HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『雑節』とは?

 ここの処又うっとしい天気になって来ました。五月は雨の日が続いたかと思うと晴れて、気温も急上昇するバカ陽気の日も有り、いよいよ梅雨入りかと思うと外れる、その繰返しです。

関東地方では過去10年間の梅雨入り(&明け)は次の通りでした。

今日で5月もおしまい。予想だと関東の梅雨入りは、6月12日頃になりそうです。

 これはここ十年間で、昨年に次ぐ遅い梅雨入りですが、暦法上の「入梅」が今年は6月11日なので、暦法にほぼ合った梅雨入りと言えます。この「暦法上の入梅」とは、これまで何回も書いている『24節気』には無い、それを補充する季節の特徴を表す特別に定められた暦日のことで、これを『雑節』と呼びます。『雑節』には、節分、初午(ハツウマ)、八十八夜、入梅、半夏生(ハンゲショウ),二百十日、二百二十日、土用、彼岸、盂蘭盆、社日(syanichi)上巳(ジョウシ)の節句(=桃の節句、ひな祭り)、端午の節句(=菖蒲の節句)、七夕、菊の節句(=重陽の節句)、クリスマス、大祓(オオハライ)があります。何れも古くから生活に溶け込んで、民俗行事や伝統行事として行われている風習の日として定められているものです。これ等を使用することにより、『24節気』をさらに細分化、こまやかな季節感を味わえる日常にしているのです。何れも季節感にマッチした旧暦(太陰暦)で定められたものです。旧暦では昨日が五月の最初の日(五月一日、新暦より約ひと月遅れている)で、今度の金曜日(旧暦5月5日)が「端午の節句」に当たります。このあいだの新暦で「菖蒲湯」に入れなかった人は、金曜日に旧暦で入れば取り返せます。 また上記した様に、6月11日(旧暦5月13日)は「入梅」で、ほぼ梅雨入りして、ますます湿気の多い季節となりますので、梅を食事に加えて食中毒や体力消耗防止が必要です(梅干し、梅酒なんかもいいです。拙宅では自家製梅エキスを用います)。「入梅」の五日前(旧暦5月8日、新暦6月6日)には、二十四節気の「芒種」があります。これは旧暦五月午(ウマ)の月の正節で、五月雨(サミダレ)が降り続き、農耕に多忙を極める季節です。芒(ノギ)のある穀物、即ち稲の植え付けに最適の時期なのです。日本は昔から、❝みず穂の国❞と謂われる位稲作に向いている国なので、昨今の輸入品価格の高騰から言っても、食料安全保障の観点から言っても、主食の自給率はもっともっと上げて国産米の生産コストと価格を下げる努力をする必要がある様に思われますが・・・。

 

 ところで、先日のNHK生放送(5/25N響1958回定期演奏会、サントリーH)の録音を聴いてみました。

【放送概要】

NHK  FM放送5/25 19h~『ベストオブクラシック』

<アナウンサー>金子奈緒,  〈解説〉神保夏子,

【出演】指揮…ファビオ・ルイージ,ピアノ…小菅優, 管弦楽…NHK交響楽団 ~サントリーホールから生中継~

【曲目】

①メンデルスゾーン『序曲<静かな海と楽しい航海*作品27』
(指揮)ファビオ・ルイージ、(管弦楽)NHK交響楽団
(12分32秒)

②ラヴェル『ピアノ協奏曲 ト長調』
(ピアノ)小菅 優、(指揮)ファビオ・ルイージ、(管弦楽)NHK交響楽団
(21分50秒)

②の2メシアン『前奏曲集 から 鳩』
(ピアノアンコール)小菅 優
(2分05秒)

*CD<WPCS-13052>放送           ラヴェル『バイオリン・ソナタから 第2楽章 ブルース』

(バイオリン)ルノー・カプソン、(ピアノ)フランク・ブラレイ
(4分55秒)


リムスキー・コルサコフ『交響組曲<シェエラザード>作品35』
(指揮)ファビオ・ルイージ、(管弦楽)NHK交響楽団
(45分20秒)

*CD放送『無言歌 から ベネチアの舟歌 作品63第5』
メンデルスゾーン:作曲
(ピアノ)小菅 優
(2分58秒)

 

 

