
【日時】2025.8.6(水)15:00〜
【 会場】ミューザ川崎シンフォニーホール
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】出口大地
〈Profile〉
17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門にて日本人初の優勝。クーセヴィツキー国際指揮者コンクール最高位及びオーケストラ賞受賞。関西学院大学、東京音楽大学指揮科にて学び、2023年ハンスアイスラー音楽大学
ベルリン指揮科修士課程修了。ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、アルメニア国立交響楽団等の指揮を経て、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会で日本デビュー。以降日本各地のオーケストラへデビューが続いてい
る。リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団のアシスタントコンダクター(2024/2025シーズン)。広上淳一、クリスティアン・エーヴァルト、パーヴォ・ヤルヴィ、ドナルド・ラニクルズ、井上道義、沼尻竜典、下野竜也各氏らの薫陶を受け、ベルリン放送交響楽団ではヴラディーミル・ユロフスキ氏のアシスタントを務めた
【独奏】前田妃奈 (Vn.)
〈Profile〉
2022年第16回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで優勝し、国際的に注目を集める新進気鋭のヴァイオリニスト。全日本学生音楽コンクール全国大会第1位、日本音楽コンクール第2位、東京音楽コンクール第1位など輝かしい受賞歴を誇る。11歳で関西フィルと共演。2022年から2023年には20カ国、60地域での演奏会、東京、大阪でのリサイタル、オーケストラと共演した。現在、小栗まち絵、原田幸一郎、神尾真由子の各氏に師事。公益財団法人江副記念リクルート財団第48回奨学生。第25回(2023年度)ホテルオークラ音楽賞受賞。第33回出光音楽賞受賞。現在、東京音楽大学アーティストディプロマコース在学中。使用楽器はサントリー芸術財団から貸与された1727年製ANTONIO STRADIVARI。
【曲目】
①ベートーヴェン:劇付随音楽『エグモント』op.84 序曲
(曲について)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770 ~ 1827)は1809年秋、宮廷劇場か
ら依頼を受け、ヴォルフガング・フォン・ゲーテの戯曲『エグモント』に音楽をつけた。
この物語は、16世紀に実在したラモラル・エグモント伯爵――スペインの圧政に苦しむオランダで活躍した英雄――をモデルとしている。彼の恋人クレールヒェンは反逆罪でとらえられ獄中にいるエグモントを救出しようとするものの失敗して服毒自殺し、エグモントも自由の勝利を悟りつつ処刑される、という悲劇である。
ベートーヴェンはこの題材に惹かれたことだろう。中心的なテーマである「人間の自由」は、彼の信念と共鳴するものだったからである。さらに「民族の解放」という点もベートーヴェンが強く関心を抱いた問題で、またナポレオン率いるフランス軍に占領されていた当時のウィーンの人々に共感をもって受け入れられたと思われる。
序曲はヘ短調。短調のなかでも、とくに悲劇的だと考えられていた調である。導入部付きのソナタ形式と捉えられるが、まるで劇のストーリーを予告するように音楽は進んでゆく。すなわち、ゆっくりとした導入部は不条理な圧政と人々の苦悩を、アレグロ主部は民衆の暴動や反乱を、コーダはエグモントの死、そしてヘ長調に転じたクライマックスは「勝利」の表現であるかのように響く。
②ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調 op.22
(曲について)
ヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835 ~ 1880)は、ポーランド出身のヴァイオリニストで作曲家である。幼い頃からヴァイオリンの才能を示し、8歳でパリ音楽院に入学、13歳から演奏活動を始め、生涯にわたってヨーロッパ中、さらにはアメリカ大陸にまで演奏旅行し、人気を博した。また指導者として、サンクトペテルブルクやブリュッセルの音楽院で活躍した。
