HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

『ミラノ大聖堂から捧げるレクイエム(スカラ座管弦楽団)』※※※世界同時配信(有料)※※※速報

先程表記の演奏を予定通り鑑賞しました。

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【方式】世界同時配信


【演奏会場】
ミラノ大聖堂

【日時】
2020年9月12日(土)20時~

【演奏曲目】
ヴェルディ『レクイエム』

 

≪全7曲構成≫
①Requiem et Kyrie(レクイエムとキリエ)

Requiem æternam(レクイエム)合唱のみ。 

Kyrie eleison(キリエ) テノールの独唱に始まり、4重唱から合唱が加わる

②Dies Iræ(怒りの日)

Dies Iræ(怒りの日)合唱。このレクイエム中最も有名な旋律

Tuba mirum(くすしきラッパの音)バスと合唱。冒頭にトランペットのバンダを伴う盛大なファンファーレ

Mors stupebit(審判者に答えるために)バスによる独唱 

Liber scriptus(書き記されし書物は)メゾソプラノのソロ

Quid sum miser(哀れなる我)ソプラノ、メゾソプラノ、テノールの3重唱。

Rex tremendæ(御稜威の大王) 4重唱と合唱。

Recordare(思い給え)ソプラノとメゾソプラノによる2重唱

Ingemisco(我は嘆く)テノールによる独唱

 

Confutatis maledictis(判決を受けた呪われし者) バスによる独唱

 

Lacrymosa(涙の日)4重唱と合唱からなる

 

③Offœrtorium(奉献唱)ソリストによる4重唱。

 

④Sanctus(聖なるかな)混声4部、2群による合唱。

⑤Agnus Dei(神の子羊)ソプラノ、メゾソプラノと合唱。

⑥Lux Æterna(絶えざる光を)メゾソプラノによる導入にバスとテノールが唱和

⑦Libera Me(我を救い給え)

Libera me(我を救い給え)ソプラノ独唱が無伴奏で開始、合唱が追随

Dies iræ(怒りの日)既出部分の繰返し

Requiem æternam(レクイエム)既出部分冒頭の再現

Libera me(我を救い給え)ソプラノと合唱。

 


【出演者】
◆リッカルド・シャイー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団
◆ミラノ・スカラ座合唱団(合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ)
◆クラッシミラ・ストヤノヴァ(ソプラノ)
◆エリーナ・ガランチャ(メゾ・ソプラノ)
◆フランチェスコ・メーリ(テノール)
◆ルネ・パーペ(バス)

※新型コロナウイルスによる出入国規制により、当初の発表からソプラノとバスが変更になりました

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シャイー指揮ミラノスカラ座管弦楽団

【概要】

 今回は、コロナ禍で演奏の機会を失っていた「ミラノ・スカラ座管弦楽団」の久し振りの演奏会です。ご案内の様にイタリアにおける感染状況は目を覆う程で、ミラノもそれに漏れず、大きな打撃を受けました。ここにきてやっと再開出来る状況となったもので、その最初の演奏曲目、ヴェルディの『レクイエム』を、ミラノの犠牲者のみならず全世界の数知れない失われた人々の鎮魂のために演奏するというものです。20時の演奏開始を心待ちに待って聴きました。

 演奏の前にミラ市長、枢機卿の挨拶がありイタリア大統領も臨席していました。

 

 開始した映像はクリアその物、NHK放送より明瞭な気がする。音声も十分です。

 ヴェルディのこの曲は、ティバルディのソプラノの録音ソフトを持っていて、時々聴くのですが、モーツァルトやその他の『レクイエム』と比べて、静かな鎮魂の調べが心にズッシリと重くのしかかる気持ちになります。

 冒頭静かに合唱が鎮魂の歌を歌い、時々シャイーは目をつぶりながらタクトを振りました。合唱は次第に盛り上がる感情を声高らかにテノールが歌い始め、バス、メッゾと後を追い、次いでメッゾとテノール、バスと続き合唱も声を張り上げています。

 次に冒頭から、激しい感情の高ぶりを歌、オケ相伴って激しくぶつけ合い、続くトランペットのファンファーレとティンパニーの音、管の響きにつられて合唱が歌い出し、一端静まり、バスがソロで歌います。ずっしりといい声ですね。次はメッゾの歌、またしてもトランペットの音が鳴り響くと、メッゾがそれに合わせてソロで結構長く詠唱します。

 クラリネットの先導でまたしてもメッゾのソロは続く。暫くしてテノールが入って来てメッゾと重唱、ソプラノも加わり三重唱となりました。ひとしきり歌った後、合唱が鳴り響き再びバス、ソプラノ、テノール、メッゾが準にソロで歌い合唱の合いの手が入る。暫し曲が途切れると、シャイーは残響が消えるのを待ち(石造りの大きな建物内のせいか残響が長い様です)、オケと合唱の後、メッゾ、ソプラノと続き、二重唱。穏やか安らかな歌声が続く。鎮魂の天使の歌声の様。

