HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

映画『クレッシェンド』鑑賞

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表記映画のレイトショーを観ました。随分遅い時間帯にしたのは、勿論コロナ対策を考慮してです。座席は110席、観客は5人でした。

 

【日時】2022.2.3.21:30~23:30

【上映館】横浜ブルグ13

【概要】

 世界的指揮者のスポルクは、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くという企画を引き受ける。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスを掴んだ20余人の若者たち。しかし、戦車やテロの攻撃にさらされ憎み合う両陣営は激しくぶつかり合ってしまう。そこでスポルクは彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合い…少しずつ心の壁を溶かしていく若者たち。だがコンサートの前日、ようやく心が一つになった彼らに、想像もしなかった事件が起きる――。

スポルク役を「ありがとう、トニ・エルドマン」のペーター・シモニスチェクが演じる。

【スタッフ・キャスト】

監督:ドロー・ザハビ

制作:アリス・ブラウナー

脚本:ヨハネス・ロッター

   ドロール・ザハビ

撮影:ゲーロ・シュテフェン

編集:フリッツブッセ

出演:ペーター・シモニスチェク(指揮者スポルク役)ファニエル・ドンスコイ(ロン役)サブリナ・アマーリ(レイラ役)メフディ・メスカル(オマル役) ビビアナ・ベベロ(カルラ役)

【公開写真】

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指揮者スポルク

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オーケストラ編成のための  オーディション

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レイラ(コンマス)

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チロルの合宿

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サイクリング

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空港での別れの演奏

 

【感想】

 パレスチナとイスラエルの対立・戦闘。何ともやり切れない思いに駆られる作品です。 人々の心を和らげ癒す音楽、その音楽の力でもって対立を融和に変えようとする努力は実るのでしょうか?一般に努力がいい結果に終わるとは限りません。むしろ失敗することが多い。問題の解決が困難であればある程余計に失敗します。音楽だけで戦争を止めたり、終わらせることは出来ません。しかしそれを乗り越えて、不断の努力の継続によりその先が見えてくることもあることを、歴史は示しています。ガンディの示した非暴力闘争とインド独立のこと、映画『スリーハンドレッド』が示したギリシャ・スパルタ王レオニダスが、たった300人の先遣隊を率いて全滅しながらも、何十万のペルシャ軍のギリシャ侵入をくい止めたこと、それがひいてはのちのギリシャ連合軍の勝利へと結実したこと等々。

 今日も又戦争回避の和平交渉が、パレスチナ地区に限らず、トルコを含むアラブ諸国・イスラエル(+米国)間で、一方ウクライナ関係で米・欧と露も戦争回避の努力を、またアフリカのエチオピア、リビアその他紛争諸国で解決の方向を目指して進んで行って欲しいと願いますが、この処は、10年前より世界の紛争が増えたのではなかろうかと危惧しています。

 これらは日本も決して他人事ではありません。一朝有事の際には戦争に巻き込まれる可能性が低くはないと思われるからです。こうした映画を見て、音楽三昧の生活からフッと現実に戻って、考えることもたまには必要かなと思いました。

 

【演奏曲目】

〇「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調より《前奏曲》」

〇「管楽セレナードOp.44」by アントニン・ドヴォルザーク

〇「カノン ニ長調」by ヨハン・パッヘルベル

〇交響曲第9番「新世界より」第2楽章byアントニン・ドヴォルザーク

〇「四季」より《冬》by アントニオ・ヴィヴァルディ

〇「ボレロ」by モーリス・ラヴェル

 映画館のマルチチャネル音響システムから出る音は、生演奏ほどではないですが、かなりリアルな音楽を耳に届けてくれました。

【後書き】

 尚この映画は、ダニエル・バレンボイムが、米文学者のエドワード・サイードとともに1999年に設立し、イスラエルと、対立するアラブ諸国から集まった若者たちで結成された「ウェスト=イースタン・ディバン管弦楽団」をモデルに描いたそうですが、残念ながらこの映画はパレスチナ、イスラエル両国では封切りされていないとのことでした。この楽団は結成から20年以上も経ちますが、その後どうなったのでしょうか?