卓越したヴァイオリニストであったヴィエニャフスキは、ニコロ・パガニーニと同様、ヴァイオリンのための作品が多い。それらはもちろん、ヴァイオリンの特性を知り尽くした者ならではの書法である。ヴァイオリン協奏曲第2番は、1862年に作曲され、同年サンクトペテルブルクで、自身のヴァイオリンで初演された。この演奏を聴いたツェーザリ・キュイは友人のミリイ・バラキレフに宛てて「私はまだあの最初のアレグロの衝撃から立ち直れていない」と書き送っている。
③ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92
(曲について)
「舞踏の神格化」――リヒャルト・ワーグナーは、彼の崇拝する作曲家の一人であるベートーヴェンの交響曲第7番をこう呼んだ。この言葉によく表れているように、この作品の大きな特徴は、踊るようなエネルギッシュなリズムである。1811年冬頃から1812年、つまり40代前半のベートーヴェンが書いたこの交響曲では、彼が若い頃からこだわっていた「リズム」という要素に徹底的に焦点が当てられているのだ。また、ドローン(低音での持続音)がしばしば用いられるのも特徴的で、それがどこか素朴な踊りの雰囲気を醸し出している。ちなみに、これは作曲者自身にとっても満足のいく作品であったようで、当時ロンドンで活躍していたJ.P.ザロモンに宛てた手紙で、「イ長調の大交響曲(私の最も優れた作品の一つ)」と言及している。
【演奏の模様】
①ベートーヴェン:劇付随音楽『エグモント』op.84 序曲
〇楽器編成:フルート2(セカンドがピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、二管編成弦五部14 型(14- 12-10-8-6)
この曲は、10分に満たない短い曲ですが、纏まりがいいのか、ちょくちょく演奏される曲です。ついこの間の4月に、サントリーホールで、主にウィーンフィルのメンバー30人による室内楽奏団(フォルクハルト・シュトイデ主宰)による演奏を聴いたばかりです。その時の記録を参考まで、文末に(抜粋再掲1)して置きます。
今回の演奏は、以下に(抜粋再掲1)した、ウィーンフィル関係の演奏の規模より3倍弱も大きい本格管弦楽団の演奏であり、しかも、オペラ関係の演奏は、お手の物と思われる東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で、さらにはオーケストラ音響は、そのすり鉢型ホールが故えのいい響きをすると思われるミューザシンフォニーホールですから、それ等の点では、不自由ないよく聞き慣れた調べが、自然とほとばしり出るいい演奏だったと思います。出口さんの指揮は初めて聴きましたが、若干平易に流れた感はありますが、この短い曲では、十分その医師が団員に伝達されていたと思われる過不足ない牽引振りだったと思いました。
②ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ短調 op.22
〇楽器編成:独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、二管編成弦五部12型(12-10-8-6-5)
〇全三楽章構成
第1楽章 Allegro moderato
第2楽章「Romance」 Andante non troppo
第3 楽章 Allegro con fuoco - Allegro moderato (à la Zingara)
前田さんの演奏は、数年前の日本音楽コンクールや東京音楽コンクールの時も聴く機会を逸っしたこともあり、今回は、主として前田さんの演奏をお目当てに聴きに行きました。
全体的にこの曲は、相当の高度な演奏技術を要するという事が、第1楽章に入った前田さんの演奏を暫く聴いただけで理解出来ました。作曲者のヴィエニャフスキ自体が超絶技巧で名を上げたヴァイオリニストであり、その技術を駆使して演奏したのみならず、作ったヴァイオリン協奏曲も、高等技術をそこかしこに嵌め込んでいるためです。 自分の素人目(耳か?)にもその辺りの大変さ、凄さが明確に理解できる演奏でした。前田さんは、見るからに自信に満ち、第1楽章から力強い弓使いで、やるせない調べと情感の篭った調べを巧みに取り合せた演奏を始めました。Fl.の合いの手が冴え冴えと響き、Hrn.の調べも適切、前田さんは、低音域では分厚い響きを、高音域では重音奏を交えたかなりの迫力で、また高音域から低音域に急低下する変化も見事なものでした。
