HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

1971回N響定期演奏会

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【日時】2022.12.4.(日)14:00~

【会場】NHKホール

【管弦楽】NHK交響楽団

【指揮】ファビオ・ルイージ

【独唱】藤村美穂子(メゾ・ソプラノ)

〈profile:引用〉

東京芸術大学音楽学部声楽科卒業、同大学院修了後、ミュンヘン音楽大学大学院に留学し研鑚を積む。在院中にワーグナー・コンクール(バイロイト)で事実上の優勝、マリア・カナルス・コンクール優勝など数々の国際コンクールに入賞後、2000年までオーストリア、グラーツ歌劇場の専属歌手となる。現在はフリーの歌手として世界中で大活躍している。

2002年、バイロイト音楽祭の『ニーベルングの指環』において、主役級としては日本人として初めてフリッカ(『ラインの黄金』、『ワルキューレ』)という主役に抜擢され、一躍注目を浴びる。その後も同音楽祭に毎年主役で出演し、9年連続出演という日本人初記録を立てると同時に、ワルトラウテ(『神々の黄昏』)、エルダ(『ラインの黄金』、『ジークフリート』)、ブランゲーネ(『トリスタンとイゾルデ』)、また2008年には新演出で『パルジファル』のヒロインであるクンドリーという超主役も2年連続で歌っている。

その他ミラノ・スカラ座、ロイヤル・オペラ・ハウスロンドン、ウィーン国立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ザルツブルク祝祭大劇場、ブエノスアイレス・テアトロ・コロン、フィレンツェ五月音楽祭、シャトレ劇場、マドリードテアトロ・レアル、ザクセン州立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ルツェルン音楽祭、ナポリ・サン・カルロ劇場、ジュネーヴ大劇場、エクス=アン=プロヴァンス国際音楽祭、ヴェローナなどの著名歌劇場、音楽祭に定期的に出演している。

また、コンサート歌手としてもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団他多数の楽団と共演している。

 

【曲目】

①ワーグナー『ウェーゼンドンクの5つの詩』

(曲について:引用)

1849年にドレスデンでの革命騒ぎによって故国を追われたワーグナーは、10年以上におよぶ亡命生活を強いられるが、スイス・チューリヒで、絹織物商の妻マチルデ・ウェーゼンドンクと巡り会う。1857年、このマチルデと密やかな愛を育んでいたワーグナーは、その愛の証を、滅多に作曲することのなかったピアノ伴奏歌曲集として世に遺した。マチルデ自身が手がけた詞とワーグナーの音楽には、当時2人が傾倒していたショーペンハウアーの厭世的な感性、そしてふたりの間でのみ共有されていた符牒(ふちょう)が隠されていた。
たとえば、第3曲〈温室で〉。ヨーロッパの王侯貴族の宮廷には、南国から運ばれた柑橘類の樹木を寒さから守るための「オランジェリー」があった。手が届きそうで届かない憧(あこが)れの南の国を、無理矢理にでも手許にとどめておきたいという、北方ヨーロッパ人にとってのはかない夢をかたちにしたもの。「虚ろ」な昼の光のありようを繰り返すこの詩からは、自分たちのいる場所はここではなく、本来あるべき場所へ赴きたいという、《トリスタンとイゾルデ》での恋人たちの嘆きに相通じる考えが見え隠れする。さらに、第5曲〈夢〉に見られる「宇宙の忘却と その記憶」という歌詞は、死の世界で「すべての忘却」を望む、《トリスタン》第3幕で吐露される主人公2人の望みとも重なり合っている。この音楽がそのまま楽劇の本篇に用いられたことで、2人の純愛の記憶は大作のなかに封印された。
なお、ワーグナーは第5曲〈夢〉を、小規模オーケストラのために管弦楽化した。指揮者フェリックス・モットルは、他の4曲を大規模なオーケストラのために、〈夢〉についてもワーグナーのそれを踏襲する形で管弦楽化している。(広瀬大介)演奏時間:約21分
作曲年代:1857~1858年
初演:初演:1862年7月30日、マインツ、エミリー・ゲナストのソプラノ独唱、ハンス・フォン・ビューローのピアノ独奏

 

②ブルックナー『交響曲第2番(初稿、1872年)』

(曲について:引用)

ブルックナーは、交響曲第1番のあと、1869年にニ短調の交響曲を作曲し、当初この作品に「第2番」の番号を与える意図を持っていたが、出来ばえに自信をなくしこの作品を封じてしまった(このニ短調の曲は、現在「交響曲第0番」と呼ばれている曲)。

この作品は1872年に初稿が完成し、同年、この稿による初演を第1交響曲に感動した友人である指揮者デッソフにより計画されるも中止された。理由は、パート譜を見たオーケストラ団員の一部から演奏不可能との意見がでるなど騒ぎが大きくなり、デッソフ自身も第2交響曲に対し十分な理解や共感を得られなかったことによる。そのため翌1873年に改訂がなされ、同年10月26日に、ブルックナー自身がウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して、この曲は初演された。

1876年、この曲の再演に際して細部の改訂がなされ、翌年にはヘルベックの助言により、この曲は大幅改訂された。その後、初版出版に際して1891年から1892年に細部の改訂がなされた。今回は、1872年の初稿で演奏するという。ルイージの意気込みが感じられます。

 

【演奏の模様】

①ワーグナーの歌曲

この歌曲は、(曲について)にある様に、亡命時代のワーグナーが、庇護者の夫人手ずからの詩に、麗しい歌の旋律を付けた珍しい歌曲です。藤村さんは、ワーグナーのオペラには、数多く出ている様なので、こうした歌曲は、好んでレパートリーに入れているのでしょう。これだけまとまったワーグナーの歌曲を聞く機会は、そうは無いかも知れません。彼女の歌曲を聞くのは、初めてです(ワーグナーのオペラは、何時、何処で何役だったかは、俄に思い出せないですが、国内上演を一度聞いたことがある様に思う)。

 今日の演奏は、流石最近はあちこちで活躍為れているだけあって、発声も声質も歌いまわしも安定していて、全体的に申し分ない素晴らしいものでした。特に第Ⅳ曲は、相当力を込めた歌唱、オケも金管の調べ等弦アンサンブル(弦楽五部14型)共々かなりの強奏でしたが、それに伍した強さもある歌唱でした。ただ独語文の冒頭の単語の発音の出だしの切れが曖昧な時がありました。ドイツ人の歌を聞くと単語発音がハッキリしています。(日本語だったら滑舌が良いに近いかな?)