【印象】

①メンデレスゾーン『穏やかな海と楽しい旅』

 曲自体もN響の演奏もとても良かった。

17世紀欧州では『グランドツアー』と呼ばれる大旅行が流行しました。グランド・ツアーとは欧州の裕福な家庭の若者が、数か月から数年に渡って欧州中を旅して周るもので、18世紀に最盛期を迎えたのです。例えば多くの場合、パリを訪れリヨンを経由してアルプス越え又はマルセイユから船で北イタリアに入り、その後南下してフィレンツェ~ローマ~ナポリと進み、その後は北方向に戻ってヴェネツィアに行った後はスイスかドイツ経由でオランダやベルギーに行くといった具合。勿論船旅も大いに盛んとなりました。

 グランドツアーの黄金期はフランス革命とナポレオンの登場による大陸の混乱とともに一旦の終焉を迎えるるのですが、19世紀に入ってからも、最良の教育を受けた若者たちは、グランドツアーに出かけるのが常でありました。その後、これは若い女性たちにとっても一種のファッションになっていった。パトロンとなってくれる人とイタリア旅行をするというのは、上流階級の淑女にとって教育のひとつとなったのでした。

裕福な銀行家の家庭に育ったメンデルスゾーンは、20歳の時(1829年)にイギリスへ出発します。その後もパリやイタリアを巡る長期の旅に出て様々な曲作りに資したのでした。従って「海」と「航海」のテーマでは彼にとって、懐かしい思い出と共に曲想が浮かんで来た事でしょう。

 

②ラベル『ピアノ協奏曲』

 小菅さんの演奏は、淡々としていて、アナウンサーの話の様なキラキラ感は感じませんでした。恐らく録音の為と思います。生演奏を聴けば違うのかも知れない。

 

 

③リムスキー・コルサコフ『シェエラザード』

 リムスキー・コルサコフのこの曲は、旋律も音のバランスもとても洗練された素晴らしい曲です。様々な管楽器の活躍それぞれが、N響団員の技量を発揮、最後まで登場するヴァイオリンソロも(録音であっても)綺麗に聴こえました。これは、時々生で聞きたい曲の一つです。以下に各楽章のイメージを引用しておきます。

 

第1楽章《海とシンドバッドの船》(Largo e maestoso—Allegro non troppo)ホ短調 - 

ホ長調力強いユニゾンはシャリアール王の主題、ハープ伴奏の独奏ヴァイオリンがシェヘラザードの主題を示す。これらの序奏が終わったあとに主部となり、うねるような海の様子をよく表す伴奏音型にのって、海の主題、船の主題がつづく。シャリアール王とシェヘラザード王妃の主題が絡み合う。

第2楽章《カランダール王子の物語》(Lento—Andantino—Allegro molto—Con moto)ロ短調カランダールとは諸国行脚の苦行僧のこと。シェヘラザードの主題に始まり、ファゴットによる3/8拍子のメロディがカレンダー王の主題を示す。その後、中間部ではトロンボーンやトランペットの力強い響きが特徴的。そしてさまざまな主題が絡み合い、力強く激しく終わる。

第3楽章《若い王子と王女》(Andantino quasi allegretto—Pochissimo più mosso—Come prima—Pochissimo più animato)ト長調主部では歌謡的主題をヴァイオリンがゆったりと奏でる。中間部では独特な小太鼓のリズムに乗って、クラリネットが快活な舞曲風の王女の主題を奏する。シェヘラザードの主題を挟みながら、静かにやさしく終わる。

第4楽章《バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲》(Allegro molto—Vivo—Allegro non troppo maestoso)ホ短調 - ホ長調1楽章のシャリアール王の主題がテンポ違いで示されたあとに、シェヘラザードの主題がそれを受けるところから始まる。主部となり、バグダッドの「祭り」の主題が6/16拍子で激しく奏でられる。前楽章の各主題も回想されつつ、徐々に曲は盛り上がっていく。その頂点で荒れ狂う波に呑まれる船の難破の場面に変わり、そして穏やかに波が引く描写となり「海」の主題を静かに再現、独奏ヴァイオリンのシェヘラザードの主題を奏して、消え行くように終結する。

 

印象としては、やはり生演奏を聴けば録音とはかなり違った印象だったのでしょうが、ソロアンコールも短くて、あっという間に終わる単調な響きで、素晴らしいとは思えませんでした。

 小菅さんは、その昔、吉田秀和さんが欧州で(多分ドイツでだったかな?)演奏会を聴いて、❝将来、大いなる楽しみ❞と絶賛したそうです。一度生で聞いてみたいと思ってはいたのですが、これまで一度もその機会は有りませんでした。今年中には是非演奏会に行ってみたいと思っています。

 

N響の演奏会は数多くあって、定期会員になる気は有りません。好きな曲、注目の曲、聴きたいソリストが組まれた時に単発券で聞きに行こうと思っています。