HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

NNTTオペラ『ラ・ボエーム』三日目鑑賞

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〇Introduction(主催者)
パリの屋根裏部屋に灯った美しい恋
美しくも儚いラブストーリー
 19世紀パリを舞台に、詩人ロドルフォとお針子ミミの純愛、そして明日の成功を夢見る若き芸術家たちの貧しくも自由な生活を描いた青春オペラ。プッチーニならではの甘美な音楽がロマンティックな物語を紡ぎます。「冷たき手を」「私の名はミミ」の名アリアが綴る出会いのシーンは、数あるオペラの中でも最も美しい愛の名場面。クリスマスのカルチェ・ラタンの喧騒、別れを決意した恋人たちの美しくも悲しい四重唱、涙を禁じえないラストシーンと、見どころは枚挙にいとまがありません。当時のパリを写実的に再現した舞台美術は、粟國淳演出の大きな見どころで、各幕ごとに丁寧に練りこまれた心理描写が深い感動を誘います。
 ミミには欧州で活躍するアレッサンドラ・マリアネッリ、ロドルフォには2019年『蝶々夫人』ピンカートンの端正な表現で魅了したスティーヴン・コステロが出演。指揮は大野和士芸術監督自らが当たります。

【日時】2023.7.2.(日)14:00~

【会場】NNTTオペラパレス

【演目】プッチーニ『ラ・ボエーム』全4幕

全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
【公演期間】2023年6月28日(水)~7月8日(土)
【予定上演時間】約2時間50分(第1・2幕65分 休憩25分 第3幕30分 休憩20分 第4幕30分)

【管弦】東京フィルハーモニー交響楽団【指揮】大野和

【公演日程】
2023年6月28日(水)19:00
2023年6月30日(金)14:00 
2023年7月2日(日)14:00
2023年7月5日(水)14:00 
2023年7月8日(土)14:00 
 .
【演出】粟國 淳

【舞台監督】髙橋尚史

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団【指揮】大野和士

【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団

【合 唱】新国立劇場合唱団
【美術】パスクアーレ・グロッシ
【衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】笠原俊幸

【出演】

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(ミミ)アレッサンドラ・マリアネッリ
(ロドルフォ)スティーヴン・コステロ
(マルチェッロ)須藤慎吾
(ムゼッタ)ヴァレンティーナ・マストランジェロ
(ショナール)駒田敏章
(コッリーネ)フランチェスコ・レオーネ

(べノア)鹿野由之
(アルチンドロ)晴 雅彦
(パルピニョール)寺田宗永

 

【粗筋】

《第一幕》

パリにある、ボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋。クリスマス・イヴ。

 画家・マルチェッロと詩人・ロドルフォが火の気の無い部屋で仕事をしている。寒さに耐えかねてロドルフォが売れ残りの原稿を暖炉にくべる。「世界の損失だ」などと軽口をたたいていると哲学者コッリーネが帰ってきて、何も金になることがなかったとぼやく。そこへ音楽家ショナールが食料・薪・煙草などを運ぶ従者たちとともに意気揚々と入ってくる。ショナールはこれらをどうやって稼いだかを得意げに語るが、誰も耳を貸さず貪るように食料に飛び付く。しかし、ショナールはワイン以外は取り置いて、「今夜はクリスマス・イヴなのだから、皆でカフェ・モミュスに繰り出そう」と提案し、一同大賛成する。

 そこへ家主のブノアが未払い家賃の催促にやってくる。ボヘミアンたちは家主にショナールの金を見せて安心させ、ワインをすすめておだてる。家主が酔った勢いで、妻があるにもかかわらず浮気をしていたことを語ると、一同憤慨したふりをして家主を部屋から追い出してしまう。

