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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『シャネル・ピグマリオンコンサート』

【日時】2022.8.20.(土)17:00~

【会場】シャネル銀座(4F)ネクサス・ホール

シャネル銀座

                   銀座 CHANEL NEXUS HALLで開催中!ギイ ブルダン展 - ローリエプレス

 

【演奏】鈴木 玲奈(Sop)Pf伴奏 篠宮 久徳

   

<Profile〉
 東京音楽大学声楽演奏家コース、同大学院オペラ研究領域を共に首席にて修了。市川倫子、橘洋子、濱田千枝子、Walter Mooreの各氏に師事。第86回日本音楽コンクール声楽部門第1位、第4回LjubaWelitsch国際声楽コンクール第1位、第15回世界オペラ歌唱コンクール「新しい声2013」アジア代表、第49回日伊声楽コンコルソ第3位、併せて読売新聞社賞、日伊音楽協会賞、第65回全日本学生音楽コンクール声楽部大学の部第3位、第2回東京国際声楽コンクール大学生部門第1位、第11回東京音楽大学コンクール第1位を受賞。

日生劇場でのオペラ「後宮からの逃走」ブロンデ役をはじめ、「ランメルモールのルチア」タイトルロール、「ラ・ボエーム」ムゼッタ役、「愛の妙薬」ジャンネッタ役、歌劇「BLACKJACK」彩香役、「キャンディード」クネゴンデ役などを演じ、東京・春・音楽祭2019でのソロリサイタルに出演し、存在感ある音楽表現で好評を博す。2018神宮開幕オープニングシリーズにて国歌独唱を務める他、第九や宗教曲等のソロを務め、国内主要オーケストラと共演し、精力的に活動している。

2022年1月〜2月梅田芸術劇場主催ミュージカル「Into the Woods」ラプンツェル役に抜擢され、出演が決まっている。文化庁海外派遣研修員、明治安田クオリティオブライフ文化財団海外音楽研修生としてミュンヘンとウィーンにて研鑽を積む。2019年日本コロムビアよりデビューアルバム「BellSong」をリリース。シャネル・ピグマリオン・デイズ 2020/2021参加アーティスト。

【演奏曲目】

①ティリンデッリ『おお、春よ 』


②アルディーティ『口づけ』


③ ロッシーニ『オペラ〈セビリアの理髪師〉より ”今の歌声は” 』

 

④ベッリーニ『オペラ〈夢遊病の女〉より”ああ、信じられない” 』


⑤ヴェルディ『オペラ〈椿姫〉より ”不思議だわ〜ああ、そはかの人か〜花から花へ” 』

 

【演奏の模様】

演奏会場は、銀座マロニエ通りと銀座本通りに面したシャネル銀座ビルの4階にあります。マロニエと言えばパリを代表する花、日本では4月下旬から5月初旬にかけて満開になります。

銀座のマロニエの花

  流石にパリの有名ブランドビルが立ち並ぶ銀座の一角だけあって、若い女性客や二人連、外国人の姿もありました。今日は、シャネルピグマリオンコンサートと称した音楽会です。

 ピグマリオン(Pygmalion)とは、ギリシャ神話のキプロスの王の名前。現実の女性に失望していた王は、あるとき自ら理想の女性・ガラテアを彫刻した。その像を見ているうちに、彼は自らの彫刻に恋をするようになったのです。さらに彼は食事を用意したり話しかけたりするようになり、それが生きた人間になることを願いました。その彫像から離れないようになり、次第に衰弱していく姿を見かねた美と愛の女神アプロディーティが、その願いを容れて彫像に生命を与え、王はそれを妻に迎えたそうです。

こうした故事が元となって「才能を信じ支援して、開花させる人」という意味でピグマリオンが使われるようになり、シャネルの創業者ココ・シャネル(本名ガブリエル・シャネル)は芸術家たちを支援した人、つまりピグマリオンと呼ばれる人材の一人だったのでした。米国に亡命したストラビンスキー一家をその直前、保護、世話をしたのは有名な話です。

《ココ・シャネル略歴》

1883年8月19日、フランスのオーヴェルニ地方にてココ・シャネルは生まれました。
本名「ガブリエリ・ボヌール・シャネル」。ココ・シャネルには4人の兄弟がいました。しかし、父親は外をふらついているばかりで家の事は母親に任せっきりでした。それでもココ・シャネルは無責任な父親を愛し、帰宅を待っていました。一家の大黒柱が不在の中、母親は子供たちの為にと必死で働き家族を支えます。
 それが体に障ったのでしょう。彼女が12歳のころ、母親が亡くなってしまいます。子育てに無関心だった父親からは捨てられココ・シャネルと兄弟たちは、それぞれ養子、孤児院や修道院で生活をすることに。愛する家族からの裏切りは、ココ・シャネルの心を傷つけ、やがて憎しみという大きな影を宿しました。
修道院で裁縫を学んだココ・シャネルは18歳になり、お針子として卒業。フランスの田舎町フーランの洋服店にて働きはじめます。その傍ら、歌手を目指していた彼女は様々なオーディションに足を運んでは挑戦していたのだそうです。その時によく歌っていたのが
「Qui q’ua vu coco dans le trocadero(トロカデロでココを見たのはだれ)」。
この歌を居酒屋で歌っていたことから、タイトルの一部であるココを愛称として呼ばれるようになったと言われております。

