3月5日(土)は、24節気の一つ「啓蟄」でした。冬の間、土の中でじっとしていた虫たちも、土の表面を覆っていた雪が解け、土自体に日が当る様になってくるため巣籠りの中まで暖かくなってきます。そうして春を感じた虫や、冬眠していた生き物たちが続々と動き出す季節なのです。
春を象徴する将にその日に、関東地方では暖かい十四、五メートルの強風が吹き「春一番」が認定されました。
しかし油断は禁物です。昨年と比べたら関東地方では、29日も遅い「春一番」なのだそうです。他の地方も遅いし、北海道、東北地方ではまだ吹いていません。要するに今年の春先は寒いと言えます。「寒の戻り」にも要注意です。三月でも四月でも関東地方に雪が降ったことも過去には有りました。2015年4月8日に降雪があり、2010年、2007年にも4月に降っています。
『梅の花 振り覆ふ雪を つつみ持ち 君に見せむと 取れば消につつ(万葉集10・1833) 』
『君がため 春の野に出て 若菜摘む 我が衣手に雪はふりつつ(古今集・春上)』
これらの歌の様に春はまた『相聞(=恋愛)』の歌が交わされる時期です。
若菜摘み等の風習はもともと古代中国の愛情表現の一つでした。紀元前の中国諸国の民謡や、周の国、春秋時代の魯及び宋の国の廟歌を集大成した『詩経』には、多くの相聞歌が集められています。
僄有梅 其實三兮 求我庶士 迨其今兮 頃筐歇之 迨其謂之
大意は、「投げかける梅の実が三つ籠の中にあります。私に求婚したい人はチャンスよ。投げつけたら(玉飾りを)返投して!私に求婚したい人、もう投げる梅が無くなった、返事だけでもして」
梅の実を男に投げつけ、その気があれば男が身に着けている玉飾りを返投して男女が結ばれる風習があったそうです。
そう言えば、中島みゆきのアルバムに「相聞歌」というのが有るらしい。