HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

東京少年少女合唱隊 第68回定期公演(2020.11.6.金)』を聴いて来ました。

 この演奏会には、〈70周年プレ・イヤー〜創設者に捧ぐ〉という副題がつけられていて、表記の合唱団は創設以来70年近く経つという伝統ある合唱団です。H.P.にそのプロフィールが掲載されているので、概略引用しておきます。

【プロフィール】
東京少年少女合唱隊(L.S.T. The Little Singers of Tokyo.Tel03-3361-0831 )
 東京少年少女合唱隊は創設指揮者故長谷川新一と故ポーロ・アヌイ神父のもとに「ルネッサンスの楽曲を日本の子供達にも」との趣旨で1951年に誕生。メンバーは6歳から14歳の基礎クラスから演奏活動の中心となる15歳から19歳までの上級クラスに加え、当隊出身の成人による混声合唱団と小編成のアンサンブルまで幅広い演奏活動を行っている。

 グレゴリオ聖歌から現代作品まで幅広いレパートリーを持ち、主催の定期演奏会と海外公演、その他国内外の交響楽団、オペラ劇場との共演等が主な活動である。邦人作曲家への委嘱や編曲作品も数多く、近年では松平頼暁、一柳慧、細川俊夫の委嘱作品を国内外で発表している。

児童合唱付きの交響曲・オペラ作品の出演経験も多く、交響楽団との共演は、近年では2000年NHK交響楽団スヴェトラーノフ指揮チャイコフスキー作曲「くるみ割り人形」、2006年サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団来日公演テミルカーノフ指揮ショスタコーヴィチ作曲「オラトリオ森の歌」等に共演。

 オペラは、最近では2003年ムーティ指揮ミラノ・スカラ座来日公演ヴェルディ作曲「オテロ」など。国内は二期会、日生劇場、NHK、新国立劇場、サントリーホール主催のホールオペラ、2007年には小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトでビゼー作曲「カルメン」、続いて2009年にはフンパーティング作曲「ヘンゼルとグレーテル」に出演し好評を得る。

 海外親善公演は1964年渡米公演以来30回を数え、その経験は青少年の成長に大いなる貢献をしている。近年では2000年「ルツェルン国際音楽祭」における、細川俊夫の個展演奏会に出演。また、同年ハノーバー万博へも招聘出演した。最近はアジア諸国との交流も数多く、2006年韓国、2007年台湾各地で公演を実施。
 2001年には創立50周年を記念して年間3回の公演をサントリーホール・カザルスホール・東京カテドラル聖マリア大聖堂で実施した。
 59年間で録音されたレコード・CDは創立当初より多数あるが、近年ではカメラータ・トウキョウより「ヨーロッパの響きをたずねて」と題したヨーロッパ演奏旅行のライヴ録音の4枚のCDや、J.フルネ指揮フォーレ作曲「レクイエム」、フォンテック社より「細川俊夫作品集」、自主レーベルより「天使のミサ」シリーズなど芸術性の高いものがリリースされており、好評を得ている。
 また、定期演奏会以外にも来日した外国の合唱団と「手をつなごうコンサート」と題したジョイントコンサートを行い、主催公演の新シリーズとして2002年より始めている「降誕節に歌う」では、国内の合唱団を招待して、美しい響きを求めてをテーマに声を合わせている。2011年に60周年を迎えた。
 現在桂冠指揮者に長谷川冴子、常任指揮者に長谷川久恵が就任。

 

【公演日】 2020/11/6(金)19:30~

【会 場 】
東京カテドラル聖マリア大聖堂(文京区関口)

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大聖堂外観

【指 揮】
長谷川久恵 
共/コンサートコア・ジュニア・カンマーコア・コールス 浅井美紀og

【曲 目】
①パレストリーナ『ミサ・ブレヴィス』

②レイトン『ミサ・コーニーリア作品81』より

③クルシェーネク『5つの祈り』

④シェーンベルク『3つのドイツ民謡作品49』より

⑤マーラー=ゴットヴァルト『引き裂かれ見捨てられ』 他

 

【合唱演奏会の状況】

 今回のコロナ禍で多くの音楽部門が規制・自粛の時期を乗り越え、その後次々と規制が緩和されて解除されて活動を再開したのにもかかわらず、合唱部門は飛沫感染や、クラスター発生の恐れから、解除が遅れてきました。先月始めの新国劇オペラ『フィデリオ』公演で、三密を避ける位置に合唱員が配置され、演奏が為されたのが久しぶりに聴く歌声でした。合唱だけのコンサートは、軒並み中止に追い込まれ、全国規模の合唱コンクールも地方大会も全部中止になってしまいました。
 従って、今日は、久し振りに聴く本格的な合唱の音楽会なのでした。 コロナの時代、合唱団はどの様な対策をして演奏するのか見たい気持ちがありました。また今回は大聖堂で行われ、パレストリーナやマーラーの曲を歌うということもあって、急遽聴きに行くことにし当日券で入場したのです。会場の大聖堂は、今回初めて行きましたが、椿山荘の真向かいにありました。この大聖堂は1964年に丹下健三氏の設計で建築されたものです。一見教会とは見えない近代建築で、50年以上も経った今でもその特異な形状は斬新性を失っていません。

【演奏の模様】

①クラシカルなイタリア合唱曲の有名曲で、時々演奏されます。宗教性を抜きにしても、落ち着いたパレストリーナらしいバランスの良い曲です。比較的低学年と思われる小さい子供達、男女総勢28人が

