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OPERA『CHOPIN』鑑賞

 

【演目】オペラ・ショパン セミステージ形式・イタリア語上演、日本語字幕

【主催】東京都、東京文化会館、藤原歌劇団(協力)、文化庁補助事業

【日時】2022.12.17.(土)14:00~

【会場】東京文化会館小ホール

【作曲】ジャコモ・オレーフィチェ

<Profile>

Giacomo Orefice (27 August 1865 – 22 December 1922) was an Italian composer.

He was born in Vicenza. He studied under Alessandro Busi and Luigi Mancinelli at the Liceo Musicale di Bologna, and later became professor of composition at the Milan Conservatory. He died in Milan in 1922.

ジャコモ・オレフィーチェ(Giacomo Orefice, 1865-1922) は、当時のイタリアのオペラ作曲家だが、ほとんどヒット作がなく作曲の先生だった程度で現代では忘れ去られている。「ショパン」は1901年11月にミラノで初演され、パリで再演。題材は面白いがピアノ曲をベースにしたオペラ・アリア。

 

【演出】岩田達宗

【曲演奏】松本和将(Pf.)篠原悠那(Vn.)上村文乃(Vc.)

 

           

【指揮】園田隆一郎

    

    

     

【合唱】藤原歌劇団合唱部

【出演】

ショパン(フレッツ):山本康寛

ステッラ:佐藤美枝子

フローラ:迫田美帆 

エリオ :寺田功治 

修道士 :田中大揮

     

 

【関連記事】

自分の人生をオペラに投影した作曲家は少なくないが、ある作曲家の人生と作品がオペラになった例はとても珍しい。 イタリアの作曲家ジャコモ・オレーフィチェ(1865-1922)の《ショパン》(1901)は、そんなユニークな作品だ。主人公はもちろん、あのショパン。若くして祖国ポーランドを離れ、パリで活躍し、恋をし、旅をし、やがて死を迎える。その全編を貫くのは、ロシアに蹂躙された祖国への思いだ。A.オルヴィエートの台本は、異国にあっても祖国ポーランドを想い、苦しむショパンを、フィクションを交えてファンタジー豊かに描いている。 本作の大きな特徴は、ショパンの音楽を紹介することに重きが置かれていることだ。全4幕に、協奏曲からマズルカまで、なんと約80曲ものショパン作品が盛り込まれている。彼の人生、作品、そして時代背景を知るにはうってつけではないだろうか。

 上演の稀な作品だが、この度、東京文化会館が「シアター・デビュー・プログラム」として取り上げるという。誰もが名前を知るショパン、誰もがどこかで聴いたメロディが「オペラ」として構成されているのを体験するのはワクワクするし、オペラデビューとしてもお勧めだ。伴奏はピアノの松本和将を中心に、東京音楽コンクールで上位入賞したホープ、ヴァイオリンの篠原悠那、チェロの上村文乃が務める。山本康寛、佐藤美枝子ら日本を代表する歌手陣に、今一番乗っているオペラ指揮者の園田隆一郎、作品を掘り下げ、ヴィヴィッドに生かす手腕で絶賛される演出家の岩田達宗と、これ以上望めないキャスティングも魅力だ。劇場で出会う新鮮なショパン像に期待大である。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ2022年10月号より)

 

【上演の模様】

 非常に珍しい作品の上演でした。先ず作曲したジャコモ・オレーフィチェという作曲家がレアな存在、調べてもほとんどデータが出て来ません。上記<Profile>程度で、1901年にこの作品を作曲・上演し、ショパン生誕200年記念でポーランドで再演されたとの記述があったものの上演自体もレアでした。今回の上演は誰がこの作品を発掘・企画したのでしょう?演出の岩田さん?配布プログラムには企画制作が「東京文化会館」とあるので、音楽監督の野平さん?それとも企画課の梶さんかな?それはどうでもいいのですが、レアなだけにどのような内容なのか少なくとも四幕物ですから各幕の粗筋くらい聴衆に前もって知らせて欲しかった。上演を見ても、小ホールですから幕の上げ下げもなく、休憩時で幕が下りたことは分かる程度で何幕終わったのか次の幕は何処からは内容の大きな節目を見ても非常に分りにくいものがありました。