結構長い管弦楽のみの終奏が行なわれ、次楽章の序奏に休みなしに続きました(一種の間奏曲的な存在か?)。その間ソリストは手を休め、時々指揮者や管弦楽団の方を見て、身体で拍子を取ったりしていましたが、その後Cl.の調べを切っ掛けとして、ソリストの第二楽章「ロマンス」の演奏が始まりました。染み染みとしたメロディをゆるやかに繰り出す前田さん、将に標題の通りのロマンティックな雰囲気に包まれました。最後は、Fl.の刻み音が寄り添い、静かにゆっくりと弓を降ろすソリスト、結構短い演奏(約5分)でした。そしてすぐに次の終楽章に進んだのですが、これが今回の演奏の中で、最も目を見張る圧巻の演奏でした。
第三楽章Allegro moderato (à la Zingara)は、冒頭から、管弦楽の強奏に合わせて完全に曲風に乗った速い旋律を、リズミカルに繰り出し、体で音楽を完全に消化し発散させた感がしました。猛スピードの速いテンポのパッセッジとゆっくりとしたパッセッジが織りなす、迫真の演奏は、途中一風民族調がハイブリドされている様な調べが、単にストバリからのみならずそれに前田さんの体が一体化した楽器、音発進装置から溢れる出すが如き雰囲気が醸し出されました。1楽章と2楽章も素晴らしいハイテク演奏でしたが、原因は分かりませんけれど、今一つ心に響くものが欲しかった気がしました。それがこの最終楽章を聴いて氷解した、腑に落ちた気持ちになったのです。
演奏が終わると、会場(最上階を除けば、かなりの観客の入りです)からは、大きな歓声・拍手・喝采が沸き起こりました。その後前田さんは、袖から戻ると、アンコール演奏をして呉れました。

(ヴィエニャフスキ−コンクールの映像から)
《ソリストアンコール曲》ヨアヒム『スコティッシュ・メロディ』

本演奏のヴィエニャフスキの時とは、うって変わって力を抜いた演奏で、静かな調べがゆったりと流れ出しました。変化があまり無いままゆっくりと閉じられました。短い演奏でした。超絶技巧だけでなく、こうした「心に訴える様な演奏」も出来ますよと言っている様にも思われました。出来ればもう少し長く聴いてみたい気もしました。
彼女のプロフィールを見ると、幼い時からステージに立ち、各種コンクールでは、立派な成績を納め、現在は、東京音大に在籍して、神尾さん他の先達の指導を受けている様ですから、今後の更なる成長が期待出来ると思いました。
《20分の休憩》
③ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op92
〇楽器編成:二管編成弦楽五部 14型(14-10-8-6-6)

〇全四楽章構成
第1楽章Poco sostenuto - Vivace イ長調
第2楽章Allegretto イ短調
第3楽章Presto, assai meno presto ヘ長調
第4楽章Allegro con brio イ長調
この曲は、ベートーヴェンの交響曲の中では、名称付(第九、英雄、運命、田園など)の作品にその有名度、人気度は、遅れを取っていましたが、我国では2000年初頭に二宮和子作の連作漫画で取り上げられ、その後テレビドラマ化されてその主題曲として7番が使われて以来、人気を博し、知名度も一気に上がった交響曲となりました。2010年には映画化もされ、その最終楽章後編では、主人公がパリに留学、パリを舞台として、ドラマと音楽がパリの名所を背景として映し出されたので、その映画を見に行った記憶があります。
またこの7番の管弦楽の演奏会は、そう多く開かれる程では有りませんが、時々演奏されるので、これまで機会と条件があえば聴きに行っています。これまでに聴いた演奏会で、コロナ禍の時の記録があったので、それを文末に(抜粋再掲2)して置きました。
第1楽章冒頭では、オケが第一声をジャンと鳴らした後、Fl.(2)⇒Ob.(1)にHrn.(2)の木管達が立上る希少な開始様です。最初のジャンの交響曲としての軽重を問えば、少し軽量すぎる気もしますが、その後のFl.(+Ob.)の付点テーマのソロが続き、軽く合いの手を入れた弦楽奏が、ひいては覚醒されたが如く全弦楽強奏を誘導し、初めてベートーヴェンの交響曲らしい力強さが発揮されたのです。第1Fl.奏者は、女性でしたが、②のコンチェルトの時も含め随分いい仕事をしていましたよ。その後は、如何にもベートーヴェンらしいオーケストレーションの展開で、出口・東フィルは、面目躍如の奮闘振りでした。付点の1楽章は、その後に至り登り詰める高みへの歩みのステップを踏むリズムとして、最適とベートーヴェンは考えたのかも知れませんし、上記(曲について)にある様に、ワーグナーの言を借りると、「舞踏の神格化」になるのかも知れません。
