最近のわが国でのクラシック演奏会のチケットは、何カ月も前に売り出され、それでも人気演奏会は買い手が多く、売出しと同時に即売り切れになる場合も珍しく有りません。そして演奏会までの長い期間には、様々な事情により予定していた通りに出来なくなり、予定変更が為されることも往々にしてあります。コロナ禍が猛威をふるっていた時のような、演奏会中止は流石に少なくなりましたが、今でもリサイタルなど代役がきかない演奏会では中止はあり得ます。
主催者の最近のアナウンスを見ると、例えば、ウィーンフィル来日公演では、次の様に、指揮者変更になりました。
❝フランツ・ウェルザー゠メストが癌治療のため10月下旬から年末までの演奏活動を全てキャンセルすることになりました。代わりまして、トゥガン・ソヒエフが全公演指揮いたします。❞
指揮者変更は、国内オーケストラでも珍しくなく行われていますが、通常はその際のチケット払い戻しはされません。購入の際の条件として、そうした場合払い戻ししない旨が書いてある場合が多いからです。ところが、ウィーンフィルの場合、払い戻しを行うそうです。それだけ、メストさんの指揮を聴きたくて、チケットを買った人が多いという事でしょうか?最近の感じとしては、ウィーンフィル=メストという式が成り立つからかも知れない。
一方、一部のキャスト変更が、最近新国立劇場(NNTT)オペラで発表となりました。10月1日から始まる『修道女アンジェリカ』の公爵夫人に予定されていたマリアンナ・ピッツォラートが本人都合で来日出来ず、代役として斎藤順子さんを充てるという事の様です。そういうことも有るでしょう。しかしここ数年、NNTTのオペラでは、キャスト変更が多過ぎることが話題になっていた様に思います(極く最近では変更なしの来日外人の活躍も目立っていましたが)。タイトルロール役を含め何人ものキャストが来日不可となった場合は、払い戻しをしてもいい様な気もします。特に「国立」なのだから。
また軽微な変更としては、演奏曲目の変更や演奏順の変更なども有りました。最近では、9月30日(土)の『ソニア・ヨンチェバ リサイタル』で幾つかの曲目変更が発表されました。自分が聴きたい曲が新たに入ったので、むしろ変更して呉れてTHANK YOU です。
また過去には変更というよりも、何もアナウンス無しで予定曲を全く演奏せず、全曲別な曲を演奏した例もあり、この時は流石に驚きましたし、世上論議が渦巻いたのでした。流石にこの時は、主催者は払い戻しを余儀なくされましたが。
何れにせよ、世の中絶対変更ない等という事は有り得ませんし、状況によって変化する又は変化させるのが世の常ですから、ああ無常!などと嘆くこと勿れと最近は思っています。ああ無常で思い出しました。気のきいた面白い本の表紙を。