 粗筋は現実のショパンの生涯をベースとしてその根幹を元として故国愛を強め、登場人物も実在人物を象徴化して登場させ、フィクションとして作成されたものです。歌手はショパンをテノールの山本康寛さん、故郷でショパンに大きく影響した女性ステッラ(実際は妹とか初恋の人?)をソプラノの佐藤美枝子さん、パリに出てからショパンを支えた女性フローラ(ジョルジュサンドやその他の女性)をソプラノの迫田美帆さん、ショパンの生涯の友(実際はいません)エリオをバリトンの寺田功治さん、修道士(完全にフィクション)をバスの田中大揮さんが演じ、最初から最後まで演奏の中核となるピアノ奏者は松本和将さん、弦楽を篠原悠那さん(Vn.)と上村文乃さん(Vc.)が演奏して花を添えました。舞台は非常に狭い小ホールですから器楽は舞台下、通路を舞台に行き来する花道の様に使い、舞台上には大きな背の低いピアノ形状の舞台上舞台セット、数段の階段付きです。このセット上で国旗を掲げたり、ショパンのベッドになったり効果的に使われていた。歌は、ジャコモ・オレーフィチェがショパンの様々なピアノ曲をベースにモディファイしてアリア等を作曲、歌の合間にショパンの様々な名曲が鳴らされるといった趣向でした。

 ストーリの大筋はほぼショパンの辿った道筋に近く、故郷からパリに出て結核の発病・重症化、南方島での療養もむなしくパリに戻り死を迎えるというもの。ただ故郷ポーランドに対する望郷の念が非常に強く表現されています。❝ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしやうらぶれて異土のかたえ(乞食)となるとても帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや❞ の心境なのでしょうか。

  フリッツ(ショパンの愛称)役の山本さんの歌声は最初からいい響きをしたテノールでしたが章が進むにつれさらに上り調子、最終場面の死の床でも朗々と歌っていました。やや現実離れしていましたが。

 佐藤さんと迫田さんのソプラノもさすが日本を代表する売れっ子歌手、充実した歌唱、寺田さん、田中さんも然りでした。また子役グラーツア役も頑張りましたし合唱の八人も場面盛り上げに大きく作用していました。

 特筆すべきは最初から最後まで二時間弱、ショパンの曲を弾きっぱなしだったピアニストの松本さんの力演には喝采です。特に全曲を弾いた「スケルツォ第2番」はお見事でした。主題の強奏の後の下向する旋律、その直後に来る まるで春風の中を舞う桜の花ビラの如き調べ、ここを聴いただけでもショパンの脂ののった時期の素晴らしさが分かるというものです。歌手の歌すべてがショパンの曲に乗ったものではなかったと思いますが、明らかにショパンの旋律で歌っているという時でもそれほど違和感はなく、スムーズに物語の進行に溶け込んでいました。これは作曲したジャコモ・オレーフィチェの手腕のみならず歌手の手腕も効いているのでしょう。弦楽の篠原さんのヴァイオリン音は冴え冴えと響き物語進行の中でアクセントと潤いをもたらしていたし上村さんのチェロ音は特に低音の調べが場面場面の雰囲気をよくサポート表現していました。

最期は指揮者の園田さんも登壇していましたが(指揮は前述の様に舞台下)、この雑多とも言える複合音楽を良く制御し、オペラとしての枠を指揮系統からまとめていたのはさすがだと思いました。以上かなり雑駁な総論的に上演の模様を記しましたが、この上演がたった一回であったことはもったいないです。少なくとも二回は上演して欲しかった。見たいと思っても見逃した聴衆もきっといたことでしょう。

 

 

今日は、サッカー決勝戦、これをパソコンで見ながら、記録を書いていました。結果は、アルゼンチンに勝利の女神がほほ笑みましたが、勝負は互角でした。最後はPK戦で決着、日本の最終戦もそうでしたが、PKの重要さを痛感させるものです。各チームとも(プロも含め)PKに特化した練習は積んでいるのでしょうか?個人の力量に任されているのでは?PKに特化した理論に基づく練習メニューが開発され、100発100中のチームが現れるかも?