【日時】2021.10.13.(水)19:00~
【会場】銀座・王子ホール
【演奏】東京シンフォニア・澤 亜樹
(構成)
第1Vn:内山 知子(コンマス)/横山 久梨子 / 伊草 まり子 / 長谷川 美夏 / 金澤 彩香
第2Vn:村上 教子(首席)/中橋 環 / 門田 瑠美 / 大芝 里枝 / 坂下 夏淑
Va:森山 千春 (首席)/間野 久美子 / 浅井 久美子 / 柳沢 朋子
Vc:吾妻 知奈 (首席)/巌 裕美子 / 中田 鉄平
Cb :杉山 綾 (首席)/松尾 聖悟
【指揮】ロバート・ライカー
(Assis指揮者:中田鉄平)
【独奏】澤亜樹(Vn)
【曲目】
①メンデルスゾーン : イタリア 序曲 作品74
②バッハ : ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
③ヴォーン ウィリアムズ : ひばりは舞い上がる
④メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
「東京シンフォニア」とは聞いたことのない名前なので、関係情報を調べたら以下の様な演奏グループでした。
Robert Rÿker has founded orchestras on three continents – the National Philharmonic of India, the North Bay Symphony in Canada, and the Tokyo Sinfonia. He has written over 500 musical arrangements,compositions and orchestrations.maestro Maestro Rÿker established the Tokyo Sinfonia in 2006 to raise the standard of performance, encourage the next generation and develop new audiences for music.
弦楽器のみの室内オーケストラです。弦楽室内オーケストラは美しい音色を奏でます。 残念なことに、弦楽室内オーケストラはその数が少ないため、コンサート用の演奏曲も少ないのが実情です。 演奏曲目数を増やすために、マエストロ・ライカーは東京シンフォニア用にスペシャルアレンジを続けてきました。
メンバーは19人。マエストロ・ライカーの願いは、豊かなサウンドのオーケストラ。芸術性に優れ、柔軟に対応でき、コストパフォーマンスが高く、出張演奏可能なオーケストラです。
【指揮者Profile】 ロバート・ライカー (Robert Ryker)
1960年、インディアナ大学を卒業と同時に、モントリオール交響楽団ソロチューバ奏者となり約2000回のコンサートで演奏。また、ピーバディ音楽院その他で指揮を学ぶ。1974年ボルティモア交響楽団指揮コンクール、1975年全米成人指揮コンクールで優勝。これまでに、モントリオール・フィルハーモニア音楽監督、カルカッタ交響楽団音楽顧問、新星日本交響楽団特別顧問を歴任。カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各地のオーケストラを客演指揮。また、ノースベイ交響楽団、アーツペリアンス音楽祭、カルカッタ交響楽団指揮シンポジウム、ノーザン音楽芸術協会、国際チューバ協会(T.U.B.A)の創設に携わり、ミニコンサートとして国際的に知られる聴衆増員プログラムの創設者でもある。1996年にはこれまでの音楽への貢献からナイト爵に叙せられた。
日本では、サントリーホールでのジャパン。シンフォニアとのコネセール・コンサート・シリーズの企画、東京カテドラルでのバッハ・ヘンデル生誕300年記念演奏会の指揮などの他、新日本フィル、東京フィルなどに客演。1997年のシーズンには、ジョルジュ・エネスコ・フィルとピッツバーグ交響楽団に客演した。1999年5月にはキエフ室内管弦楽団を指揮した。
【Vn独奏者Profile】
澤 亜樹
