後半最初の曲は、⑤ラヴェル作曲『水の戯れ』、演奏はN。割りと良く知られた曲です。確かにキラキラとみなも(水面)が光り輝く様子が、良く表現されていました。次は⑥ホルスト作曲『惑星より第4曲木星』これはオーケストラ曲として有名かつ度々演奏されますが、もともとはピアノDuo用として作曲されたものだそうです。前半のモーツァルト演奏の時とは異なって、演奏位置を入れ替わり、右手がK左手がNで演奏。Kはかなり体を揺すりながら、Nは背筋を伸ばし不動の姿勢で演奏しました。元気な響き、特に中間部に力強さを感じました。
⑦番目の曲としてドビュッシー作曲『小組曲』が選曲された。ここでは一台のピアノを連弾で演奏しました。高音部がK、低音部がN、低音高音といっても互いに腕を交差させながら弾く箇所もたびたびあり、演奏後のトーク(前半の第Ⅰ部でも曲の演奏の合間に、二人[若しくは一人]がマイクを手にとり、曲に関してや二人の関係、演奏関係などを説明し、会場の笑いもさそって始終和やかな雰囲気で進められた。)では、Nが‘相手の手がぶつかってしまったところが三回ありました’と正直に言ってみんなを笑わせていました。
最後の曲は⑧ラヴェル作曲「ラ・ヴァルス」。プログラムの解説によると、“ウィンナーワルツへの賛歌で…リズムとメロディが顔を出し、次々と新しいワルツが華やかに積み重ねられるが、やがてリズムとテンポが乱れてくる。…オーストラリア・ハンガリー帝国の破局の予感”と書いてありますが、確かにラヴェルのあの有名な曲「ボレロ」の如く、繰り返し繰り返し同様なメロディとリズムが変奏で続き、終盤に「ダーン」と大きい音がして、あたかも爆弾が落とされたかのような錯覚にとらわれました。 何故この曲が選曲されたかの説明はありませんでした。
前後しますが、前回の12月1日の『…Ⅰ部(前半)』の記事で“②の2台での演奏が平易に聞こえたのは音が相手に届く時間の差が原因ではなかろうか”といった趣旨の記述をしました。これに関してもう一点気になった点を追加しますと、少し音量が足りなく聞こえたこと。これは座席の位置のせいでしょうか?1階中程のやや右側のエリアでこれでは、大ホールのもっと後ろや二階後部の座席では、かなり小さく聞こえたのではなかろうか?やはり響板を外した方のピアノの音が、直上の高い天井方向にかなり向かってしまい、後ろのピアノの響板で客席のほうへ反射される音が減ったせいかではないかと思われます。
訂正:前回の『Ⅰ部(前半)』の記事で、NHKラジオ番組『クラシックパシオ』は『リサイタル・パッシオ』の誤りでした。また文中の略記号MはKの誤りです。