第2楽章は、やや暗さが籠もった何か民族音楽を取り入れたかの様な、ゆっくりとした楽章でした。この楽章が、初演時には、人気を博しアンコール演奏まで行われたとも謂われるのですから、分からないものです。Cl.のソロ音や他の木管の渋いアンサンブルも確かに味は有りますね。
第3楽章では、軽快な如何にもベートーヴェンらしい節回しで、スピード感のある推進をするのですが、出口・東フィルは、やや燃料不足かと一瞬不安になる箇所もありましたが、よく切り抜け疾走して駆け抜けました。
最終第4楽章は熱狂的なフィナーレで、第2楽章同様、同一リズムが繰り返し繰り返し反復され、アウフタクトでは弱拍となる2拍目にアクセントが置かれています。アイルランド民謡からとられた調べとも謂われます。このジャジャジャン、ジャジャジャン、の繰り返しは、映画「のだめカンタービレ」でも記憶をくすぐる一瞬の快感を惹起させる効果を感じました。
今回の演奏会は、戸外は灼熱の太陽により、人間の悪行を焼き尽くさんとしているかの様な日照りでしたが、ミューザの中では、涼しい空気を吸って何とか息返り、麗しい音楽のシャワーを一身に浴びて生きる活力を養った実感がしたことは、大変有難いことだと、感謝する気持ちで一杯でした。
本演奏が終わり、鳴り止まぬ観客の反響に応えて、アンコール演奏がありました。
《アンコール曲》ヨゼフ・シュトラウス『ピッチカートポルカ』
弦楽奏のみでしたが、大抵の場合記憶にあるか良く知っている曲なので、聴衆の反応はさらに歓呼と喝采の嵐となったのでした。

ところで話題はかわりますが、本日「立秋」の日は、住まいのある横浜では、思いがけず朝から風がかなり強く吹き、空模様も快晴とならず曇りがちで、気温も爆あがりせず、将に「風の音にそ驚かれぬる」の状況になった事は、慶賀の至りでした。今年は以外と秋の到来に期待出来るかもしれません。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////2025-04-26 HUKKATS Roc.(抜粋再掲1)
トヨタ・マスター・プレイヤーズインウィーン演奏会
【主催者言】
ウィーン・フィルのメンバーやウィーンを中心とする歴史ある楽団の世界最高レベルの演奏家30名が集結した室内オーケストラ。
「ウィーンの魔法に身をゆだねて」をテーマに、3種類のプログラムをご用意しました。
プログラムAは《芳しいウィーンの薫りをあなたに》
プログラムBは《愉悦のウィーン古典派 モーツァルトとベートーヴェンの調べ》
プログラムCは《壮麗なマーラーに抱かれて》
このツアーのためだけに特別編成された、30名の精鋭によるダイナミックな演奏を、そしてスペシャルな共演者による演奏をどうぞお楽しみください。
【日時】2025.4.23.(水)19:00~
【会場】サントリーホール
【管弦楽】トヨタ・マスター・プレイヤーズ イン,ウィーン 《構成員 計30名》
※はウィーンフィル歴奏者(客演歴奏者は除く)
<Vn.>フォルクハルト・シュトイデ(※)、ミラン・セテナ(※)、ホルガー・グロー(※)、ヴィルジニー・ビュスカイユ。ミヒャール・マチャシチック、シュケルツェン・ドリ(※)、アンドレアス・ノイフェルド、ラヘル・リリング、マリアン・ガスパー、
<Va.>エルマー・ランダラー(※)、ペター・サガイシェック、ロマン・ベルンハルト、
<Vc.>ペーテル・ソモダリ(※)、エディソン・パシュコ、エリック・ウメンホッファー、
<Cb.>ヨゼフ・ニーダーハマー、ミヒャエル・ブラーデラー(※)、
<Fl.>エルヴィン・クランバウアー、マティアス・シュルツーアイグナー、
<Ob.>ヘルベルト・マデルターナー(※)、ベルハルト・ハインリヒス、
<Cl.>アンドレア・ゲッチュ(※)、ペーター・ロイットナー、
<Fg.>ダヴィット・ザイデル、ビアンカ・シュースター、
<Hrn.>ロナルド・ヤネツィック(※)、ヤン・ヤンコヴィッチ(※)、
<Trmp.>ステファン・ハイメル(※)、ゲルハルト・ベルンドル、
<Timp.>ミヒャエル・ヴラダー
過半数はウィーンフィルに在籍及び客員した奏者から成ります。
【指揮】 ー(コンマス・シュトイデが牽引)
【独奏】フォルクハルト・シュトイデ(Vn.)
