HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

第93回アカデミー賞2冠映画『ファーザー』鑑賞


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 表記の映画は、今年の第93回アカデミー賞で、主演男優賞と脚色賞を獲得した作品です。前から見たいと思っていましたが、なかなか時間が取れなかったのです。今日やっと見て来ました。先日見た主演女優賞、作品賞作品『ノマドランド』とあわせると、後は残った、助演男優賞作品『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア』と助演女優賞作品『ミナリ』を見たい。

【日時】2021.7.10.12:10~(所要時間1:37)

【上映館】川崎市アルテリオ(新百合が丘)

【概要】
 『ファーザー』は2020年に公開されたイギリス・フランス合作のドラマ映画である。監督はフローリアン・ゼレール、主演はアンソニー・ホプキンスが務めた。本作はゼレールが2012年に発表した戯曲『Le Père 父』であり、彼の映画監督デビュー作でもある。
 

【アンソニー・ホプキンス略歴】


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本名フィリップ・アンソニー・ホプキンス
誕生日1937年12月31日
出身イギリス/ウェールズ
王立ウェールズ音楽演劇大学と王立演劇学校(RADA)で演技を学び、卒業後は2年間の兵役につく。1965年のナショナル・シアターのオリジナルメンバーに名を連ね、ローレンス・オリビエの代役で注目を集める。映画デビューは68年の「冬のライオン」で、74年にアメリカ進出、以降「遠すぎた橋」(76)、「エレファント・マン」(80)、「チャリング・クロス街84番地」(86)と英米双方で活躍。映画史に残る悪役として今でも人気を誇るハンニバル・レクターを演じた「羊たちの沈黙」(91)でアカデミー主演男優賞を受賞。続編「ハンニバル」(01)と「レッド・ドラゴン」(03)でも同役を演じた。90年代は「日の名残り」(93)、「ニクソン」(95)、「アミスタッド」(97)でもアカデミー賞にノミネートされた。2011年からは、マーベル・シネマティック・ユニバースの「マイティ・ソー」シリーズで、主人公ソーの父親であるオーディンを、シリーズ3作にわたって演じている。19年には、Netflixオリジナル映画「2人のローマ教皇」でローマ教皇ベネディクト16世を演じ、第92回アカデミー助演男優賞にノミネート。翌年の第93回アカデミー賞では認知症の父親役を演じた「ファーザー」(20)で、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞。83歳での受賞で同賞の最高齢受賞記録を更新した。93年、長年にわたる功績が認められ、英王室よりナイトの称号を授与されている。

【粗筋】

アンソニー・ホプキンスが認知症の父親役を演じ、「羊たちの沈黙」以来、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞した人間ドラマ。日本を含め世界30カ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を基に、老いによる喪失と親子の揺れる絆を、記憶と時間が混迷していく父親の視点から描き出す。ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは認知症により記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。そんな折、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。しかしアンソニーの自宅には、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が現れ、ここは自分とアンの家だと主張。そしてアンソニーにはもう1人の娘ルーシーがいたはずだが、その姿はない。現実と幻想の境界が曖昧になっていく中、アンソニーはある真実にたどり着く。

 

【感想】

将に名優の演ずる主役の名舞台を、1時間半見通しの感がありました。今では「認知症」は、誰でもなり得る日常的なものかも知れません。しかし日常的であるが故にややこしい難しい解決困難なものとなっています。本人には、自覚症状がなく普通の状態で普通の生活をしていると思っている。家族や周囲の人々は、最初は、日常性の中の異常に気が付きません。必ずその兆候があるという人もいます。その兆候に気が付がないと、結構短期関で、かなりの異常が日常性の一角を占める様になり、本人からみると、周りの人間の方が異常ということになってしまう。こうなるとバトル状態です、精神的にも肉体的にも。アンの男恋人が、精神的忍耐の緒が切れて、最愛の女性の筈のアンの父親の頬を、ピシャリと平手打ちしてしまう、二回も。こうなるといけません。認知症患者の症状は益々進行し、遂には赤ちゃん帰りしてしまうのです。日本の地方方言には、「二度わらし」という言葉が、昔からありますが、その意味は、この様な状態となった老人のことを指すのです。こうした場合の患者の唯一の救いは、母性愛と同価値のものしかありません。

 結局、この映画では娘のアンがいくら父親を心配しようが、いくら涙を流そうが、平手打ちを喰らわす恋人の元に走り、一緒にパリに行ってしまうのですから、家族愛が不足した女性だと言うしかありません。畢竟その恋人とのパリ生活も上辺だけの愛しかないのですから、上手くいく筈がありません、遠からず破綻するでしょう。だからこそ、前夫とも結局離婚したのでしょうか。等々、いろいろ空想を誘う映画でした。

 今回の主演賞に輝いたアンソニー・ホプキンスも以前見た主演女優賞のフランシス・マクマードンも何十年という俳優歴の持ち主で、オスカーは、二回目、三回目とキャリアを重ねています。しかも両者とも、人間の極限生活を演じることで、名演技をした訳です。しかもその非日常的演技、ひどい環境でのひどい役柄の演技、の中でも、『Dignity』を失わない二人の気品に皆感動したのだと思います。