HUKKATS hyoro Roc

綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

スタンダール『イタリア旅日記(1827年版)』精読(遅読)⑯

<ミラノ十一月三日>
 スタンダールは翌日が「聖カルロ」の祝祭日だと書き始めています。この「カルロ・ボッロメオ」は1538伊北部の貴族の家に生まれ、22歳の若さで叔父の教皇ピウス4世により枢機卿に任命、27歳でミラノ大司教に昇格しました。その10年後にペストが大流行した時に、自分の危険も出費も顧みず教区を回って患者を援助し、義務を果たそうとしない者、特に聖職者を罰したという。46歳の若さで亡くなったが、その後聖人に列せられたのでした。やはりいつの時代でも、どこの国でも人々のために働き実績をあげた人間は、後々まで讃えられる栄誉にあずかるのでしょう。スタンダールは“聖カルロはマドンナ(聖母マリア)に劣らず、ミラノ人の正真正銘の神である”と書いている。

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大聖堂内のマドンナ

ここでマドンナとはドゥオモの尖塔上部と教会内部にある聖母像の事で、ミラノの象徴となっています。
 その後で、スタンダールは幾つかの教会(①マドンナの教会(サンタ・マリア・プレッソ・サン・チェルソ教会)、②サン・ロレンツオ教会、③グラッツィエ修道院)を見て回ったこと、及び聖カルロの日に粗末な豆を食べる習慣を、招待されたある夫人の処の食事会で経験することなどを述べています。 

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①マドンナの教会(サンタ・マリア・プレッソ・サン・チェルソ教会2)

 教会①はコロンブスのアメリカ大陸発見時代に創建された教会で、スタンダールは ”有名なマドンナの教会を訪れた。この好奇心をそそる建造物は、今ではたいそう忘れられてしまったキリスト教会の初期の形状を思い出させる。” と述べ、そこで柱廊やフレスコ画などを見たと言っています。

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②サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会

 教会②はミラノで最古の教会の一つで、創建は4~5世紀の端境期に遡ると謂われる。スタンダールは“僕はサン・ロレンツオ教会の見事な古代の円柱を見た。~(略)~教会は古代の十六本の円柱の背後にたてられているが、その変わった形で僕を楽しませた。”と言っている。

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③サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会

 教会③は最後の晩餐(ダヴィンチ作)がある事で有名な教会。スタンダールの時代には“修道院”として使われていたのでしょうかね。