HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『クールベと海・展』観賞詳報Ⅲ-①<クールベのヌード画>

 クールベは、これまでの風景画、動物画の他にヌード画でも有名であり、多くの物議を醸しました。1853年にサロンに出品した『水欲の女たち(今回の展覧会にはno entry)』は、激しい非難を受けました。

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水浴の女たち

(ファーブル美術館所蔵)

 それは森深い水辺で恐らくメイドとおぼしき女性を従えて水浴びをしている女性(水から出たところか?)が下品極まりない表現だというのです。

その頃のヌード画は、理想化された裸体の人物に、宗教的か神話的な何らかの題材を同時に付加して表現していましたが、クールベはそれらを一切排除し、ヌードを理想化せずあくまで写実的に捉えて、大きなお尻をキャンバス中心にデンと据え、何かそばの若い女性に話していて、女性は身をよじって言われたことを嫌がっている様子、濡れた体を拭いてとでも言ったのでしょうか?何れにせよこの絵を見たサロン側は、猥雑で汚い絵という評価をしたのでした。現代の目から見たら何ら違和感が無い絵なのですが。また20~30年後のルノアール、セザンヌたちも同様な水浴の模様を描いていますが、それ程の批判は浴びていません。やはり伝統的美術に対して反逆的姿勢を有したクールベには、世間の風当りは強かったのでしょう。でもそんなことでへこたれるクールベでは有りませんでした。1860年代になると個人注文家に対して、よりあからさまな官能的ヌード画を描いて供給する様になります。パリ在住のトルコ外交官カリル・ベイの為に、女性の向きだしの下腹部のみを写実的に描いた『世界の起源(オルセー美術館蔵)』は、社会に強烈なインパクトを与えました。確かに、以前オルセー美術館に行った際、この絵を目にした時は、見てはならない物を見た様な恥ずかしい気持ちになり、急いで次の絵に進んだ記憶があります。日本だったら明らかに猥褻扱いされたかも知れません。(パリでは平気なのですね。コロナが生じる何年か前にオルセー美術館の絵の前で全裸の女性が股を大開きにして座りこみ自身を陳列、前衛芸術と主張したらしい。彼女が公然猥褻罪で逮捕されたという報道は聞きませんでした。すごく進んだ国ですね?)

 1866年にクールベが描いた『デズデモーナの殺害』は、シェイクスピアの『オセロー』の場面を描いたものです。

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『デズデモ-ナ』の殺害

 眠っている裸婦の覆い布を、画面上部の暗い箇所に描かれた男が外そうとしている仕草は、同年に描いた『ビーナスとプシュケ(noentry)』でも使われた手法でした。 

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『ヴィーナスとプシュケ』

ベルン美術館所蔵