 続いてテノールがやはり同じ基調の穏やかな調べを歌い、しばらく続いた後、バスが割って入り、同様な穏やかな調べを続けます。 時として優しく時として強い調子で、でも穏やかな基調はそのままに。クラリネット、弦のピッチカートが入り、冒頭の激しいオケと合唱のぶつけ合いが再現されました。シャイーは精力的にタクトを振っている。オケもその指示の先に絹糸で繋がれているが如くコントロールされています。

 再びメッゾが穏やかに鎮魂の歌を奏で始め、バス、ソロが歌う時はシャイは絶妙な音量にオケを抑制し、出しゃばらずそれでいて、主張はしっかりと続けています。 合唱もソロの影を追うが如く寄り添っている。シャイーは目をつむり合唱と管が静かに終わりを告げました。 

 次曲は、静かな弦の調べにフルートが合わせ、チェロの音にメッゾが歌い始めます。すぐにメッゾとテノールの重唱、これにバスが加わって、三重唱、さらにソプラノが歌うとヴァイオリンがそれにより添い、ソプラノ、メッゾ、テノール、バス、オケ、合唱が抑え気味に演奏。次はテノールが歌い始め、バス、メッゾ、ソプラノが加わり、再びテノールが主題の調べを抑え気味の声で繰り返し、ソプラノに引き継ぎます。歌はやがて4人のソロ歌手たちの力強い歌声となり、トランペットのファンファーレと共に合唱が、フーガを歌い始め、管もそれに合わせて、合唱の激しい歌声になる。歌い終わった後、暫し間をおいてソプラノとメッゾがイントロの歌を歌うと、静かに女性合唱が後を追い、メッゾとソプラノに引き継ぎます。再びコーラスが静かに主題を繰返し、再度ソプラノ、メッゾが繰り返えしました。

 次の歌はメッゾから開始、歌手陣が4重唱で歌を広げ、弦もピッタリとついてきて、突然、ソプラノが叫び始めバスーンが合わせて、ソプラノが本格的にソロで歌い始めます。これだけ続けて歌っても、ソプラノは疲れを微塵も感じさせない。迫力満点のソプラノでした。

 再再度、激しいテーマソングが合唱(ソロも含む)とオケと相伴って、大音響と声を張り上げています。ソプラノの声は大音響に飲まれず負けず、その歌声がしっかりと聞こえました。ソプラノが引き継ぎ、泣きそうな切ない表情で詠唱します。オケは手を休め、女性合唱、続いて全合唱の伴奏的な歌が続き相変わらずソプラノは切々と歌い、歌い終わると女声合唱が受け皿になって、その後男性合唱も加わり、オケも全力演奏、シャイーは全然汗もかかず悠々と指揮している。このソプラノは、きっとオペラを歌っても見事な歌い振りを見せるに違いないと思いました。ソプラノと合唱が激しく音階を駆け上がり、ソプラノは独断場とも言える大活躍です。かなり低い音もソプラノはアルト的声を出し声の音域も広いとお見受けしました。さらに相当高い声もオケの大音響に交じってはっきりと聞こえるぐらいの声量です。祈りの歌をソプラノがティンパニーのかすかな音に合わせて歌い、静かに終了しました。

 素晴らしい、映像を通してとは言え、暫くぶりで聴く名演でした。ソロの4人の歌手陣は、声量、声の伸び、声の安定、柔軟性、声域の広さ、歌いまわし等どれをとっても皆が皆、文句なしの素晴らしい歌手陣でした。後で調べたら、このソプラノはブルガリア出身で、ウィーン歌劇場でもタイトルロールを歌っている様ですね。ブルガリアはシントウさんからヨンチェヴァまで素晴らしいソプラノを輩出しているのですね。

シャイーの率いるオケは出しゃばらずでもしっかりと自己主張し、歌に寄り添い見事な指揮ぶりでした。

また大聖堂内の不断目の届かない、絵画、ステンドグラスもまじかで見るように拡大で映像に映り、また大聖堂内の遠映でその壮大な建築内部も概観でき、今日は良い映像を見ました。

 こうした演奏を生演奏で見れたら、聴けたらどんなにか感動することでしょう。一日も早い感染症の終息と、素晴らしい音楽の来日公演を心から待っています。来年は大いに期待で出来るかな?

 

尚今回の配信は9月20日まで続けられますので、若しこれから手続きする場合は以下の通りです。

 

≪配信期間≫
2020年9月12日(土) 20:00 ~ 9月20日(日) 23:59

[チケット]

販売期間:2020年9月1日(火)10:00 ~ 9月19日(土)23:59
購入URL:イープラス https://eplus.jp/milanscala/

情報サイト:https://liveviewing.jp/contents/milanscala/