 彼らは家賃になるはずの金をカフェ・モミュスでの飲食費として分けあう。皆出かけるが、ロドルフォは書きかけの原稿があるといって1人残って書きつづける。

 そこに誰かがドアをノックする。お針子のミミがカンテラの火を借りに来たのだが、めまいを起こして床に倒れ込む。ロドルフォに介抱されて落ち着いたミミは火を借りて礼を言い、立ち去る。しかし、彼女は鍵を落としたといって戻ってくるが、戸口で風が火を吹き消してしまう。再度火を点けようと、近寄ったロドルフォの持つ火もまた風で消えてしまう(ロドルフォが、わざとローソクの火を吹き消す演出もある)。しかたなくふたりは暗闇で鍵を探す。ロドルフォが先に見つけるが、彼はそれを隠しミミに近寄る。そして彼女の手を取り、はっとするミミに自分のことを詩人らしく語って聞かせる(「冷たい手を」)。続いてミミも自己紹介をする(「私の名はミミ」)。一向に降りてこないロドルフォを待ちかねた仲間が「まだか」と声をかける。ロドルフォは「今ふたりでいる、直ぐに追いつくから席を2人分取っておいてくれ」と言う。仲間たちは気を利かせて先に行くことにする。まだ愛を確認したいロドルフォだが、ミミが仲間と一緒に行きたいと言うので後を追ってパリの街に出かけることにする。ふたりの愛情のこもった二重唱で終了。

《第二幕》カフェ・モミュス
クリスマスを祝う群衆で賑わう通りで、物売りが口々に声を張り上げている。ボヘミアン仲間はカフェに集まり食事を始める。ロドルフォはミミに帽子を贈る。そこにマルチェッロの元の恋人ムゼッタが金持ちのパトロンのアルチンドロとともにやってくる。

彼女は頻りにマルチェッロの気を引こうとする(「私が街をあるけば」)。マルチェッロはそれを意地でも無視しようとするのでムゼッタはさらに誘惑を続け、アルチンドロはうろたえる。ついにムゼッタは靴がきつくて足が痛いと騒ぎ出し、アルチンドロを靴屋へ修理に行かせる。さきほどからムゼッタへの想いを絶ちきれずにいたマルチェッロと邪魔者がいなくなったムゼッタは互いに抱きあう。彼らは勘定を済ませようとするが、手持ちの資金が底をついている。ムゼッタは自分と彼らの支払いをアルチンドロに払わせることにする。そこへ帰営する軍隊の列が通りかかり、その見物の喧騒に紛れて逃げることにする。マルチェッロとコッリーネは片足はだしで歩けないムゼッタを抱え列の後を追い、周りで見ていた人々はその意気揚々とした姿を見て喝采を送る。その他の人々も列の後を追う。全員が立ち去った後アルチンドロが靴を持って戻りムゼッタを探す。ギャルソンが彼に勘定書きを手渡すと、アルチンドロはその額に驚き、そしてその場に誰もいないのを知って、その場で椅子に座り込み第2幕を閉じる。

《第三幕》
アンフェール門(ダンフェール・ロシュロー広場)の市外との関税所前。翌年2月。

明け方。衣服行商人が市内にやってくる。他にも様々な商人の行き来がある。居酒屋でムゼッタの歌声が聞こえる。ミミが登場し激しく咳き込み、居酒屋にマルチェッロを訪ねる。彼はここで看板を描いているという。ミミはマルチェッロに、ロドルフォとの生活がうまくいかない悩みを打ち明ける。彼は嫉妬深く、自分に冷たいというのだ。ついにロドルフォは昨夜ミミを置いて家を出たという(「助けてマルチェッロ」)。マルチェッロは、ロドルフォは宿屋で眠っていると答える。そこへロドルフォが目を覚まし、マルチェッロを探しに出てくるのでミミは隠れる。ロドルフォはミミのことを問うマルチェッロに、彼女の病気が重く、自分と暮らしていては助からないので別れなくてはならないと打ち開ける。

