【日時】2022.4.10.(日)8:50~10:40
【上映館】横浜ブルグ13
【監督】シルヴィー・オハヨン
ユダヤ系チュニジア人として幼少期をパリ郊外ラ・クルヌーヴの大規模団地「cité des 4000」で過ごす。その後文学を学び広告クリエイターとなる。小説家として6冊の本を出版しており、2011年に『Papa Was Not a Rolling Stone』でCloserie des Lilas賞を受賞。2014年には自ら同作を映画化し、2016年のトロントユダヤ映画祭で長編映画賞を受賞。
【出演】
〇ナタリー・バイ(エステル役)
1948年7月6日生まれ。父親は画家。失語症のため14才で学校を中退し、モナコのダンススクールに入学。17才でニューヨークへ渡り、ロシアバレエの修行を積む。帰国後、コンセルヴァトワールで演技を学ぶ。フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、モーリス・ピアラなど偉大な監督たちの作品に出演、セザール賞を始め受賞多数。90年代以降は『アメリカン・ビューティ』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)などハリウッド作品に抜擢され、その後も若き天才グザヴィエ・ドランの『わたしはロランス』、『たかが世界の終わり』にオファーされるなど第一線で活躍を続けている。2015年にはフランスの大ヒットドラマシリーズ『エージェント物語』で娘ローラ・スメットと初共演、その後『田園の守り人たち』(17)で映画初共演を果たす。
〇リナ・クードリ(ジャド役)
1992年10月3日アルジェリア生まれ。ジャーナリストの父とバイオリン教師の母という文化的な家庭で育つ。内戦中に両親と共にフランスに避難。舞台芸術の学位を取得後、ストラスブール国立劇場に入団。テレビシリーズへの出演を得て『Les Bienheureux』(17)で映画デビュー。その演技でヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門の主演女優賞を受賞。2019年のカンヌ国際映画祭出品作の『パピチャ 未来へのランウェイ』(19)の主演を射止める。ウェス・アンダーソン監督の新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』でビル・マーレイやティモシー・シャラメと共演。最新作はカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品の『ガガーリン』。
〇ジュスティーヌ・ヴィヴィアン
(ディオール衣装アドヴァイザー)
2001年に歴史的衣装専攻の博士号を優秀な成績で取得。その後、映画衣装担当として『マリー・アントワネットに別れを告げて』(12)、『ルノワール 陽だまりの裸婦』(12)、『イヴ・サンローラン』(14)、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(14)など数多くの作品を担当。ディオール・ヘリテージ(アーカイブ部門)やオディオールのオートクチュールのアトリエで12年のキャリアを誇る。ディオール1級クチュリエール。
クロティルド・クロー パスカル・アルビロ サンドラ・ショケ
【ものがたり(公式サイトより)】
ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者であるエステルは、次のコレクションを終えたら退職する。準備に追われていたある朝、地下鉄で若い娘にハンドバッグをひったくられてしまう。犯人は郊外の団地から遠征してきたジャド。警察に突き出してもよかった。しかし、滑らかに動く指にドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、ジャドを見習いとしてアトリエに迎え入れる。時に反発しながらも、時に母娘のように、そして親友のように美の真髄を追い求め濃密な時間を過ごす二人だったが、ある朝エステルが倒れてしまう・・・。最後のショーは一週間後に迫っていた――。
【感想】
一、この映画は、単に「オートクチュール」の物語では有りません。
一、たまたま「オートクチュール」をまとっただけで、もっともっと普遍的な人間社会の根源にかかわる問題を掘り下げた映画です。
一、難民、貧困、犯罪、差別に立ち向かう一筋の光明がここにはあった。オハヨン監督の鋭い感性、理性、洞察力に脱帽。次作はどんな作品が生まれるのか期待大。
一つ、ナタリー・バイ(エステル役)の、人生をかけた専門職人としてのプライドの高さ、それを雰囲気として表現、滲み出す演技力はさすが。
一、リナ・クードリ(ジャド役)の素朴で新鮮な演技に拍手。貴重なダイヤモンド原石はこれから誰により、どのように磨かれ、燦然と光り輝く日が来るのでしょうか、楽しみです。