『ココ・シャネル~時代と闘った女~(ジャン・ロリターノ監督2019)』という映画では、ココ・シャネルの生涯をドキュメンタリー的に映し出しています。

 さて今回のコンサートは歌です(別の日にヴァイオリン、ピアノコンサートもあります)。歌手はソプラノの鈴木玲奈さん、今日が初めて聴きく歌手です。さすが日本音楽コンクールで優勝したこともあるソプラノらしく、歌の発音も発声もしっかりしていて、声量も小ホールでは大きすぎる程の強さがあり、技術的には様々なコロラチューラを、特に高い音への跳躍音などを正確に見事に駆使し、また中音域の遅いテンポの旋律も安定し、耳に心地良い歌い振りを披露していました。 

 欲を言えばやや硬さが取り切れていないかな?先月初め聴いたソニア・ヨンシェヴァのソプラノなどは、高音も低音も実に柔らかい歌唱でした。

 最後に椿姫の❝Estrano~❞の箇処を歌い終わって大きな拍手を受け、ウエチディングドレスの様に後ろの裾を床に長く引きずった赤いドレス(きっとシャネル製なのでしょう)を纏ったヴィオレッタは颯爽と客席中央の通路を去って再び舞台に現れるとアンコール曲を1曲歌いました。プチーニ『ラ・ボエーム』より<ムゼッタのワルツ>

 南イタリア・シチリアの音楽祭に招待された時も歌った歌で、皆喜んでくれたと話していた位ですから、得意の歌なのでしょう。今日の歌の中で一番素晴らしかったと思いました。

今後、益々精進されて伸びていく歌手だと思いました。

 終演時間が17時頃、まだ暗くはなっていないので、どこかで夕食でもと思って大通りの方でなくマロニエ通りを有楽町駅方向に少し歩いていて、ふっと思い出しました。昨年10月ころ王子ホールに来た時食事した「三洲屋」のことを。確かもう一軒近くに別の「三洲屋」があった筈だ、少なくとも昔は有った。どちらが本店でどちらが支店か分かりませんが。昨年入ったのはマロニエ通りと直交する並木通り沿い(昔はその酒場の隣が、今は無い「並木座」という名画上映の映画館でした)。スマホの地図を見たら、並木通りでなく一つ手前の通り沿いに、現在でもその店がある模様。次の直交する通りがそれで、角を右折して少し歩いたら右手にそれらしき暖簾が下がっていました。

 店の前で、年配の割烹着姿の女性が、別の女の人と言葉を交わしていたので、❝ここ昔からある三州屋さんですよね?❞と訊いたらその女性が割烹着姿の人を指して、❝この人が見せのお女将(かみ)さんなのよ。何十年も前から。❞と教えて呉れました。女将が❝どうぞどうぞ入って、空いているから。お客さん来ないかなと外で見ていたの。❞と 薦められるまでもなく躊躇なく中に入りました。中には確かに二三人の2グループが飲んでいるだけ、ワクチン接種済でもコロナは気になっていたので、少し離れたテーブルに着きました。

 昔、三洲屋に入ったのは並木通りの店の方がほとんどで、こちらの三洲屋には余り入った事が無かったのですが、ここには忘れ難い思い出があるのです。それは若かりし頃先輩に連れられて(先輩はそんなに年が離れてはいないのですが、佐藤栄作と阿部寛を重ね合わせた様なダンディーで太い眉毛をしていた)、この店に入って飲んでいたら、先輩が別の少し離れたテーブルに一人で燗酒を飲んでいる、若いけれど貫禄のある綺麗な女性の方をちらと見ながら、❝誰だか分る?❞と訊くので首を横に振りながら ❝いや、でもどこかで見たような顔かな?❞ と答えました。そしたら先輩は 低い声で❝女優の三林京子だよ❞というのです。その先輩は酒好きで鳴らし、ちょくちょくこの三州屋に来ていたみたい。❝声をかけてサインでもして貰ったら?❞との先輩の言葉に、そのころは随分シャイだった自分としては委縮してしまうばかり、ほろ苦い思い出でした。                        という訳で、アルコールは、度数を気にして低い麦酒を頼んで「この間クリニックに行ったら云々」と女将に注文したら。❝キリンはおいてない。アサヒだけ。❞と頓珍漢な答えが返ってきました。耳が随分遠いらしくて、こちらもマスクしているので「クリニック」を「キリン」と聞こえたらしい。料理はヘルシーな野菜と魚にしました。 

 野菜も新鮮でみずみずしく。魚は小鉢の煮付けも刺身も、生きが良くて美味。さすが銀座の一角の店だなと思いました。値段はこれだけ条件が整っていれば決して高くはないでしょう。