マルチェッロは陰で聞いているミミのことを案じ、彼を黙らせようとするが彼女はすでにロドルフォの話をすっかり聞いてしまう。彼女が泣きながら咳き込むのでロドルフォも彼女に気付き、心配しておおげさに言っただけだから心配ないと彼女を慰める。

居酒屋のムゼッタの嬌声を聞いてマルチェッロが店に駆け込む。彼は彼でムゼッタの奔放な性格に手こずっていたのだ。

ふたりきりになると、彼の配慮を感じたミミはロドルフォに別れを告げる。以前住んでいた屋根裏部屋に戻ること、身の周りの細々したものを誰かに取りに行ってもらうことなどを淡々と語るが、「以前買ってもらったあの帽子だけは、良かったら私の思い出にとって置いて欲しい」と別れを言う(「あなたの愛の声に呼ばれて出た家に」)と、ロドルフォも彼女をいたわりつつ別れの言葉をかわす(「さらば甘い目覚めよ」)。ふたりの歌に並行して、居酒屋から出てきたムゼッタとマルチェッロが激しく言い争って喧嘩別れして行く。ロドルフォとミミが第1幕最後の愛の言葉を交わす二重唱の一節を繰り返して幕が下りる。

《第四幕》
再び屋根裏部屋。数か月後。

ロドルフォとマルチェッロが仕事をしているが、ふたりとも別れた恋人の事が思い出されて仕事にならない(「ああミミ、君はもう戻ってこない」)。ショナールとコッリーネが食料を持って帰り、4人はいかにも豪勢な食事であるかのように芝居をしながら食べる。演技に興じて決闘のまねごとをしているところに、ムゼッタが血相を変えて駆け込んでくる。

ミミと戸口までいっしょに来たが彼女は今そこで倒れた、というのでロドルフォは急いで助けに行く。ムゼッタは金持ちの所で世話になっていたミミが、死ぬ前にひと目ロドルフォに会いたいというので連れて来たことを3人の仲間に語る。ミミはロドルフォ、仲間たちとの再会を喜ぶ。彼女をベッドに寝かせると、ムゼッタはミミの手を温めるためのマフを取りに、マルチェッロはムゼッタのアクセサリを売って薬を買うために揃って出て行く。コッリーネは瀕死のミミのために自分の古着を質に入れようと、ショナールを誘って部屋を去る(「古い外套よ」)。

ふたりきりになると、ミミはロドルフォに話しかける(「みんな行ってしまったのね」)。ロドルフォが例の帽子を見せるとミミは喜び、2人の出会いと幸せな暮らしのことを語りあう(「ああ、僕のミミ」)。しかしミミは再び気を失い、ロドルフォが声を出すと外で様子をうかがっていたショナールたちが駆込んで来る。ミミは再び目覚め、ムゼッタが持ってきたマフで手が温まると喜ぶ。そのまま眠りにつくミミの傍らでムゼッタは聖母マリアに祈る(ムゼッタの祈り)。ショナールがふとミミを見ると彼女はすでに息絶えていた。そっと皆に知らせると、ロドルフォは周りのただならぬ様子に事態を察し、ミミの亡骸にすがりついて泣き臥す。さきほどのミミが歌ったモティーフをオーケストラが強奏で繰り返して幕となる。

 

 

【上演の模様】

 同じ演目の『ラ・ボエーム』は、先月中旬に『パレルモ・マッシモ劇場』の来日公演で観たばかりです。今回は新国立劇場上演です。 主要キャストは、来日外国歌手(マルチェッロは須藤さん)ということなので、別な観点からも鑑賞出来るかなと思い見に行くことにしました。

 1800年代パリの下町で、お針子ミミと詩人のロドルフォ、この貧しい二人が知り合い、短くも激しく愛し合ったクリスマス時期の寒いパリに咲いた恋人達とボヘミアン達の物語をプッチーニは、美しいアリアで綴りました。

