HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『キーシン・リサイタル2024』atサントリーホールを聴く

またもやキーシンは見(魅)せてくれました。

⭕️飛翻する表現力、溢れ出すエネルギー!!

⭕️目立ち難い27番を輝かせた魔術師!!

⭕️彫りの深いショパン描写ーショパンの喜怒哀楽をかくも深く掘り下げ描いた夜想風景は見たことなし!!

⭕️魔術師キーシンの描く現世超えの幻想大壁画!!

⭕️軽妙な新ブラ像!!

⭕️弾じけ躍るプロコの魂!!

 

止まぬキーシンの躍動、三アンコールに至る。

(1)ショパン:マズルカ イ短調 Op. 67-4

(2)プロコフィエフ:歌劇『3つのオレンジへの恋』より行進曲

(3)ブラームス:ワルツ第15番 Op. 39-15

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

【日時】2024.12.2.(月)19:00〜

【会場】サントリーホール

【出演】エフゲニー・キーシン(Pf.)

【曲目】

①ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 Op.90』

(曲について)

ライプツィヒの戦いでナポレオン率いるフランス軍が敗退したことにより、ヨーロッパの勢力図は大きく塗り替えられようとしていた。この頃、ベートーヴェンは各地で有力者らに囲まれ、名士としてその名が広く知れ渡るようになる。一方で、創作活動においては長期的なスランプに陥っていた。戦争に起因する様々な不都合、進行する聴覚の衰え、経済的な苦難、結婚への望みが絶たれたことによる失意により、作曲の筆は遅々として進まなくなっていたのである。さらにオペラ『フィデリオ』初演の準備にも時間を割かねばならず、これらが相俟ってピアノソナタのジャンルでは『告別ソナタ』以来、4年の歳月が流れていた。浄書譜には1814年8月16日と書き入れられている。

作曲者はこの頃から、発想表記にドイツ語を使用するようになる。並行して楽譜中への強弱や表現に関する書き込みが増加しており、自らの目指す音楽をより正確に記述しようという意志が窺われる。本作には中期の作品群とは性質を異にする情感が込められ、小節線をまたぐ長いスラーを付して歌謡的旋律を中心に据えた構成はシューベルトにも影響を与えた。第22番に続く全2楽章のピアノソナタであるが、短いながらも高度な作曲技法が盛り込まれている。また、2楽章制ソナタを数多く遺した師のハイドンへの回帰と考えることもできる。

曲はウィーン会議のイギリス代表に『ウェリントンの勝利』への報酬支払いを働きかけてもらったことに対する返礼として、モーリッツ・リヒノフスキー伯爵に献呈された。この曲はリヒノフスキーの恋愛譚を音化したものだと伝えられている。アントン・シンドラーによれば、ベートーヴェンは第1楽章に「頭と心臓との闘い」、第2楽章に「恋人との対話」と書くべきものだと語ったという。

 

②ショパン『ノクターン第14番 嬰へ短調 Op.48-2』

(曲について)

フレデリック・ショパンが1841年に作曲し、翌1842年に出版したピアノのための夜想曲。同時に出版された作品48-1に比べ抒情的な作品である。演奏時間は作曲者のノクターンで最も長い

 

③ショパン『幻想曲 へ短調 Op.49』

(曲について)

『幻想曲』(げんそうきょく:Fantasie)ヘ短調 作品49は、フレデリック・ショパンが1841年に作曲したピアノ独奏のための幻想曲。演奏時間は11分~15分。 

幻想曲とは元々、形式に捉われない自由な楽曲を意味し、バロック時代から多くの作品が書かれたが、その作風は時代によって変化してきた。バッハからモーツァルトに至っては、それは思いつくままに楽想を並べていったようなものであった。ベートーヴェンは自由な序奏の後、1つの主題が提示されて、それが何回も変奏され、発展していく形をとった[。しかし、ロマン派になると、逆にソナタの形を取る長大な作品に仕上げられた。シューベルトの「さすらい人幻想曲」や、シューマンの幻想曲などはまさしくその典型である。 そしてショパンはソナタ形式を基調としながらも、序奏や中間部が組み入れられるきわめて自由な作品に仕上げた。ショパンはバラードでも同じような形式を用いたが、それらが3拍子系であるのに対して、4拍子系であることから幻想曲とされた。

この曲の序奏のモチーフは、後にポピュラー音楽『雪の降る街』に援用されている。

 

