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J.S.バッハとC.P.E.バッハ〜MUZAランチタイムコンサート 2月

~東京交響楽団メンバーが奏でる世界~ランチタイムコンサート2024-25シーズン

公演のメイン画像

【日時】2025.2.25(火)12:10〜

【会場】ミューザ川崎シンフォニーホール

【出演】
〇フルート:相澤政宏

〈Profile〉

宮城県出身。1989年東京音楽大学3年在学中に東京交響楽団のオーディションに合格、入団する。1991年日本フルートコンベンションコンクール、ソロ部門にて3位入賞。2004年津田ホールにてリサイタルを開催、絶賛を博す。現在、東京交響楽団首席フルート奏者、紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー。東京音楽大学非常勤講師。


〇ヴァイオリン:水谷有里

〈Profile〉

東京藝術大学音楽学部を卒業、同大学院修士課程を修了。大学院修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。 第24回KOBE国際音楽コンクール 最優秀賞受賞。ヴァイオリンを服部芳子、岡山潔、野口千代光、松原勝也、山﨑貴子の各氏に、バロックヴァイオリンを戸田薫氏に師事。 現在、東京交響楽団ヴァイオリン奏者

 

〇チェロ:福﨑茉莉子

〈Profile〉

桐朋学園大学音楽学部卒業。第66回全日本学生音楽コンクールチェロ部門大学の部2位。ヤマハ音楽支援制度・音楽活動支援対象者。サントリーホール室内楽アカデミー第2期生。

「梯剛之 クァルテット・セレシア/ショパン:ピアノ協奏曲第1番、第2番」をリリース。佐藤満、倉田澄子、銅銀久弥に師事。

現在、東京交響楽団チェロ奏者。


〇チェンバロ:西野晟一朗

〈Profile〉

桐朋学園大学古楽器科チェンバロ専攻を卒業。チェンバロ、通奏低音を有田千代子、上尾直毅、根本卓也の各氏に、フォルテピアノを小倉貴久子氏に師事。

第4回、第6回フォルテピアノ・アカデミー SACLA(小倉貴久子氏主催)ではクラヴィコード、タンゲンテンフリューゲルのコンサートおよびクラヴィコードワークショップの講師を務め好評を博した。コンセール・エクラタン福岡チェンバロ奏者。

 

 

【曲目】

①J.S.バッハ:トリオ・ソナタ ト長 BWV1038

(曲について)

 フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタト長調(BWV 1038)の原典としては、バッハ自筆のパート譜が存在する。使われている紙の透かしから、1732年から1734年頃に作製されたものと考えられている。しかしこの自筆譜には、作者名が記されていない。一方、この作品の通奏低音は、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタへ長調(BWV 1022)とヴァイオリンと通奏低音のためのソナタト長調(BWV 1021)と同じである。特にBWV 1022は、BWV 1038のフルートのパートをチェンバロの右手に割り振ったもので、ヴァイオリンパートはト長調で記譜されており、全音低く調弦するよう指定されている。BWV 1021は、アンナ・マグダレーナ・バッハの筆写譜が存在し、"Sonata per il Violino e Cembalo di J. S. Bach"と作者名が記されている。この写譜に使われている用紙は、BWV 1038と同じで、更にアンナ・マグダレーナ・バッハの筆跡の変遷の研究から、1730年から1733/34年の間に作製されたものと考えられている。これら3曲に共通する通奏低音の由来は明らかにされていない。アンナ・マグダレーナ・バッハの筆写譜は、バッハの自筆譜と同等の信頼性があり、作者名の記されているBWV 1021の真作であるとの判断は、揺らいだことがない 。一方、BWV 1038とその編曲版であるBWV 1022は、その様式分析から、真作ではないという判断が支配的である。しかしながら、BWV 1038の場合、作者名が記されていないとはいえ、自筆譜が存在しており、更に使用されている用紙がBWV 1021と同じで、したがって同じ時期に作製されていることも考えると、一概に真作ではないと断定して良いのだろうかという疑問が残る。BWV 1021は、アンナ・マグダレーナ・バッハによる、作曲者を明記した筆者譜が存在することによって、真作かどうかの論議が起きることがなかった


②J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013

(曲について)

4つの舞曲からなる。演奏時間は9~15分ほど。

  • 第1楽章 アルマンド イ短調、4分の4拍子。
  • 第2楽章 クーラント イ短調、4分の3拍子。
  • 第3楽章 サラバンド イ短調、4分の3拍子。
  • 第4楽章 ブレー・アングレーズ (英国風ブレー)                                バッハが1717年の秋に、ドレスデン宮廷のフランス人フルート奏者ビュファルダンの演奏に感銘を受け、その直後の1718年頃に彼のために作曲されたのではないか(表題がフランス語表記なのはそのためか)とする説やブランデンブルク協奏曲第5番のフルート・パートよりもより複雑なテクニックを要する作品であることから、1723年以降の作であろうとする説などがある。


③C.P.E.バッハ:トリオ・ソナタ イ長調 Wq146

(曲について)

