HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『イブニング・コンサート』 at SIRIUS大和

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  表記のコンサートは、大和市芸文会館SIRIUS主催で行われたヴィオラとギターという珍しい組合せの演奏会で、以下のサブタイトルが付けられていました。

 <一日の疲れを癒す安らぎのひと時、ヴァイオリンとギターの温かくも華やかな音色で奏でるイブニングコンサート。お仕事帰りや学校の帰りにちょっと一息、心に安らぎをお届けします。>

【日時】2022.3.22.19:00~

【会場】大和市文芸会館SIRIUS

【出演】徳永真一郎(ギター)

    飯野和英(ヴィオラ)

 非常にレアな楽器の共演によるコンサートが近場のホールで開催されることを耳にし、聴きに行くことにしました。

 演奏したのは、徳永さんというギタリストと飯野さんというヴィオラ奏者でした。       

 二人ともまだ30代前半と思しき若々しい音楽家でした。初々しさを失っていない。パリ留学中に知り合って、その後帰国し、時々一緒に演奏する模様。徳永さんは、福山雅治主演の映画『マチネの終わりに』に出演したギタリスト、ティボーガルシアとパリ国立高等音楽・舞踊学校の同期生だそうです。また、飯野さんは元ヴァイオリン専攻でしたがヴィオラに転じ、東京藝大大学院卒業後渡仏、研鑽を積んで帰国後、国内で様々な活動で活躍、最近だと3月初めの東芝グランドコンサートにおいて「ジャパン・ナショナルオーケストラ(所謂反田オケ)のVaメンバーとして演奏しました。その時のソリストの一人村治佳織さん(ギター)の演奏を見て、ギターとの共演もやってみたいと思ったそうです。すぐに実行するところがいい。詳細経歴は以下の通りです。

【Profile】

<徳永真一郎>

徳島県出まれ。9歳からギターを川竹道夫に学ぶ。2003年、スペインギター音楽コンクールおよび日本ギターコンクール優勝。19歳で渡仏し、ストラスブール音楽院でアレクシス・ムズラキスに、古楽・リュートを今村泰典に師事。その後、2011年よりパリ国立高等音楽院でローラン・ディアンスに師事し、2016年に修士課程を満場一致の首席で卒業。パリではジュディカエル・ペロワにも師事した。また、ステファノ・グロンドーナ、ゾーラン・ドゥキッチ、カルロ・マルキオーネのマスタークラスを受講し、キジアーナ音楽院ではオスカー・ギリアのクラスで最優秀ディプロマを取得した。
 数多くの国際コンクールで優秀な成績を残しており、2018年にはヴェリア国際ギター・コンクール(ギリシャ)のコンチェルト部門で第2位を受賞した。このほか、2008年ナクソス国際ギター・コンクール(ギリシャ)第3位、2010年オルシュティン国際ギター・コンクール(ポーランド)第1位およびグランプリ、2016年にはブーローニュ・ビヤンクール現代音楽コンクール(フランス)《Musique du dernier siècle 2016》で審査員特別賞の〈課題曲賞〉を受賞した。
 2017年、マドリッドのソフィア王妃芸術センターにて、松宮圭太の《ギターとアンサンブルのための小協奏曲》をジョルディ・フランセス指揮アンサンブル・ソニド・エクストレモとの共演で世界初演し、話題を呼んだ。またこれまでに、カレンツァーナ音楽祭(共演小林真理、メゾソプラノ)や、パリ国際ギター・フェスティバル等の音楽祭にも出演している。
 近年のハイライトは、2022年東京オペラシティでのリサイタル「B→C(バッハからコンテンポラリーへ)」、2019年大野和士×バルセロナ交響楽団公演へゲスト出演したほか、全国各地でリサイタルや室内楽に出演。2019年に公開された映画『マチネの終わりに』の撮影協力にも携わる。また、タレガ・ギターカルテットのメンバーとしても活動している。
 2018年7月、マイスターミュージックより近代スペインの作曲家による作品とフランスの作品を集めたデビュー・アルバム『テリュール』をリリース。このアルバムは、平成30年度文化庁芸術祭のレコード部門優秀賞受賞という快挙を成し遂げた。平成30年度よんでん芸術文化奨励賞受賞。
 パリ在学中は、ヤマハ音楽振興会留学奨学生、フランスではタラツィ財団およびADAMI財団奨学生として研鑽を積んだ。
 
