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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

MET ライブ・ビューインク『アイーダ』鑑賞

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【演目】ヴェルディ作曲『アイーダ』

【これぞMET!壮大華麗な舞台と豪華スターの競演で魅せる「オペラのなかのオペラ」!
囚われ、奴隷となったエチオピア王女の禁じられた恋の行方はいかに!戦乱の古代エジプトを舞台に、世界の歌姫A・ネトレプコと驚異のドラマティック・メゾA・ラチヴェリシュヴィリが宿命の恋敵を演じる!サッカーの応援曲で知られる〈凱旋行進曲〉が鳴り響く壮麗な「凱旋の場」、幕切れの幻想的な二重舞台など見どころ満載のスペクタクルなこの名演出の最後の上演。〈清きアイーダ〉〈勝ちて帰れ〉など情熱的なアリアも必聴。「オペラのなかのオペラ」ここにあり。

【日時】2021.8.7.(土)13:30~

【上映館】東劇(東銀座)言語:イタリア語   ※東劇のみ8/12(木)まで

【上映時間】3時間45分(休憩2回)
【MET上演日】2018年10月6日

【出演】

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<アイーダ>アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
<アムネリス>アニータ・ラチヴェリシュヴィリ(メゾソプラノ)
<ラダメス>アレクサンドルス・アントネンコ(テノール)
<アモナズロ>クイン・ケルシー(バリトン)
<ラムフィス>ディミトリ・ベロセルスキー(バス)
<エジプト国王>ライアン・スピード・グリーン(バスバリトン)

 

【演出】ソニヤ・フリゼル

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【管弦楽】メトロポリタン歌劇場管弦楽団

【指揮】ニコラ・ルイゾッティ(Nicola Luisotti)

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 <略歴>                                            明快で情熱的な指揮で、世界のオペラ・ハウスで活躍するイタリアを代表する指揮者。特にヴェルディ、プッチーニといったイタリア・オペラの王道レパートリーを得意とする。1961年ヴィアレッジョ生まれ。ナポリ、サンカルロ歌劇場、サンフランシスコ・オペラなど重要なオペラハウスのポストを歴任。東京交響楽団の首席指揮者(2009-12)を務めるなど、日本でもおなじみ。
【合唱】メトロポリタン歌劇場合唱団

 

【粗筋】
 ファラオの時代の古代エジプト。エチオピアの王女アイーダは、エジプトとの戦いに敗れて囚われ、身分を隠したまま奴隷になっている。だが彼女は、エジプトの将軍ラダメスと恋に落ちていた。同じくラダメスを愛するエジプト王女アムネリスは2人の仲に気づき、激しく嫉妬する。アイーダの父でエチオピアの王アモナズロは、再び兵を挙げてエジプト軍と戦うが、敗れ、捕虜になった。アイーダの恋人が敵方の将軍だと知ったアモナズロは、アイーダを脅してラダメスからエジプト軍の進路を聞き出させ、ラダメスは裏切りの罪で捕らえられてしまう。 

【感想】

 METライブヴューイングのスターティングを見ていつもホッとするのは、その衣装や舞台設備です。これまで頭に常識的に記憶されている伝統的なそれだからです。近年オペラによっては、背広やワンピースなどの現代的服装や、現代風景に依るものや、時には、オペラの枠をはみ出た服装や、舞台設備の演出に依るものも散見します。 月の新国立劇場のカルメンなどが、後者の例です。メトロポリタン歌劇場は、他の欧州諸国の歴史あるメインオペラハウスと同様に、歌劇場専属の衣装や小物を作る部門、設備部門を有しており、そこの部門で働くスタッフは、歴史的に蓄積されたノウハウを身につけており、謂わば熟練工が多く属しているのです。それに比し我が国には、オペラハウスの名に相応しい歌劇場は皆無と言っても良いくらいで、演出も海外の演出家に丸投げ委託し、舞台設備や衣装などには、出来る限り乏しい予算を消費し過ぎない様にする場合が多い様に見受けられます。    演出の変革は、それがそのオペラ本来のオペラ格(人の人格に相当)を傷つけない範囲でしかも合理的な理由(説明)があるものであれば、聴衆に受け入れられるでしょう。しかし単なる思い付き、奇をてらった他の物まねに過ぎないのであればNo thank youです。