C.P.E.バッハは、「ベルリンのバッハ」、あるいは「ハンブルクのバッハ」と呼ばれる。バッハ家の子どもたちの中でもっとも多くの作品を残し、生前の名声は父を上回るほどで、当時は「大バッハ」と称えられた。ベルリンでは皇太子時代よりフリードリヒ大王に専属楽師として仕えた。フルート演奏を趣味とした王の宮廷ではエマヌエルの作品はほとんど演奏されず、音楽的な趣味が王と一致しないことがしばしばあり、俸給も上がらなかった。それでもベルリン時代には『クラヴィア演奏の正しい技法についての試論』(2巻、1753/1762、邦訳あり)を上梓し、クラヴィア奏者としての名声を確立した。フリードリヒ大王もエマヌエルの演奏には賞賛を惜しまなかったという。しかしついに1767年、30年仕えたベルリン宮廷を辞してハンブルク主要5教会の音楽監督に就任した。

エマヌエルの鍵盤作品はチェンバロあるいはクラヴィコードのために書かれたものである。父のJ.S.バッハの様な対位法の要素はあまり強くない。むしろ、装飾や走句を多用する「ギャラント様式」、唐突な雰囲気の変化や大胆な転調によって感情を直接に表現しようとする「多感様式」を特徴とする。またソナタにおいては、急‐緩‐急による3楽章の形を確立し、音楽の豊かな効果や感情表現は、ハイドンやベートーヴェンなどヴィーン古典派に大きな影響を与えた。 今回の演奏曲はその典型的なもの。

 

【演奏の模様】

    会場のミューザ・シンフォニー大ホールは、平日昼間にも関わらず、聴衆がギッシリ入っていたのには、驚きでした。P席と4階席は閉鎖されていましたが、それ以外の席は満席。1時間程の演奏でしたが、高齢者の他に熟年層も混じっていたのは、近隣に務める人達も昼休み時間を利用して来ていたのでしょうか?演奏者もマイクを握って謝辞を述べていました。フルートを中心とした室内楽が演奏されました。

 

♫①J.S.Bach: Trio Sonata in G Major, BWV 1038

I. Largo

II. Vivace

III. Adagio

IV. Presto

 第Ⅱ曲のチェンバロはやや弱含みでしたが、アンサンブルのアウンの一致は見られました。

 第Ⅲ曲では、けだるいチェンバロの開始音に続くフルートの調べ、Vn.はビブラートをかけない奏法、後半のフルートの調べは、けだるさをたたえていた。

 第Ⅳ曲は、Vc.のスタート音は良く、チェンバロとVc.は同様な動きで7よかったのですが、Fl.が今一つと言った感がしました。全体的にFl.は上手で非が無いのですが、敢えてい言えば朗々とする鳴り響きが、若干弱かったかも知れません。

 

♫②J.S.Bach: Flute Partita in a minor, BWV 1013

I. Allemande

II. Corrente

III. Sarabande

IV. Bouree Anglaise

 この曲は昔から大好きな曲で、ニコレやランパルの録音を良く聞いたものでした。

 第Ⅰ曲目では、冒頭、8番目の音が歌で言えば跳躍音の様に聞こえ、しかもその次は16番目に低く落ち込む様な、一種の分裂和音が曲全体を通して現われる処が、変化に富んだ面白さを醸し出していました。この規則正しく現れる分散和音の第1音をもう少し明確な存在に表現出来ればさらにいい演奏になったと思います。高音部の音は良く響いていました。

 第Ⅱ曲は、速い調べで、その変化を良く表現出来ていたと思います。細やかな箇所も全体的な統一感に組み込まれた緻密な演奏だったと思いますが、後半の上下奏部分はもっとディナーミクを効かせた方が良いのでは?最後の重音奏に近い表現は立派でした。

 第Ⅲ曲ではゆっくり、ゆったりした調べにはもう少し冴え冴えとした響きが欲しいですね。高音部は良く鳴らしていました。

 第Ⅳ曲では、楽譜冒頭に「Freudig und Schnell」と有りますが、十分速くミスのない演奏で❝Schnell❞  の方はいいのですが、喜び勇んで進むと言った感じは今一つでしたかね?高音の跳躍音が弾む様な喜びに満ちた響きがあればさらに良かったと思いました。

 

♫③C.P.E.Bach: Trio Sonata in A Major, Wq146

I. Allegretto

II. Andante

III. Vivace

 第Ⅰ曲、Vn.の明るい調べが誘うFl.の同テーマの掛け合いが、ある種優雅さをもって進行、①と②の父親バッハの曲とはかなり異なった雰囲気を醸し出しました。Fl.ソロをもう少し響かせて欲しかった気がしました。

 第Ⅱ曲の Andanteでは、短調のやや沈んだ調べが、Fl.中心に吐き出され、Vn.奏が繰り返すパターンでVc.とチェンバロは伴奏に徹していた感がります。Vc.は今曲全体を通して、チェンバロの左手と同じ旋律らしく伴奏でも余り目立ちませんでした。

 第Ⅲ曲ではVn.の調べに誘われFl.がテーマを繰返しました。.Vn.とFL,の掛け合いが続きます。父親のバッハの宗教的禁欲性を帯びた調べよりははるかに人間味の帯びた調べで、アンサンブルも弾きやすい曲なのか、四者のアンサンブルの一致が良く表現されたと思います。

 終演後は、会場は大拍手に溢れました。

 ところでエマヌエル・バッハにはやはり素晴らしい「無伴奏