

今回のコンサートは、横浜市内13の区が抱えている各区の中・小音楽ホールの一つである「泉文化センターテアトルフォンテ」がオーディションを実施して決定した四名のレジデンスアーティストの就任披露のコンサートでした。このホールは近場にあり、出演者もオールピアニストで、主としてショパンやベートーヴェン、リストの有名曲を弾くというので、聴きに出かけました。

【日時】2024.6.19.14:00~16:30
【会場】テアトルフォンテ(横浜市泉文化センター内)
【出演】テアトルフォンテ・レジデンスアーティスト4人のピアニスト
〇瀬尾日菜多
<Profile>
5歳よりピアノを始める。
神奈川県立相模原弥栄高等学校音楽科を経て、現在、国立音楽大学 演奏・創作学科 ソリストコース3年在学中。
・日本クラシック音楽コンクール全国大会において(2016~2021)2023年度現在全国大会進出中。
・フレッシュ横浜音楽コンクールにおいてソロE部門銅賞(2021)同コンクール連弾S部門銅賞受賞(2022)
・第13回日本バッハコンクールにおいて予選最優秀賞受賞。
全国大会入選(2022)
・第47回ピティナ・ピアノコンペティション グランミューズ・Dカテゴリー(連弾部門)において本選優秀賞(2023)
これまでに、山田玲子、神津かおり、新納洋介の各氏に師事。
〇 増田和音
<Profile>
横浜雙葉中学・高等学校を経て、武蔵野音楽大学を卒業。
令和2年度武蔵野音楽大学福井直秋記念奨学金、給費奨学生。在学時、学内選抜演奏会に多数出演し、卒業演奏会及びよこはま新人演奏会に出演。
ショパン国際ピアノコンクールinASIAコンチェルトB部門アジア大会にて銀賞など、多数賞歴。
オーディション合格により、ザルツブルク夏季音楽祭アカデミー講習生として、アンドレアス・ウェーバー氏に師事。
これまでに、チェンバロを西山まりえ氏に、ピアノを紺屋なるみ、重松聡、丸子寛子、イリヤ・イーティン各氏に師事。
〇 東 祐輔
<Profile>
【プロフィール】
東京都出身。上野学園大学演奏家コースを卒業後、名古屋芸術大学大学院を理事長賞を受賞して修了し、現在は桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースにて研鑽を積んでいる。
第4回パデレフスキ国際ピアノコンクール in ファーミントンCT(米)第1位、第32回宝塚ベガ音楽コンクール第2位及び聴衆審査員賞、第18回ルーマニア国際音楽コンクール第3位など受賞する。
ババジャニアン、メトネル、ラフマニノフを収めたソロアルバムと、愛知芸術劇場にてライブ収録されたスクリャービンのピアノ協奏曲が、Apple Musicなどの各種サブスクリプションに配信されている。
現在、名古屋芸術大学契約助手、MPA音楽院講師を務める。
2021、22年度山田貞夫音楽財団奨学生。
〇桑原 花音
3歳よりピアノを始める。長野県小諸高等学校音楽科卒業。高校在学中に長野県小諸高等学校音楽科演奏会、小諸高校音楽科ウィーン研修旅行報告演奏会に出演。これまでにピアノを新納洋介、西田文子、渡辺由記子の各氏に師事。現在国立音楽大学演奏・創作学科鍵盤楽器専修(ピアノ)在学中。
【演奏曲目】
〇瀬尾日菜多
①-1ラフマニノフ: 10の前奏曲 作品23より第2番 変ロ長調、第5番ト短調
①-2ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 へ短調 作品57 「熱情」第2楽章・第3楽章
①-3シューマン:幻想曲 ハ長調 作品17 第1楽章
〇 増田和音
②-1ヴワディスワフ・シュビルマン: マズルカ
②-2ショパン:ノクターン20番 嬰ハ短調「遺作」 ②-3 ショパン:バラード第1番 ト短調 作品23 3-4 ・②-4ショパン: 華麗なる大ポロネーズ
<休憩>
〇東 祐輔
③-1ショパン:前奏曲 作品28より第15番「雨だれ」 ③-2 武満徹:雨の樹素描Ⅱ 「オリヴィエ・メシアンの追憶に」
③-3ショパン:バラード第2番 ヘ長調 作品38
③-4フォーレ: 即興曲 第2番 ヘ短調 作品31
③-5ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 作品35より 第1楽章
〇桑原花音
④-1シューマン: リスト 「献呈」 S.566
④-2シューマン:子供の情景 作品15より第7番 「トロイメライ」へ長調
④-3リスト:愛の夢第3番変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」
④-4ショパン: ポロネーズ第7番 「幻想」変イ長調 作品61
【演奏の模様】
このホールが泉区内にあるという事は以前から知っていましたが、今回が初めてです。駅から徒歩5分もかからない近い処にあり、席数360人程、以下の様な施設・設備が整っています。