東京藝術大学附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部首席卒業。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞受賞。2006年、第17回パリ国際バッハコンクール・ヴァイオリン部門で第2位受賞。2010年より2年間、文化庁新進芸術家海外研修員として、英国王立音楽院に留学し、最高位のDiploma of Royal Academy of Music (DipRAM)を得て首席卒業。学内にて, Wilfrid Parry Prize, Roth Prize, Regency Award等多数受賞。2010/2011年度ロンドン交響楽団研修生。青山音楽賞新人賞、松方ホール音楽賞受賞。これまでに藝大フィルハーモニア管弦楽団、ウクライナ国立フィルハーモニー、関西フィルハーモニー管弦楽団と共演。2014年、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。修了時に大学院アカンサス賞受賞。東京文化会館にてデビューリサイタルを開催。現在、東京藝術大学音楽学部非常勤講師および藝大フィルハーモニア管弦楽団コンサートミストレス。カルテット・オリーブメンバー。
これまでにヴァイオリンを小林美恵、鷲見四郎、若林暢、ベラ・カトーナ、ジェラール・プーレ、ジョルジュ・パウク、玉井菜採、ペーター・コムローシュの各氏に、室内楽を岡山潔、河野文昭、大野かおるの各氏に師事。(東京藝大の澤学長とは、親子です)
【演奏の模様】
この王子ホールには、先月末に文化庁支援の『クラシック音楽が世界をつなぐ~輝く未来に向けて~動物の謝肉祭』を聴きに行きました。その日は祝日でしたが、今回は平日の夜のコンサートでした。演奏会のチラシには、指揮者より大きく澤さんの写真と名前が載っていて、しかも澤さんの名前の下に「ヴァイオリンセレナーデ」と書いてあるので、オヤッ?と思っていましたが、演奏を全部聴いてから、そうかこの音楽会は、澤さんがメンデレスゾーンコンチェルトのソリストを務めるばかりでなく、他の曲でも主役を務め、将に「澤リサイタル」なのだ、澤さんの夜想曲を聞く会なのだと理解した次第です。
①メンデレスゾーン 『イタリア 序曲 作品74』
指揮者はマイクを手にして、二、三人づつ五月雨的に入場する構成員の名前を読み上げて紹介していました。1Vn (5) 2Vn (5)Va (4)Vc(3) Cb(2)の編成です。今日は、澤さんが、良く知られた曲を弾くので、最初にメンデレスゾーンの珍しい曲を演奏します。と言ってからタクトを振りました。アンサンブルが、弦楽五部のみですが、全体的に中・低音中心のズッシリした重量感のある調べで、Vcの音もCbも演奏者が少ない割りには、効いていました。フーガ部分も良く流れ、フーッと息を抜く箇処も指揮者はタイミング良く誘導していました。最初から最後まで、メロディの流れが連綿と続く曲でした。弦楽団も指揮者も想像していた何倍もの素晴らしさです。
②バッハ 『ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
プログラムにソロ演奏者の名前がなかったので、この曲はコンミストレスが弾くのかと思っていたら、澤さんが出てきておもむろに弾き始めました。この曲は、良く知られた曲で、澤さんの紡ぎ出す音は、随分太い古典的な音で、バッハのこの曲に相応しいと思いました。でも割りと地味な感じ。ミニオケのアンサンブルがよくソリストに寄りそっている。指揮者は、結構な年配の方とお見受けしましたが、指揮する時は、若々しい動きで、きびきび手、体を動かしていました。
澤さんは、二楽章のゆったりとした調べを綺麗に響かせ、高音も細くなく幅のある音っした。それにしてもバッハの曲は素晴らしいですね、その素晴らしさを引き出している澤さんの力は並々ならぬものが有ります。
最後の楽章は、修飾音が鏤められた速いパッセージを、澤さんはかなり荒々しいと思われる弓使いで、弾く場面もありました。こんなに、力の籠もったバッハを聴いたのは、久し振りです。
③ヴォーン ウィリアムズ :『ひばりは舞い上がる』
この曲は知らない曲で、オケのみの演奏かと思ったら、また澤さんが出てきてソロ演奏しました。
冒頭の調べは、何か東洋風の趣きのある曲で、二胡の響きを連想しました。
確かに澤さんは、揚げひばりの鳴き声が響く情景が瞼に浮かぶ様を現出して呉れましたが、弦楽団の方は、いつものウイリアムの他の曲の様な太い大音量のアンサンブルは影を潜め、大人しいものでした。その様な曲に出来ているのでしょうけれど。
