藤秀雄(1902~74)から授けられたものでした。14歳のとき桐朋学園オーケストラの演奏会を聴き、感激して楽屋に当時学生の小澤征爾氏を訪ねたところ、いきなり後の師匠の斉藤秀雄に「こいつ指揮やりたいそうです」と紹介され、なすがままに指揮者修業に入りました。
1964年、23歳で指揮者デビューし、翌年には東京交響楽団の音楽監督に就任。指揮者として日本で活動していたところ、1968年にトロント交響楽団の指揮者になっていた小澤征爾氏から招かれ、1年間、トロント交響楽団のアシスタントを務め、海外での活動が始まります。
1972年(31歳)にはカナダ西海岸のヴァンクーヴァー交響楽団の音楽監督となり13年間もその地位にありました。この間にヴァンクーヴァー交響楽団のアンサンブルは飛躍的に向上。退任後もヴァンクーヴァー交響楽団は秋山氏に桂冠指揮者の称号を与えて現在も年に数回指揮をとっています。
以来、日本とカナダを往復するような指揮活動を行っていました。東京交響楽団の指揮を優先してベルリン・フィルからの客演依頼を3度断った、というエピソードが物語る通り、地位や名誉を求めない方です。でも実力は間違いなく世界のトップクラスです。レコードやCDの活動も派手ではありませんでしたが、半世紀を超える長い録音キャリアの中で100枚を優に超えるディスクを発表してきました。
【曲目】ブラームス作曲『交響曲第1番』
【楽器構成】
(見た限りでは)二管編成弦楽五部14型?(12型?)
【リハーサルの模様】
係員数人が話しながら舞台上を進んで来て、その中に背を丸めたマイストロも一緒でした。挨拶もなくすぐに指揮台にいきなり第一楽章を振り始め、都響も慣れた手さばきで楽器を操り始めました。第一楽章もかなり進んでもう少しで終わりの辺りで(1)初めてのストップ、何か団員に話して幾つか遡って再開、座席は一階でも後ろ半分だけ観客を入れたので、舞台からは遠くて何も聞き取れませんでした。その後のマイストロ指示は同様聞き取れず、折角観客を入れたのだから、ピンマイクか少なくとも指揮台近くにスタンドマイクでもあればなと思いましたが、そうすると演奏音がマイクに入ってしまう不都合が生ずるのでしょうか?
その後マエストロがストップしてやり直しした箇所は以下の通りです。
(2)第二楽章のOb.ソロの少し後で低音弦が入る箇所。
この楽章でコンマスのソロが出て来て、華やかな音を立てているのですが、自分の聞いた感じとしては、やや切れ味不足かなとも思ったり。
(3)第三楽章の出だしで、Cl.のソロに対して注文あり。何と言っているかは不明です。三楽章終了間際でも同じCl.に対して。この楽章Cl.のソロが多かったからか?
(4)第四楽章、Vn.と低音弦のうねる様なpizzicato主導のあと、Ob.+低音弦アンサンブルが入る箇所。
(5)終楽章、Hr.+Fl.の音からTrb.へ移る箇所でVn.をストップ。
(6)終楽章の最後の辺で低音弦(Va.)に注文。
(7)ホントに終了間際に、管のアンサンブルからやり直しあり。
記憶に残るのは以上ですが、ずれていたり、漏れているかも知れません。何を言っているかホント全然聴こえないので、どこをどう直すべきと言っていたか、とても興味がありましたが残念です。でもやり直し後のアンサンブルは、以前とどう違うか分からないところがほとんどでしたが、気のせいか良くなったと感じた箇所もありました。
パートの担当奏者によっては、床に筆記用具を置いていて、指揮者指導を楽譜に書き込んでいました。Vn奏者は多くが楽譜に書き込みをしていた模様。
この曲では弦楽アンサンブルの美しさのみならず、各種管楽器の腕の見せ所のソロ部が多く、都響はさすが各パートに上手な奏者を配していますね。特にOb.のソロは多かったですが、Ob.首席の音はホント良かったですよ。名手と言ってもいい位。
この第一番はやはりブラームスのシンフォニー中と言うよりかドイツのあまたのシンフォニー中で燦然と輝くダイヤモンドの一つだと思います。矢張りブラームスもいいですね!