 ミミが蝋燭の火だねを貰うために、ロドルフォ達の部屋のドアをノックした事がきっかけでした。

 《第一幕》で、ロルドルフォは、ミミに自分を紹介して歌うアリア「冷たい手を」"Che gelida manina"を歌いました。自分は「貧しいながらも詩作を通じて夢を求めている」と歌い、「ミミに早くも心を奪われた」と恋心を打ち明け、ロドルフォ役スティーヴン・コステロはアメリカ出身の中堅テノール歌手、欧米の歌劇場で活躍中です。マッシモ劇場の時のグリゴーロとは比べるのはおこがましいですが、支所のアリアを聞いた限りでは、声量もそれ程あるという訳でもなく卒が無い普通のテノールといった初印象を受けました。それに引き続き、今度はミミがそれに応じて、かの有名な「私を人びとはミミと呼びます。何故だかは分からない」"Sì, mi chiamano Mimì"というアリアを歌いました。 

 今回のミミ役は、アレッサンドラ・マリアネッリ、イタリア人歌手です。マアネッリの歌声は、音程も安定していて、声量もそれ程あるという訳ではないですが、結構通るソプラノで卒が無い歌い方の感じ、ロドルフォ役コステロよりは、余程主役らしいと思いました。勿論「マッシモ劇場」の時のミミ役ゲオルギューの様な華やかさは、感じられません。しかし今日のミミ役マリアネッリの歌い振りは、地味ながら、しっかりと確実にミミ役をこなす主役の歌声として十分認知出来るものでした。

 この「私の名はミミ」は、オペラ随一の聴き処と言って良く、往年の名歌手達、ティバルディ、カラス、フレーニ他オペラの名花プリマドンナ達が、歴史的に覇を競うが如く歌ってきたソプラノ・リリコの代表的な名歌中の名歌です。今日のマリアネッリの歌を大歌手達と比べるも愚かなりですが、今日の様なしっとりとした歌いの雰囲気は、それはそれでいいかなと思いました。
 その後のロドルフォとミミの二重唱「愛らしい乙女よ」"O soave fanciulla"になると、マリアネッリは、引き続き地味ながらホールに響く歌声で、コステロは、最初のアリアの時より、ハッキリしたテノールの歌声で、二人の均衡の取れた息の合った処を見せてくれました。

第二幕は幕が下りず、暗くなった舞台で舞台転換が行われました。明かりがついて二幕の開始の曲が鳴り出すと、場面は、皆が繰り出したカフェ・モミュスのあるパリ・カルテェラタンの街角でした。街はクリスマスで大賑わい。舞台セットは、この実在したカフェの模写画にかなり忠実に再現されている様です。今でこそカルティ・ラタンは学生が平和に闊歩する一大教育地区ですが、歴史的にはバリケードで囲まれた闘争、戦闘の場としても有名です。

1967年学生デモを端緒とする「カルティエ・ラタン五月革命」(これは日本の神田学生街にも飛び火しました)

また1871 年3月カルティエ・ラタン地区を含むパリ・コンミューン軍が立て籠った3月革命など。

 この「ラ・ボエーム」の時代は1830年代中葉と看做せば、将にフランスの王政復古が崩れ去ろうという不安定な時代であり、ロドルフォ(詩人)、マルチェッロ(画家)ショナール(音楽家)コッリーネ(哲学者)他の文藝人は、恐らくはナポレオン戦争後流動化した欧州各国からの流民がフランスに入って来て、学生時代を経由したか或いは経由しないでカルチェ・ラタン地区に住み着き「ボヘミアン」と呼ばれる貧しいその日暮らしの生活をしていたのでしょう。

兎に角、この舞台のカルティ・ラタンではクリスマス・イヴを祝う人達でごった返す様子が、キャストの歌手達、合唱団、児童合唱団の人々で歌もさることながらその演技で賑々しく演じれられ非常に良くその場面が演出されていました。演出家は粟國さん、成功したと思います。

