HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

アカデミー賞映画『ジュディ虹の彼方に』 鑑賞

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 映画館で映画を見てきました。この時期、映画館に行くということは、かなりの勇気が必要でした。屋形船やライブハウスの例の様に、閉鎖空間はこのところその危険性がとみに増しています。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の心境、と言っても、この映画は虎子では全然ないですけれど。ただ以前から是非とも見たかっただけのことです。

 出来るだけリスクを避けるため、レイトショウで見ました。観客は三人だけでした。

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レイトショウで無人の映画館ロビー

 この映画は、アカデミー賞主演女優賞を取った作品です。主演女優は、レネィ・ゼルウィガー、47歳で亡くなったミュージカル女優ジュディ・ガーランドの半生を描いた作品です。ゼルウィガーは、以前助演女優賞を取っていますが、主演女優賞は今回が初めてです。
 助演女優賞の作品は、『コールドマウンテン』。もう20年位経つかな?いやそんなに経っていないかな?そこでは、娘のルビー役を演じましたが、元気でしっかりと地に着いた演技をしていたのが印象的。生きの良い女優だなと思ったものでした。その後ラッセル・クロー演じるボクサー映画『シンデレラマン』を見た時、クローの奥さん役のゼルウィガーが、くじけそうな夫を励まし、遂には番狂わせで勝利に導くその演技は、割と地味な役でしたが、何か天性の持ち味というか、オーラの輝きというか感覚的に響くものがあって、その後ずっと気になっていたハリウッド女優でした。今回の受賞のニュースを聞いて、さもありなんと思ったのでした。
 さて物語は、歌手で女優のジュディ・ガーランドが、若干17歳で主演した『オズの魔法使い』が大ヒットし、スターダムにのし上がってからの30年程の人生のアップダウンを、人生の最後の時期に仕事がなく、経済的にも苦境に陥って、子供二人(三人目の夫との子達、二人目の夫との子は有名なライザ・ミネリ)を別れた前の夫に預け、子供のために何とか再起を期して、勧められたロンドン公演に臨みますが、ジュディの心の空洞は大きく、最初の内は成功したかにみえたのですが、結局、舞台を途中放棄し、新たな若い恋人の処に逃避するのです。その恋が成就して二人は結婚式まで挙げました。再三這い上がろうとするジュディ、しかし新たな興行のプロモーションのため、米国に飛んだ新夫から契約失敗を聴くと、ジュディは夫を激しく罵り、夫婦喧嘩に発展、結局新たな生活は破綻してしまい二人は別れたのでした。最後まで、子供をひきとろうと考え、そのためには家を手に入れなければと、焦れば焦る程うまくいかないのでした。
 それにしても、ゼルウィガーの歌の上手さには脱帽です。吹き替えでなく自分で歌っているのです。きっと基礎はあったのでしょう。その上に余程の練習を積まないとあの域には達しません。最期の最後に歌わせて欲しいと頼み込み、舞台に立ったジュディの歌は圧巻でした。素晴らしい味のある歌い振りでした。演技もうまいですね。舞台に立っても飲んだくれてもいつも、離れて暮らす二人の子供の事が頭から離れない、母親振りを見事に演じていました。ロンドン公演から半年後に亡くなったとのことでした。

 公演後子供に電話し、子供が父親の処で暮らしたいと言ったのを聞いて絶望したのでしょう、きっと。

 途中二人の同性カップル(男)のファンの自宅に、ジュディが押しかけるイピソードがあって、最後の舞台で歌えなくなった時に、その二人が立ち上がり「虹の彼方に」を歌い始めて、聴衆の合唱を誘い出す場面もジンとくるところです。カップル役の山椒の様な演技がピリリと効いていて良かった。ジュディのロンドン公演世話役(秘書・マネージャ役)のロザリンを演じたジェッシー・バックリーも地味ながら光っていた。