HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

追記・ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73<皇帝>』オピッツ演奏

 今日のコロナ新規感染者数は、東京2200人位、神奈川で550人位、全国では1万3千人を超える数で、恐ろしい勢いで全国的に感染拡大が続いています。ここ暫くは、大人数が集まる音楽鑑賞は控えようと思います。そうは言っても1月末から2月初めにかけて各種本格オペラが始まりますし、正直言って、行きたい気持ちも強くあります。オミクロンの強い感染をマスク着用だけでは防げないでしょう。空気感染という説がある位ですから。防毒マスクはウィルスを完全シャッタオウト出来るのでしょうが、付けている人はこれまで一度も街で見かけたことが有りません。まるでコロナとの戦争そのものになってしまう。あれって何か法律か条例に触れるのでしょう?安寧秩序・風紀違反でもなるのかな?                                オミクロン株に感染しても重症化が少ないとも謂われますが、その理由は肺に巣食うことが少ないためという説もある様です。肺は体温が高いため低い喉(冷たい空気に触れますからね)程着床が高くないのでは?という説です。勿論確たるエヴィデンスがある訳では無いのですけれど、そうするとこれまでのデルタ株などの時より、うがいによる殺菌効果が上がるのではないでしょうか?これは単なる個人的妄想ですが。自分としてはうがいを小まめにしようと思っています。でも某オペラハウス等の洗面所では、うがい禁止の張り紙が出ているところもありますね。飛沫が飛ぶという理由で。そうすると喉スプレーかな あと2週間くらいで感染拡大が止まって呉れるといいのですが。望み薄かな?

 ところで、昨年年末に聴いたオピッツさんのピアノ演奏の最後の曲の感想がまだ記していませんでした。年末年始にかけて他の音楽会に行くことが多くて、書く時間が取れませんでした。ここの処音楽会に行かないので時間が多く出来ました。やっと記録する事が出来た。記憶はやや薄れたところもありますが、当日の配布プログラムにメモしたものや、記憶を辿ったりして書きました。

 

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【日時】2021.12.29.

『ゲルハルト・オピッツBeetv.Pf.協奏曲』演奏会

 

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【演奏の模様】

③ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73<皇帝>』

 ③-1 Allegro                                         この第一楽章は全曲の半分程の時間が費やされる長い楽章で、ベートーヴェンが如何に意気込んで作曲したかが窺えます。冒頭の管弦の誘導に沿ってすぐピアノが華やかなスタート切りました。ひとしきり大上段に振りかざして太刀回りをしたオピッツは、指の動きはと見ると、派手な旋律にしては大きくない動きで柔らかく鍵盤をタッチしています。このピアノの序奏に次いで演奏はオケが引き継ぎ、これまた非常に格好いい印象に残る旋律の主題をVn、Va等弦楽アンサンブルで奏でObに引き継ぐのです。弦楽アンサンの後Hrの変奏が入ると管弦は再びテーマを繰返しオピッツの主題変奏に引き渡し、弦のピッツィを伴うピアノのカデンツア的独奏部分はかなりの力を指に込めて弾いていました。和音の斉奏的演奏を両手の強いタッチで鍵盤上を上向、下向を繰返す処は、オピッツはかなり指を立てて強打していました。ベートーヴェンの激しい心持ちが感じられる箇所でした。                                                それはそうと丁度この曲の作曲時期に、仏皇帝ナポレオンがウィーンを陥落させ占領したのですが、<皇帝>とはナポレオンを指すのでしょうか?いえいえそれは有りません。この時から遡ること6年前に作曲した「交響曲エロイカ」は、最初ベートーヴェンはナポレオンのフランス革命における英雄的奮闘を讃えたナポレオン賛歌の意味で「エロイカ」と名付けたものの、その後ナポレオンが権力を追求して皇帝に就任すると作曲者は激怒したというエピソードが伝えられている位ですから、あり得ない。  それではナポレオンに負けてウィーンから地方に避難していたオーストリア皇帝でしょうか。それもあり得ないことです。だってベートーヴェンはナポレオンのウィーン占領を怒っていたそうですから、逃げた皇帝のことは軽蔑していたでしょうし。従ってこの<皇帝>の命名は、後世このコンチェルトの持つ曲風をその様に捉えて命名されたと謂われるのが一般的です。でもこの第一楽章の華やかな曲想をベートーヴェンは(自宅近くを砲撃されたり、避難したりして)怒りに満ちて作った筈ですから、華やかさに裏打ちされている激しい感情を汲み取る必要があると思います。繰り返し繰り返し出て来る管弦の主題の何と激烈なことでしょう。思い付きで言うと、副題は<皇帝>でなく<憤怒を秘めるウィーン>かな?                             Hr.との重奏的な進行の後、管弦の再び主題に戻るアンサンブルからオピッツは、かなり力を込めて主題及び変奏を打ち鳴らし、上方へ競り上がり再度せり下がる速いテンポのメロディをオケと交互に競演して勢いのまま一楽章を終了しました。この辺りに来るとオピッツさんの疲れが若干感じられました。そりゃ疲れますよ、いきなり4番のコンチェルトを見事に弾き、次いで他の曲程慣れていないと思われる、Vnコンチェルトからの編曲を楽譜付とは言え弾きこなし、そして最後に一番の大曲5番のコンチェルトですから。疲れない方がおかしい。ここまでで聴く方は、“有難う御座いました。もう十分堪能しました。お疲れ様です”と心の中では思いつつ、残りの二つの楽章もどんな様子なのかさらに聴きたい気がしました。

③-2 Adagio un poco messo 

 冒頭、オケの静かなメロディがゆったり流れ、次いでPfがピアノもそれに合わせてしっとりと弾き始めたのですが、何か少しもやもや感が感じられました。切れ味がどうなのか?かなり疲れていますね。その後、管弦アンサンとPfが互いに主題変奏を伴奏的に及び相補う形でかけあい、管の静かないざないに導かれて静かに終了しました。それにしてもオピッツの太い指が鍵盤上を滑らかにすべって行き来し、何と慈愛に満ちた音を立てているのでしょう。 最後ピアノが、次にどの方向に行こうかどう出ようか一瞬ためらうかの様な試し弾きの如きパッセジを二つ程鳴らして、アタッカ的に第三楽章に突入しました。                             

③-3 Rondo Allegro- Piu allegro  

    アタッカ的にすぐオピッツは、同じ旋律をリズミカルにかなりのテンポと強奏で弾き始めました。管弦も相当の全奏で応じ、主題は何回か力強く変奏を伴い繰り返され、この辺りの記憶に留めやすい名曲とも言える旋律は。このコンチェルトを有名にした要因の一つで、オピッツも最後の力を振り絞っている感じで、かなり体を大きく揺すり、手、腕も今日一番の大きい感極まった動きで白黒鍵盤上を縦横無尽に駆け巡り弾き切りました。さすが!りっぱ!りっぱ!若干の綻びは見せても“天の衣は縫う事無し”すぐに繕われシームレスに戻るのでしょう。

  今日は聴く方もかなりの疲労感を体に残しましたから、まして況や弾く人をや。