 この二幕の主役は何と言っても歌手という設定のムゼッタです。ムゼッタ役はヴァレンティーナ・マストランジェロ、イタリアのソプラノ歌手です。ムゼッタはワルツ「私が街をあるけば」 "Quando me'n vo soletta per la via"を歌いますが、彼女の歌は伸びやかで、何時でもタイトルロールも歌えるのでは?と思われる程でした。このムゼッタと元彼氏のマルチェッロのやり取りが歌でも演技でも丁々発止と見ものでした。 この幕ではミミとロドルフォは静かにテーブルに座り、カフェ・ミュモスのドリンク等を食しながら静かに二人で話しているのでした。

 

《25分の休憩》

 

《第三幕》

 場面は翌年の2月寒い冬の早朝、雪が降っています。ミミとロドルフョは二人の短い同棲生活が破綻し、ロドルフォが家を出て行ってしまい、マルチェッロの所に逃避していることを知ったミミが、ロドルフォに会いに来る場面からスタートです。

 その際、ミミはロドルフォとのことについてマルチェッロに相談し、自分が重い結核に侵されていることを知ってしまったのです。愛するロドルフォのために身を引こうと決心するミミ(この動機と行動は、「椿姫」に一部似ているかな?)

そこでミミとマルチェッロの二重唱「助けてマルチェッロ」 "O buon Marcello, aiuto!"をミミはマルチェッロ役の須藤慎吾と一緒に歌うのですが、須藤さんの歌い振りはいつもの様に声量も十分な渋いバリトンを響かせ、聴きごたえが有りました。ミミ役のマリアネッリはますます調子上昇、地味な側面は保持しながらかなり強い歌声でマルチェッロに訴える様に歌っていました。彼女に対する拍手も次第に大きくなっていきました。素晴らしい二重唱でした。

次いで、彼女はミミのアリア「あなたの愛の呼ぶ声に」"Donde lieta uscì al tuo grido d'amore”を歌うのですが、これが又大変良かった、歌い終わった後は大きな拍手と共に歓声もかかっていました。

4重唱(ロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタによる「さらば甘い目覚めよ」 "Addio, dolce svegliare alla mattina!")ではそれぞれが、自分の思いを心から吐き出して歌うのですが、四人の歌自体が別々の思いをそれぞれ勝手に歌う感じを受け、かなり大きな歌声が響きのですが、美しいというものでは有りません。非常に困難な状況を感じさせるSeriusな場面でした。

 

《20分の休憩》

 

《第四幕》

屋根裏部屋へ帰ったロドルフォはミミとの生活を懐かしんでいます。瀕死のミミを連れたムゼッタがやってきます。ミミは最後をロドルフォの もとで過ごすことを望んだのだのでした。
 気を利かせてみんなが部屋を出てゆき、ミミはロドルフォの腕の中で静かに息を引きとりました。

コリーネ役のフランチェスコ・レオーネの独り言「さようなら、古びた外套よ」のアリアは少しうらぶれた調子ですが、しみじみと心に響きました。又ミミとロドルフォ2人の2重唱「みんな行ってしまったのね」この辺りはミミの瀕死の力ない表現に内実エネルギーが籠った聴きごたえのある歌い振りだったので自分としても大きな拍手を送りました。コステロの調子も急上昇、マリアネッリに引っ張られる形でいい二重唱となったのでしょうか。
 この歌の後奏は最後に再び登場してこのオペラ全体を締めくくるのでした。

 最後に、このオペラを聞きながらどうしても直近に聴いた「マッシモ歌劇場のラ・ボエーム」を思い出してしまいましたが、あの時のグリゴーロの様な、超卓越した歌手の醍醐味はないものの、主役マリアネッリとコステロの演じた地味ではありますが、かなりの充実した熱唱は、それはそれで別な側面のオペラ鑑賞として、十分聴衆にとって(少なくとも自分にとって)は満足出来る上演だったのではなかろうかと思った次第です。


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