④ブラームス『4つのバラード Op.10』

(曲について)

『4つのバラード』(Vier Balladen)作品10は、ヨハネス・ブラームス初期のピアノ曲集。ショパンやリストの劇的なバラードと異なり、叙情的な小品集となっている。1854年作曲の日付を持ち、親友で音楽家仲間のユリウス・オットー・グリムに献呈された。この曲集の作曲とほぼ同時期に、ブラームスの創作活動の船出を後押ししていた有名な作曲家ロベルト・シューマンの妻、クララ・シューマンへのブラームスの生涯にわたる愛が始まっている。

 

⑤プロコフィエフ『ピアノ・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.14』

(曲について)

ピアノソナタ第2番ニ短調作品14は、セルゲイ・プロコフィエフが1912年に作曲したピアノソナタ。前後の第1番や第3番がいずれも単一楽章で過去の習作を改作したものであるのに対して、第2番は4楽章からなり、新たに作曲されたものである。軽快なリズムや和音の扱いに、この時期のプロコフィエフの個性が現れている。

初演は1914年2月5日、モスクワでプロコフィエフ自身のピアノによって行われた。

 

 

【演奏の模様】

以下については、別途追記の予定です。


①ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 Op.90』

〇ニ楽章構成

第1楽章 速くそしていつも感情と表情をもってMit Lebhaftingkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck

第2楽章 速すぎないように、そして十分に歌うように Nicht zu

geschwind und sehr singbar vor-getragen

 
②ショパン『ノクターン第14番 嬰へ短調 Op.48-2』

 

③ショパン『幻想曲 へ短調 Op.49』

次の三つの部分から成る。

1.Tempo di marcia
曲は引きずるような序奏主題に始まり、ゆっくりとした葬送行進曲へ。

2.poco a poco doppio movimento
それが立ち止まったかと思うと、曲は2/2拍子となり、3連符のパッセージとなる。次第に曲は興奮して行き、ソナタの第1主題に発展する。ソナタは4つの主題があるとみることができ、第2主題は変イ長調、第3主題でハ短調から変ホ長調となり第4主題は変ホ長調となるが、それらは対比を意識したものではなく、1つの主題郡として、楽想が連続したものである。それが終わったかと思うと、再び経過部の3連符のパッセージが現れ、ハ短調と変ト長調で主題が一時的に再現される。しかし、そこから曲は急に落ち着きを見せ、三たび3連符のパッセージが登場する。

3.Lento sostenuto
ロ長調3/4拍子のコラールの中間部となる。しかしそれも長くは続かず、突然に打ち切られ、まもなく主題が変ロ短調で再現される。曲は提示部どおりの進行をし、その後3連符のパッセージから、変イ長調でコラール主題が出現し、そこからきらびやかな分散和音によって、変イ長調のまま閉じられる。

 

 《25分間の休憩》

 

④ブラームス『4つのバラード Op.10』

4曲のバラードは、同主調になっている2曲が2組組み合わされた構成となっている。

1.ニ短調 Andante
2.ニ長調 Andante
3.「間奏曲」 ロ短調Intermezzo. Allegro
4.ロ長調 Andante con moto


 第1曲は、ヨハン・ゴットフリート・ヘルダーの編纂した詩集『諸国民の声 "Stimmen der Völker" 』所収のスコットランドの民族詩「エドワード」に霊感を受けている。空虚5度やオクターヴ、単純な三和音の多用は、おそらく神話的な過去の雰囲気を与える効果が意図されており、ブラームスのケルト的様式(オシアン様式)の作品の好例の一つとなっている。

第二曲にはシューマンのクライスレリアーナ終曲へのオマージュが見られる。

ブラームスは、『6つの小品集』作品118の第3曲において、無言バラード様式を再び用いている。また二重唱曲『バラードとロマンス』作品75のバラードの1曲は、作品10-1の「エドワード」と同じ詩に曲付けされている。

 

⑤プロコフィエフ『ピアノ・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.14』

〇全四楽章構成

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ ニ短調 4分の2拍子 ソナタ形式
第2楽章 スケルツォ アレグロ・マルカート イ短調 4分の4拍子 三部形式
第3楽章 アンダンテ 嬰ト短調 4分の4拍子 三部形式
第4楽章 ヴィヴァーチェ ニ短調 8分の6拍子 自由なロンド形式