HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

Stendhal『イタリア紀行(1817年版)』3

≪ミュンヘン10月25日≫

 この日の記事はたった一行です。 

“心をひくもの皆無。寒さのため楽しめない。***伯が今晩わたしをカタラーニ夫人に紹介する。”

 まるで随筆の一言みたい。スタンダールさん、清少納言になったのですか??枕草子ですか?? これは余程寒さが体にこたえたからでしょう。でもミュンヘンは最寒時でも平均気温-2℃、11月近くですからせいぜい4℃です。今日の関東地方の外の夜間気温位でしょうか。その日が晴れていれば平均気温は少しはましになったのでしょうけれど、恐らく天気が悪く、カタラーニ夫人の宿舎まで出かけたりして体が冷えたのでしょう。当時の室内の暖房は余り良くなかったのでしょうか?いや暖炉の無い部屋だったのかもしれません。

 ベルリンからミュンヘンまでの旅の疲れもあったことでしょう。両都市間は今では飛行機で1時間ちょっと、鉄道で4~5時間、バスで7時間以上かかりますから、スタンダールの時代は馬車で何日もガタゴト揺られながら、途中伯しながらようやくミュンヘンに着いたことでしょう。疲れる訳です。

 カタラーニ夫人については昨年5月8日のhukkatsブログで触れています。

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カタラーニ夫人

 彼女は19世紀の代表的なオペラ歌手で、スタンダールは1806年8月にパリでそのコンサートを聴いて“完璧だ”と日記に書きました。ソプラノ歌手でその美声と美貌は観客を熱狂させた様です。ショパンに贈呈した「金時計」のエピソードがある様です。