HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『鎌倉芸術館ゾリステン』演奏会

 今週の日曜日、「鎌倉芸術館ゾリステン」という演奏家グループの室内楽演奏を聴いて来ました。鎌倉に演奏会館があるとは人伝手に聴いておりましたが、行った時もなくその名前が「鎌倉芸術館」ということは今回初めて知りました。

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鎌倉芸術館外観

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エントランス

「ゾリステン」という名も時々耳にしますが、これまで聴きに行ったことが無いので、どんなものか興味も有りませんでしたし、意味も知ろうともしませんでした。プログラムの説明を見ると“鎌倉芸術館専属の弦楽アンサンブル”ということらしい。
 アクセスは、鎌倉駅でなく大船駅が近くて、それでも徒歩でたっぷり10分はかかったので遠い感じはしました。
 さてこの日の演奏曲目は①モーツアルト作曲『ディヴェルティメント』②シェーンベルク作曲『浄夜』休憩を挟んで ③ヴィヴァルディ作曲『四季』の三曲。
演奏者はVn:徳永二男、漆原朝子、漆原啓子、川田知子、藤原浜雄、磯絵里子、小林美樹、三浦章宏の8名、Vla:川本嘉子、川崎和憲、篠崎友美、田原綾子の4名、Vc:向山佳絵子、古川展生、富岡廉太郎、矢部優典の4名、B:吉田秀、佐伯洋裕の2名、Cemb:小森谷裕子
の総勢19名(曲によって出演者数に増減あり①13名 ②17名 ③19名?)皆さん相当のキャリア、実力と知名度を有する方が多い。
 曲目からして、Vnソロの部分が結構多い曲ばかりなので、パンフレットに一番大きな写真が、一番上に載っている徳永さんが、主役の演奏家かなと想定出来ます。演奏を聴いてやはり想像していた通りでした。徳永さんは名前は知っていましたが、確か昔N響でコンマスを弾いていたような気がしますが、N響コンマスも多くの奏者が代々代わっているのでほとんど覚えていません。演奏会も余り見かけないし、どんな演奏をするかは分かりません。(上記メンバーの中では漆原朝子さんの演奏は何回か聴きに行ったことがありますが、後は未知の奏者でした。いや川本さんは、昨年の堀さんの記念演奏会に出ていたかな?)
 ① のモーツアルトは聴き慣れた調べが流れ出ます。いつでもどこでも聴くモーツァルトの流麗な調べに、遜色ない綺麗な演奏でしたが、気になったのはVnの音に対し、Vcなどの通奏低音(と言っていいかな?)の響きがかなり弱かったということでした。従ってずっしりと響く筈のモーツアルトのアンサンブルがいつもとはやや違って聴こえた。考えてみたら、Vn8人に対しVc2人、Vla2人、B1人の編成ではどうしてもそうなりますよね。
② この曲を作曲したシェーンベルグは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したオーストリアの作曲家です。この人の曲は余り聴いていません。何故なら現代音楽は極少数の作曲家ものしか聞きたいと思わないので。この曲は弦楽六重奏(Vn2,Vla2,Vc2)曲として彼の初期の時代(1899年)に作曲され、オーケストラで演奏される室内楽合奏版の楽譜もある様です。弦楽四重奏(Vn2,Vla1,Vc1)で演奏されることもあります。詩に基づいた室内楽のための音詩という特異な音楽らしい。
 さらに調べると、1.Sehr langsam 2.Etwas bewegter 3.Schwer betont 4.Sehr breit und langsam 5.Sehr ruhig の構成から成り、約30分の長い曲です。詩の内容はどうも二人の男女の情交に関する月夜のやり取りに関してのものの様です。主役の男子は(恐らく)徳永さんが、女子は(多分)漆原(朝)さんが演じており、Vnのソロもデュオも情念のこもったしかも清浄な調べで演奏していた。特に徳永さんの音色は幅のある深い音質でした。Vlaとのデュオも良かった。Vlaが先導的して弦全体の音を引き出す場面が結構あり、またVlaの独奏がいぶし銀の様に光っていた処もありました。
 上記の5つの構成から見ても分かる通り、langsam ruhigという語からして、全体的にゆったりとした調べで進行し、その変奏もこの流れから多くは離脱しない穏やかな曲でした。シェーンベルグにもこんなに心地良い曲があったのだと感心しました。
③ の四季は録音を含めると数えきれない位聴いている曲です。昨年は、イ・ムジチの演奏を聴きに行きました。
やはり主役は徳永さんの独奏(これはヴィヴァルディのVnのためのコンチェルトですから)です。ずーとこの演奏会で徳永さんを聴いて、百戦錬磨の弓使い、指使いで縦横無尽に演奏するvirtuosoの感はあるものの、音質はやや大時代的で、これまで聴いている多くのヴァイオリニストの音質とは少しかけ離れている感がした。
「春」の冒頭の音を聴いておやと思ったのですが、その後の「夏」「秋」と進むにつれて安心して聴ける音を出していたので、後で考えると、あれは出だしだったので、音のテューニングはこれからという愛嬌ではなかったのかな?等と想像しました。
「冬」のlargoは、ゆったりとしたVn独奏の調べなので、一番好きな箇処ですが、矢張りスタート時の音に雑味を感じました。その他は完璧。99.9点の素晴らしい演奏かなと思っていたら、アンコールにまた同じ個所を演奏していました。今度は文句のな100点満点の演奏でした。

 それにしてもVnのメンバー数は多いですが、その他のパートは賛助出演を除いたらアンバランスなくらい少ないですね。バランスの取れたアンサンブルの音を出すためには、足すか引くかする必要が有るんではないでしょうか?

 演奏が終わって17:00頃なのですが、小腹がすいたなと思って外に出ると、大きく「おそば」の文字がビルに書いてありました。

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おそばの文字

中に入って、何を注文しようかちょっと迷ったのですが、「本かも南蛮蕎麦」にしました。先日公園の池でカルガモの子供たちを見たばかりなので、ちょっと気が引けたのですが、店主に訊いたら、”カルガモではありません。本鴨なので”というので。すき腹でもあり大変美味しかった。

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本かも南蛮蕎麦