 さてMETのアイーダの舞台ですが、冒頭から大人数のエジプト王宮の兵士、随員、スタッフによる大合唱は、見事なもので、壮大な大スベクタクルが展開します。

 エジプト王女アムネリス(ラチヴェリシュヴィリ以下Raと略記)が、捕虜の元エチオピア王女アイーダ(ネトレプコ以下Net)に、ひょっとしたら自分が恋している将軍ラダメス(アントネンコ以下Anと略記)に想い焦がれているのでは?と疑念を抱きつつ話しかけて歌う場面です。Raの歌声は柔らかで声量も有り安定した申し分ないメッゾでした。対するNetは若い時の非常に特徴ある声質からある時(多分太り始めた頃から)変化が生じて、遂には現在の様なプリマドンナを張れる声量も声質も安定感も超一流のソプラノとなった面目躍如の歌い振りでした。

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 また、ラダメス役のAnは声量も有り、伸びるテノールで『清きアイーダ』を歌いましたが、立ち上がり時の僅かにみせた不安定さ以外は、立派に歌い通し、さすがMETはいい歌手を揃えているという実感が湧きました。

 ここで緊急速報が入ります。エジプトがエチオピアの攻撃を受けたというのです。エジプトは、神の指名を受けたラダメスを派遣軍のトップに選んで討伐軍を進めるのでした。

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密かに愛し合っているアイーダとラダメスは別れを惜しんで互いの無事を祈ります。

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戦いはラダメスの勝利に終わりエジプト派遣軍の大凱旋パレードが行われます。個々でのブラスの響き、大合唱団の歌声はその絵になる様なスペクタクルと相まって、他のオペラには並ぶもののいない程迫力ある場面でした。それにしてもMETのオケピットは広い大きいものですね。ざっと見た限りでも2管編成弦楽五部14型以上、ハープも二台揃えていました。迫力ある演奏でした。

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勝利の大凱旋行進

エチオピアの「捕虜たち」も引きずり出されます。

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そこに父王が混じっていることに気が付いたアイーダは、父との歌のやり取りで、状況を正しく認識します。

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ネトレプコの歌う<おお我が故郷>よく声が伸び、息も随分安定して長く続き流石と思わせる歌唱力を感じました。

 それにしても最後は地下牢に永遠に閉じ込められる死刑を執行されるラダメスは、一体どういう考えを持っていたのでしょう?将軍にまで上り詰めた才覚は並外れたものではないと思いますが、いくら「愛は盲目」とは言っても、余りにも洞察力に欠けていたのではないでしょうか?そもそも敗戦者である人質、女奴隷の身であるアイーダに何故これ程溺れた愛を奉げたのか?アイーダの魅力の表現が原本にはもっと記載があったのではないでしょうか?オペラ化する際に充分表現されなかったのでは?アイーダは他のヴェルディのオペラと違ってもともとの原作となる小説なり、戯曲があってそれから台本が作られて作曲されたものとはちょいと違っています。

 フランスの考古学者の思い付きストーリーを記したノートをベ-スに、エジプト総督やヴェルディ自身の創意、ヴェルディの妻でオペラ歌手のジュゼピーナ、イタリアの台本作家等の手が加えられて台本が完成したと謂われています。従って物語の大筋の流れと部分的な渦流がの整合性は一体どうなっているのか?と疑問になる点もここかしこにあります。例えば、アイーダのエジプト宮廷における扱い、奴隷にしては、あたかも特別な存在、待遇に見えます。いくら敗戦国の元王女にせよ。生きていること自体が??ラダメスのお手付きということを従者たちは皆知っていたのでしょうか?それを王女アムネリスだけが知らなくてその関係を最近疑い始めたというのも不自然です。アイーダの父の身分が王であったということが、敗戦になってもエジプト陣が知らないのもあり得ません。(そんな事も把握していなかったら戦争に勝てない筈)。最後の墓場に愛する二人が閉じ込められ(アイーダは自分で潜り込んだと言っていませすが)やがて死に至るという場面はグノーのオペラ『ロミオとジュリエット』のパクリでは?
 三角関係の愛と言っても、アイーダとラダメスは盲目的な愛人の間柄なのだからアムネリスは完全に横恋慕です。アムネリスの権力を笠を着せたパワハラそのものでは?でもこれは若干異なるかなI.レナードのインタヴューにアムネリス役のRaが語った様に、余り強権的な王女のイメージにならない様に気を付けているとの言葉通り、優しい心とアイーダに強く当たりたい嫉妬の心との葛藤が、Raは良く表現出来ていたと思います。
 ところでMETライヴ・ビューイングの最大の特徴である組織トップや歌手のインターヴュー、また幕間の舞台裏での次の準備をするスタッフの作業状況、などなどめったに見られない場面を映し出しそれを解説するインターヴューアは以前はルネ・フレミングが有名でしたが、今回はその役をI.レナードが行っていました、仲々頭の切れる要点を押さえた見事な采配振りを見せていました。彼女の経歴を見ると、経験は浅いがまだ若い、地元ニューヨーク出身のメゾソプラノとのことです。今後の活躍が期待されます。