HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『RSオーケストラ特別演奏会』

 表記の演奏会は、サマーフェスタが終了したばかりのミューザ川崎で行われたものです。 8/11(木・祝)にサマーフェタのフィナーレコンサートを聴き終わり、8月はミューザ詣で もこれで終わりかと思っていたのですが、帰りがけに見たチラシに8/13(土)に表記の演奏会のことが書いてあり、エルガーとR.シュトラウスの『アルプス交響曲』をやるという事を知り、これは聴きに来なくちゃと思い、家に帰ってチケットのWEB手続きをしたのでした。ところが当日13日は台風8号が関東地方を直撃し。横浜は朝から断続的に大雨強風に襲われ、どうしようか迷ったのですが、聴きたい作曲家二人が揃った演奏会であることのみならず、特に『アルプス交響曲』は10月末に、三年間閉めていた『横浜みなとみらいホール』が再開記念演奏会のメイン演奏曲としていることもあり、是非前もって聴いておきたかったのです。最寄りの駅からミューザまでは雨にあたることなく行けるのですが、家から駅までの徒歩8分足らずの距離を歩いて行ったら、傘はお猪口になるしびしょ濡れになること必定、そこでこれは、お助けマン(womanかな?)の力を借りなくてはと思い、上さんに低姿勢で ❝駅までタクシーして貰えないですか?❞と訊きました。❝こんな台風の時行かなければ良いのに!❞とか何とか言いながらもそこは気立てのやさしいうちの上さん、❝転んだりしない様に気を付けてね。お土産を忘れないで!❞とくぎを刺されたのでした。しめしめこれならお土産を少し奮発すれば、帰りも迎えに来てくれるわいと計算高くほくそ笑む御仁なのでした。そういう訳でミューザには一滴も雨に濡れず着くことが出来ました。

【日時】2022.8.13.14:00~

【会場】ミユーザ川崎シンフォニーホール

【管弦楽】RSオーケストラ特別メンバー

【指揮】和田一樹

 

<Profile>

東京都中野区出身。 京華中学高等学校尚美学園大学作曲専攻を経て、東京音楽大学音楽学部音楽学科指揮コース卒業。2015年、ルーマニアで開催された第6回ブカレスト国際指揮者コンクールにて準優勝、2017年にはヤシ・モルドヴァ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、ヨーロッパデビューを果たす。

国内外のオーケストラを数多く指揮。メディアでの活躍も多く、フジテレビ系ドラマ『のだめカンタービレ』にて指揮指導、のだめオーケストラではオーケストラを指揮。

【曲目】

 ①エルガー『独創主題による(エニグマ)変奏曲』

 

 ②R.シュトラウス『アルプス交響曲』

 

【演奏の模様】

①エニグマ変奏曲

エルガーが1899年2月に作曲した全14曲の変奏から成る管弦楽曲です。同年6月に初演され大成功を収めた。

<楽器構成>

二管編成弦楽五部14型(14-13-12-8-7)

 ❛エニグマ❜とはギリシャ語で「謎かけ」を意味し、彼自身、次の様に述べています。

 The Enigma I will not explain —— its ‘dark saying’ must be left unguessed, and I warn you that the apparent connexion between the Variations and the Theme is often of the slightest texture; further, through and over the whole set another and larger theme ‘goes’ but is not played ... So the principal Theme never appears [...].

 何やら表に出て来ないエニグマもあるみたいですが、一つのエニグマは各変奏に付けられたイニシャルや略称などの該当人物であり、変奏表題の謎解きはすでにほぼ完了したと見なされています。 各変奏は、親しい友人たちへの真心のこもった肖像画となっており、この変奏曲は「作品中に描かれた友人たち」に献呈されているのです。

<変奏曲構成>

 座席に座り壇上の奏者を一瞥すると女性が多く目に止まります。近年は弦楽器のみならず木管は勿論金管への進出、さらには打楽器群で女性を良く見かけます。今回は100人を超える奏者の半分弱は女性奏者の模様です。しかも若い人が多い。

 各変奏曲ともいかにもエルガーらしさをたたえる曲ばかりですが、特に第九変奏「ニムロッド」は穏やかな旋律が際立ち、エルガー特有の威厳を備えた美しい曲ですね。この曲は英国のオリンピックでも演奏されたとのことです。

 若い演奏者が多かったですが、皆さん基礎はかなりしっかりした人が多い様でよい演奏でした。

 

《20分の休憩》

 

 

②R.シュトラウス『アルプス交響曲』

 休憩から戻ると舞台の楽器はかなり増強された模様。特に管楽器群や打・鍵盤楽器に多くの奏者が増えました。

<楽器構成>

四管編成弦楽五部14型(1Vn14-2Vn13-Va12-Vc9-Cb7)

増員は、Fl.2(内Picc.持替え1)、Ob.2、Cl.2、Trb.3、Hr.5、Trp2、Fg.2.、Tb.1、C.Fg.1、Hp.1 、Celst.1、Timp.1 etc.各奏者が増えました。

 

この曲はR.シュトラウスが14歳の時のドイツアルプスの最高峰ツークシュピッツェ山(2962m)に向かった時の体験をもとに作曲されたと謂われます。

交響曲と言っても、楽章単位ではなく一種の標題音楽としている・標題は次五の通り

です。

夜 Nacht

日の出 Sonnenaufgang

登り道 Der Anstieg (練習番号11~12)

森への立ち入り Eintritt in den Wald (練習番号21)

小川に沿っての歩み Wanderung neben dem Bache

滝 Am Wasserfall

幻影 Erscheinung

花咲く草原 Auf blumigen Wiesen

山の牧場 Auf der Alm

林で道に迷う Durch Dickicht und Gestrüpp auf Irrwegen

氷河 Auf dem Gletscher

危険な瞬間 Gefahrvolle Augenblicke

頂上にて Auf dem Gipfel

見えるもの Vision0

霧が立ちのぼる Nebel steigen auf

しだいに日がかげる Die Sonne verdüstert sich allmählich

哀歌 Elegie

嵐の前の静けさ Stille vor dem Sturm

雷雨と嵐、下山 Gewitter und Sturm, Abstieg

日没 Sonnenuntergang (練習番号129)

終末 Ausklang (練習番号134)

夜 Nacht

夜明け前

アルプスと登山電車(スイス)

アルプスの氷河(ユウングフラウヨッホより)

雲海に浮かぶアルプス

 もうこの曲はクラシックファンの山男(女)には堪らない曲でしょうね。本格登山などしたことがない自分でも山歩きをしたことはあり、その非日常性のすがすがしさには、本当に生き返る様なリフレッシュ感を味わったことがありました。

 全部で22曲の標題の付けられた曲では、それぞれその場その場の登山の雰囲気を、素晴らしい旋律タッチで表現したR.シュトラウスの腕が冴えたものとなっています。

 兎に角4管編成の大オーケストラは、ホルンが10挺も揃い、途中で5艇はバンダとして2梃のトロンボーンと共に、舞台の外で遠くからのアルプスの角笛のこだまを表現する演出をしたり、氷河の表現、頂上から下界を見る俯瞰的情景、それに何と言っても圧巻だったのは、遠くから鳴り響く雷のTimp.による表現、そして嵐の豪風・豪雨の激しい全アンサンブルの怒号、大編成ならではの迫力を堪能しました。

 時々思うのはオーケストラは奏者一人一人がある程度のレベルに達していれば、アンサンブルは「小より大」、即ち「楽器は少よりか多」ではないかということです。❝細部のミス、皆んなで渡れば怖くない❞ かな?あまりいい例えではないですが。