HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

スタンダール『イタリア紀行(1817年)』精読(遅読)Ⅸ

<ミラノ11月23日 >

 この一つ前の記事(前回<ミラノ11月20日>の記事参照)は、2ページ半50行に及ぶ(同じ記事の1827年版<10月4日>だと、サロンノやガレニャーノで見た絵画や庭園、彫像などの感想を追加して5ページ以上に及ぶ)紀行の中でも長大な記録を書き残した日ですが、この日は1827年版だと<10月6日>の日付です。この日は音楽院のホールで聴いた美しいカタラーニ夫人のソプラノコンサートについて記しています。

  前回、11月20日の記事で、スタンダールは“カタラーニ夫人が当地にやってきて、四回のコンサートが予告される。”と言っています。 プログラムは次の通りです。

【第1回目】              ①ポルトガッロ作曲『戦いを挑むラッパの響』            ②  同   作曲『私は涙をおさえたいのに』         

③パイジェッロ作曲『もはやわたしの心は感じない』

        
【第2回目】              ①プチータ作曲『後生だから、涙をおさえて下さい』              ②クレッシェンティーニ作曲『いとしの魂よ待って下さい』              ③パイジェッロ作曲『もはや私の心は感じない』 

              
【第3回目】          ①ポルトガッロ作曲『戦いを挑むラッパの響き』              ②****   『この苦き涙ゆえに』              ③モーツアルト作曲『おお、こころよい喜び』 

               【第4回目】          ①ポルトガッロ作曲『私は王妃』              ②ガッリ、コッリ嬢との三重唱『甘美な静けさ』              ③グリェルミ作曲ガッリとの二重唱『おおいとしき人よ』              ④ミッリコ作曲『川のほとりで』              ⑤プッチータ作曲、ガッリ、レモリーニとの三重唱『物思いにふけらないのはどんなとき』                             【第5回目】          ①チマローザ作曲『あのやさしい目』              ②モーツァルト作曲『なんと爽やかなそよ風』              ③ミッリコ作曲『草を食むのに飽きて』              ④ポルトガッロ作曲『わたしは涙をおさえたいのに』              ⑤モーツアルト作曲『そちらで握手をしましょう』              ⑥『甘美な静けさ』


 実際は五回のコンサートが行われたのでしょうか?それにしても今日の声楽コンサートと比べると、第1回から第3回の曲目は少ないですね。歌の間に何か別な演奏でもあったのでしょうか?それともスタンダールの記憶になく書けなかったのでしょうか?プログラムを見ながら書いたのでないことは確かです。それは作曲家を記していない歌が複数ある事から推測されます。
 それにしても、ほとんどの作曲家は今日知らない名前ばかりです。この中では、モーツアルトの名しか私は知りません。200年経つと人々から忘れられてしまう作曲家が多いのでしょうか?歌も然り、ここに記されているモーツアルトの歌も見当も付きません。第5回の②の曲は歌劇『イドメネオ』K366の第3幕中、「快いそよ風よ、私の愛しい人のところへ飛んで行って」でしょうか?この曲なら素晴らしくいい曲ですが。それかどうか分からない。

 モーツアルトは、スタンダールがこの記事を記した25年前には亡くなっていますから、4半世紀過ぎて、彼の声楽曲は、ミラノの大舞台の演目に取り入れられる位の存在になっていたのですね。モーツアルトの有名なオペラは演ぜられるまでには至っていません。19世紀中葉を待つことになるのでしょう。ミラノの王立宮廷劇場(スカラ座の前身)で、十四、五歳の時のマイナーな作品が、作曲の年に初演されてはいる様ですが。

 スタンダールは、待ちに待ったカタラーニ夫人の演奏を聴いて非常に感動し、“恐らく僕たちは、生きている間これに匹敵するものを聴かないだろう” とまで言っています。ただ周囲の “魂が籠っていない” という批判的な意見も知っていたので、べた褒めでなく何か奥歯にものが挟まった様な言い回しで褒めているのです。最後に “ナポリはもはや音楽の都ではない。それはミラノだ” という知人の言葉を引用して、自分がミラノにいて素晴らしい音楽に浸れる喜びを表しています。 

 このブログを書いている最中、今日もブエノスアエレス『コロン劇場』での演奏の配信がプッシュされてきたので見ながら書いています。オーケストラ(Orquesta Filarmónica de Buenos Aires)指揮(Carlos Vieu,)とソプラノ歌手(Aida Garifullina)の演奏が交互に行われています。若い綺麗な女性ソプラノ歌手は白とピンクのゴージャスなドレスを羽織り、聴衆の大人気を博して登場したものの、歌は今一つ発展途上と見受けられました。でも椿姫の瀕死のアリアは、声に伸びがあって良かった。観衆の反応も一番だったかな。オケは仲々いいですよ。どっしりとし、しっかりした指揮でした。

 ところで今日のNHKニュースによれば、コロナ感染者数は、先週と比べ大分減って来ているように見えます。

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2020.5.12.感染者数(NHK23時ニュース)

でもこれからPCR検査が増えていくそうですから、どうなるか、もう暫くその推移を見守る必要が有るでしょう。

  一方、昨日NBSからメールが入り、

「ミラノ・スカラ座オペラ公演」、「ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団特別演奏会」、「スカラ・フィルハーモニー管弦楽団」の本年9~10月の来日公演が見合わせになったというお知らせでした。

危惧はしていましたが、イタリアの感染状況が、ピークは越したとは言え、感染者数は20万人を超え、死者が3万人という激烈なものであったので、音楽どころではないのでしょう。我々も他山の石として、コロナ禍克服に全力を挙げなければなりません。