<飯野和英>
東京音楽大学入学時にヴィオラに転向し、卒業後は東京藝術大学大学院音楽研究科ヴィオラ専攻修士課程に入学し2014年3月に卒業。2015年9月より渡仏。オー=ド=セーヌ県立ジュヌヴィリエ音楽院に在籍。同時にバロックヴィオラを学び始め、演奏活動の幅を広げている。パリにてコンテンポラリーダンスとヴィオラの為の"La Sante" を自作自演により発表。好評を博す。これを機に弦楽四重奏やビオラ、バロックビオラの現代作品、DTMとアコースティック楽器を組み合わせた音楽の作曲をはじめる。サントリーホール室内楽アカデミー第二期フェロー修了。第3回蓼科音楽コンクール弦楽器部門第3位。第12回日本演奏家コンクール弦楽器部門第2位(1位無し)。第19回コンセールマロニエ入選。市川新人コンクール優秀賞。これまでにヴィオラを兎束俊之、大野かおる、川崎和憲、百武由紀、Piere Henri Xuereb各氏に師事。2017年1月〜2019年8月まで仙台フィルハーモニー管弦楽団ヴィオラ副首席奏者を経て2019年9月より自身の演奏活動を開始。
 
【曲目】
①ドヴォルザーク『ユモレスク』(Vaソロ)
②J.S.BACH『無伴奏チェロ組曲3番』よりブーレ、(Vaソロ)
③タレガ『アルハンブラの思い出』(ギターソロ)
④菅野裕悟『幸福の硬貨』(映画『マチネの終わりに』より)
⑤バルトーク『ルーマニア民族舞曲』
⑥ピアソラ『タンティ・アンニ・プリマ』
⑦ピアソラ『リベラルタンゴ』
⑧モンティ『チャルダッシュ』
 
【演奏の模様】
 先ず①のビオラのソロ演奏を聴いて、かなりの高音域で弾いていた音は、ヴァイオリンより厚みがあり、よりフレンドリーな印象を受けました。
②もVaソロでしたが、チェロの様な渋い深い味わいではないものの、太く低音域の音だけれども明るさを秘めた心地良い調べでした。やや軽さを感じますが。
③この有名な曲を徳永さんは、見事なタッチで速い弦捌きをして、旋律を浮かび上がらせていました。アルハンブラ宮殿の夜景を見に行ったことがあるのですが、その幻想的な景色にピッタリの曲です。
④は映画の最後に弾かれる曲だそうです。日本人作曲とは思えない(パリ風とまではいきませんが)西欧的感じの曲で、いい感じでした。
⑤のバルトークは、飯野さんのトークにもあったように、西洋音楽とは一味違った東洋の香りもする異国風の調べで、独特の物でした。
⑥⑦今年3月はピアソラ生誕100周年ということで、日本のオーケストラでもしょっちゅう演奏されています。当然現地ブエノスアイレスでは大人気で、常設でピアソラ演奏が行われています。飯野さんのトークにもあったように、ピアソラもパリで研鑽を積んで帰国した音楽家でしたから、恐らくピアソラに因んで活躍を欲している二人なのでしょう。
⑧これは、またチャルダッシュ演奏の秀逸な別物の料理といった感じです。モンティのこの曲は管楽器演奏用にまで編曲されていますが、代表的なのはピアノ伴奏でヴァイオリンが演奏する曲です。飯野さんのトークによれば、ヴィオラでの演奏は弦一本分難しさが増えて大変だけれど、弾きがいがあると言った趣旨のことを話していました。結構長い重音演奏部も十分弾きこなしていたし、ハーモニック音は口笛の様な響きもあり珍く、その堂々とした演奏は若者として立派なものと思いました。勿論ギターの伴奏は確実な技術で淡々とVa演奏を支えていたし、二人の共演はそう長い関係ではないのでしょうが(パリで知り合いとして付き合っていた頃は共演はしなかったそうで、何で気が付かなかったのだろう、共演すればよかったと残念がっていました。)、相当息が合った阿吽の一致を感じ取ることが出来る二人の演奏でした。
 なお、アンコール演奏があって、ディズニーの『輝く未来』でした。ここでも重奏演奏が入っていました。美しいメロディーです。
 今日は爽やかな若い二人の男子のヴィオラとギターの音に魅せられた晩でした。