今日10月24日(火)から、二十四節気の「霜降(そうこう)」に入ります。歴書に依れば、❝霜降は旧暦九月戌の月の中気で、新暦十月二十三日ごろです。秋も深まり、早朝など所によっては霜を見る様になり、冬の到来が感じられます。❞とあります。 霜降は文字どおり「霜(しも)が降(お)りるようになる頃」、北海道や山間部などでは、実際に霜が降り始めます。 関東地方でも今日(10/24)の北部山間地域、例えば山間部では冷え込みが 一段と増し 、最低気温が平年より低い所が多く、栃木県日光市で2.1℃、群馬県田代では1.9℃を記録しました。これはその地方の山あいでは十分霜の降りる気温を意味します。霜が降りることにより、木々の葉は一層紅葉の色づきが濃くなります。気象庁の「紅葉見頃情報」によると、栃木県の日光・いろは坂・華厳の滝や那須・塩原高原・渓谷などは見頃に近いそうです。
古来、緑の葉が深い赤や黄色に染まる紅葉は、日本の和歌はもとより、中国の漢詩などで多くの詠み人によって韻文で表現されてきました。
次の晩唐の詩人、杜牧による七言絶句は高校の多くの教科書にも掲載され、非常に有名なので、記憶がある人も多いと思います。
杜牧〈山行 〉
遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花
遠く寒山に上れば石径斜めなり
白雲生ずる処人家有り
車を停めて坐に愛す楓林の晩
霜葉は二月の花よりも紅なり
ここで「楓木」は文字通りかえでの木の林
「二月の花」は新暦三月の桃の花です。
杜牧の色彩感覚に驚かされます。清少納言並みの芸術性。杜牧の芸術的感覚は、以下の詩によっても明らかです。これは確か中学の教科書にもあった様な気がする。特に❝スイソン サンカク シュキノカゼ ナンチョウ シヒャク ハッシンジ❞という語呂が良くて何回も口ずさんだ記憶があります。
杜牧〈江南春〉
千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少樓臺煙雨中
最初の行では、恐らく生垣でしょうか、その辺を飛び交う黄色い鶯を見ると、緑の葉の中に赤い花が咲いている近景、それに対し目を遠くに向けると、多くの寺院が煙雨にけぶり、酒処の旗が風にハラハラと揺られている山水画の様な遠景、この対比が油絵と墨絵を並べた様な贅沢な美的鑑賞を味わいさせてくれる見事な詩なのです。