これは些細なことで、歌唱により如何に歌詞の気持ちを吐き出すかが一番肝要なことです。それは、十二分に伝わってくる歌唱でしたから、流石と思いました。尚、歌唱の原文を参考まで、如何に記しました。

《全詩(独語)》

 

Ⅰ.Der Engel In der Kindheit frühen Tagen 
Hört ich oft von Engeln sagen, 
Die des Himmels hehre Wonne 
Tauschen mit der Erdensonne, 

Daß, wo bang ein Herz in Sorgen 
Schmachtet vor der Welt verborgen, 
Daß, wo still es will verbluten, 
Und vergehn in Tränenfluten, 

Daß, wo brünstig sein Gebet 
Einzig um Erlösung fleht, 
Da der Engel niederschwebt, 
Und es sanft gen Himmel hebt. 

Ja, es stieg auch mir ein Engel nieder, 
Und auf leuchtendem Gefieder 
Führt er, ferne jedem Schmerz, 
Meinen Geist nun himmelwärts! 
 

Ⅱ.Stehe still! 

Sausendes, brausendes Rad der Zeit, 
Messer du der Ewigkeit; 
Leuchtende Sphären im weiten All, 
Die ihr umringt der Weltenball; 
Urewige Schöpfung, halte doch ein, 
Genug des Werdens, laß mich sein! 

Halte an dich, zeugene Kraft, 
Urgedanke, der ewig schafft! 
Hemmet den Atem, stillet den Drang, 
Schweigt nur eine Sekunde lang! 
Schwellende Pulse, fesselt den Schlag; 
Ende, des Wollens ew'ger Tag! 

Daß in selig süßem Vergessen  
Ich mög' alle Wonne ermessen! 

Wenn Auge in Auge wonnig trinken, 
Sehe ganz in Seile versinken; 
Wesen in Wesen sich wiederfindet, 
Und alles Hoffens Ende sich kündet, 
Die Lippe verstummt in staundendem Schweigen, 
Keinen Wunsch mehr will das Innre zeugen: 
Erkennt der Mensch des Ew'gen Spur,  
Und löst dein Rätsel, heil'ge Natur! 
  

Ⅲ.Im Treibhaus 

Hochgewölbte Blätterkronen, 
Baldachine von Smaragd, 
Kinder ihr aus fernen Zonen, 
Saget mir, warum ihr klagt? 

Schweigend neiget ihr die Zweige, 
Malet Zeichen in die Luft, 
Unde der Leiden stummer Zeuge 
Steiget auftwärts, süßer Duft. 

Weit in sehnendem Verlangen 
Breitet ihr die Arme aus 
Und umschlinget wahnbefangen 
Öder Leere nicht'gen Graus. 

Wohl ich weiß es, arme Pflanze: 
Ein Geschicke teilen wir, 
Ob umstrahlt von Licht und Glanze, 
Unsre Heimat is nicht hier! 

Und wie froh die Sonne scheidet 
Von des Tages leerem Schein, 
Hullet der, der wahrhaft leidet, 
Sich in Schweigens Dunkel ein. 

Stille wird's ein säuselnd Weben 
Fullet bang den dunklen Raum: 
Schwere Tropfen seh' ich schweben 
An der Blätter grunem Saum. 
  

Ⅳ.Schmerzen 

Sonne, weinest jeden Abend 
Dir die Schönen Augen rot, 
Wenn im Meeresspiegel badend 
Dich erreicht der frühe Tod; 

Doch erstehst in alter Pracht, 
Glorie der düstren Welt, 
Du am Morgen, neu erwacht, 
Wie ein stolzer Siegesheld! 

Ach, wie sollte ich da klagen, 
Wie, mein Herz, so schwer dich sehn, 
Muß die Sonne selbst verzagen, 
Muß die Sonne untergehn? 

Und gebieret Tod nur Leben, 
Geben Schmerzen Wonnen nur: 
O wie dank'ich daß gegeben 
Solche Schmerzen mir Natur. 
  

Ⅴ.Träume 

Sag', welch' wunderbare Träume 
Halten meinen Sinn umfangen, 
Daß sie nicht wie leere Schäume 
Sind in ödes Nichts vergangen? 

Träume, die in jeder Stunde, 
Jedem Tage schöner blühn 
Und mit ihrer Himmelskunde 
Selig durchs Gemüte ziehn? 

Träume, die wie hehere Strahlen 
In die Selle sich versenken 
Dort ein ewig Bild zu malen; 
Allvergessen, Eingedenken! 

Träume, wie wenn Fruhlingsonne 
Aus dem Schnee die Blüten küßt, 
Daß zu nie geahnter Wonne 
Sie der neue Tage begrüßt, 

Daß sie wachsen, daß sie blühen, 
Träumend spenden ihren Duft, 
Sanft an deiner Brust verglühen 
Und dann sinken in die Gruft.

 

②ブルックナー『交響曲第2番』については、記したいこと多なので、後日じっくり書くことにします。