④メンデレスゾーン :『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64』
先月辻彩奈さんの弾く同じ曲を聴きましたが、澤さんは才能やキャリアだけでなくやはり年の功もあるのでしょうか、若い人より全体的として力強い安定した技術と表現力で、この名曲を弾ききり、女性の繊細さに加うるに、まるで男性奏者を思わす程の力演で荒々しさや強さを示していました。
尚、予定曲の終演後アンコール演奏が二曲ありました。
①ラフマニノフ『ヴォカリーズ』
②クライスラー『中国の太鼓』
これらの曲は、本演奏の印象から考えると、澤さんにピッタリの曲だと思いました。
処で、今日行った銀座は平日の夜でしたが、雨模様の天気のせいか、買い物客らしい人々は余り見かけず、観光客とおぼしき外国人も見かけませんでした。銀座大通りは閑散としていました。
コロナの第5波感染状況が急速に改善し、緊急事態宣言もすべて解除されて、今のところ第6波の兆しは見られないのですが、多くの人がまだまだ警戒を緩めていないのでしょう。コロナ感染の恐怖がまだ抜けないのです。昨日(10/12)の東京の新規感染者数は77人で四日連続100人を切りました。全国の各県でも半月前と比べたら、嘘みたいに減り感染者ゼロのところも出てきています。今回の減少はこれまでの第4波までと異なって、増加も急でしたが、減少はそれ以上の急カーブで落ち込んだのでした。東京都のグラフを見ると、急激に減少したことは一目瞭然です。ここで注目すべきは〇の部分、即ちピークの底の部分です。
これは7月17日付けhukkats記録「オペラ速報/ヴェルディ『ファルスタッフ』」の冒頭でも指摘したことなのですが、この図の〇のミニマム点が、このグラフ以前の時期の第1波、第2波、そしてグラフにも見える第3波、第4波までは、その底を繋げると一貫して増加する曲線に乗っていたのでした。しかしこの第5波の最小点、即ちここ数日の底では、増加曲線から外れて初めて減少したのです。上記の7/17日の理論(と言える程のものではないですが)によれば、五波以前の対策では見逃されて、防げていなかった感染要因(例えば感染経路不明など)が何らかの理由で無くなりつつあるということを意味します。それはワクチン接種が増えたことによるものか(でも集団免疫になる程の接種率ではなさそうです)、それともその他の要因(例えばコロナの変異が進み、何らかの増殖を阻害する変異形態を生み出し、自らの毒性、増殖力を自己阻害する方向に働いた、要するに自滅したという推測もある様です。)によるものなのか、現段階ではエヴィダンスが何もないので、分かりません。しかし良い傾向が出ていることは確かです。従って今後は、これまで通りの対策を続けて行けば、急激な増加の可能性は低くくなり、第6波の波もすぐには表れないのではないかと希望的観測をしています。
コンサートに戻りますと、ここ数年王子ホールには縁が無く、先月何年かぶりで来たばかりでしたが、今回はまた聴きたい音楽会があったので来たのでした。
今日は19時からのコンサートなのて、終演は21時頃になり、その時間には飲食店は閉まってしまうので、18時から18時半位に軽く夕食を食べなくちゃと思いながら、キョロキョロしながら、駅から’銀座の柳’沿いに歩いていました。
そしたら、昔懐かしい飲食店のカンバンが、高々と掲げられているのが見えるではないですか。
【三州屋】と書いてある。居酒屋です。あ~懐かしい!もう何十年になるのだろう。20~30年は経つのでは、昔は、先輩や友達と、よく飲みに行ったものです。数え切れないくらい。ありふれた日本の大衆居酒屋そのものですが、銀座の居酒屋ですから、小奇麗さは変わらないし、料理も相変わらず、周辺は皆ビル化し、すっかり昔の趣きはなくなったのに、今でも看板を掲げているとは、感心感心。通りから細い路地を入ると奥に有りました有りました、昔ながらの縄暖簾が。
その頃は隣に『並木座』という小さい映画館があったのですが、今は見当たらない。店に入ってメニューを見ると定食が有る様なので、きん目鯛の煮付け定食を頼みました。時間は30分しか無いのですが、余りの懐かしさに、飲み屋に入ったのだから、最少のアルコールを頼もうと考え、小徳利1本熱燗で頼んで、喉を流す様に急いで飲食したのでした。
キンメは姿煮ではなかったですが味は良かった。
そのせいか、コンサートを聴いている内に何回か眠気がもようしましたが、演奏が素晴らしかったので、居眠りをかきませんでした。