白い宗教性を帯びたガウンをまとい、皆白マスクをつけて登場、壇上の透明なプラスチック製の体全体を覆う半円筒形の盾状のガードの後ろに一人一人立ちました。ガードは、横一列に、三重位並んでいます。これなら確かに飛沫拡散は防げるでしょう。マスクもしていますし。

 アカペラで歌われた合唱は混成四部、いやもっと声部が分かれていたかもしれません。皆さん力まず全体の声が溶け合っている。大聖堂の壇上の壁は、四角錐の三内辺が、上に向かってしぼんでいく形状になっていて、歌声は適度な反射により、ばらつくこともなく纏まりの良い響きが伝わって来ました。でも、極く僅かにくぐもった感じがありましたが、気になる程ではありません。

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大聖堂内部

 ただ①ー1Kyrie~①-6Agnus Deiまでの全体としての一本調子が、聖堂に来る途中食べた夕食でお腹が満たされていたこともあって、心地よくて眠気を催してしまいました。パレストリーナは、家にCDを持っていて時々聴くのですが、マショーほど浮世離れした響きでないし、纏まりがあって心が落ち着く感じがするので、ガンガンと来る音楽(例えば、ストラビンスキーやプロコフィエフ)を聴いて若干疲れた時が多いですね。昔、パレストリーナの歌を合唱コンクールで毎回毎回歌って、何年も連続して全国優勝した「FMC」と言う合唱団がありましたが、今はもう無いのでしょうね。今年は、様々な合唱コンクールが中止になってしまい、団員はさぞがっかりしたことでしょう。

②合唱員が入れ替わり、24名の①より小さい子供達が壇上にあがりました。この曲じたいも、作曲者のレイトンも、初めて聴きます。結構激しいオルガンの前奏に続いて半音階の様な不思議な響きの調べが広がります。かなり現代音楽風。

演奏会が終わっての感想は、①から③の宗教曲より④、⑤の世俗曲の合唱が力も入りハーモニーも良く溶け合って清明感があってよかったと思います。特に最後のマーラーの『子供の不思議な角笛』より『引き裂かれ見捨てられ』が最高の出来でした。

なお、アンコールとして、団員全員による『瑠璃色の地球(原曲松田聖子うた)』がバンドネオン付きで歌われました。

 

 ところでウィーンフィルの来日が現実となり明後日(11/8日曜)は関東地方では初めてとなる、ミューザ川崎での演奏会があります。既に九州、大阪では演奏を行っており、最初の演奏会場のある福岡国際空港には11月4日にチャーター便で到着したとのことでした。

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到着したチャーター便(放水して洗浄)

 今回の来日はコロナ禍の中、様々な感染症対策・工夫がなされ、招聘元のサントリーホールによれば、次の様な厳しい条件をクリアして公演を行うとのことです。

【サントリーホールからのメール通知】

『今回の関係各所との調整の結果、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団として、以下を始めとする各種の感染防止措置を取ることとしております。
・チャーター機による来日
・日本入国前の陰性証明の取得 及び入国時の新型コロナウイルス検査
・貸し切りバスや新幹線号車貸し切りの利用、宿泊施設ではフロアーを分け、専用食事会場の利用等により、一般の方々との接触回避を確保すること
・滞在中は 宿泊施設 とコンサートホール間の移動以外の外出を行わないこと
・毎日の検温、コンサート時以外の常時マスク着用 といった各種衛生措置
・全員による接触確認アプリ( Cocoa )のインストール、日本において接触した全関係者の記録等の接触確認対応
・日本政府及び関連業界が定める感染防止ガイドラインを遵守した公演の実施
・その他、関連する全ての各種の感染防止ガイドラインの遵守
 更に、オーケストラ独自の感染防止対策として、本年6月より行っております4 日に1度の検査を、日本滞在中も帯同の医師の下、自主的に行います。これらの各種の感染防止措置により、皆さまに安心できる形で公演を実施できるものと確信しております。』

 こうした新型コロナ対策方式で来日公演を実施することは、どこの管弦楽団でも可能という訳にはいかないでしょう。今回は、オーストリア大使館や日本政府の協力もあったそうです。勿論招聘元のコロナ対策に要する費用もあり、これまでの通常の来日オーケストラの場合の何倍ものコストがかかったことでしょう。チケットの売り上げだけではとても賄いきれないでしょう。大赤字でしょうね。我が国の音楽振興に寄与してきた企業、サントリーだからこそ成し遂げられたとも言えます。

 ただちょっと気掛かりなことは、ウィーンフィル演奏会がすべて終わった後、指揮者はもとより、団員の皆さんが、果たしてスムーズに帰国できるのかどうかです。その辺りは、関係者が手筈を整えていることとは思いますけれど。何せ、欧州各国は猛烈なコロナ第二波で、大変な数の感染者が出ているというではないですか。ロックダウンの都市も多く出ています。従って焦って帰国しないで、このまま暫く日本に留まり、各地を演奏ツアーしてはどうでしょう?

 勿論渡航が可能な近隣諸国を廻って演奏ツアーするのもいいですし。そうして、これは夢物語ですが、12月一杯まで在日出来れば(宿泊施設は、オリンピック用に用意したところが沢山あるのでしょう?)、年を越してのニューイアーコンサートを東京で開き世界に発信しては如何が?ウイーンでは、多分開けないでしょうから。伝統あるウィーンのニューイアーコンサートが中止になるのは、一音楽愛好者としても忍びないですね。