ウィーンフィル・コンマス 今回の演奏団芸術監督
<MESSAG>
親愛なる皆様、トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーンのコンサートにようこそお越しくださいました! 日本で皆様のために演奏できることを心より嬉しく思っております。私たちにとって、トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーンとしての演奏は、毎年恒例の大切な機会であり、音楽活動の中でも特別な意味をもつ瞬間です。
現代の世界では、信頼や安定、継続性を感じることが少なくなっているように思えます。しかし、ここ日本では、温かく、心のこもったおもてなしや、クラシック音楽への深い愛情と情熱を感じることができ、非常に感謝しております。このような素晴らしい皆様と出会い、演奏をお届けできることは、私たちにとって非常に貴重な特別な経験です。
音楽は、単に作曲理論に基づいた音の並びや、ハーモニーに過ぎないと考えることもできます。しかし、音楽はそれ以上のものであり、夢や情熱、感情を表現し、私たち人間に深い美しさや、哲学的な教え、心の安らぎをもたらしてくれる力を持っています。音楽は、言葉と同じように、私たちが感じるすべてのものを伝えるための大切な存在だと信じています。
皆様とともに、この音楽の世界をともに深く感じ、楽しんでいきたいと思ってます。
【曲目】プログラムB
①モーツァルト((1750-1791))『オペラ『後宮からの逃走』序曲 K. 384』
(曲について)
《割愛》
②モーツアルト『ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218』
(曲について)
《割愛》
③ベートーヴェン (1770~1827) 劇音楽『エグモント序曲Op.84』
(曲について)
フェルマータや休符を交えたおごそかな序奏からして胸をうつ。緊迫感や闘争性が見え隠れするアレグロの主部、それに烈しいコーダ(終結部)も私たちを魅了してやまない。
エグモントとは、16世紀オランダ独立戦争の際に反体制の烙印を押され、処刑された民衆派のエフモント伯のこと。この実在の貴族は、1780年代後半に文豪ゲーテの戯曲「エグモント伯爵」によって知られるようになった。
ウィーンに駐留していたナポレオン軍が撤退を始めた1809年夏、かねてからゲーテを愛読していたウィーンの宮廷劇場支配人が、ベートーヴェンに劇付随音楽の作曲を依頼する。
自由と正義のために暴政と闘ったフランドルの悲劇の英雄「エグモント伯爵」。彼の生き様を描いたゲーテの戯曲が、時代も次代も切り拓くベートーヴェンの創作心を鼓舞したことは想像に難くない。
④ベートーヴェン『交響曲 第1番 ハ長調 Op.21』
(曲について)
《割愛》
【演奏の模様】
【室内オーケストラの編成】Fl.(2) Ob.(2) Cl.(2) Fg.(2) Hrn.(2) Trmp.(2) Timp.(1)
1Vn.(5) 2Vn.(4) Va(3) Vc.(3) Cb.(2) 二管編成弦楽五部 5型
※前半の管楽器はFl.(1) Ob.(1) Cl.Hrn.(2)の 4名のみ
この演奏会に行くことにしたのは、昨年のウィーンフィルの演奏を聴いた時、コンマスのフォルクハルト・シュトイデがVn.部門を引張って、エネルギシュな演奏を一貫して行い、結果管弦楽全体の成果に大きく貢献している様子がまざまざと感じられ、又小編成での彼の演奏とソロ演奏は聴いた事が無かったので、今年11月のウィーンフィル来日に先駆けた演奏を聴こうと思ったからです。
①〜②及び④の【演奏の模様】は割愛。
③ベートーヴェン『エグモント』序曲
上記(曲について)にある様にこの曲は歌劇の序曲で10分程度の短い演奏でした。しかし短い割には、ドラマ性を帯びたダイナミックな響きが全面に出されたベートーヴェンの秀作です。この楽団は小編成にしては、十分過ぎる大きなアンサンブルの響きを発していて、シュトイデが牽引するVn.アンサンブルはパワフルそのもの、繊細な弱音アンサンブルも言うこと無しです。合いの手を入れる木管もタイミング良く美しい調べで合いの手を入れていました。中盤からの劇的に上行して、激情を徐々に顕わにするこの曲の一大聞かせ場も十分な聴き応えが有りました。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////2021-05-06HUKKATS Roc.(抜粋再掲2)
『ドイツ三大B名曲コンサート』を聴いて来ました。
