『レクラタン 第3回 ピアノ演奏会』
【日時】2024年02月18日(日)14:00~
【会場】横浜市旭区民文化センター「サンハート」
【出演】南條菜々子、北原 郁朗
【曲目】
①「クープランの墓」より第5曲 「メヌエット」 / M.ラヴェル (北原 郁朗)
②「24のプレリュード」より前奏曲第15番《雨だれ) 作品28-15变二長調 / F.ショパン
(北原 郁朗)
③ ワルツ第5番 変イ短調 作品42 (南条 奈々子)
④ マズルカ第13番 イ短調 作品17-4 (南条 奈々子)
⑤ スケルツォ第1番口短調 作品20 / F.ショパン (南条 奈々子)
休憩 (10分間)
⑥ 幻想曲 D940作品103へ短調 / F.シューベルト (南條菜々子・北原郁朗) (連弾)
⑦ ポロネーズ第7番 作品61 変イ長調《幻想ポロネーズ) / .ショパン (北原 郁朗)
【演奏の模様】
この演奏会は、皆さん横浜市の学校(主として小・中学校)で、教職に就かれている先生方他からなるピアノ演奏家グループによるもので、コロナ禍以前は、グループ名を「クリンゲン」と称していました。その名称の時、一度聴きに行ったことがあります。その時の記録を、文末に《再掲》しておきます。
その後、コロナ禍が猛威をふるった時には、定期演奏会(年2回だったそうです)が中止になった年が多かったらしく、昨年(2023)再開した時には、メンバーが入れ替わったり、やめてしまった人もいた様で、そうした事から名称変更したのではないかと思います。名称変更してから今回が第3回目の演奏会の様ですが、ところが昨年開催した第二回目の時(案内が来たのですが、丁度他の演奏会が被っていて行けなかった)、開演中は、急に体調不良になった奏者が二人も出て、救急搬送されてしまったらしい(コロナかどうかは不明。今回の演奏が始まる前に、そうした話しをしていました)。従って昨年の演奏会は、突如中止に追い込まれてしまい、今回が一年振りの演奏会だそうです。
演奏の模様は、南条さん、北原さん両者とも、相当な腕前を発揮していました。特に北原さんは、どこでも演奏会を開ける程の技量と表現力を有し、恐らく音楽関係の道をかなり長く歩んで来たのではなかろうかと推測されます。現在はお勤めの傍ら練習に励んでおられるのでしょうが、まだまだお若く見受けられましたので、今後もたゆまずピアノ演奏の練習に励めば、相当の高味に達する可能性があると感じました。
一方南条さんは、非常に難しいスケルツオ1番を猛スピードで演奏されたのが一番印象的です。ミスをしてもごまかさないで、しっかりと正して演奏した姿勢には感心しました。別にコンクールではないのですから、持てる力を十二分に発揮した演奏を聴く人に届けれれば、聴衆にはその誠意が伝わると思います。確か「クリンゲン」の時も北原さん共々、演奏されていた様に記憶します。
今回は演奏者が2名と非常に少なかったので(「クリンゲン」の時は4名)、心理的にかなりの重圧、負担を感じていたのかも知れません。昨年の病人発生、演奏会中止の余波・影響が残っているのかも知れない。3年以上を経てやっとコロナも弱毒化して昔の日常生活に戻りつつありますので、今後は益々仲間を誘ってピアノ演奏を楽しまれんことを祈念いたします。
追記、先日ピアノ連弾演奏を様々な曲で演奏した大学の先生関係の演奏会を聴いて来ました。ピアノ連弾も種々様々あって、難しいですけれど仲々面白い分野だと思いました。今回は「シューベルト」の曲の連弾でしたが、お二人の息がぴったり合った非常に安定した演奏でした。特に、如何にもシューベルトらしく謳う箇所も見事に表現出来ていました。連弾は非常に楽しそうですね。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////// 2021-06-12HUKKATS Roc. 《再掲》『クリンゲンピアノ演奏会』
表記のコンサートは、プロのピアニストでなくて、大学で音楽を学び音楽関係の仕事に従事しながらピアノの鍛錬も続けているという、若手を中心とするグループによる年に一度の定期演奏会でした。今日は四人のメンバーが演奏しました。知り合いの関係者が出るというので、他に行くコンサートの予定も無い日なので、またこの会場が割りと近場の戸塚区にあるホールであることもあり、しかも演目がショパンやリスト、ドビュッシー、ラフマニノフなどの本格的曲から選んでいるので、聴きに行きました。演奏会の概要は次の通りです。
【日時】2021.6.12(土)14:00~
【会場】戸塚区さくらプラザホール(横浜市)
【出演】山村 結、南條 菜々子、柄澤 光葉、北原 郁郎
【曲目】
<演奏者Ⅰ 山村>
①F.ショパン:前奏曲 変ニ長調 Op.28-15《雨だれ》
②F.ショパン:バラード第1番 ト短調Op.23
<演奏者Ⅱ 南條>
③F.リスト:巡礼の年 第1年〈スイス〉S.160より《泉のほとりで》
④F.ショパン:バラード第4番ヘ短調Op.52
《休憩》
<演奏者Ⅲ 柄澤>
⑤C.ドビュッシー:ベルガマスク組曲
5-1 プレリュード
5-2 メヌエット
5-3 月の光
5-4 パスピエ
<演奏者Ⅳ 北原>
⑥S.ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.36(1931年版)
【感想】
皆さん想像していた何倍も素敵な演奏をしていました。学校などの通常の職場では8時間勤務でしょうから、その残りの時間と休日で、ピアノの鍛錬に時間を割くには皆さん、相当の強い意思と体力と、何よりも音楽が好きだという気持ちを持ち続ける継続力が人一倍強いのでしょう。技術的にも、表現力も相当なレベルに達していると思いました。Ⅰの山村さんの前奏曲は、やさしい、おっとりとした「雨だれ」で、聴いていてうっとりしました。次のバラード一番は指も良く動いていて力強さが出ていました。Ⅱの南條さんは、相当ピアノを弾きこなしている感のする音を立てて、リストの③の曲はキラキラする高音が印象的でした。弾くにつれ益々調子を上げ、バラード4番では和音は安定しリズムも良くて、天性のいい音楽性を感じました。
休憩後のⅢ柄澤さんは、冒頭から迫力あるタッチで1曲、2曲と弾き進み、圧巻は3曲目の「月の光」でした。この有名な曲を、1、2、とは全く異なるソフトで柔らかい表現力で心地良く弾き切りました。心で「ブラボー」と叫びました。
ラフマニノフの難曲を弾いたⅣ北原さんは、この日初めての男性奏者として、力強い高度な技巧的なテクニックを駆使して物凄いエネルギーで力演していました。聴いていて手に汗握る感がした。演奏後、北原さんは、力を出し切った様子で、ふらふらしている様子でした。
この演奏会を聴いて思った事ですが、日本にはこうした仕事も音楽も立派にこなしている人たちが、随分多くいるだろうなということです。プロの人気演奏者になる人は音楽人口のほんの一握り。これは何も音楽に限らないことです。その分野の頂点を目指すも人生、少しでも向上し音楽を楽しむ生活をするのも人生、優劣などつけられません。すそ野の広い山は全体として高みを際立たせ、見事な全体像を浮かび上がらせるでしょう。富士の山の様に。