表記のコンサートは、聞きなれたモーツァルトの曲とメンデレスゾーンの曲で構成されていて、気楽に週末を楽しめることと、独奏者の辻さんは以前、何回か聴いたことがあり、随分若いのにオーケストラ背景に場慣れした様子でヴァイオリンを巧みに弾くので関心し、その後の成長を見てみたい気がしたので、今回聴きに行きました。
【日時】2021.10.2.(土)15:00~
【会場】太田区民会館「アプリコホール」
【管弦楽】東京都交響楽団
【指揮】大友直人
【独奏】辻彩奈(ヴァイオリン)
【曲目】
①モーツァルト『交響曲第35番ニ長調「ハフナー」』
②メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』
③モーツァルト『交響曲第41番ハ長調「ジュピター」』
【略歴】
〇大友直人
桐朋学園在学中にNHK交響楽団を指揮してデビュー以来、日本のクラシック音楽界をリードし続けている。これまでに日本フィル正指揮者、大阪フィル専属指揮者、東京交響楽団常任指揮者、京都市交響楽団常任指揮者、群馬交響楽団音楽監督を歴任。現在東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督、高崎芸術劇場芸術監督。東京文化会館の初代音楽監督として東京音楽コンクールの基盤を築いたほか、海外オーケストラからも度々客演として招かれ、ハワイ響においては20年以上にわたり定期的に招かれている。 小澤征爾、森正、秋山和慶、尾高忠明、岡部守弘らに学ぶ。NHK交響楽団指揮研究員時代にはサヴァリッシュ、ヴァント、ライトナー、ブロムシュテット、シュタインらに学び、タングルウッドミュージックセンターではバーンスタイン、プレヴィン、マルケヴィチらにも指導を受けた。大阪芸術大学教授。京都市立芸術大学、洗足学園大学各客員教授
〇辻彩奈
1997年岐阜県生まれ。東京音楽大学卒業。2016年モントリオール国際音楽コンクール 第1位。3歳からスズキメソードにてヴァイオリンを始める。11歳で名古屋フィルハーモニー交響楽団と共演後、モントリオール交響楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、ベトナム国立交響楽団、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢など多くの国内外のオーケストラと共演している。また室内楽では、チェロの堤剛、ピアノの江口玲、伊藤恵、阪田知樹、エマニュエル・シュトロッセの各氏らとの共演している。2018年「第28回出光音楽賞」を受賞。これまでに小林健次、矢口十詩子、中澤きみ子、小栗まち絵、原田幸一郎、レジス・パスキエの各氏に師事。2019年4月、ジョナサン・ノット指揮/スイス・ロマンド管弦楽団とジュネーヴおよび日本にてツアーを実施し、その艶やかな音色と表現によって各方面から高い評価を得た。現在、フランスと日本を拠点に活動の幅を拡げており、東京音楽大学アーティストディプロマに特別特待奨学生として在籍中。使用楽器は、NPO法人イエローエンジェルより貸与のJoannes Baptista Guadagnini 1748である。
〇東京都交響楽団
大野和士が音楽監督、アラン・ギルバートが首席客演指揮者、小泉和裕が終身名誉指揮者、エリアフ・インバルが桂冠指揮者を務めている。また、ソロ・コンサートマスターを矢部達哉、四方恭子、コンサートマスターを山本友重が務めている。 東京文化会館、サントリーホール、東京芸術劇場での定期演奏会を中心に、小中学生への音楽鑑賞教室(50回以上/年)、青少年への音楽普及プログラム、多摩・島しょ地域での出張演奏、ハンディキャップを持つ方のための「ふれあいコンサート」や福祉施設での訪問演奏のほか、2018年からは、誰もが音楽の楽しさを体感・表現できる“サラダ音楽祭” を開催するなど、多彩な活動を展開。受賞歴に、「京都音楽賞大賞」(第6回)、インバル指揮「ショスタコーヴィチ:交響曲第4番」でレコード・アカデミー賞〈交響曲部門〉(第50回)、「インバル=都響 新・マーラー・ツィクルス」で〈特別部門:特別賞〉(第53回)など。「首都東京の音楽大使」たる役割を担い、これまで欧米やアジアで公演を成功させ、国際的な評価を得ている。
【演奏の模様】
このホールは初めてです。JR蒲田駅から徒歩8分位の処にありました。大きいビルの脇に低層棟があり、そこがエントランスでした。
ホールは二階にエスカレータで昇るとあり、木質系の1000ちょっとの座席でしょうか?
【演奏の模様】
①モーツァルト『交響曲第35番ニ長調「ハフナー」』
も
③モーツァルト『交響曲第41番ハ長調「ジュピター」』
も、大昔から聴きなれているので、子守歌の様に心地よく眠けを催す程でした。
聞いていて気が付いたことを二つ、三つ。
・弦アンサンブルは低音弦が高音弦に比し弱かった。(Vaの数は少なかったがVc Cbは普通)
・モーツアルトのシンフォニーではティンパニーが大活躍、今日も良く演奏していた。でも大友さん演奏後の各パート挨拶では、真っ先に立たせないでしんがりでした。何故?
・管(二管編成)の音もやや弱い感じ。
②メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』(独奏 辻彩奈)
緑のドレスで登場した辻さんは、以前より成熟した女性に見えました。
全体としては、非の打ちどころのない演奏ではなかったですが、この大曲を十分弾きこなして聴衆を魅了したと思います。
細部では
<1楽章>
・立ち上がりやや弾き急ぎの傾向あり
・流麗な滑らかさがさらにほしい
・早いパッセッジで歯切れがよくない箇所散見
・カデンツァの後半は間のとりつぎ、息継ぎがゆったりとしていてそれはそれで個性的
・オケに負けていない音の強靭さあり
<2楽章>
・読譜進行が先に急ぎ過ぎのきらいあり、少しせっかちに聞こえる箇所あり、
・高音の響きは素晴らしいものあり。
・くねくねくねとせりあがる箇所、重音のうねりが良かった。
・最後のppの調べ、テンポも響きも絶妙。
・全体的に心を打つ流れるような表現があるとさらにいいなー。
<3楽章>
アタッカ的にすぐ演奏。
・スタートのゆったりした演奏、早い軽快な演奏は良かった。
・力に十分な余力がある感じ。弾きながら織り交ぜるピッツィはもっと強くてよいのでは?
・そのあとは弓と弦をもっと叩き合って格闘させて、荒らあらしさを出せないかな?
・繰り返し部分の弦と弓の捌きは強さが出ていました。
・最後は管(Ft,Ob等)とのやり取りもタイミングよく気持ちが良い
以上、自分勝手な感じたことを書きましたが、総じて素晴らしい演奏だったことに間違いありません。辻さんは、最初から最後まで大友さんの方を度々向いて指揮者に従って弾いている様子でした。でも大友さんがちょくちょく指示を出している様には見えなかったのですが。 先のモーツアルトの時と同じように、紳士然として周りを気にしない超然とした感じで振っていました。
尚、アンコールの演奏があり、
辻さんは①バッハの『無伴奏パルティータ3番』を弾き、
大友さんは②Eine kleine Nachtmusikの第1楽章を弾くと話してから、演奏しました。
どちらもアンコール演奏が素晴らしく良く聞こえました。