表記の「三大B」とは、ここではブラームス、ブルッフ、ベートーヴェンを指し、それぞれの代表的曲の一つを演奏するものです。連休最後の祝日でしたが、主催者に電話で訊いたら、「蔓延防止対策実施中の神奈川県の指導に従って、座席数減などのコロナ対策を施して予定通り実施します」とのことでした。チケットは3月に購入していたものの、もしかしたら中止か延期になるかも知れないと思っていたので、予定通りということを聞いて、後は個人の責任でコロナに対する万全の注意をする他ないと考え、聴きに行くことにしました。
プログラムの概要は次の通りです。
【日時】2021.5.5.15:00~
【会場】テアトロ・ジューリオ・ショウワ(神奈川県川崎市)
【管弦楽】東京交響楽団
【指揮】大友直人
【独奏演奏】松田理奈(Vn)
【曲 目】
①ブラームス『ハイドンの主題による変奏曲Op.56a』
②ブルッフ『ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調0p.26』
③ベートーヴェン『交響曲第7番イ長調Op.92』
【演奏の模様】
会場に入ると、座席には交互に張り紙がしてあり、市松模様がはっきり見えました。1/2の席数の7~8割位は入っていたでしょうか。
器楽構成は、2管編成弦楽五部12型、ピツコロとトライアングルが入っています。弦奏者は一人を除き、皆さんマスクを付けて演奏しました。
①ブラームス『ハイドンの主題による変奏曲Op.56a』
《割愛》
②ブルッフ『ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調0p.26』
《割愛》
③ベートーヴェン交響曲第7番
個人的好みを言って済みませんが、この曲はベートーベンのシンフォニーの中で8番に次ぎ好きな曲です。如何にもベートヴェンらしさに溢れている。
〇第1楽章 Poco sostenuto - Vivace イ長調 序奏付きソナタ
フルートの楽しげなソロ部を聴くと、心が弾むようにうれしくなってしまいます。第1Fl奏者はとてもいい音で聴く者を魅了したのですが、若干精彩に欠けると感じました。もっと朗々と笛を鳴らしてもいいのでは?この感じは繰返しの箇所も他の箇所でも同じでした。Ob奏者は何処のオーケストラでもいい音を立てる人ばかりですね。今回も良かった。
〇第2楽章 Allegrettoイ短調 複合三部形式。
静的な静かな旋律ですが、シューマンはこの主題を基に変奏曲を作ったし、ワーグナーはこの楽章を「不滅のアレグレット」と呼んだそうです。何らしかの民族音楽をベースにベートヴェンは作曲したのではないかと考えてしまう程の何となく一風異質な調べを有しています。東京交響楽団はこの箇所はこれまでにない位滔々とした流れで全体的に押さえ気味に演奏しているように見えました。
〇第3楽章 Presto, assai meno prestoヘ長調(トリオはニ長調) 三部形式。
速いテンポのObの誘導の調べが心地良い。Timpの響きが効果的にHr.とFlの調べを誘い、弦のアンサンブルに引き継がれる処も軽快にオケは飛ばしました。相変わらず大友指揮は、微塵も動揺をみせず、悠然とオケを引っ張っている。何回か繰り返しを経た後あっさりと楽章は終了。
〇第4楽章 Allegro con brio イ長調 ソナタ形式(提示部反復指定あり)。
この楽章は、ベートーヴェンの本領を遺憾なく発揮している処だと思います。熱狂的なフィナーレ。第2楽章同様、同一リズムが執拗に反復され、指揮者はこの楽章で管弦の全力を引き出していました。流れる様な弦楽アンサンブルは、奏者が皆あたかも自己陶酔に陥ているが如く、気持ち良さそうに体をうねらせながら弓を動かしている。Obが切れの良い合いの手を入れ、Hr.も目立った動きをしています。弦はジャッチャ.ジャッチャ.ジャッチャ.ジャッチャと弓で弦を叩く様に音を出し、その後のOb.の相いの手も又良し、効果的でした。大友さんは先日のラザレフとは真逆で、多くは感情を体にも顔にも出さず、あくまで冷徹な指揮振りでしたが、流石抑え処はしっかり押さえていました。最後は力を振り絞って全力を傾けている感じで、管弦もこれにみごと答えた力演でした。ここもベートーヴェンらしく、これでもか、これでもかと何回も繰り返し、演奏のスピードを上げて、遂にはクライマックスに達して終曲となったのでした。このスリル感も応えられないですね。
鳴りやまない大きな拍手に答えてアンコール演奏がありました。演奏の前に大友さんがマイクを握り、大変な時期に聴きに来てくれた事への感謝と、三大Bというからには、バッハを抜かす訳にはいかない旨を語り演奏し初めました。大バッハ作曲『管弦楽組曲3番より<エアー>』でした。