照明設備も多く各種ライトがあり、効果機器、その他音響機材、舞台設備等も。必要に応じてオケピット、や緞帳なども設置可能です。従って、管弦楽のみならずオペラの上演等も可能とのことです。

アーティスト達の演奏は、前半2名、後半に名ずつ行われ、それぞれ3~5曲をトークを交えて行われました。
〇瀬尾日菜多
①-1ラフマニノフ: 10の前奏曲 作品23より第2番 変ロ長調、第5番ト短調
①-2ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 へ短調 作品57 「熱情」第2楽章・第3楽章
①-3シューマン:幻想曲 ハ長調 作品17 第1楽章
〇 増田和音
②-1ヴワディスワフ・シュビルマン: マズルカ
②-2ショパン:ノクターン20番 嬰ハ短調「遺作」 ②-3 ショパン:バラード第1番 ト短調 作品23 3-4 ・②-4ショパン: 華麗なる大ポロネーズ
<休憩>
〇東 祐輔
③-1ショパン:前奏曲 作品28より第15番「雨だれ」 ③-2 武満徹:雨の樹素描Ⅱ 「オリヴィエ・メシアンの追憶に」
③-3ショパン:バラード第2番 ヘ長調 作品38
③-4フォーレ: 即興曲 第2番 ヘ短調 作品31
③-5ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 作品35より 第1楽章
〇桑原花音
④-1シューマン: リスト 「献呈」 S.566
④-2シューマン:子供の情景 作品15より第7番 「トロイメライ」へ長調
④-3リスト:愛の夢第3番変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」
④-4ショパン: ポロネーズ第7番 「幻想」変イ長調 作品61
想像していたよりも各人、相当高度な演奏技術を身に付けていることが分かりました。
①の瀬尾さんは演奏も確実、トークが又良かったです。曲の和音や色調を実際にそのパッセッジをピアノで切り取って説明し、例えば、①-3のシューマン暗さも含包するけれど基本、明るい曲と言ってその通りに演奏しました。前半よりも中盤でシューマンらしさが良く出ていたし、最後の旋律はとても美しく響かせました。
増田さんのトークは理路整然とし、切れが良い説明、頭のキレが良いことが分かりました。自分の手が基本的にピアニストに求められる条件、手が大きく指が長いことから言うと失格だけれど、ピアニストになるのを諦めなかったのは、後身のピアノを学ぶ人で手が小さい人達に、手が小さくともピアニストに成れて、こうした曲を弾くことが出来るという励ましになればいいと思ってピアノを弾き又教えているとのことでした。最後の華麗なポロネーズでは、かなり超絶的な箇所も綺麗な速い表現で乗り切り感心しました。
③の東さんは、中でも一番経験のあるピアニスだと聞いていて分かりました。水に関する曲を集めたとのこと。ショパンは淡々と弾き通し、又武満の「雨の樹素描」も如何にも雨粒が天から零れ落ちて来る様なイメージを受けました。どういう訳か「雨に濡れて」というヴォーカル歌声を思い出しました。
③-4のフォーレの曲がとても良かった。曲自体の良さを、軽快な指使いとピアニズムで、特に後半の旋律奏が洒脱な雨のパリの日を思い出させて呉れました。
④は桑原さんです。last but not least!
桑原さんは、今回のレジデンス アーティストの中で、唯一の音大学部生です。トークでは曲のエピソードや曲の特徴、例えば、⑤-3では六度の跳躍音についてとかショパンを模している処もあるとか④-4では、幻想的な箇所とポロネーズの舞曲的箇所が入り混じっているとか等々・・・。
話には出て来ませんでしたが、まだお若いですから、やはり一番関心の有るのは ❝愛❞についてではなかろうかと思いました。従って❝愛❞に関する曲が選ばれたのでしょう、きっと。
これからもっともっと経験を積んでいいピアニストになって下さい。素敵な ❝恋❞も ❝愛❞ も経験して下さいね。