HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『重陽の節句』

 今日9月9日は重陽の節句、陽(奇数)の中で、最も重きを成す9の数字が重なる日なので、昔から節句として祝う日です。菊の節句とも言います。ただし菊の季節にはまだ早いですね。今日の日付は新暦(太陽暦)だからです。季節感から言うと旧暦(太陰暦)の9月9日(新暦だと10月4日、約1か月弱遅れ)の頃の季節だと菊の花があちこちで見られる様になります。日比谷公園では昔から10月下旬頃になると見事に育成した盆栽菊や懸外仕立ての菊、菊人形などが展示される菊花展が開催されてきました。 

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日比谷公園菊花展(2019)

でも今年はコロナ禍で中止とのことです。

    中国では、何百年も前から(ある種の)菊花をお茶や酒仕立てにして飲用に用いているそうです。

古く唐の時代の重陽の節句には屋根などの高い処に、カワハジカミ(茱萸(しゆゆ))を刺して息災を祈る風習があった事が、唐の詩人王維の次の七言絶句から伺えます。そう、王維とは漢文の教科書に出てくる『渭城朝雨浥軽塵  客舎青青柳色新     勧君更盡一杯酒  西出陽関無故』で有名な王維です。

   

王維(唐)

獨在異鄕爲異客

毎逢佳節倍思親

遙知兄弟登高處 

徧插茱萸少一人                                                                     

(九月九日憶山東兄弟)

    何故しゅゆを刺す習わしが出来たか、に関する伝説があります。むかし、中国の仙人が弟子に、“今年の9月9日にお前の家に災難がある。家の者に嚢(ふくろ)を縫わせ、それに茱萸(しゅゆ、和名:カワハジカミ)を盛って臂(ひじ)にかけ、高い処に登って菊花酒を飲めば災禍(さいか)を免れる。”と云うのです。弟子がそのようにすると家人は災難を免れたが、家畜が身代わりになって死んでいたそうな。

 こうした重陽の節句の風習が古代の日本にも伝来して、平安時代には、菊の花に真綿(まわた)をかぶせて菊花の香りと露を移すということが行われました。紫式部集に次の歌が詠まれています。

 

 「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて 花のあるじに 千代はゆづらむ」(紫式部)

 

 平安時代の宮中の行事「重陽の節会(ちょうようのせちえ)」では重陽の前日に菊の花に真綿をかぶせ、重陽の節句の日にはその真綿についた菊の露で体を拭く「菊の着綿(きくのきせわた)」という習慣があり、不老長寿、無病息災を願ったのです。もちろん香水的な効果もあったのでしょう。今日のコスメ「バラ水」の様なものです。当時としては、非常に貴重で高価な(勿論売買はしませんが)ものだったでしょう。

 

<追記>

 重陽の節句とは関係ないですが、中国湖南省の世界遺産「武陵源」の名前は、王維の詩に出てくる「武陵桃源」に因んで、1984年当時の共産党トップの総書記であった湖南省出身の胡耀邦により命名されたそうです。胡耀邦はかなりの親日家だったのですが、学生や若者のデモを放置したということで失脚させられ、失脚二年後の1989年4月に急逝、翌5月には北京の学生・市民が追悼集会・デモを大々的に行い、第二次天安門事件に発展するのです。如何に現在の共産党トップが、市民運動を恐れて厳しい抑圧政策をとっているか、天安門事件をタブー化していることは、共産党内部にも胡を記憶にとどめ、その考えを否定的に考えない幹部がいるかを物語っているのではないでしょうか。

 上記の「武陵桃源」の大変すばらしい景観のショットが見つかりましたので転載します。

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武陵桃源天子山